「持っている不動産を査定したい」そんな時はどうしたら良いのでしょうか。不動産の査定や売買は人生で何度も経験するものではありません。ほとんどの人が慣れていないものですので、何をどうしたら良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

不動産の査定の方法や誰に頼めば適正な値段を査定してくれるのか、詳しく見てみましょう。

不動産査定とは

不動産は売却価格や税金を計算するための基準となる価格等、さまざまな価格があると言われています。一般的に不動産の査定とは何の価格を指しているのでしょうか。

査定額は売却時の予想価格

一般的に不動産の査定価格は売却時の予想価格になります。ただし、あくまで「予想価格」です。不動産はコンビニやスーパーで売っているもののように、同じものが大量にあるわけではありません。

1つしかないものを購入してくれる人を探す必要があるので、思ったよりも高く売れる場合もあれば思ったような値段で売れずに、止むを得ず価格を下げる事もあります。査定はあくまで売却時の予想価格である点は注意しておきましょう。

査定だけでも良い

不動産査定をお願いする場合、査定だけをお願いすることも可能です。査定をしても売りたくなくなった場合や希望の価格で売れない場合は、必ずしも売る必要はありません。不動産の売却を検討している場合は、まずは気軽に物件の価格査定をしてもらいましょう。

机上査定

最も手っ取り早く不動産の価格査定をする方法は、机上での査定です。周辺の取引事例や建物の築年数、土地や建物の広さなどを勘案して机上で査定する方法です。机上査定は時間をかけずに簡単にできる点が最大のメリットです。マンションの場合は同じマンションの取引が直近であれば、かなり実態に近い金額で査定をすることができるでしょう。

ただし、机上査定はあくまで机上査定。実際に物件を見て行う査定よりはどうしても精度は落ちてしまいます。その点は理解して机上査定を依頼しましょう。

訪問査定

机上の査定よりも、精緻に査定ができるのが訪問での査定です。訪問での査定の場合は建物の状況や周辺の環境も調査した上で査定をすることができます。机上の調査ではわからない細かい部分もみて査定をすることができますので、より実際の取引価格に近い金額の査定をすることができます。

本格的な売却を検討する場合は机上の査定だけでなく、訪問での査定を依頼した方が良いでしょう。

多面的な判断を基に算出する

不動産の査定は多面的な判断を基に算出します。不動産の価格はさまざまな要素が積み重なって価格が決まります。具体的には近隣の取引事例や公示価格、路線価などを基準に算出されます。不動産の値段はさまざまな値段のつけられ方があります。全ての価格を把握したうえで初めてその土地の取引価格を算出することができます。

無料査定と有料査定がある

不動産査定は無料で査定してくれる場合と有料になるケースがあります。どのような場合は無料でよくて、どのような場合は有料で査定する必要があるのでしょうか。無料査定と有料査定の違いを見ていきましょう。

無料査定は営業の一環

無料査定は営業の一環である場合がほとんどです。不動産屋さんも慈善事業で行なっているわけではありません。無料で査定を行なった後に契約につなげて仲介手数料をもらわなければ意味がありません。無料査定をお願いする場合は営業活動の一環であることを理解しておきましょう。

個人の不動産取引は無料査定で十分

一般的な個人の不動産取引の場合は無料査定で十分です。個人の不動産の場合は、取引事例が豊富にあるため周辺に築年数や間取りが似ている物件の取引事例があることがほとんどです。よほど特殊な物件の取引でない限りは無料査定で売りに出せば十分と言えるでしょう。

不動産鑑定士に依頼する場合は有料

不動産鑑定士に不動産の価値を鑑定してもらう場合は費用がかかります。不動産の鑑定は大手の鑑定事務所の方が高い傾向があります。概ね相場は土地のみであれば10万円〜15万円程度、土地付き建物やマンションの場合は15万円〜20万円程度です。

決して安い金額ではありませんので、本当に必要になった場合のみ不動産鑑定士への鑑定を依頼しましょう。

不動産売却の流れ

不動産を売却したい場合どのような流れで進めていけば良いのでしょうか。不動産取引は人生で何度も経験することではありませんので、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。不動産売却の流れを見ていきましょう。

査定を依頼する

まず、不動産を売却するときにすることは不動産屋さんに査定を依頼することです。まずは無料査定で、だいたいどれくらいで売れるのかを把握しましょう。住み替えの場合は売却資金が次の購入資金の元手になることも多いと思いますので、まずは大まかに金額を捉えることが大切です。

売却を依頼する

査定をして大まかな金額を把握できたら次は売却を依頼しましょう。売却を依頼する時のポイントは、よっぽど急いで売る必要が無い場合は相場より少し高めの金額で売りに出すことです。

ご自身が売りに出した物件がどうしても欲しければ少し相場より高い値段でも売れる可能性があります。まずは高めに出して少しずつ値段を下げていく方が、より高い値段で売れる可能性が高くなります。

売買契約を締結する

売却物件の買主が決まったら次は売買契約を締結します。売買契約の日は手付金や不動産の登記が必要になりますので忙しい日になるでしょう。書類などの準備や司法書士の紹介は不動産屋さんが担当してくれますが、事前に契約の流れを確認しておきましょう。

物件を引き渡す

売買契約を締結したら次は物件の引き渡しです。引き渡す日は事前に契約で定めておきます。建物が付いている場合はどのような状態で引き渡すのかも契約に盛り込んであります。

建物を取り壊して引き渡す場合は、建物は引き渡しの日までに取り壊さなければなりません。契約により買主も売主も義務を負いますので、引き渡しの日までに買主、売主ともに契約で定められた事項を履行しておく必要があります。

不動産鑑定士に依頼した方が良い場合

不動産査定を無料査定ではなく不動産鑑定士に依頼した方がよい場合とは、どのようなケースがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

関係会社間で取引する場合

関係会社間で不動産の売買をする場合は鑑定士に依頼する必要があります。通常不動産の取引は買主と売主の双方が売買の値段に了承すれば成立します。関係会社間での取引の場合は税務上などの理由で不当に低い金額で取引される場合等があります。

関係会社間で取引をする場合は鑑定士に不動産の鑑定を依頼することで、対外的にも適正な価格で取引していることを担保できます。

遺産相続がスムーズに進まない場合

遺産相続等がスムーズに進まない場合も不動産鑑定士に依頼した方が良いでしょう。遺産分割を公平にするためには不動産の価格を正確に把握する必要があります。正しい鑑定をすることで、不当な査定金額をもとに分割されたのでは?という後々のトラブルを防ぐことができます。

賃料や立退料等が原因でトラブルになる場合

賃料や立退き料などが原因でトラブルになる場合も鑑定評価が必要です。裁判に発展する可能性もあるため対外的にも適正価格を示すことができる正しい鑑定評価が必要です。

査定の事前準備

不動産査定をする前にどのような準備をしておけば良いのでしょうか。

必要書類を用意する

まずは必要書類を用意しましょう。

①重要事項説明書

不動産を購入する時に必ず交付を受ける書類です。重要事項説明書とは、その不動産に対する権利関係や水道等のインフラなど、さまざまな重要な事項が記載されている書面です。

記載している内容は査定にも影響がある可能性があるので、査定の前に不動産屋さんに開示しておきましょう。また、不動産の売却が決まったときに、次の契約をするための重要事項説明書を作成する際のも参考にすることができます。

②権利証

権利証は土地や建物を保有していることを証明する書面です。確実に持ち主である事を示すために事前に準備しておきましょう。

戸建の場合

戸建てを売却する場合はどのような準備が必要なのでしょうか。

①周辺の土地や戸建ての取引事例を調べる

周辺相場を調べておくことで、不当に安い値段で売却されるリスクを軽減することができます。周辺の坪単価や中古の戸建ての売却情報を調べて大まかな相場観をつけておきましょう。

②査定する不動産のセールスポイントを整理しておく

不動産には必ず「セールスポイント」があります。駅近の立地や土地の広さ、子育て環境の良さ、周辺の施設等、不動産のセールスポイントはさまざまです。どのような点をセールスポイントとするかにより、査定金額も変わる可能性があります。

不動産屋さんは不動産のプロではありますが、住んでいる人にしか分からないセールスポイントもたくさんあります。セールスポイントを事前に整理して査定を依頼する不動産屋さんに伝えましょう。

③戸建てが得意な不動産屋さんに査定を依頼する

不動産屋さんにも得意分野があります。仲介、賃貸、エリアなど、得意分野はさまざまです。不動産の売買の場合、「買いたい人、売りたい人をいかに見つけるか」が大切です。

不動産屋さんも得意分野の方がネットワークも広くより高値で買ってくれる買主を探せる可能性が高くなるので、戸建ての査定を依頼する場合は戸建て仲介の得意な不動産屋さんに依頼する方が良いでしょう。

マンションの場合

マンションの場合の売却の流れはどのようになるのでしょうか、戸建てと違う点はあるのでしょうか。

①同じマンションや周辺の取引事例を調べる

マンションの場合は戸建てよりも素人でも価格の予想がたてやすいものです。特に同じマンション、同じ間取りで取引事例があれば、かなり近い金額になることが予想されます。同じマンションでの取引事例が無ければ、周辺の築年数や間取りが近いマンションの取引事例を調べてみましょう。

②マンションのセールスポイントを整理しておく

戸建てと同じく周辺の環境等のセールスポイントを整理しておきましょう。マンションの場合は戸建てのセールスポイントに加えマンションの特徴や共用部分について理解しておくとよいでしょう。最近はマンションにさまざまな付加価値をつけている物件が少なくありません。不動産屋さんにも付加価値を正しく伝えることでより高い金額で売却できる可能性があります。

③マンションの売買が得意な不動産屋さんに依頼する

戸建てと同じくマンションが得意な不動産屋さんにお願いすることも重要です。得意分野をお願いした方が不動産屋さんの売却活動もスムーズに行えるため、高い金額で売却できる可能性が高まります。

破損・損傷箇所を修繕する

不動産を査定する場合は破損、損傷箇所を事前に修繕しておくことも重要です。破損、損傷箇所があると修理代金以上に値引きされる可能性がありますので、事前に修理しておく方が賢明です。

リフォームの必要性は低い

売却前にリフォームを検討される方もいますが、リフォームをしても買主の好みに合うとは限らないため、思ったよりも価格が上がらないリスクがあります。最低限の修繕をすることは必要ですがリフォームまではしない方が良いでしょう。

問題点がある場合は報告書を提出する

売却しようと思う物件に問題がある場合は報告書を提出しましょう。問題がある部分を隠して売却した場合、訴訟に発展する可能性もあります。問題がある部分は報告書を提出して正直に買主に伝えましょう。

査定前のハウスクリーニングは必要ない

査定前のハウスクリーニングは必要ありません。ハウスクリーニングは入居する直前に行います。売却活動の中で色々な人が見学に来ることもありますので、査定前にハウスクリーニングをしてもまた売却活動を行う中で汚れてしまいますので事前にハウスクリーニングをしておく必要はありません。

マンションの場合は管理費や修繕積立金に滞納がないかどうかを確認する

マンションの場合は管理費や修繕費積立金に滞納が無いか確認しておきましょう。滞納している場合はやむを得なく買主側払うケースもありますが、損害賠償訴訟を起こされる可能性があります。

戸建ての場合は売主に境界明示義務がある

戸建ての場合は土地の境界明示義務があります。売主が測量士にお願いをして測量し、どこからどこまでが自分の土地であるかを明示しなければいけません。登記していた面積よりも実際に測量をしてみると面積が違うことはよくあります。測ってみると実際より大きかった場合を「縄伸び」、小さかった場合は「縄縮み」と呼びます。

無料査定を依頼する際のポイント

無料査定を依頼する時にはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。ポイントをおさえておきましょう。

査定額と売却額に乖離が生じることを理解しておく

査定額はあくまで目安です。必ずしもその値段で売れるとは限りません。高い査定が出たからと言ってその値段で売れる前提で次に住む予定の不動産を購入したりすると、資金不足に陥る可能性もあります。査定の金額で必ずしも売れる訳ではないことを理解しておきましょう。

査定額よりも売却額を重要視する

査定額よりも実際の売却額を重視しましょう。不必要に高い査定を出して自社で取引をしようとする不動産屋さんもいます。査定金額を必要以上に高く出すことは無意味ですので、実際に高い金額で売却できるかを重視して不動産屋さんを選びましょう。

営業目的の電話がかかってくることを覚悟しておく

不動産屋さんは慈善事業で査定を行なっているわけではありません。査定を行なったら必ず仲介に繋げて手数料を稼ごうとするはずです。取引に繋げようと不動産屋さんも知恵を絞っています。無料査定をしたら不動産屋さんから営業の電話などがかかってくることは覚悟しておいた方が良いでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

一社に依頼をしてしまうと、査定をされた金額が適切な価格なのか分かりません。複数の不動産会社に査定依頼をして売却活動を行った方が高い価格で売却できる可能性が高まります。査定を依頼する場合は必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。

一括査定サービスを利用すると便利

複数の不動産会社に査定を依頼する場合は一括査定サービスを利用すると便利です。一括査定サービスとは複数の不動産会社が参加しているサイトに不動産の情報を登録することで複数の不動産会社が査定をしてくれる制度です。

一社ずつ査定を依頼する必要がありませんので、大変便利です。大まかな値段を知りたい時は、まずは一括査定サービスを利用すると良いでしょう。

まとめ

不動産の取引は人生で何度も経験するものではありません。不動産の取引を行う前に事前準備と情報収集をしておかないと相場よりも安い値段で売却することになるかもしれません。不動産を取引する場合は事前準備と情報収集をしっかり行なって損をしないように心がけましょう。

監修者:小林 弘司(不動産コンサルタント)