不動産の取引にはさまざまな税金がかかります。購入する場合や売却する場合、さらに不動産は保有しているだけでも税金がかかります。また、不動産の税金にはさまざまな特例があります。ご自身で申告しなければ適用できない特例もあります。

各種特例を知らないと払う必要の無い税金を支払うことにもなってしまいます。不動産の税金で損をしないためにも不動産にかかる税金や特例について理解しておきましょう。

不動産の取得時にかかる税金

不動産を取得する場合、さまざまな税金がかかります。具体的に見ていきましょう。

1:印紙税

印紙税とは不動産の売買契約を行う際に交わす契約書作成に必要な税金です。印紙税額は契約金額により異なります。

例えば1,000万円超〜5,000万円以下の金額で売買契約書を作成した場合、印紙税額は原則2万円となります。

ただし、不動産譲渡のために交わす不動産売買契約の場合は軽減措置がとられており、先ほどと同じ1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円が印紙税額となります。

参考: https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm

2:消費税

不動産を購入した場合も消費税がかかります。

ただし、建物には消費税がかかりますが、土地には消費税がかかりません。不動産購入時に消費税がかかるものとかからないものを具体的に見ていきましょう。

消費税がかかるもの

①建物代金
②土地の造成費用
③仲介手数料
④司法書士等に支払う費用
⑤住宅ローンの事務手数料

消費税がかからないもの

①土地売買代金
②不動産事業者でない個人から購入した中古物件
③登録免許税、印紙税などの税金

3:登録免除税

登録免許税とは不動産の登記をする際に必要な税金です。登録免許税は登記をする不動産の固定資産評価額により異なります。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm

4:不動産所得税

売買や、贈与で不動産を取得した場合や新たに建築、増築した場合は不動産取得税を支払う必要があります。なお、相続により取得した不動産は、不動産取得税を支払う必要はありません。自らの意思で不動産を取得したときに発生する税金となっています。

不動産取得税は都道府県に支払う地方税であり、不動産の取得後2カ月から1年くらいの間に届く納税通知書に基づいて納税する必要があります。居住用の住宅や住宅用の土地取得に対しては軽減措置があります。期限が定められている軽減措置もあります。

不動産取得税は国が定める標準税率に基づいて各都道府県が税率を定められるため、不動産を取得した際の税金の詳細は、各都道府県に問い合わせるかHPなどで確認する必要があります。

例えば、東京都では便利な不動産取得税計算ツールが用意されています。実際にマイホームを取得する際は各都道府県のHPを確認してみると良いでしょう。

参考:http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/syutokuzei.html

5:相続税、贈与税(該当者のみ)

不動産を相続した場合には相続税、贈与を受けた場合には贈与税がかかります。

相続税は被相続人(亡くなった方)から受け取った遺産総額が基礎控除(3,000万円×法定相続人×600万円)を超える場合には期限内に申告が必要となり課税される場合があります。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4102.htm

 贈与の場合は暦年贈与の非課税枠110万円を超える場合に課税されます。

参考:https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4408.htm

相続税・贈与税の評価は建物の場合、固定資産税の評価額で計算します。
土地の場合、路線価がある地域は路線価、路線価がない地域は固定資産税にその土地に定められた倍率をかけあわせた金額が評価額となります。土地の路線価は一般的に売買価格の8割程度の評価額と言われています。

参考:https://www.nta.go.jp/about/organization/okinawa/release/h30/rosenka/index.htm

住宅ローン減税を活用する

住宅ローン減税とは政府がマイホーム取得促進のために制定している住宅ローンを借り入れている方のための税額控除です。

合計所得金額が3,000万円未満の方がマイホーム取得のために10年以上に渡って支払う一定の要件を満たした住宅ローンを契約した場合に借入金額の1%が税額控除(控除額の上限は50万円)となる制度です。

所得控除と税額控除は誤解されがちですが、所得控除は所得から控除できる制度であり収入から差し引くことができる金額です。

税額控除とは支払う税金から差し引くことができますので、年末の住宅ローン残高が5,000万円以上あり、一定の条件を満たす方は実際に支払う税金が50万円減りますので大きなメリットとなります。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

不動産の売却時にかかる税金

不動産を売却するにはどのような税金がかかるのでしょうか、具体的に見ていきましょう。

1:譲渡所得税

不動産を売却した際に利益が出た場合(購入価格よりも売却価格の方が高い場合)譲渡所得税がかかります。譲渡所得税は売却した年の1月1日時点で保有期間が5年を超えているか否かで税率が異なります。課税の計算となる価格はあくまで利益が出た金額に対してです。

例えば、5,000万円で購入した土地が5,100万円で売れた場合は課税の対象は売却価格の5,100万円ではなく、利益となる100万円となります。

所得税率は所有期間により異なり、以下の通りです。

長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超)の場合:所得税:15%

短期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で保有期間が5年以下)の場合:所得税:30%

参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm

2:印紙税

不動産を売買する契約書を作成した場合、印紙税がかかります。

不動産の売買契約書は2通作成し、買主と売主双方で保管する場合と、1通作成してコピーをして複製し、原本を買主、コピーを売主が保管する場合があります。売買契約書を2通作成した場合は、売主・買主双方が印紙税を負担することになりますが、買主が原本を保管し、売主がコピーを保管する場合は原則買主が印紙税を負担することになります。

売買契約上の合意内容などに関して、紛争が生じて裁判になった場合、もし契約書の原本とその写しに食い違いがあった場合、原本のほうが、証拠力があります。その意味では、売買契約書は2通作成された方が良いと思われます。

3:住民税

不動産を売却した際に利益が出た場合は住民税がかかります。譲渡所得と同じく1月1日時点で5年超を超えるか否かで税率が異なります。住民税の税率は以下の通りです。

長期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で保有期間が5年超)の場合:住民税:5%

短期譲渡所得(売却した年の1月1日時点で保有期間が5年以下)の場合:住民税:9%

併せて、2037年までは復興特別所得税が2.1%の税率でかかります。

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不動産の保有時にかかる税金

不動産は保有するだけでも税金がかかります。具体的にどのような税金がかかるのでしょうか。

1:固定資産税

固定資産税はその年の1月1日時点で所有している所有者にかかる税金です。固定資産税評価額×1.4%で計算され、課税されますが、マイホーム用の住宅については軽減措置があります。

①住宅用地(土地)の軽減措置

小規模住宅用地(1戸につき200㎡までの部分):固定資産税の標準課税額×1/6に減額

一般住宅用地(小規模住宅用地以外):固定資産税の課税標準額×1/3に減額

②新築住宅(建物)の軽減措置

新築住宅は床面積120㎡までの部分について一定の条件を満たす場合、固定資産税が1/2に減額となります。

3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の場合は5年間、それ以外の住宅については3年間軽減措置を受けることが可能です。

さらに、認定長期優良住宅の場合には2年間減額期間が増えます。

2:都市計画税

都市計画税も固定資産税と同じく1月1日時点での保有者にかかる市区町村が課税する税金です。固定資産税と一括で納付する必要があります。

都市計画税は最高税率0.3%となっており、0.3%以内で市区町村が定めることとなっています。

都市計画税にも、固定資産税と同じく住宅用地の軽減措置があります。

①住宅用地(土地)の軽減措置

小規模住宅用地(1戸につき200㎡までの部分):課税標準×1/3に減額

一般住宅用地(小規模住宅用地以外):固定資産税の課税標準額×2/3に減額

②新築住宅(建物)の軽減措置

都市計画税には建物に関する軽減措置はありません。

3:法人税(法人のみ)

不動産賃貸業を営んでいる場合、法人化すると収入に対して法人税が適用されます。この法人税は個人の場合の所得税にあたるものです。個人の所得税率と法人の法人税率に差があり、法人化することによって節税になるケースもあります。税理士などの専門家に相談してみてください。

不動産にかかる節税対策

不動産にはさまざまな節税対策があります。各種特例は申請をしないと受けられないものも多く、知らないと税金を払いすぎる可能性もあります。不動産にかかる税金の節税対策を見ていきましょう。

青色申告を利用する

青色申告制度を利用することで、一定の要件を満たすと不動産所得を最大65万円控除することができます。

青色申告の適用を受けるには正規の簿記(複式簿記)による記帳をすることが求められるため、手間も増えますが、控除メリットも大きいため、不動産賃貸などで、定期的に不動産収入がある方は検討したほうが良いでしょう。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

控除や特例で税金を抑える

不動産の控除や特例はさまざまなものがあります。主なものを簡単にご紹介します。

不動産取得時の特例

①住宅ローン控除

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

住宅取得時に一定の要件を満たした住宅ローンを組むことで税額控除が適用されます。

②すまい給付金

すまい給付金は住宅ローン減税の補完のためにつくられた制度です。住宅ローン減税は収入が多ければ多いほど、節税効果が大きくなる一方で、収入が少ない方にはメリットが小さい制度となっています。収入に応じて申請することで、住まい給付金を受けることができます。

参考:http://sumai-kyufu.jp/

③住宅取得資金贈与の特例

父母または祖父母から住宅取得のための金銭の贈与を受けた場合に、贈与税が控除される制度です。適用を受けようとする住宅用家屋の新築などに係る契約の締結日に応じて控除金額は異なります。控除金額は以下の通りです。

2020年3月31日まで⇒省エネ等住宅:1,200万円 省エネ等住宅以外:700万円

2020年4月1日~2021年3月31日⇒ ⇒省エネ等住宅:1,000万円 省エネ等住宅以外:500万円

2021年4月1日~2021年12月31日⇒省エネ等住宅:800万円 省エネ等住宅以外:300万円

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm

④夫婦間贈与の特例

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用の住宅または住宅取得資金の贈与が行われた場合、基礎控除の110万円に加え、最大2,000万円までを贈与税から控除できる制度です。同一の夫婦の間では一度しか利用することができませんが、相続税対策を考えているのであれば、ぜひ検討して下さい。将来的に節税になる場合があります。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4452.htm

不動産売却時の特例

①マイホームを売却した際の3,000万円特別控除

マイホームを売却した際に譲渡所得から最大3,000万円の特別控除を受けることができます。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

②マイホームを売却した際の軽減税率

マイホームを売却したときに一定の条件を満たすことで、長期譲渡所得の15%よりも低い10%の軽減税率を適用することができます。上記①の3,000万円特別控除と重ねて適用することができます。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

③マイホームを買い替えた場合の特例

マイホームを買い替えた場合には売却益の課税を繰り延べることができます(非課税となるわけではありません)。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

不動産にかかる税金を理解することも対策のひとつ!

不動産にかかる税金や各種特例はとても多いため全てを把握するのは困難です。

しかし、不動産にいくら税金を支払っているのか、どのような特例があるかを理解しておかないと、税金の払いすぎにつながる可能性があります。細かい条件を覚える必要はありませんが、各種特例の概要は理解しておいた方が良いでしょう。

最後に

不動産の取引は一般の方は人生で何回も経験するものではありません。不慣れな手続きが多くなりますが、不動産には各種特例が用意されており、上手に適用することで、大きなメリットを受けることができます。

特にマイホームの売買や父母や祖父母から次の世代への資産の移転の際には特例が多く用意されていますので、ご自身が適用できる特例は無いかチェックしてみると良いでしょう。

監修者:元木 進一(ファイナンシャルプランナー)