【FP監修】年金請求書(事前送付用)・年金に関するお知らせ(はがき)の解説と年金の請求手続きに必要なもの

年金支給開始年齢になったとき、行わなくてはならないのが請求手続きです。せっかく今まで掛金を支払ってきたのだから、きちんと受給したいですよね。しかし、初めて行う手続きのため、よく分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、年金を請求する手続きや年金に関するお知らせにはどのようなことが書いてあるかなど、知っておきたい年金請求について解説します。
年金請求書(事前送付用)とは
年金請求書とはどのようなものなのでしょうか?記載されている内容や、どのような方に送付されるのかを紹介します。
氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録が印字されている
年金請求書は、60歳以降の支給開始年齢に特別 支給の老齢厚生年金を受け取る権利が発生する方に対して送られるものです。年金請求書には、その方の基礎年金番号と一緒に氏名、生年月日、性別、住所、年金加入記録が記載されています。まずはこの内容に間違いがないか確認しましょう。
特に注意したいのが年金加入記録です。抜けはないか、しっかり確認しましょう。
受給開始年齢に到達する3か月前に送付される
年金請求書が送られてくるのは、支給開始年齢に到達する3カ月前です。
60歳で年金を受け取る権利が発生する方の場合、60歳の誕生日の3カ月前に送付されます。誕生日の1カ月前になっても届かないようなら、日本年金機構まで問い合わせしましょう。
厚生年金期間が1年未満など、65歳で受給権が発生する方などには、年金に関するお知らせのはがきが届きます。その後、65歳に到達する3カ月前に年金請求書が届くようになっています。
老齢基礎年金の受給資格を満たしている方に送付される
年金請求書(事前送付用)が送られてくるのは、老齢基礎年金の受給資格を満たしている方です。
老齢基礎年金の受給資格は、保険料を納付した機関と国民年金の保険料免除期間を合算した資格期間が10年以上あることです。以前は25年必要でしたが、2017年8月1日に法改正され、25年から10年に短縮されました。
支給開始年齢に特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生する方に送付される
支給開始年齢に特別支給の老齢厚生年金の受給権が発生する方には、支給開始年齢に達する3カ月前に年金請求書(事前送付用)が送られます。
通常の老齢厚生年金は、65歳以降、一生涯支給されるものです。これに対して特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金期間が12カ月以上ある方が、60歳から64歳までの期間に受け取れるというものです。
これは1985年に厚生年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられたことによって混乱が生じないよう、暫定的な処置として用意されました。
特別支給の老齢厚生年金には、繰り下げ制度がありませんので、受給権発生日以降に速やかに請求しましょう。ただし特別支給の老齢厚生年金を受け取るには、以下の要件を満たさなくてはなりません。
男性の場合、1961年4月1日以前に生まれたこと。
女性の場合、1966年4月1日以前に生まれたこと。
老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること。
厚生年金保険等に1年以上加入していたこと。
60歳以上であること。
出典:特別支給の老齢厚生年金について
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/jukyu-yoken/20140421-02.html
あらかじめ自分が当てはまるかどうかを確認しましょう。
組合等の加入記録は共済組合等から日本年金機構に情報提供されている記録が対象
年金請求書(事前送付用)や年金に関するお知らせのはがきに記載されている共済組合などの加入記録は、共済組合から日本年金機構に情報が提供されているもののみになっています。
そのため、1996年より以前に退職した職場で加入していた共済組合などの加入記録は、情報提供されておらず記載されていない場合があります。これは、1996年12月までは加入されていた年金制度ごとに異なる年金番号で加入記録が管理されていたことによります。
転職などで加入する制度が変わると、年金番号が変わり、1人の方が複数の年金番号を持っていることもありました。これを改善するために、「1人に1つの番号」で管理するために発行されたのが「基礎年金番号」です。
基礎年金番号が発行される前に加入していた共済組合の加入記録は、抜けがある場合があるので注意して確認しましょう。抜けがあった場合は、共済組合から「年金加入期間確認通知書」を交付してもらう必要があります。
再発行はできない
事前に送付された年金請求書(事前送付用)は再発行することはできません。
万が一紛失や破損してしまった場合は、年金請求書を日本年金機構のホームページからダウンロードが可能です。必要 事項を記入例に従って記入して、提出してください。(http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20141128.html)
また、年金ダイヤルに電話するか、お近くの年金事務所で請求書を貰うことも可能です。
海外に居住している人には送付されない
日本国外に住んでいる場合は、年金請求書(事前送付用)は送られません。上記の年金請求書を使用して、年金の受給開始の手続きを行う必要があります。
年金請求書(事前送付用)も海外在住だと送られてきませんので、自分の支給開始年齢をあらかじめ確認しておき、開始年齢になったら年金請求書をダウンロードし、手続きを行いましょう。自分の支給開始年齢は、日本年金機構のホームページで 確認することができます。年金請求書の提出先は、日本での最終居住地を管轄する年金事務所や年金相談センターになります。
また、日本と特定相手国の年金を受け取るための期間をどちらも満たしていない場合、社会保障協定によって年金加入期間を相互に通算して受給資格を得ることができます。2017年8月時点で通算ができる社会保障協定を発行している国は以下のようになります。
加入期間の通算ができる国
ドイツ アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ
チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク
出典:海外居住者の年金請求
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/seikyu/20161109.html
年金に関するお知らせ(はがき)とは
年金に関するお知らせ(はがき)にはどのようなことが記載されているのでしょうか?年金に関するお知らせ(はがき)についてご紹介します。
まず 年金に関するお知らせ(はがき)は、どのような人に送付されるのでしょうか?
年金加入記録だけでは老齢基礎年金の受給資格を確認できない人に送付される
日本年金機構は基礎年金番号で年金加入を記録・管理しています。この記録だけでは老齢基礎年金の受給資格を満たしていない方に対して、その旨を記載した内容が送付されます。
もし自分で把握している加入記録が記載されておらず、受給資格を満たしていないとなっている場合はすぐに記録を確認しましょう。特に1996年より前に退職した職場の共済組合などの記録は抜けている可能性があります。
65歳から老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権が発生する人に送付される
65歳から老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利が発生する方にも、年金に関するお知らせ(はがき)は送られてきます。受給資格がある場合でも、加入期間などに抜けがないかは必ず確認してください。
共済組合等の加入期間と他制度の加入期間の重複により加入期間を確認できない人に送付される
共済組合などの加入期間と、他の制度の加入期間が重複している場合にも年金に関するお知らせ(はがき)が送られてきます。重複している期間はそれぞれの加入月数として印字されているため、合計月数は120月を超えていても、重複期間は取り除かれます。その結果120月未満となると加入期間が不足してしまいます。
支給開始年齢到達月の3か月前に送付される
65歳から老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利が発生する方にも、年金に関するお知らせ(はがき)は送られてきます。
受給資格がある場合でも、加入期間などに抜けがないかは必ず確認してください。
年金加入期間の月数ははがき到達する月の5か月前までの期間を対象にしている
年金に関するお知らせ(はがき)が送られてくるのは、65歳から老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利が発生する方や受給資格を確認できない方です。年金加入期間の月数は、はがきの到達する月の5カ月前までの期間を対象にしています。
年金請求手続きに必要なもの
年金請求手続きにはどのようなものが必要なのでしょうか?請求手続きをする際に必要なものについて解説していきます。
年金請求書
年金請求書(事前送付用)または日本年金機構のホームページからダウンロードするなどした年金請求書を使用しましょう。
年金手帳or基礎年金番号通知書
年金手帳または基礎年金番号通知書など、自分の基礎年金番号が分かる書類を準備しましょう。複数持っている場合は全部手元に準備してください。
戸籍抄本・戸籍記載事項証明書
受給権が発生してから6カ月以内に発行してもらった、戸籍抄本または戸籍記載事項証明書が必要です。
金融機関の預貯金通帳orキャッシュカード
年金の振り込み先として使用する金融機関のものを用意しましょう。
雇用保険被保険者証
雇用保険被保険者証は、退職から7年以内の場合は再交付可能です。保険者証が手元にない場合は再発行をお願いしましょう。
印鑑
印鑑は認め印でかまいません。シャチハタは使用不可ですので注意して下さい。
雇用保険受給資格者証
雇用保険の基本手当を受けている方は、雇用保険受給資格証も必要になります。基本手当を受けていない方は必要ありません。
高年齢雇用継続給付支給決定通知書
高年齢雇用継続給付などを受給している方は、高年齢雇用継続給付支給決定通知書が必要です。
住民票
住民票も戸籍抄本などと同じく、受給権発生後6か月以内に発行したものが必要です。住民票は世帯全員分を用意しましょう。個人番号の記載がないようにしてください。
配偶者の年金証書
配偶者が年金を受給している場合に必要です。
配偶者の非課税証明書、課税証明書または源泉徴収票
配偶者がいる場合は、非課税証明書、課税証明書、源泉徴収票など配偶者の収入が証明できるものを用意しましょう。
年金加入期間確認通知書
共済組合に加入していた期間がある場合は、年金加入期間通知書が必要です。
まとめ
年金を請求するときに必要な書類や、年金受給前に送られてくる年金請求書(事前送付用)や年金に関するお知らせ(はがき)などのお知らせについてご紹介しました。
年金は受給資格などがきちんと定められています。せっかく掛金を 支払ってきたのですから、きちんと間違いなく受け取りたいものです。年金の加入記録などに間違いや抜けているものがあれば、本来なら受け取れるはずだった年金が貰えないという事態にもなりかねません。
年金請求書(事前送付用)や年金に関するお知らせ(はがき)が送られてきたら、まずは加入記録に間違いがないかをしっかり確認しましょう。自分がいつどのような共済組合に加入していたかなどは事前に思い出して記録しておき、照らし合わせられるようにしておきましょう。
また、年金記録は自宅のパソコンやスマートフォンで最新のものを確認することが可能です。国民年金保険料を納付していない期間や、厚生年金保険の標準報酬月額に大幅な変更があるところはカラーで示されており、分かりやすくなっています。ぜひ一度確認してみてください。
参考:日本年金機構HP
http://www.nenkin.go.jp/index.html
支給開始年齢になったとき 2.請求書の提出について
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/rourei/seikyu/20141128.html
監修者:青野 泰弘(ファイナンシャルプランナー)

記事筆者
マネカツ編集部 Manekatsu Henshubu
"将来への漠然としたお⾦への不安はあるけど、何から始めていいのかわからない…"
そんな方に向けて「資産運用」や「節税」など、お金に関する情報を発信しています。

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