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M life 記事

FPコラム 2018.9.3

フリーランスになった時に考えるお金の話

 

第2回目は、会社員からの転職によって変わるお金のことをお伝えさせていただきました。

 

【前回記事】:転職するときに知っておきたいお金の話)今回は、会社員からフリーランスなど個人で仕事をする選択をした場合に必要なお金のことについてお話できればと思います。

 

個人で仕事をする時代に

 

 

「これからは個人の時代」と表現されるように、昨今フリーランスになった方やいずれはフリーランスで働きたいという方がとても増えたように思えます。実際に、2015年から2018年のこの3年間の間で、フリーランス人口は全体の15%から17%へと増加し、その経済規模はついに20兆円を超えたといわれています。

 

フリーランスを選んだ背景として、45%の人が「自由」な働き方を求めてフリーランスになっています。働き方改革によって、時間や場所に縛られずに、自分の能力を活かして働きたいと思っている人が増えたということです。

 

しかし、その一方で53%の人がフリーランスになることへの障壁として「収入の不安定さ」また、「社会的信用のなさ」を挙げています。まだまだ社会制度としては整っていないフリーランスでの働き方。ここからは実際に、フリーランスになったらどのようなことを具体的に考えてなければならないかをお伝えしていければと思います。

 

(出典)ランサーズ:https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/

 

社会保障制度の成り立ち

 

 

雇われる立場である「会社員」と、雇われない働き方である「フリーランス」で一番大きく違うのは、社会保障制度です。まずは、その社会保障制度の成り立ちからお伝えしたいと思います。

 

もともと、現行の社会保障制度は、1961年の「国民皆年金」「国民皆保険」の制度を皮切りにスタートして1980年代までにほぼほぼ整ったと言われています。1964年には東京オリンピックが開催され、まさに日本が高度経済成長期に突入する前後です。銀行にお金を預けているだけでも金利が高いため貯金は増えますし、給料もあがり、日本中が活気づいていた時代に、今の社会保障制度の基礎ができたというわけです。

 

社会保障制度がこの期間で作り上げられた背景には、「労働者を守るため」という理由がありました。当時、どういう人たちが、「労働者」だったかというと、家業を継ぐことができなかった、次男、三男といった人たちでした。そういった人たちが、職を求めて、戦後の復興の中で都市部にできた会社へ勤めていく。これが「労働者」だったのです。

 

たったひとりで地方から出てきた労働者たちは、今までのように、地域や家族と支えあって暮らしていく、ということができません。また、万が一の時に自分を守るだけの財産もあったわけではありません。ですからこうした「労働者」を守るために、社会保障制度が整っていった、というわけです。

 

一方「当時の自営業はどうだったか」というと、今とは全く環境が違いました。この時代の自営業者は、農家や商店街でお店をやっている方などです。彼らには、先祖代々の土地・建物があり、自分のビジネスがあります。また、自分が引退しても子どもが跡を継ぎ、老後の面倒も見てくれます。ですから、国からすれば、そこまで国が手厚く保障をしていく必要がなかったのです。つまり、50年以上も前は、労働者と自営業は全く今とは違う労働環境であった、というわけです。

 

しかし、今はどうでしょうか。自由な働き方を求めてフリーランスに転向する人たちは、以前のように資産や面倒を見てくれる跡継ぎがいるわけではありません。つまりこうした時代の変化に、まだ社会保障制度がついていくことができていないというのが現状なのです。

 

会社員とフリーランスの社会保障制度の違い

 

 

「国民皆保険」の範囲の違い

では、そうした背景で作られたこの社会保障制度は、具体的にどのように「会社員」「フリーランス」で異なるのでしょうか?まずは、公的保険の部分です。

 

公的保険は、国や地方公共団体といった公的な機関が運営・管理を行っている保険のことです。日本国民は上記でお話した通り、「国民皆保険制度」のもと、すべての方が何かしらの公的保険に加入しています。しかし、すべての人が公的保険に加入しているからといって、全員が同じ公的保険に入っているわけではありません。

 

会社員の方は、主に大企業にお勤めの方を対象とした「健康保険組合」や、中小企業にお勤めの方を対象とした「全国健康保険協会」などに加入することが一般的です。それに対して、自営業やフリーランスの方は、「国民健康保険」と呼ばれる公的医療保険に入ることになっています。

 

大きな違いは「傷病手当」の有無

これらの公的医療保険は、「医療費の自己負担割合の軽減」や「高額療養費制度」といった基本となる保障は共通していますが、病気やケガをして仕事を休んだときの保障については大きな違いが見られます。それが傷病手当と言われるものの存在です。

 

もしも病気やケガをして働けなくなったとき、健康保険組合や全国健康保険協会からは「傷病手当金」という手当が支給されます。基本的には会社を休んだ日数に応じて、最長1年半まで平均的な1日あたりの給与の約2/3相当の手当金を受け取ることができます。会社員の方は体の事情で仕事に就けなくなったとしても、この傷病手当金のおかげですぐに収入が途絶えてしまう心配はないと言えそうです。

 

その一方で、国民健康保険には傷病手当金に相当する保障が備わっていません。つまり、自営業やフリーランスの方が病気やケガをして仕事ができなくなってしまったら、その瞬間から収入が無くなってしまうリスクが考えられるのです。入院・手術で医療費の負担が大きくなる中、仕事の収入すら得られなくなったとき、今まで通りに生活を維持するのは厳しいのではないでしょうか。

 

しかも、フリーランスの場合、仕事が一度止まってしまうと、同じ仕事をまた継続することは非常に難しいです。そうなると、また一から仕事を探さなければならなくなります。ですから フリーランスは、会社員に比べて社会保障が手薄い分、しっかりと民間の保険や預貯金などの自助努力で補っていく必要があるのです。

 

 

働けなくなった時のリスクは民間保険でカバー

具体的にでは、どのように備えていけばよいのでしょうか。まずは、「働けなくなった時のリスク」に備えることが重要です。「所得補償保険」「就労不能保険」といわれるものが民間保険でカバーできるものです。

 

どちらも、病気やケガで働けなくなった際の収入を補うことが目的の保険です。なくなってしまった収入の代わりに、毎月一定の給付金額が、決められた期間支払われる、という商品になります。所得補償保険と就労不能保険の違いは、所得補償保険は損害保険会社が出しており、就労不能保険は生命保険会社が出している、というところがまず大きく違います。

 

「所得補償保険」について

損害保険の基本的な考え方は、「損害額の補償のために支払われる」というものです。ですから所得補償保険の実際の給付額については、フリーランスの場合、前年度確定申告している事業所得(事業の売上―事業の必要経費)に応じて、給付する保険金額が決まる商品が多いです。また、支払われる金額も、それまでの収入の最大60%で、支払い期間も長くて5年程度がほとんどです。ですから、金額と支払い期間については、注意が必要です。

 

「就労不能保険」について

一方「就労不能保険」は生命保険会社が出しています。生命保険は、自分の身に万が一のことがあったら、あらかじめ決められた金額が決められた期間支払われる、というものになりますから、所得補償保険と違って、最初から給付額や給付期間が決まっているものがほとんどです。

 

ただし、生命保険の場合は支払われる条件が商品によって大きく異なります。例えば精神疾患でも対象になるようなものから、介護などの障害状態、また3大疾病といわれるガン・心筋梗塞・脳卒中といった大病になった時に支払われるものなど、商品によって「就労不能」の定義が大きく異なります。ですから、どういった就労不能の状態に備えるか、しっかりと判断する必要あります。

 

「ベネフィットプラン」はフリーランスに特化

最近では、フリーランス協会が、民間の保険会社と提携をして、フリーランスの方に特化したベネフィットプランという保険も提供しています。(https://www.freelance-jp.org/benefits)所得補償と、賠償責任保障、福利厚生制度などを取りそろえています。少しずつ民間を中心に、制度の補填を目指し動きはあるので、こうした情報も定期的にキャッチアップしていくことをおすすめします。

 

公的年金制度の違い

 

「国民皆年金」の違い

公的年金保険は、国が運営・管理している年金制度のことです。皆さん公的年金保険と聞くと、最初に思い浮かべるのは、老後に受け取ることができる「老齢年金」です。

 

しかし、これ以外にも、亡くなったときに残された家族に給付される「遺族年金」、所定の障害状態になったときに給付される「障害年金」があり、合わせて3つの制度から成り立っています。しかし、公的年金保険もまた誰もが同じように加入しているわけではありません。働き方に応じて加入している種類は異なっており、それによって受け取れる年金額にも違いが出てきます。

 

3階建ての部分は自助努力

公的年金制度は、よく建物になぞらえて、3階建てといわれます。まず、土台である1階部分の「国民年金」は、職業に関係なく対象年齢の国民全員が加入することが義務付けられています。フリーランスと会社員で違いが出るのは2階部分からです。民間企業に勤める方や公務員の方は、「厚生年金」に加入することになりますから、ここに上乗せされるわけです。

 

それに対して、自営業やフリーランスの場合、基本的に加入している公的年金保険は「国民年金」のみ。そのため、自営業やフリーランスの方は、会社員や公務員と比べて、老後に入ったときに受け取れる「老齢年金」、亡くなったときに残された家族が受け取れる「遺族年金」、障害状態になったときに受け取れる「障害年金」ともに少なくなる可能性があります。

 

実際に国民年金の平均額は、55,464円と言われています。40年間保険料を払い続けても、 月額で64,941円。国民年金だけで老後の生活は十分とは言い難い状況であるわけです。フリーランスの方は、老後の生活資金もご自身で準備することが必要になってくるのが現状と言えるでしょう。

 

 

 

フリーランスのための退職金制度「小規模企業共済」

 

 

では、具体的にどのように準備していけばよいのでしょうか?

 

まず、意外と知られていないのが、「小規模企業共済制度」です。これは、個人事業主などの小規模事業者が事業をやめたときの生活資金を積み立てておく共済制度のこと、いわばフリーランスのための退職金制度です。独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しており、平成27年3月末で在籍件数は約160万件と多くの利用実績があります。

 

小規模企業共済の加入条件

加入条件としては、開業届を出している個人事業主(フリーランス)であることが大前提です。加入の手続きは委託団体(商工会、商工会議所、青色申告会など)か代理店(都市銀行や地方銀行、信用組合など)で行うことができます。どちらから申し込んでもよいですが、委託団体で申し込むと、振替口座のある金融機関でも手続きを行う必要があり二度手間になります。

 

スムーズに手続きを終えたいときは、最初から振替口座のある金融機関で申し込みをすると良いでしょう。個人事業主は他に「所得税の確定申告書の控え」を窓口で提示する必要がありますが、開業したばかりの「開業届の控え」でも良いこととなっています。そのため開業届は提出時にコピーを持参するか郵送で同封し、一部、控えをもらっておくとよいでしょう。

 

小規模企業共済の掛金

掛金は月額1,000円から500円単位で7万円まで自由に選べます。途中での増額は上限額まで可能ですが、減額が認められるのは「疾病または負傷」、「売り上げの減少、支出の増加などで事業経営が著しく悪化」したなどの場合のみです。ですから、収入が読めない初期の頃は少額から始めると良いでしょう。

 

また、払込方法も、月払い、半年払い、年払いから選べ、途中で変更することが可能です。もし、所得のないときや入院などで掛金の納付が難しくなったら、一定期間(6ヵ月か12ヵ月間)停止することができるので安心です。掛金を増やせて、途中で一時停止することも可能、という点では、非常に柔軟性がある制度になっています。

 

小規模企業共済のメリット

小規模企業共済の最大のメリットは、掛金が全額、課税対象の所得から控除され節税につながることです。節税になる金額は所得額と掛金によって異なりますが、たとえば総所得から基礎控除などを差し引いた課税所得金額が200万円なら、月1万円の掛金で年間2万円ほどの節税につながります。ただし、投資性のある商品ではないので、増える期待はできませんが、節税効果のある貯金だと思って活用していただければ、メリットを十分受けられると思います。

 

また、この税制メリットは、受取時にも使うことができます。済金を一括で受け取る場合、税法上の区分は「退職所得扱い」となります。積み立て年数によって退職所得控除の額は決まっていますが、長く積立てれば積立てただけ、控除額も大きくなりますから、早くから始めておくことをおすすめします。

 

受け取り方は年金として受け取る方法だけではありません。事業資金や関連資金を貸付ける「一般貸付け」のほか、病気やケガで入院したり災害で被害を受けたりしたときのための「傷病災害時貸付け」、資金繰りが苦しくなったときのための「緊急経営安定貸付け」などの制度も用意されています。貸付けの条件や限度額はそれぞれ設定されていますが、民間からの借り入れが難しいフリーランスにとっては、万が一のときは低金利で借りられるのはとても心強いと思います。

 

ただし、デメリットもいくつかあります。納付月数が12ヶ月未満の場合、払ったお金は戻ってきません。また、20年未満では受取金額が掛金総額を下回る可能性があります。個人事業の廃止や個人事業主の死亡、もしくは老齢給付以外の理由で任意解約するときは上記のことが想定されますので留意しておきたいポイントです。また、12ヶ月以上の滞納などで契約が強制解除された場合も同じ扱いになるので注意しましょう。

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用する

 

 

 最後に合わせてご検討されるとよいのが、個人型確定拠出年金(iDeCo)です。iDeCoについては前回も少し触れましたが、3階建ての部分、いわゆる自助努力で準備できる年金制度として作られたものです。小規模企業共済と同様に、積立立金額は全額所得控除の対象ですので、所得税・住民税が節税できます。

 

特に、フリーランスの場合は、掛金を月額68,000円まで払えますから、節税効果も大きいといえます。もちろん小規模企業共済との併用も可能です。また運用益も非課税で、受け取るときも「公的年金等控除」「退職所得控除」の対象ですので税制メリットがあります。

 

運用性があるため、ご自身で金融機関の商品を通して、資産を増やすこともできます。ただし、運用性があるということは、元本割れのリスクもある、ということになります。小規模企業共済と合わせて、うまく掛金のバランスをとって選択肢の一つとして活用いただければと思います。

 

いかがでしたか?フリーランスの場合は、まだまだ国の保障が手厚くない部分がありますが、しっかり理解して備えておけば、問題がないことばかりです。新しい一歩を歩むときの参考にしていただければ幸いです。

 

 

 

 

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