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FPコラム 2018.12.6

【FPコラム】事例から見る年金制度の基礎知識 〜老齢年金編〜

 

年金制度は、昔の制度と現在の制度とが複雑に混在するため、手続き一つとってもなかなか理解しにくいものになっています。

これは、現代社会の制度に適応させるために、新たな制度を導入するとともに、昔の制度から現在の制度に移行するための経過措置がどんどん積み重なっていることが大きな原因となっています。

こうした状況から、早めに備えておきたいと考える方が多いのですが、実際には、専門家や年金事務所等に相談したいのに、何をどう説明すればよいかが分からず悩む方が大勢います。

今回は、年金制度に関する、今さら聞けないような基本的な内容について、具体例を交えながら解説していきます。

老齢基礎年金の場合

 

(1) 昭和48年4月2日生まれ(現45歳)の個人事業主の女性の場合

【これまでの加入実績】

 ① 平成5年4月~平成7年3月 学生納付猶予特例期間
 ② 平成7年4月~平成15年3月 第2号被保険者期間
 ③ 平成20年4月~現在(平成30年11月) 第1号被保険者期間
 ④ 60歳に到達するまで継続して保険料を納付し続けるものとする。

 

Q1:この人は、老齢基礎年金の受給資格を有していますか?

A :この方の場合は、保険料納付済み期間が120月以上(第2号被保険者期間:96月+第1号被保険者保険料納付済み期間:127月=223月)であるため、老齢基礎年金の受給資格を有しています。

なお、老齢基礎年金の受給権の有無の判定については、65歳になった時点の現行法令が基準となるため、現行の規定(10年以上:120月以上)を満たしていれば問題ありません。

 

Q2:老齢基礎年金の年金額はいくら?

A :780,900円×[96月(上記②の期間)+128月(上記③の期間)+173月(上記④の期間)}÷480〕≒ 645,900円/年(100円未満四捨五入)

【間違えやすいポイント】
・学生納付猶予特例の期間については、追納をしない限り、受給資格の判定には考慮されますが、年金額の計算には含まれません。
・端数処理は、100円未満を四捨五入します。
・平成28年10月以降は、法改正によって保険料免除期間と保険料納付済み期間の合計が10年以上あれば受給資格が発生しますので、25年以上(平成28年9月まで)必要というわけではありません。

 

(2) 昭和39年6月4日生まれ(現54歳)の女性の場合(免除期間があるケース)

【これまでの加入実績】

 ① 昭和59年4月~昭和61年3月 任意加入(保険料の納付無し)
 ② 平成2年4月~平成6年3月 第2号被保険者期間
 ③ 平成8年4月~平成14年3月 第3号被保険者期間
 ④ 平成14年4月~平成18年3月 保険料1/4免除期間
 ⑤ 平成20年4月~平成26年3月 第1号被保険者期間

 

Q1:この人は、老齢基礎年金の受給資格を有していますか?

A :加入実績は、24月(①の期間)+48月(②の期間)+72月(③の期間)+48月×5/6(④の期間)+72月(⑤の期間)=256月 120月以上となるため、老齢基礎年金の受給資格の要件を満たしています。

 

Q2:老齢基礎年金の年金額はいくら?

A :780,900円×[48月(②の期間)+72月(③の期間)+48月×5/6(④の期間)+72月(⑤の期間)}÷480〕≒ 377,400円/年(100円未満四捨五入)

 

【間違えやすいポイント】

・昭和61年3月31日までの期間における「任意加入期間」は「合算対象期間」とされるため、受給資格の判定の計算上は含まれますが、年金の計算上は反映されません。
・保険料免除期間がある場合において、平成21年3月までの期間と平成21年4月以降の期間とでは、乗数が異なります。

(保険料免除期間における乗数について)
平成21年3月まではと平成21年4月以降の期間で、乗数が異なる理由は「国庫負担割合が1/3から1/2に変更されたため」です。つまり、免除されている部分について国が負担する割合が変化するため、実際の年金額に反映される割合が変化するということになります。

<具体的な乗数>

・平成21年3月までの乗数 ➡平成21年4月以降の乗数
・保険料1/4免除期間:5/6 ➡ 7/8
・保険料半額免除期間:2/3 ➡ 3/4
・保険料3/4免除期間:1/2 ➡ 5/8
・保険料全額免除期間:1/3 ➡ 1/2

 

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老齢厚生年金の場合

 

(1) 昭和46年6月1日生まれ(現47歳)の女性の場合

【加入実績】:平成3年4月~平成28年3月 第2号被保険者
【標準報酬月額】
 ・平成3年4月~平成15年3月まで 250,000円
 ・平成15年4月~平成28年3月まで 400,000円

 

Q1:この人は、老齢年金の受給資格を有していますか?

A : 厚生年金保険の被保険者期間が300月(25年)あるため、老齢基礎年金・老齢厚生年金(被保険者期間が1月以上あればよい)のいずれの受給資格を有しています。

 

Q2:老齢基礎年金の年金額はいくら?

A  :780,900円×300月/480月≒488,100円/年(100円未満四捨五入)

 

Q3:老齢厚生年金の年金額はいくら?

A :老齢厚生年金の年金額は以下の通りに計算していきます。

 ① 平成3年4月~平成15年3月までの期間
  250,000円×7.125/1,000×144月≒256,500円(100円未満四捨五入)
 ② 平成15年4月~平成28年3月までの期間
  400,000円×5.481/1,000×156月≒342,000円(100円未満四捨五入)
 ③ 老齢厚生年金の年金額
  ①の金額+②の金額=598,500円

【間違えやすいポイント】
・平成15年3月までと平成15年4月以降とでは、標準報酬月額として計算される対象が異なるため(平成15年3月までは、賞与等は計算には含まれないが、平成15年4月以降は、賞与等を含めた平均標準報酬月額をもって計算をしている)、分けて計算することが必要です。
・老齢基礎年金の計算は、厚生年金保険に加入している期間がそのまま保険料納付済み期間(第2号被保険者となる)となります。

 

Q4:この人がもらうことが出来る年金額の総額はいくら?

A :488,100円+598,500円=1,086,600円/年

 

(2) 昭和28年3月11日生まれ(現64歳)の女性の場合

【加入実績】
・昭和48年4月~平成30年3月 第2号被保険者

【標準報酬月額】
・昭和48年4月~平成15年3月まで 200,000円
・平成15年4月~平成30年3月まで 380,000円

 

Q1:この人は、老齢年金の受給資格を有していますか?

A  :厚生年金保険の被保険者期間が480月(40年)あるため、老齢基礎年金・老齢厚生年金(被保険者期間が1月以上あればよい)のいずれの受給資格を有しています。

 

Q2:老齢基礎年金の年金額はいくら?

A  :780,900円×480月/480月 = 780,900円/年

 

Q3:老齢厚生年金の年金額はいくら?

A : 老齢厚生年金の年金額は以下の通りに計算していきます。

 ① 昭和48年4月~平成15年3月までの期間
  200,000円×7.125/1,000×360月 = 513,000円(100円未満四捨五入)
 ② 平成15年4月~平成30年3月までの期間
  380,000円×5.481/1,000×180月 ≒ 374,900円(100円未満四捨五入)
 ③ 老齢厚生年金の年金額
  ①の金額+②の金額 = 887,900円/年

【間違えやすいポイント】
・老齢基礎年金の被保険者期間の上限は「480月」となるため、厚生年金保険の加入期間が40年超となる場合(480月を超える場合)であっても、満額である780,900円を超えることはありません。
・老齢厚生年金の計算については、平成15年3月までと4月以降の計算の違い以外は、加入期間に上限はないため、480月を超えた場合であっても、すべての期間が計算対象とされます。

Q4:この人がもらうことが出来る年金額の総額はいくら?

A :780,900円+887,900円 = 1,668,800円/年

 

 まとめ

 

老齢年金については、国民年金と厚生年金保険の場合とで、年金額の計算の方法や、受給資格の判定の際の取り扱い方などで違いがあります。

また、国民年金の場合であれば「カラ期間」の扱い方、厚生年金保険であれば、賃金等をもらいながら年金を受給する場合(これを「在職老齢年金」といいます。)など、まだまだ、想定しうるケースは多々あります。

今回は、一般的な年金の受給額をシュミレーションできるように、最低限度の内容を取り上げました。

今後、セカンドライフについて、「どのように資金計画を立てていくか」等を考えていく上で、これらの計算の方法は最低限押さえておいていただければ、大丈夫と考えられます。

記事・監修 岡崎 隆宏(社会保険労務士・CFP)

【過去記事はこちらから】

【FPコラム】老後に備えるために知っておきたい年金の基礎知識

 

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