固定資産税評価額という言葉を聞いたことはありませんか? 文字通り固定資産税の課税額の根拠となるものですが、固定資産税のほかにも、マイホームに関するさまざまな税金の計算に用いられます。

 

マイホームにかかる税のどれに固定資産税評価額が用いられるか把握済みですか? 固定資産税評価額の基礎知識と、評価額がどのような場面で用いられるのかについておさえておきましょう。

 

固定資産税評価額とは

土地建物についての各種税金計算の基礎になるのが固定資産税評価額です。固定資産の価値を示すものですが、公的に決まった算出方法があります。

 

土地の固定資産税評価額と建物の固定資産税評価額がある

私たちに身近な固定資産はマイホームですが、固定資産税やその他の税は、土地と建物を別々の不動産だと考えてそれぞれに課税されます。そのため土地と建物とは別々に固定資産税評価額があります。

 

どちらも3年に1度評価が見直されることになっています。2018年度は評価替えの年度でした。次回は2021年度ということになります。

 

ただし、地目の変換や、家屋の新築や増改築等があった場合、土地の合筆(2つ以上の土地を1筆の土地にする)や分筆(1つの土地を分筆する)があった場合には、翌年度にまた新しい価格が決定されるので注意が必要です。

 

土地の固定資産税評価額の算出方法

固定資産税の評価額は、総務大臣の定めた固定資産評価基準に基づいて市区町村長が決定します。

 

より細かくいえば、路線価方式と呼ばれる方法で決まります。宅地、農地などの土地の種類の区分を考慮し、その中で街路に接する標準的な土地の価格である路線価が設定されます。その路線価を基に、奥行や土地の形状、利用上の法的制限など個別の事情を汲んだ評価額が決まります。

 

土地の固定資産税評価額は、国土交通省が決定する公示価格の7割程度とすることになっています。

 

家屋の固定資産税評価額の算出方法

家屋の固定資産税評価額は、再建築価格と経年減点補正率で算定されます。

 

再建築価格とは、対象となる家屋を評価する時点で同じ場所に新築する場合に必要とされる建築費です。経年減点補正率とは家屋が建築後に経過した年数に応じて決まる価値の減少分を定めたものです。

 

再建築価格はどのような資材をどれだけ使用しているかで異なります(再建築費評点数と呼ばれるもので評価します)。経年減点補正率は、木造建物の場合1年経過することで0.80となり、下限は0.20となります。非木造建物の場合は、1年経過すると0.9579で下限は0.2000となります。(2018年度における基準年度の規定)

 

【参考】法務局「経年減価補正率表」

http://houmukyoku.moj.go.jp/otsu/content/001253793.pdf

家屋の固定資産税評価額については一概には言えませんが、建築費の5070%であることが一般的です。

 

固定資産税評価額に納得できない場合は不服申立てが可能

しっかりとした算出根拠があるとはいえ、固定資産税評価額は一方的に決められてしまうので、釈然としない思いをされることもあるかもしれません。調べてみても、問い合わせてみても、算出された固定資産税評価額に納得いかない場合には、不服を申し立てることができます。

 

今まで述べてきたように、固定資産税評価額の決まり方はとても技術性・専門性が高いものです。そのため、公平で納税者の信頼を得られるように、納税者の不服申し立ては市町村長ではなく、専門性を有する独立した中立的な機関が審査決定することになっています。

 

この専門的で中立的な第三者機関を固定資産評価審査委員会と呼びます。固定資産税評価額に納得できないときはここに審査を申し立てます。

 

固定資産税評価額を使う場面

固定資産税評価額は固定資産税を計算するためだけでなく、ほかの税金計算についても用いられます。固定資産に関する税の課税額は、固定資産税評価額にそれぞれの税率を掛けることで決まります。

 

固定資産税を算出する時に使う

固定資産税は、毎年11日時点で固定資産税課税台帳に記載されている所有者が、所在地の市町村に対して納付します(東京都にお住まいの方は東京都に納付します)。税率は、標準税率として1.4%と定められており、この場合の固定資産税の額は、「固定資産税評価額×1.4%」です。

 

標準税率はあくまで標準なので、市町村によっては1.4%よりも高かったり低かったりすることがあります。

 

都市計画税を算出する時に使う

市街化区域に土地と家屋を所有している方は、都市計画税を納付しなくてはなりません。都市計画税は都市計画事業の費用にあてるための目的税です。都市計画税の計算にも固定資産税評価額を用います。

 

固定資産税と同じく、毎年11日に固定資産課税台帳に登録されている人がその市町村に納付します。税率は制限税率として0.3%と決まっており、この場合の都市計画税の額は、「固定資産税評価額×0.3%」です。

 

制限税率なので0.3%が上限で、市町村によってはこれより低いこともあります。

 

不動産取得税を算出する時に使う

不動産を取得した時には一度だけ不動産取得税がかかります。これは市町村ではなく都道府県に納める税金ですが、やはり固定資産税評価額を使います。税率は標準税率として本則4%と定められています。この場合には、不動産取得税は「固定資産税評価額×4%」です。

 

2021331日まで税率には特例があります。住宅と土地の税率は3%となります。

 

不動産取得税には、税率ではなく固定資産税評価額から課税対象額(課税標準)を引き下げる特例がいくつかあります。購入する時には、ご自身が使える特例の有無について調べておきましょう。

 

登録免許税を算出する時に使う

不動産の登記をすると、登録免許税が課されます。地方税ではなく国税ですが、これにも固定資産税評価額を用います。この税率は本則0.4%で、この場合の登録免許税の税額は「固定資産税評価額×0.4%」です。

 

個人が自分の居住用に取得した住宅用家屋には、2020331日まで軽減税率の特例があり、0.15%となっています。床面積が50㎡以上であることや新築後1年以内に登記を受けることなど適用のための要件がいくつかあります。事前に確かめておきましょう。

 

固定資産税評価額の調べ方

固定資産税評価額は固定資産税計算以外にもさまざまに用いられる重要なものです。この固定資産税評価額はどうしたら調べられるのでしょうか。固定資産税評価額を知るにはいくつかの方法があります。

 

固定資産税の課税明細書で確認する

固定資産税の徴収にあたって、市町村長は納期限の10日前までに納税者に課税明細書を送付しなければならないことになっています。

 

毎年4月から6月にかけて、固定資産税の納付の通知書が市町村から送付されてきます。その通知書に同封されている課税明細書に、ご自身の所有する土地や家屋の固定資産税評価額が記載されています(別送の場合もあります)。

 

固定資産課税台帳で確認する

固定資産税には情報開示制度があり、固定資産税台帳を確認することができます。縦覧と閲覧とがあり、確認できる内容と時期が異なります。

 

縦覧する

時期は限られますが、納税者が同一市区町村内の他の土地・家屋の固定資産の価格を見て、ご自身の固定資産の評価が適正かどうか比較することができます。これを縦覧と呼びます。正確には固定資産税台帳ではなく、土地や家屋の縦覧帳簿を閲覧することになります。

 

縦覧が可能な時期は、毎年4月1日から、4月20日または当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間と決められています。納期限が市町村によって異なるため、縦覧の期間も異なっています。

 

縦覧の際には納税通知書や本人確認書類が必要とされます。手続きの時期や必要書類など市町村のウェブサイトで確認しておきましょう。

 

閲覧する

ご自身の土地や家屋の固定資産台帳は時期を問わず閲覧できます。ただし、納税者本人か借地・借家人など一定の立場の人に限られます。

 

本人確認書類が必要なほか、手数料がかかることもあります。具体的な手続きについてこれも市町村に事前に確認しておきましょう。

 

固定資産評価証明書を取得する

固定資産課税台帳に登録された事項のうち、その固定資産の評価額などを証明した書類を発行してもらうこともできます。これを固定資産評価証明書と呼びます。

 

固定資産評価証明書も請求できるのは納税者本人か借地・借家人など一定の立場の人です。窓口で申し込む際には本人確認書類が必要です。

 

市町村の担当部署に足を運ばなくても郵送での請求もできます。東京都の場合は、原則として都税の納税通知書送付先などへの郵送であれば本人確認書類などは不要とされていますが、市町村によっては必要なところもあります。ご自身の場合はどうかあらかじめ問い合わせておいた方が良いでしょう。

 

郵送の場合は、手数料や切手を貼った返信用封筒なども必要です。手続きの詳細は各市町村のウェブサイトで確認しておきましょう。

 

まとめ

マイホームを持つとなるとさまざまな税金がかかります。固定資産税評価額はこれらの税金の算出に用いられる重要な価格です。計算時に固定資産税評価額を用いるのは、購入時の不動産取得税、登録免許税、保有中に毎年払う固定資産税と都市計画税です(都市計画税は市街化区域のみ)。

 

固定資産税評価額は専門的な観点から市町村長が決定することになっていますが、情報公開の制度を利用してご自身の評価額を知ることができます。

 

課税明細書や評価証明書、台帳の閲覧でご自身のケースを知るだけでなく、ほかの固定資産と比較する機会もあります。納得がいかない場合には中立的な第三者機関に不服申し立てをすることもできます。

 

いかがでしたか。固定資産税評価額算定の仕組みを知ることは、自身が払うことになる不動産関連の税金の根拠を知ることにつながります。ここでしっかりと確認しておきましょう。

監修者:山﨑 貴史(ファイナンシャルプランナー)