アメリカの永住権は毎年抽選で5万人に与えられると知っていますか?移民分散化プログラム(Diversity Immigrants Visa Program)通称DVプログラムと呼ばれます。この抽選で永住権が取得できれば、アメリカンドリームが実現するかもしれません。

しかしながら、最も一般的な永住権は家族関係、例えば婚姻に基づく永住権だと言えます。筆者は後者である家族関係に基づく永住権の申請を行いました。ここではこの2つの永住権についてご紹介します。

 DVプログラムとは

その名の通り多様性を重んじるアメリカらしいシステムだと言えます。毎年、一定数以上の移民ビザを発給されていない国の方に割り当てる移民ビザです。

アメリカのビザは移民ビザ非移民ビザというように大きく2つに分けられます。移民ビザというのは、移民する意思を持つ人のためのもの、非移民ビザは就職のビザや観光ビザといったもので、いずれはアメリカを去るという前提で発給されるものです。

【参考】昨年のDVプログラムの資料【在日アメリカ大使館HP】:
https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/immigrant-visas-ja/diversity-visa-program-ja/

日本人は毎年定員割れ

日本からは一定数以上の移民を出していませんので、毎年応募できます。筆者の周りでも毎年応募している友人が数人います。実際に抽選に当選し、現在アメリカに住んでいる知人もいます。これは家族全員での応募もできますので、ご家族がいる場合は夫婦と子供の世帯全員で応募します。

応募の仕方、タイミング

毎年10月初旬に世界中で同時にスタートします。申請期間は1か月あるのでさほど焦らなくても大丈夫ですが、最終日にシステムエラーなどの不測の事態が起きてしまうかもしれないので、少し余裕を持たせて申請を始めましょう。昨年は10月3日から11月6日までが申請期間でした。

この申請には特別な費用は一切かかりません。インターネット環境と、多少の英語力があれば問題なく申請できます。

このエントリーは1人1回というルールがありますので、複数応募すると失格となります。

通常の永住権のような要件がない

抽選で選ばれるということから想像ができると思いますが、永住権申請の要件が特にありません。

例えば、アメリカで働けるビザを取得するには様々な要件(学歴、職歴、給与待遇、内定の有無など)を満たす必要がありますが、抽選での永住権にはそういったものがありません。

また、要件がないことにより、一般的な永住権の申請の手順よりも処理期間が短くなる傾向にあります。つまり、より簡単に、より早く永住権が取得できるのです。

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

家族関係に基づく永住権

 私の場合は、DVプログラムではなく、アメリカ人と結婚したので、婚姻関係に基づく永住権の申請を行いました。多くの日米国際結婚カップルは通常アメリカ国内からこの手続きを行います。しかし、私のように日本からでも不可能ではありません。

日本から申請するメリットとデメリット

◆日本から申請するメリット

通常通りの生活、例えば現状の仕事、子供の保育園などを変えることなく準備を始めることができます。永住権の申請処理期間は1年を超えますので、準備期間がしっかりとありました。

◆日本から申請するデメリット

アメリカ国内での申請が主流であるため、提出書類の中に提出が不可能なものがあり、混乱してしまいます。

例えば、アメリカでの納税の記録等は、日本でしか収入を得ていなかった私には入手することが出来ず、それに代わる書類を日本サイドで探す必要がありました。また、日本語の書類は全て英語に翻訳する必要があり、かなりの手間と時間がかかりました。

申請にかかる期間

私は2年弱かかりました。ちょうどアメリカの政権交代の時期と重なってしまい、それまでは処理期間の平均が1年だったのですが、その平均値を大きく超える時間がかかりました。

 時間のかかる書類は早めに手配をする

例えば、提出書類の中に、以前住んでいた国の警察証明書(半年以上居住歴のある国の無犯罪証明の提出義務あり)というものがあります。私は以前イギリスの語学留学をしていた経験があり、この証明書をイギリスから取り寄せる必要がありました。この取得には2か月弱かかりました。

Affidavit of Support(通称AOSと呼ばれる扶養の証明書)

これは、世帯の収入がアメリカの規定する貧困ラインを下回らないことを証明する書類です。例えば納税記録や収入の内容が分かる資料を用意します。

しかし、この「収入」という定義は、アメリカ国内における収入を意味します。従って、私たち家族のように日本での給与しかない場合は収入が0とみなされます。

それを補足する書類として銀行の残高証明書やその他資産の証明をすることで良いとされますが、その場合は日本円で900万円程度の資産を所有している必要があると領事館から言われ、暗澹たる気持ちになりました。

アメリカにいる夫の家族からの扶養証明を取得

私たちは、900万円もの資産はありませんでした。自分たちだけでは立証書類が足りなかったため、夫の家族に扶養の証明を出してもらえるように頼みました。アメリカに住んでいるアメリカ人から扶養の証明をしてもらう場合は、900万円という要件はなく、平均的な収入があれば問題ありません。

そこで、私達は義父の納税証明や出生証明を取り寄せてもらい、全て日本に送ってもらいました。アメリカ西海岸から日本への国際郵便は、1番早いものでも1週間はかかりました。

申請にかかる費用

申請費用、交通費、郵便、健康診断等全ての合計で30万円ほどかかりました。

 翻訳はすべて自分で頑張る

ビザ申請の提出書類というのは、内容自体は決して難しいものではありませんでした。しかしながら、日本で発行される書類を全て英語に翻訳する作業が膨大で、これを外注できたらどれだけ楽になるか、と考えました。

しかし、そういう翻訳業者に依頼すると、通常A4サイズ1枚5,000円というような費用が発生してしまいます。戸籍や納税記録に関する翻訳のサンプルはインターネットで無料のテンプレートがたくさんあります。そういったものを活用して、費用を抑えました。

 東京在住だと交通費や宿泊費がかからない

アメリカ永住権に関するビザの最終面接は東京の大使館でのみ行われていました。また、ビザのための特別な健康診断は日本国内の限られた病院でしか受けられません。そして全て自費なので完全自己負担です。これは、東京在住者には有利です。

私は福岡在住でしたので、健康診断の病院は神戸、面接は東京というように交通費がかかりました。日帰りで十分でしたが、面接の予約が朝早くに指定されてしまうと前日から東京に泊まらなければならないということもあります。

まとめ

ビザの申請期間中は様々な書類仕事に追われてストレスが溜まりました。また、移民局やビザセンターからの連絡というのもいつ来るのか全く分からずやきもきして過ごしました。振り返ってみると、初めから2年はかかると分かっていれば、もうちょっと楽になれたのでは?と思います。1日でも早くこの書類作業を終わらせたいという気持ちで焦ってばかりでした。

アメリカに住んで、日々感じていますが、アメリカの役所は日本のようにはいきません。担当者に質問をしたくても電話番号は無いのです。メールで質問をしても、返答は10日後なんていうことは普通にあります。もちろん全部英語です。そんなカルチャーショックを受けながら、英語のスキルアップの必要性を感じ、良い経験ができたと思います。

まるでこれからアメリカで住むための予行練習のようでした。今は日本の役所やあちこちで受けたカスタマーサービスの素晴らしさを懐かしんでいます。