2021年に入り、株式市場はアフターコロナの見越した展開になっています。その影響もあって日経平均株価は3万円を付ける日が出てきたのです。株価の上昇は個人投資家にも嬉しい話ですが、「株を売った方が良いのでは?」という悩みが出てきます。

ところで健全な資産運用の手法として「リバランス」と呼ばれるものがあることをご存じでしょうか。リバランスの考え方を使えば、株価の変動に振り回されずに、マイペースで株式の売買ができるのです。

そこでこの記事では株価上昇によるリスクと、リバランスの原則について解説します。さらに個人投資家に向けておすすめのリバランス法を紹介します。

 

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株価が上昇しても売り時が分からない

投資した企業の株価が上昇すると心地よいものです。しかしいざ株式を売却しようとしても迷いが出てきます。なぜなら株価が上昇しているときは、株価がさらに上昇することを期待してしまうからです。おそらく多くの人は「景気が良いからまだ株価は上がるのでは?」とか「良い企業だから今売るなんてもったいない」と考えてしまいます。

株式は株価の変動が大きいことが最大のリスク

一方で株式は株価が大きく変動することを想定しなければいけません。株価の上昇が広く知られているときは、経済の見通しが楽観的になり、実態以上の株価になっているのです。そのため、先行きに不透明感が出てくると株価は一気に下落してしまいます。例えばコロナ・ショックでは将来への不安感が株価を大きく押し下げてしまったのです。

長期投資でも目標達成直前に株価が暴落する可能性

例えば10年後に1,000万円を作る計画だったところが、株価の思わぬ上昇で早く達成したとします。このような場合、株式の売却を先に延ばすと、株価が低迷し1,000万円を下回る可能性があるのです。

リバランスとは株価とは一線を画した資産管理手法

リバランスとは、ここまで解説した株式投資のリスクを抑える資産運用の考え方です。リバランスでは自分が管理する資産のうち、株式や債券に投資する比率を決めます。そして比率の変動に応じて、株式や債券を売買するのです。

日本の年金も定期的なリバランスを行っている

リバランスは機関投資家の間では、一般的に行われています。例えばGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)では、2020年4月から5年間、4種類の資産をそれぞれ25%前後で運用することを決めています。

【GPIFの基本ポートフォリオ】

※年金積立金管理運用独立行政法人公式サイトより引用

GPIFではこのルールに基づいて、定期的に資産の比率をチェックし、乖離許容幅を超えないようにリバランスを行うとしています。

リバランスの方法①:資産の配分比率を決める

では実際のリバランスはどのように行えば良いのでしょうか。リバランスを行うには、はじめに資産の配分比率を決めなければなりません。しかしどの程度の配分比率が適当なのかは、年齢や職業、家族の状況によっても変わるのです。一般的には以下条件に合わせた配分比率が推奨されています。

 

年齢:若い人ほど株式に高い比重をかけられる

職業:収入の安定した職業ほど株式を高い比重にできる

家族:収入の大黒柱の場合、株式への比重を低くする

 

このように、ご自身の置かれている環境に合わせて、比率を決めるべきです。また、年がたつにつれて、これら条件は変わっていきます。したがって環境の変化に合わせて配分比率を変えることをお勧めします。

リバランスの方法②:資産の配分比率を定期的にチェックする

次に決めた配分比率で投資したあと、各資産の時価がどの程度変化したかをチェックしてください。これも個人の場合、頻繁にする必要はありません。年の初めや、誕生日、もしくは投資を開始した日など年1回程度のチェックでも十分です。また株式市場が急激に変化したときなど、配分比率の変化が明らかなときは、臨時のチェックを入れることもお勧めします。

リバランスの方法③:比率の高くなった資産を売却し、低くなった資産を増やす

ではチェックの結果、配分比率が大きく変わっていたとき、どうすれば良いのでしょうか。これには2つの方法があります。1つ目は比率が大きくなった資産を売却し、比率の低くなった資産に変える方法です。

これによって比率の高くなった資産の利益を確定できます。さらに、比率の低くなった資産は比較的割安になっているので、効率よく投資ができるのです。

例えば、上記の図では200万円の資金で資産運用を開始し、債券と株式に50%ずつ投資する方針をとったとします。そして株価の上昇で比率が偏ったとき、超えた金額分の株式を売却し債券を購入したのです。これによって比率を設定通りに戻すことができます。

リバランスの方法④:資金を投入して、比率の低くなった資産を買い足しする

もう1つの方法は、投資資金を追加できる余裕がある人向けです。それは新たな投資資金は、比率の低くなった資産に集中させるという方法です。例えば比率が高いからと、株式を無理に売却すると、長期的な恩恵を受けられないリスクがあります。したがって追加資金が用意できるのであれば、割安な資産を買い足した方が効率的に資産を増やすことができのです。

例えばこの図では、先ほどと同じように200万円で運用を開始しています。しかし株価の下落で比率に偏りが出たのです。そして株式に25万円追加投資することで、リバランスを取っています。

リバランスのメリットはリスクを抑えた資産運用

このようにリバランスとは、自分の資産運用方針を決めることで、リスクを抑えて運用ができるメリットがあります。株式投資で最も避けたいことは、株価の変動に振り回されて売買をくり返すことです。リバランスは自分の資産と向き合う投資手法なので、マイペースに運用することができます。

リバランスのデメリットは手数料や税金

一方でリバランスにもデメリットがあります。それは、取引に対して払わされる費用です。株式の取引では証券会社に手数料を支払います。またリバランスでは売却時に、利益が出ることがほとんどです。そのため売却時に税金が差し引かれ、利益が減ってしまいます。したがって個人投資家はリバランスを頻繁に行わない方がデメリットを小さくできるのです。

個別株投資では株主の権利を放棄することに

また個別株投資の場合、リバランスだからといって株式を売却することを迷うかも知れません。例えば売却すれば、株主優待の権利が無くなります。それ以外でも様々な思い入れを持って投資されていれば、機械的に売却することに拒否的になるものです。

個人投資家はゆとりを持ったリバランスがおすすめ

では個別株に投資されている個人投資家は、どのようなリバランスが最適なのでしょうか。ここで筆者からいくつかのリバランス法を提案しますいずれもリバランスの基本的な考え方を外さず、かつ楽しく株式投資を続けられる方法です。

個人投資家は比率変動への許容幅を大きくとっても良い

はじめにお勧めするリバランス法は、株価の変動に対して許容範囲を広げることです。例えばGPIFのように10%前後の変動でリバランスすると、個人投資家にとって手間がかかります。しかし比率変動に対して許容率を広げれば、余裕を持ってリバランスすることができるのです。

この考え方は古い書籍でも推奨されています。ウォーレン・バフェットの恩師で、バリュー投資の父と呼ばれているベンジャミン・グレアムは自身の著書で、以下のようなリバランスを提案しています。

この見解に対して著者は、本来は債券と株式の比率は半分ずつが理想だとしています。しかし個人投資家ごとに、自分の指向や環境に合わせて比率に幅を持たせることが現実的だとしているのです。

リバランスを想定した「2単元投資」

次におすすめする方法は、あらかじめ1つの銘柄に対して2単元以上の株式を買っておくことです。2単元以上投資しておけば、いざリバランスをするときでも1単元だけ売却する選択肢が生まれます。これによって株主としての権利を残したまま、リバランスできるのです。また株式を長期保有していれば、株式分割されていることがあります。株式分割された銘柄であればリバランス目的で売却することも容易です。

できるだけ追加投資できる資金を確保する

そして最後にお勧めできるリバランス法は「投資を続ける」ことです。ここでいう投資を続けるとは、常に株式を買い続けることではありません。株式投資できる資金を積立ながら、株式の比率が高くなったときは、投資資金としてプールしておくのです。この方法は自動的に、株式以外の資産への比率を高めていることになります。

証券会社によっては口座の現金を債券で運用してもらえる

株式を買わずに現金(普通預金など)でプールすると、利回りが低くなるというデメリットがあります。また個人向け国債などは、満期が来る前に引出すと手数料を取られることがあります。ところが証券会社によっては、証券口座を開設し現金を預けると、その資金で債券などに投資してくれるのです。※この仕組をMRF(マネーリザーブファンド)と呼びます

他にも証券口座と提携銀行の口座と連携することで、高い利回りで預金ができる証券会社もあります。したがって個人投資家は、証券口座に現金をプールするだけで債券の比率を高めることができるのです。

リバランスの考え方を身につけて株式市場に翻弄されない投資家になろう

このようにリバランスを活用し、自分なりのリバランスルールを決めることで、気分や直感に頼る投資を防いでくれます。また個人投資家であっても証券口座を活用すれば、十分なリバランスが可能です。株価が上昇している今だからこそ、改めて運用方針を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください

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