資産形成や投資という言葉の注目度は日に日に増しています。

「NISA」や「iDeCo」という言葉もだいぶ普及しており、これから始めてみようかと検討している方も多いようです。

投資を始める際に最初に決めないといけないのが証券口座ですが、近年は手数料が安くアプリも使いやすく気軽に投資ができると定評がある「ネット証券」が人気です。

この記事では、ネット証券の中でも特に人気の高い「楽天証券」と「SBI証券」の特徴比較や使い分けるポイントについて解説します。

楽天証券とSBI証券のどちらで口座開設をしようか迷っている方は参考にしてください。

\ 人気FP講師による『無料』オンラインセミナー!日程を確認する /

SBI証券と楽天証券の比較

SBI証券と楽天証券の比較

投資を行う上で注目したい以下の項目について、SBI証券、楽天証券をそれぞれ比較していきましょう。

  • 取引手数料
  • 取扱商品・銘柄数
  • ポイント投資
  • クレカ積立
  • IPO投資
  • 専用アプリ・取引ツール
  • 直近の動向

手数料はSBI証券がわずかに安い

まずは取引の際の手数料を比較します。

以下は、国内株式を売買するときの手数料をプランごとにまとめた表です。

約定ごとに手数料が発生するプランの比較

約定代金 SBI証券 楽天証券
10万円 99円 99円
50万円 275円 275円
100万円 535円 535円
300万円 1,013円 1,013円
1,000万円 1,013円 1,013円

1回の取引金額に応じて都度手数料が発生するプランでは、証券会社の違いによる手数料の差はありません。

続いて1日の合計金額で手数料が決まる定額プランを比べてみます。

定額手数料プランの比較

約定代金 SBI証券 楽天証券
10万円 0円 0円
50万円 0円 0円
100万円 0円 0円
200万円 1,238円 2,200円
300万円 1,691円 3,300円
以降100万円増加ごとに +295円 +1,100円

100万円まではどちらも手数料無料で取引可能ですが、100万円を超える金額の取引を行う場合は、SBI証券の方が割安な手数料体系となっています。

取引金額が増えるほどその差が拡大するため、1日に何度も取引を行う人はSBI証券の方が適している場合があります。

取扱銘柄数はほとんど同じ

続いて、各証券会社の取扱商品や銘柄数について確認していきます。

比較項目 SBI証券 楽天証券
取扱商品 国内株式、外国株式、投資信託、債券(国内・外国)、FX、先物・オプション、CFD(くりっく株365)、金・銀・プラチナ、保険 国内株式、外国株式・海外ETF、投資信託、楽ラップ、債券(国内・外国)、先物・オプション、FX、CFD、バイナリーオプション、外国為替、金・プラチナ
投資信託取扱本数 2,680本(2022年2月21日現在) 2,660本(2022年3月7日現在)
外国株式取扱国数 9ヵ国(米国、中国、韓国、ロシア、ベトナム、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア) 6ヵ国(米国、中国、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)

取扱商品の種類にあまり差はありません。

投資信託の取扱銘柄数もほとんど同じ程度なので、商品のラインナップについて大きな差はないといえるでしょう。

ただし、外国株式の取扱い数はSBI証券の方が豊富です。

新興国株式への投資に興味がある場合は、SBI証券の方が適しているかもしれません。

ポイント投資は楽天証券がわかりやすい

SBI証券、楽天証券のいずれもポイント投資に対応している証券会社です。

投資を通じてポイントを貯めたり、貯まったポイントを利用して投資ができたりします。

ポイント投資の詳細は証券会社によって異なるので、違いを比べてみましょう。

比較項目 SBI証券 楽天証券
利用可能ポイント Tポイント、Pontaポイント、dポイント 楽天ポイント
ポイントが貯まる商品 国内株式の購入、国内株式の入庫、投資信託の購入、投資信託の保有、金銀プラチナの購入、新規口座開設、紹介 株式取引(超割)、投信積立、投信残高、紹介、楽天銀行との連携
ポイント投資ができる商品 投資信託 投資信託、国内株式(現物)、米国株式(円貨決済)、バイナリーオプション
還元率 【国内株式の現物取引(スタンダードプラン)および現物PTS取引】月間合計手数料の1.1%相当【投資信託】三井住友カード決済で投信積立金額の最大2.0% 【国内株式(超割コース)】手数料の1%〜2%【投資信託】楽天カード決済で投信積立金額の1%還元

SBI証券では、Tポイント、Pontaポイント、dポイントの中から好きなポイントを選んで貯めることが可能です。

ポイントを貯められる商品・サービスの種類は多いものの、ポイントを利用できるのは投資信託の金額指定の買付のみと使い道が限られています。

一方、楽天証券は楽天ポイントに絞ってポイントを貯めることができ、投資信託や国内株式、外国株式など幅広い商品の購入にポイントを利用できます。

ポイント投資において使い勝手が良いのは楽天証券だといえるでしょう。

クレカ積立は今後を見据えるとSBI証券

比較対象 SBI証券 楽天証券
利用カード 三井住友カードNL 楽天カード
還元率 0.5%〜2%
※カードの種類によって異なる
最大1%

クレジットカードでの積立投資はSBI証券の方がおすすめです。

SBI証券では、三井住友カードを使った投資で最大2%のVポイントが付与されます。

楽天証券の場合は、楽天カードでの投信積立で1%の楽天ポイントが貯まりますが、2022年9月以降は一部の銘柄のポイント還元率引き下げが決定されました。

投資信託の保有残高に応じてポイントが貯まる投信マイレージというポイントプログラムもあるため、今後も積極的にクレカ積立を行う場合はSBI証券が良いでしょう。

IPO取扱数はSBI証券が優勢

IPOの引き受け実績や、配分方法の違いについても確認しておきましょう。

IPO引き受け実績

年度 SBI証券 楽天証券
2021年 122社 74社
2020年 85社 38社
2019年 84社 26社

IPOの配分方法

SBI証券 ・抽選60%
・IPOチャレンジポイント30%
・独自基準での配分10%
楽天証券 抽選100%

IPOの引き受け実績で選ぶならSBI証券がおすすめです。

SBI証券と楽天証券の実績を比較すると、圧倒的にSBI証券の引き受け数の方が多いです。

さらにSBI証券は、「IPOチャレンジポイント」という、IPOの抽選に外れた回数に応じてポイントが加算されるプログラムを実施しています。

配分時にはIPOチャレンジポイントの当選枠を設けているため、何度もIPOに申し込んでポイントを貯めることで狙ったIPOに当選しやすくなるでしょう。

楽天証券の場合は、一律で100%抽選になっています。

完全に平等な抽選を希望する場合は、楽天証券の方が向いている場合があります。

アプリは楽天証券が使いやすい

アプリの使い勝手を重視するのであれば、楽天証券に軍配が上がるでしょう。

SBI証券は、国内株式と外国株式で対応アプリが別々に用意されています。

一方、楽天証券の場合は一つのアプリで一元管理ができるため、国内株式・外国株式の両方に投資を行いたい方にとって便利です。

加えて、直感的な操作のしやすさやチャートの見やすさというデザイン性の観点でも、楽天証券の方が高い評価を得ています。

改悪が続く楽天証券の動向は要チェック

楽天証券では、このところポイント関連のプログラムの見直しが進められています。

2021年12月に、投信残高に応じたポイントの付与条件を「一定の残高を保有している場合」から「一定の残高を初めて達成した場合」に変更すると発表しました。

また、2022年2月にはクレカ積立で付与される楽天ポイントの還元率も実質引き下げることを発表しています。

信託報酬が0.4%以上の商品であればポイント還元率はそのまま、楽天キャッシュを利用すれば還元率が上がるなどの例外はありますが、多くのユーザには「改悪」と捉えられており、乗り換えを検討し始めるユーザーも出てきているほどです。

実際、この楽天証券の改悪を好機と捉えた競合他社は、ユーザーを引き込もうと投信乗り換えキャンペーン実施を積極的に実施しています。

例えばSBI証券では、投資信託の引越(入庫)と取引で最大100,000ポイントがもらえるキャンペーンや、移管元の証券会社で支払った出庫手数料を全額キャッシュバックするキャンペーンを始めました。

楽天証券の今後の施策と、それに応じた競合他社の新たな取り組みはしっかりチェックしていきましょう。

SBI証券の特徴

SBI証券の特徴

出典:SBI証券公式ホームページ

SBI証券はSBIホールディングスのグループ企業です。

口座開設数が600万を超えるネット証券口座開設数No.1の証券会社となっています。

SBI証券の詳細はこちら

手数料が安い

取引を頻繁に行う投資家にとって、取引手数料の安さは重要なポイントです。

SBI証券は業界最安水準の取引手数料となっており、取引コストを抑えたいという方にはぴったりでしょう。

特に定額手数料プランでは、1日に100万円までの取引であれば何度取引しても取引手数料は無料となります。

100万円を超えた部分についても、他社に比べるとかなり割安な水準の手数料となっているため、安心して取引ができるでしょう。

加えて2021年12月からは、25歳以下であれば国内株式の取引手数料が完全無料となりました。

若い世代の方が投資を始める場合にも、おすすめの証券会社だといえます。

出典:SBI証券「25歳以下現物手数料0円プログラム」

IPO取扱件数が多い

SBI証券の特徴として、IPOの引き受け実績が多いという点も挙げられます。

2021年の国内のIPO件数は全部で125件でしたが、SBI証券の引き受け件数は122件と、ほとんどのIPOに関わっていることがわかります。

取扱銘柄の数が多いため、取引できるチャンスが広がるという点が大きなメリットです。

独自のIPOチャレンジポイントというポイントプログラムも導入しており、何度もSBI証券でIPOを申し込めば当選しやすくなるという点も、投資家にとっては魅力的でしょう。

出典:株式会社帝国データバンク「2021年の新規上場社数は14年ぶりに100社超え!AI・DX 関連などテック企業がけん引」

外国株式の種類が多い

外国株の種類が多いのもSBI証券の特徴の一つです。主要ネット証券会社の中で、最も多い9カ国の外国株を取り扱っています。

  • 米国株式
  • 中国株式
  • 韓国株式
  • ロシア株式
  • ベトナム株式
  • シンガポール株式
  • タイ株式
  • マレーシア株式
  • インドネシア株式

楽天証券が取り扱う外国株は以下、6カ国です。

  • 米国株式
  • 中国株式
  • 韓国株式
  • タイ株式
  • マレーシア株式
  • インドネシア株式

SBI証券は取扱国が多いため、外国株式投資をしたい方は複数カ国選ぶことによりリスクが分散ができます。

三井住友カードでクレカ積み立てが可能

SBI証券では、三井住友カードのクレカ決済で投信積立を行うことが可能です。

購入したい銘柄と購入金額の設定をしておけば、あとは自動で投信積立が行われるため、入金の手間を省いて投資ができます。

クレカ積立では三井住友カードのポイントであるVポイントが貯まります。

一般カードでは0.5%のポイント還元率ですが、ゴールドカードでは1%、プラチナカードでは2%という高水準に設定されていることも特徴です。

楽天証券の特徴

楽天証券の特徴

出典:楽天証券公式ホームページ

楽天証券は楽天グループが提供するネット証券会社です。

楽天サービスの利用者や投資初心者でも使いやすいサイト・アプリデザインが特徴となっています。

楽天証券の詳細はこちら

楽天ポイントで投資できる

楽天証券では、楽天市場での買い物や楽天トラベルでの旅行などで貯まる「楽天ポイント」を投資に利用できます。

楽天グループのサービスをよく利用するという人は、貯まった楽天ポイントを利用すれば現金を使わずに投資を始めることも可能です。

さらに、楽天ポイントでのポイント投資を利用すれば、楽天市場の買い物で貯まるポイントが+1倍となるというメリットもあります。

米国株式と国内株式をアプリで取引できる

楽天証券では、スマホでの取引向けに「iSPEED」という取引アプリを提供しています。

このアプリでは、国内株式・米国株式の両方に対応しているため、このアプリ一つでさまざまな銘柄の情報閲覧や注文、保有資産の管理が可能です。

銘柄の情報だけではなく、マーケットに関するニュースや各種指数の情報なども簡単に確認できるため、スマホアプリで手軽に投資を始めたいという方にもおすすめです。

株用アプリ「iSPEED」の詳細はこちら

楽天カードでクレカ積み立てが可能

楽天カードのクレジットカード決済で投資信託を購入すると、楽天ポイントが付与されます。

ポイント付与率は最大1%で、毎月の積立上限額は5万円です。

楽天カードで投資信託を購入すると最大500ポイントが付与され、SPUも+1倍になるためポイントが貯めやすくなります。

クレジットカード決済での積み立ては、積立NISAでも利用できます。

33,333円分を積立NISAで使用し、残り16,667円を特定口座で使用して500ポイントを獲得するという方も少なくありません。

楽天証券とSBI証券はどっちがおすすめ?

SBI証券と楽天証券の画像

これまで楽天証券とSBI証券の特徴や比較ポイントについてご紹介してきましたが、目的やニーズによっておすすめする証券会社が異なります。

自分が求めているサービス内容や資産形成の方法に合う証券会社を選びましょう。

SBI証券がおすすめな人

  • 国内最大手のネット証券を使い方
  • 外国株式の取引を積極的に行いたい方
  • IPO投資をしたい方

SBI証券の主な特徴は、手数料の安さやIPOの取り扱い実績が豊富な点です。

とにかく取引コストを抑えたい、という人や、IPO投資に注力したいという方に向いているでしょう。

25歳以下であれば、国内株式現物手数料が0円となっているため、若い世代の資産形成にも適しています。

SBI証券の詳細はこちら

楽天証券がおすすめな人

  • 楽天サービスをよく利用する人
  • 楽天ポイントでも投資をしたい方
  • 楽天市場のSPUをアップさせたい方

楽天証券は、楽天経済圏を活用したい・既に活用している人に向いているでしょう。

楽天市場や楽天カードなど、楽天グループが提供するサービスを頻繁に利用する方は、楽天証券の利用でさらにポイントが貯まりやすくなるメリットを享受できます。

楽天ポイントは使い道が豊富なので、貯まった楽天ポイントで投資をしたいという方におすすめです。

楽天証券の詳細はこちら

両方を使い分けるのもおすすめ

SBI証券、楽天証券の両社とも、利用者にとってのさまざまなメリットがあり、どちらを利用してもほとんどの場合で不便に感じることはありません。

ただ、細かく見るとそれぞれに特徴があるため、利用する目的によっておすすめの証券会社が異なることもあります。

投資目的や投資する商品に応じて、両社を使い分けるのが良いでしょう。

まとめ:SBI証券と楽天証券は両社での口座開設がおすすめ

SBI証券と楽天証券は両社での口座開設がおすすめ

証券口座は、複数の証券会社で開設することができます。

口座の開設や維持にコストはかからないため、利用したいサービスや投資商品に応じて証券会社を使い分ける投資家も多いです。

どちらで取引すべきか迷う場合は、両社の口座を併せ持つのがおすすめです。

それぞれの証券会社のメリットを把握しておけば、より効率良く資産形成を行えるでしょう。

\ 人気FP講師による『無料』オンラインセミナー!日程を確認する /

NISA/積立NISAの関連記事
積立NISAとは 積立NISAのデメリット
NISAと積立NISA比較 積立NISAの始め方
新NISAとは 一般NISAはいつまで?
NISAとiDeCoどっち? 20年後の出口戦略
積立NISAおすすめ銘柄 口座変更の手順
「毎日」と「毎月」積立 一括購入のやり方
ジュニアNISAどうなる? ロールオーバーとは
iDeCo(イデコ)の関連記事
iDeCoとは 2022年からのiDeCo
iDeCoおすすめ銘柄 おすすめ証券会社
イデコのデメリット 年末調整時の還付金
SBI証券での始め方 2022年から掛金変更
掛金の平均額と目安