【FPコラム】アメリカの利上げは良いこと?悪いこと?知っておきたい金利と為替の豆知識

こんにちは。
東京都内でワンルームマンション投資をしている、個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの川井えりかです。
2018年9月末、
アメリカが今年3回目の利上げを発表し、
政策金利は2008年以来10年ぶりに2%を超えました。
これは、リーマンショック前の水準です。
利上げの発表直後、
為替レートは円安ドル高となり、
日本円は今年最安値の1米ドル=114円台まで下落しました。
金利と為替には密接な関係があります。
さらに、アメリカの株価指数も(NYダウ)過去最高値を更新しました。
金利が上がり、株価も高い。
アメリカはまさに今好景気です。
アメリカの高金利や株高は、日本に住む私たちにとっては良いことなのでしょうか?悪いことなのでしょうか?
米ドル資産に投資するポイントをご紹介します。
目次
アメリカが利上げをすると円安ドル高になるのはなぜ?
今回に限らず、
アメリカの利上げ発表後は為替レートが円安ドル高になるケースがほとんどで、
これには理由があります。
まず、為替レートは2つの国の通貨を比較してどちらかの通貨が高くなると、
相対的にもう一方は低くなる。
反対に、どちらかの通貨が安くなると、相対的にもう一方が高くなる。
というしくみです。
当然のことなのであまり意識することはないですが、
「円安ドル安」や、「円高ドル高」という言葉はニュースや新聞ではまず見ないですね。
つまり、「円安ドル高」というアメリカの利上げ後に起こった現象は、「円が安くなった」または、「ドルが高くなった」のどちらかが原因になっています。
教科書どおりの投資のルールだと、金利が上がるとその国の通貨は高くなります。
今回の利上げに当てはめると、アメリカの金利が上がったので米ドルが高くなる。
そのため相対的に日本円が安くなっています。
なぜ、金利が上がると通貨は高くなるのでしょうか?
身近な例を挙げてみます。
あなたはA銀行とB銀行の2つの口座を持っています。
どちらも都市銀行で信用度は同じレベルです。
A銀行の定期預金の金利が0%
B銀行の定期預金の金利が2%でした。
今、手元に現金100万円があってこれを貯金する場合、
A銀行とB銀行、どちらの定期預金を選びますか?
おそらく「金利が高いから利息がたくさんついて魅力的」という理由でB銀行を選択する人が殆どではないでしょうか。
もしかすると、手元の現金100万円だけでなく、すでにA銀行に預けているお金も引き出ししてすべてB銀行に預ける。なんて人もいるかもしれません。
このようにお金は金利の低いところから高いところに向かって流れます。
これは異なる通貨間の場合も同じです。
A銀行は日本、B銀行はアメリカの現在の政策金利です。
(正確には、日本の政策金利は0%未満の【マイナス金利】です)
B銀行にお金を預けたいと思った人と同じように、
世界中の投資家は、より金利の高い国の通貨を持ちたいと思います。
そのため、手元に日本円のような金利の低い通貨があれば、
それを売って米ドルのような金利の高い通貨を買います。
米ドルにお金が集まり始めると、
1ドル110円だったものが111円、112円・・・と価値が上がり、
米ドルが高く、相対的に日本円が安い、
「円安ドル高」に為替レートは動きます。
これが、アメリカの利上げで円安ドル高になる理由です。
ちなみにアメリカの利上げは、2018年10月時点で
2018年中にあと1回、
2019年には3回、
2020年には1回を予定しています。
利上げが予定通りに進行するか、
回数に変更があるかでも為替は敏感に動きます。
米ドル資産を持っている人は、
利上げに関するニュースをチェックすることをおすすめします。
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利上げは好景気の証
ところでアメリカはなぜ利上げをしているのでしょうか?
日本はなぜ金利がマイナスになるまで利下げをしているのでしょうか?
ヒントは景気にあります。
利上げは別名「金融引き締め」、利下げは「金融緩和」といいます。
利上げはお金の流れを悪くするために実施するものです。
金利が上がるのは、投資をする時には魅力的ですが、
お金を調達する(=借りる)時には不利です。
そのため、金利が上がると企業が資金調達をする機会が減り、個人は住宅ローンを組んで家を買う機会が減ります。
結果、お金の流れが悪くなり消費が頭打ちになります。
これは、
「もう十分に景気が良いので、これ以上加熱してバブルになることを防ぐ」
ための政策です。
つまり、利上げは好景気のサインなのです。
その証拠に、株価指数(NYダウ)は過去最高値を更新し続けています。(2010年10月5日時点)
それと比較すると、利下げを続け政策金利がマイナスになった日本は、アメリカと逆のポジションにいることがわかります。
金利を下げれば企業がたくさん資金調達をして、そのお金を採用に使えば雇用が増えるし、設備投資に使えば売上アップが見込めます。
個人は低金利を生かして住宅ローンを組んで家を買う機会が増えます。
こうして企業の業績をあげるきっかけや、個人が大きな消費をするきっかけを意図的に作っているのです。
マイナス金利は、
「景気を良くしたいので、金利を下げてお金を回りやすくする(=借りやすくする)」ための政策です。
株価指数(日経平均株価)は米国とは異なり、
過去最高値は1989年の38,915円、
アベノミクスで回復しつつある現在の日経平均株価は約24,000円です。(2018年9月末時点)
金利が上がるのは、現状が好景気のサイン、
金利が下がるのは、これから好景気にしたいときのサイン
と覚えておくとわかりやすいです。
株が上がる前に投資したかった!そんな時は債券に投資をしてみては?
よくこんなお声を聞きます。
「アメリカの株に投資したいけれど、どんどん高くなるので買うタイミングがない。もっと早く買っておけばよかった!」
こればかりは、先のことを正確に予測できないため、
いつがその「タイミング」なのかは、
将来振り返ってみないとわかりません。
そのため株式投資は投資信託を活用して積立をするのがタイミングに左右されない失敗の少ない投資法です。
すでに積立で株式投資をしていて、
もっとアメリカの好景気の恩恵を受けたい!
という方は、米ドルの債券に投資する方法もあります。
アメリカの利上げに伴い、米国10年国債の利回りは3%を超え、2011年以来の水準です。
債券は株式と異なり、(利回りの)高いときに買う方が有利です。
例えば、主に米国10年国債で運用する米ドル建ての生命保険などは、
利上げに伴い今後利率が上がる可能性が高いです。
債券のメリットは、例えば10年国債であれば満期までの10年間、
金利が固定されるので、高金利のときに購入するとその恩恵を満期まで受けることができます。
また、満期前に解約や売却をする場合も、
金利の高い債券や保険は価値が高いので、購入価格より高く売却できる可能性もあります。
高い利息が付いて、しかも高い価格で売却できれば、大成功の投資になりますね。
覚えておきたい!「景気」「金利」「為替」の関係性
最後に、投資をする上で知っておきたい「景気」「金利」「為替」の基本的な
関係性をまとめます。
「好景気」の場合
バブル経済にならないよう、「利上げ」をして金融引き締めをします。
結果、金利の高い通貨にお金が集まり「通貨が高く」なります。
「不景気」の場合
景気を刺激するために、「利下げ」をして金融緩和をします。
結果、金利の低い通貨は売られるため「通貨が安く」なります。
先のことは不確かですが、過去を振り返ると米国の好景気は8~10年間、不景気は1~2年間で循環していることが多いです。
景気の波に完全に乗ることは難しいですが、
知識として知って資産運用をすると、
より投資効率が良くなるかもしれません。
記事・監修 川井えりか(ファイナンシャルプランナー)
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