いつの間にか『物価の安い国』になった日本〜FPコラム〜

こんにちは。
東京都内でワンルームマンション投資をしている、個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの川井えりかです。
最近は、日本国内のどこを旅行しても外国人観光客が多くなりました。観光地や 商業施設、ショッピングモールも外国人で溢れています。
訪日外国人観光客が初めて1,000万人を超えたのは、東京オリンピック開催が決定した2013年のことです。
それ以降大幅に伸び続け、2018年の訪日外国人観光客は約3,100万人です。
【参考】:インバウンド 訪日外国人動向
https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
2020年の東京オリンピックに向けてさらに増加することは間違いありません。なぜ、これだけ多くの外国人が日本を訪れるのでしょうか?
日本で生活していると気づきにくい意外な理由について、ご紹介したいと思います。
日本が観光大国になった2つの理由
日本は狭い国土ながら観光資源が豊かで、地域により歴史や文化など様々な特色があります。
そのため外国人にとっては何度も訪れたい、または長期で滞在して周遊したいと思える魅力のある国です。
このように日本に多くの観光客が訪れるのは大変喜ばしいことです。
観光庁の統計によると、訪日外国人観光客による経済効果は年間4兆円を超えています。
アベノミクス景気を牽引したのは、私たち日本人だけではないことは明らかです。
ところで、外国人が日本を訪れる理由は、観光地巡りだけではありません。
街で見かける外国人をみてお分かりの通り、【ショッピング】も彼らにとって大きな旅行の目的です。
中国人観光客の【爆買い】は、もはや見慣れた光景ですね。
私は銀座のユニクロに行くと、店内に日本人が自分しかいない気がしていつも不思議な感覚になります。
ショッピングに限らず、欧米の観光客はお昼から高級レストランでシャンパンを片手にランチを楽しんでいます。
旅行中だからお財布の紐が緩んでいるというのもありますが、消費する力が強い、つまりお金をたくさん持っているという印象はアジア人、欧米人を問わずどの国の観光客を見ても感じることです。
彼らは、特別なお金持ちなのでしょうか?
おそらくそうではなく、お金持ちでも貧しくもない、普通の生活をしている人が大多数です。
自分の国でショッピングや食事をするよりも、コストパフォーマンスが高いため、彼らは日本で大量に消費をしているのではないでしょうか?
つまり、日本は【物価が安い】ということです。
日本の物価は高い?安い?
日本の物価が高いか安いかというのは、日本で生活していると気づきにくいものです。
物価が上がると当然モノの値段は上がりますが、同様に賃金も上がるため、生活水準が変わらないのです。
物価が下がったときも同様です。約10年前まで、日本は物価の高い国でした。
ヨーロッパへ旅行をすれば高級ブランドの服飾品が安く買え、アジアへ旅行をすれば高級スパのメニューを数千円で楽しむことができました。
「日本よりも安い」というのは、海外旅行をするメリットであり、大きな楽しみでもありました。
ところが最近はどうでしょうか?
高級ブランドのバッグは、海外のお店や免税店で買うのと、日本国内で買うのでは価格の違いが殆どありません。
スパやマッサージなどのリラクゼーションも、日本国内でも数千円で利用できるお店がたくさんあります。タイやインドネシアの相場と変わりません。
いつの間にか日本人にとって、「海外旅行は安くてお得」ではなくなってしまったのです。
日本は収入の高い国?低い国?
訪日外国人観光客の話に戻ります。
彼らの消費の意欲を見ると、私たち日本人よりも収入が高そうに見えませんか?
日本人の平均年収が最も高かったのは、1997年で、その額は約470万円です。
OECDの統計によると、1997年と比較して日本の時間当たり賃金はマイナス8%、つまり日本人の収入は約20年前より下がっています。
それに対し韓国は+167%、
主要先進国のイギリス+93%、アメリカ+82%、フランス+69%、ドイツ+59%と、大幅に上昇しています。
これだけ賃金の上昇率に差があれば、日本を訪れた外国人にとって、「日本は安くてお得な国」に写るのは当然です。
参考までに、アメリカの時間当たり賃金は日本円で約3,000円です。
日本の時給とは大きく違いますね。
アベノミクス効果で賃金は上昇傾向ですが、それでもなお20年前の水準を超えることができていないのが現状です。
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日本の不動産は高い?安い?
2020年の東京オリンピックに向けて上昇傾向の都心の不動産。
マイホーム購入も、不動産投資も、
「今は高いから控えた方が良いのかな・・・」
と考える人も多いです。
ところで、日本の不動産を購入するのは日本人だけではないことをご存知でしょうか?
外国人が、日本の不動産を購入して別荘として利用したり、賃貸に出して不動産投資をすることもできます。
「世界中の人が購入する日本の不動産」
という広い視野で見ると、日本の不動産は高いのでしょうか。
日本不動産研究所の最新のデータで、世界各都市のマンション価格が比較できます。
■世界各都市のマンション価格(東京を100とした場合)
・東京 100
・大阪 54.7
・ソウル 68.0
・北京 103.8
・上海 125.3
・香港 212.8
・台北 115.1
・シンガポール 105.4
・クアラルンプール 24.8
・バンコク 27.4
・ジャカルタ 20.8
・ホーチミン 10.3
・ニューヨーク 105.3
・ロンドン 197.4
【参考】:日本不動産研究所http://www.reinet.or.jp/pdf/kokusaifudousan/2019may.pdf
ニューヨーク、ロンドンといった欧米の大都市が、東京よりマンション価格が高いのは納得です。
ですが注目すべきは、アジア圏の都市です。
中国、香港などアジアの資産家にとっては、日本の不動産は自国に比べ割安で、【買い】なのです。
「今、都心の不動産は【売り】ですよね?」
と、マイホーム購入や不動産投資を検討されている人から質問を受けることがありますが、私の答えは「【売り】であり、【買い】でもある」です。
価格が上昇傾向にあるため、売却する人が有利と思われがちですが、
【買い】と考えて購入する外国人が多いのも事実です。
株式投資などもそうですが、売り手も買い手も多いマーケットは取引量が多く活気があります。
このような場合、不動産は流通する物件が多くなるため様々な物件に出会うことができます。
おまけに日本人には【過去最低金利のローン】という大きなメリットがあります。
上昇した不動産価格を、低金利のローンが帳消しにしてくれるのも、【買い】と言える大きな理由です。
今後、日本で豊かに暮らすには
いつの間にか、物価の安い国になってしまった日本。
ご紹介した「物価」「賃金」「不動産」の中でも特に、賃金が他国と比較して伸びていないのは、非常に大きな問題です。
そうは言ってもお給料は簡単には上がりませんから、自力で収入を増やす工夫をした人が、日本で豊かに暮らすことのできる人だと思います。
最近ではメガバンクでも副業が解禁され、 【複数の収入源を持つ】という資産家と同じポジションを、会社員でも取ることができるようになりました。
副業には、自分で新規事業を始めるようなリスクとリターンの高いものから、 不動産投資のような時間も自己資金も殆ど必要としない取り組みやすいものまで様々です。
周りの人よりも少し工夫して、収入を2倍、3倍と増やしていきたいですね。
イラスト:三井みちこ
記事・監修:川井えりか(ファイナンシャルプランナー)
【過去記事はこちらから】
【参考記事】
【FPコラム】大企業が続々副業解禁!節約より副業の方が楽な時代