会社員や公務員の方は国民年金だけでなく厚生年金にも加入しているため、年金が2階建て構造になり、将来的に手厚い年金を受け取れます。しかし、自営業や個人事業主、農業などの「第1号被保険者」は基本的には国民年金のみの1階建て構造で、満額でも年781,700円(令和2年4月分~)しか受け取れません。月当たりの受給額は約65,000円と少なく、国民年金だけで生活していくのはほぼ不可能です。

参考:

厚生労働省「令和2年の年金額改定について」

いわき市「老齢基礎年金」

第1号被保険者が年金受給額を増やす方法はいくつかありますが、国の制度としては「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「国民年金基金」の2つがあります。両者を比較し、どちらがお得に年金を準備できる制度なのか詳しく解説します。

 

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iDeCoとは?

まずはiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)について見ていきましょう。iDeCoを扱う銀行や証券会社も多く、名前だけなら聞いたことがあるという方も多いかもしれませんね。

iDeCoの概要

iDeCoとは、毎月一定の掛金を積み立て、自分で選んだ商品で運用していく制度です。積立金や運用益は、満60歳以降に一時金もしくは年金として受け取れます

運用で得た利益が非課税になる

iDeCoの運用益は、非課税になります。本来、投資益に関しては20.315%の税金が課せられますので、非常にお得です。また、運用中に発生した利息に関しても非課税となります。

積立金額を自分で設定できる

iDeCoの積立金額は、月額5,000円以上1,000円単位で自由に設定できます。ただし国民年金被保険者の立場によって、以下のように上下額が決まっています

 

積立金額の上限

参考:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の仕組み」

加入者が年1回以上、任意に決められた月にまとめて拠出すること(年単位拠出)も可能

 

拠出を停止できる

毎月の支払いが厳しくなったときは、途中で積み立てを止めることもできます。収入が安定しにくい自営業の方にとっては、加入しやすい制度と言えるでしょう。

将来受け取る年金額は運用成果次第

将来受け取る金額は、運用成果によって変わってきます。運用実績によっては、年金額が上振れすることもあります。

運用中に口座管理料等のコストが継続的にかかる

iDeCo運用中は、口座管理料がかかります。また、投資商品として投資信託を選んだ場合には、信託報酬もかかります。運用する金融機関やファンドによってコストが変わりますので、しっかりと吟味してから選びましょう

基本は有期年金

iDeCoは、通常は満60歳から65歳までに「有期年金」として受け取ります。しかし、満60歳から70歳までの間に「一時金」として一括で受け取ることもできますし、金融機関によっては「終身年金」として一生受け取れることもあります。

参考:国民年金基金「国民年金基金とiDeCoはどうちがうの?」

国民年金基金とは?

次は国民年金基金について見ていきましょう。自分で運用の指示を出すiDeCoとは異なり、国民年金基金は加入者が指示を出す必要はありません

国民年金基金の概要

厚生年金に加入している第2号被保険者と比べると、第1号被保険者は将来受け取る年金額が少なくなってしまいます。この格差を解消するために作られた制度が「国民年金基金」で、利用することで第1号被保険者の年金も2階建て構造になります。

掛け金は将来も一定で将来受け取る金額がわかる

国民年金基金の掛け金は、加入時の年齢と口数によって決まります。また、加入した時点で将来受け取る金額が分かりますので、老後の資金計画を立てやすいというメリットもあります。

収入状況の変化があっても拠出は続けないといけない

国民年金基金に一度加入すると、収入状況の変化があっても最後まで掛け金を支払い続けなくてはなりません収入が安定していない方には、続けることが困難になる恐れがあります

掛け金の二口目は減額可能

1口目は加入時の年齢によって月10,000~20,000円の間で決まりますが、2口目以降は1口あたり5,000~10,000円と低額になります。加入者が支払える金額に応じて、掛け金の金額を設定できます。

 

国民年金基金の口数と掛け金


※50歳1ヶ月以降に加入する場合は、加入時の月齢によって掛け金が異なります

参考:国民年金基金「給付の種類」

 

運用の指示をする必要がない

iDeCoは掛け金を拠出するだけでなく、運用方法も加入者が決定しなくてはいけません。一方、国民年金基金の加入者は掛け金さえ拠出すれば良く、運用指示を出さなくても受給時期に予定額を受け取ることができます

基本は終身年金

国民年金基金は基本的に終身年金として満65歳から受け取れます。つまり、国民年金と同様、一定額を一生涯受け取れますので、長生きリスクがありません

※満65歳~80歳までの15年間の有期年金として受け取ることもできます。

iDeCoと国民年金基金の違い

次に、iDeCoと国民年金基金の違いにフォーカスを当てて解説していきます。どちらに加入するか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

「確定拠出」か「確定給付」か

受け取る金額から毎月の掛け金を逆算するタイプの年金制度を「確定給付」と呼びます。国民年金や厚生年金、国民年金基金は加入時に受け取れる金額を計算できますので、確定給付型の年金です。

一方、iDeCoは毎月の掛け金の金額は決まっていますが、運用成績によって受給できる金額が異なります。このように掛け金だけが決まっているタイプの年金制度を「確定拠出」と呼びます。運用成績が良ければ高額受給が期待できますが、元本保証型ではないため運用成績が悪いときは掛け金の合計額よりも受給額が下回ることもあります。

「有期年金」か「終身年金」か

iDeCoは基本的に有期年金です。満65歳から国民年金を受給しようと計画している方なら、満60歳~65歳までの間などの収入が下がると思われるときに、iDeCoを使って収入を補填するようにプランニングするのも良いでしょう

一方、国民年金基金は基本的に終身年金です。国民年金の受給額が少ないと感じる方は、国民年金基金を使って受給額そのものを増やすことができます長生きしたときの生活費が不安な方も、終身年金タイプの年金を選ぶようにしましょう

「運用益は非課税」か「全額所得控除できる」か

iDeCoの運用益は全額非課税になります。通常、投資の利益に関しては20.315%の税金が課せられますから、iDeCoは非常にお得な制度と言えます。

一方、国民年金基金の掛け金は全額所得控除の対象になります。所得税や住民税の節税につながりますので、とりわけ年間課税所得が900万円を超えて33%以上の所得税率が適用されている方にとっては、節税効果が高いと言えるでしょう。

参考:国税庁「所得税の税率」

国民年金基金は給付型を選べる

国民年金基金は基本的には終身年金型ですが、満65歳~80歳までの15年間のみ受け取るなど有期年金型も選択できます。有期年金型を選択した場合、万が一、受給期間中に加入者が亡くなると、遺族は本来受給できるはずであった金額を一時金(一括払い)として受け取ることができます。

国民年金基金は60歳以上も加入できる

国民年金基金は60満65歳になるまで(満64歳11ヶ月)なら加入できます。一方、iDeCoは満60歳になるまで(満59歳11ヶ月)しか加入できません。どちらも早期に加入するほうが受給可能な金額は高くなりますので、年金額に不安がある方は早めに検討しておきましょう。

※2020年度税制改正大綱において、iDeCoの掛金を満65歳になるまで拠出できるようにすることが明記されており、今後、確定拠出年金法等の法令が改正されると、65歳までiDeCoに加入可能になります。

iDeCoと国民年金基金どちらが良いのか?

iDeCoも国民年金基金も、いずれも将来受け取れる年金額を増やし、節税にもつながるお得な制度です。どちらに加入しようか迷ったときは、次の3つの視点でiDeCoと国民年金基金のいずれかを選択してみてはいかがでしょうか。

運用や長生きリスクが怖い方は国民年金基金がおすすめ

今まで「投資」をおこなったことがない方にとっては、iDeCoのように自分で金融機関や投資商品を選択することに不安を感じるかもしれません。その場合は、運用せずに年金を受け取れる国民年金基金を選ぶほうが良いでしょう。

また、長生きしたときの生活費が不安な方には、一定の期間だけ年金を受け取る有期年金型はおすすめできません。一生涯年金を受け取れる終身年金型の国民年金基金を選び、老後に備えましょう。

老後資金を運用により作っていきたい方はiDeCoがおすすめ

投資に慣れている方や自分のお金は自分で殖やしたい方は、加入者自身が運用するiDeCoがおすすめです。iDeCoなら運用金融機関や投資商品を選択でき、投資を積極的に進めていけます。

また、運用中に投資配分や投資先を変更することも可能です。運用成績や投資方針の変化に合わせて、納得できる投資をおこなっていきましょう

国民年金基金は物価上昇(インフレ)に弱いため、インフレリスクに備えるにはiDeCoを利用するのがおすすめ

インフレが進むと、日本円の価値は徐々に下がっていきます。そのため、将来受け取る10,000円は、現在の10,000円よりも価値が目減りしている可能性があるのです。国民年金基金は加入時に将来受け取る年金額が分かっているため、インフレが進むと少々損をする恐れがあります

一方、iDeCoなら運用することで将来受け取る年金額を殖やせるため、受取時の貨幣価値に合わせた年金額を受け取れる可能性があります。インフレリスクに備えたい方には、iDeCoのほうがよいかもしれません。ただし、思ったようにiDeCoで運用益が出ない場合は、受取額が掛け金総額よりも少なくなる可能性もありますのでご注意ください。

どちらか一方に絞れない場合は併用する手も

iDeCoと国民年金基金は併用できる制度です。どちらか一方に絞れないときは、併用することも検討してみてはいかがでしょうか。国民年金の受給額は決して高いとは言えませんので、節税もできて将来にも備えられるiDeCoや国民年金基金を賢く活用して将来に備えていきましょう

まとめ

自分の老後生活は自分で備えるしかありません。自営業や学生、農業などの第1号被保険者は、きちんと国民年金保険料を支払うのは当然のこと、iDeCoや国民年金基金への加入も検討して老後資金を準備しておきましょう。いずれも節税ができるお得な制度のため、将来に備えつつ現在の税金を減らす効果もありますよ。

 

監修者:高橋 政実(ファイナンシャルプランナー)

 

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