日本で最も格付けが高い投資先は、「日本政府」より「トヨタ」〜FPコラム〜

こんにちは。
東京都内でワンルームマンション投資をしている、
個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの川井えりかです。
債券投資で、
投資先を決定するときに重要な判断材料に【格付け】があります。
この格付けに関する面白いデータがあります。
日本政府が発行する日本国債よりも、トヨタ自動車が発行するトヨタ社債の方が格付けが高く、【信用力の高い投資先】と評価されました。
つまり2つを比較すると、日本が財政破綻するリスクの方が高く、トヨタ自動車が破綻するリスクの方が低いということです。
債券投資に限らず株式投資にも生かせる、【格付け】について紹介します。
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国や企業の格付けとは?
R&Iという、国内の格付け機関があります。
R&Iは、世界の国や日本企業の格付けを公表しています。
参考:R&I
海外の格付け機関で良く知られているのは、
・S&P(Standard and Poor’s)
・Moody’s
・Fitch Ratings
などです。
格付けとは簡単に言うと、「その国や企業の借金の返済能力がどれだけ高いか」を表すデータです。
R&Iの場合、格付けの最高ランクはAAA(トリプルエー)で、
次いで
AA → A → BBB → BB → B → CCC → CC → D
という順で、国や企業の信用力を評価しています。
R&Iでの日本の格付けはAA+(ダブルエープラス)で、+が付くとAAの中でも一つ上のランク(この場合AAA)に近い水準になります。
一方でトヨタ自動車の格付けはAAA(トリプルエー)の最高ランクです。
格付け=借金の返済能力なので、
日本政府が発行する借金(=日本国債)の格付けがAA+、
トヨタ自動車が発行する借金(=トヨタ社債)の格付けがAAA
と読み替えることができます。
債券投資をする場合はこの【格付け】と【利回り】のバランスが非常に重要です。
債券投資をするということは、投資先にお金を貸すことになります。
貸したお金(元本)が戻ってくることが、投資の大前提ですので、返済能力の高い、格付けの高い国や企業を選択することが大切です。
そして、格付けの高い国や企業の発行する債券ほど、安全性が高いためリスクが低く、それに比例して利回りも低くなります。
反対に、格付けの低い国や企業の発行する債券は、より高い格付けの債券と同じ利回りでは誰も投資してくれません。そのため利回りは高くなります。
債券投資とは?
債券には、予め決まっている2つのルールがあります
期間
多くの場合、満期まで何年あるかが予め決まっています。
債券は、満期まで保有すると発行された時と同じ価格で償還されます。
金利
多くの場合、発行時に金利が決まっていて変動しません。
満期までの間、約束された利息が支払われます。
債券が安全性の高い資産運用と呼ばれるのは、期間と金利が決まっているためです。
何年後にいくら戻ってくるかが事前にわかっていて、満期までにいくらのクーポン(利息)がもらえるかもわかっています。
これは、資産運用をする上で非常に計画が立てやすいです。
一方で、債券投資のリスクは「デフォルト」と「インフレ」です。
デフォルトとは「債務不履行」のことで、資金がショートして満期を迎える債券を償還できないことです。
つまり投資家からすると、満期になってもお金(元本)が戻ってこないということです。
返済能力の低い(=格付けの低い)発行体の債券の場合、デフォルトのリスクは高くなります。
最近では、カルロス・ゴーン元日産会長の母国で有名になったレバノンが、2020年3月に満期を迎える国債の支払いが延期になるというニュースがありました。
レバノンの国債がデフォルトになるのは初めてのことです。
R&Iにレバノンの格付けはないのですが、海外の格付け機関Moody’sでレバノンの格付けはA、B、Cの3段階のうち最低のCランクです。
次に、債券投資はインフレにも注意が必要です。
インフレ(物価上昇)は多くの場合賃金や株価の上昇も伴います。物やサービスの値段が上がっていく局面では債券投資は不利です。
なぜなら、発行された時にクーポン(利息)が予め決まっているため、インフレに連動しないのです。
「定額の(固定された)収益しかない」と資産価値が下がります。反対に、株式や不動産など、インフレに強い資産の価格は上がっていきます。
債券投資は、新規で発行される国債や社債を購入することもできますし、既に発行されて流通しているもの(=誰かが満期を待たずに売却したもの)を購入することもできます。また、投資信託や生命保険を活用すると少額から投資が可能です。
投資の予算や方針に合わせて、どのような手段で債券投資をするか決めるのがおすすめです。
格付けのデータは株式投資にも生かせる
トヨタ自動車の格付けが日本政府より高いということは、
日本で最も信用力の高いトヨタという会社の株を買うのはどうだろう?
と考える方もいるはずです。
これは非常に良いアイデアだと思います。
格付けの高い会社の株式は、倒産のリスクが低いため、長期で保有するという選択もあります。
株式投資には大きく、
「安く買って高く売る」というキャピタルゲインをねらう方法と、
「長期で配当を得る」というインカムゲインをねらう方法があります。
後者の配当目的で株式投資を始めるのであれば、銘柄を選定するときにその会社の格付けもチェック項目に入れることがおすすめです。
配当と聞くと「安定収入」のようなイメージがありますが、株式投資は、債券投資と比べると非常にリスクが高いです。
配当は、債券投資でいうクーポン(利息)に似ていますが全く異なります。クーポンは「必ず支払われるべきもの」で、金額も予め決まっていますが、配当はそうではありません。
配当は、その企業の利益を投資家に分配することです。
つまり、利益が出ていることが大前提です。
※赤字でも、過去の利益の蓄積から配当を支払う場合もあります
そして配当が利益の分配である以上、配当の金額もその企業の利益の額に左右されます。
会社の決算の内容に関係なく、予め決められた額を満期まで支払い続ける債券のクーポンとは、確実性が大きく劣ります。
実際にトヨタ自動車の過去の配当(1株あたり)を見てみると、
2019年度:220円
2018年度:220円
2017年度:210円
2016年度:210円
2015年度:200円
と、変動幅は少ないものの定額ではありません。
ちなみにこの間株価は4,917円~8,783円の間を動いています。
トヨタ自動車のように格付けが高く、安定した配当を出す企業であっても株価の変動は非常に大きいです。
株式投資には、
「配当の不確実性」と「株価の変動」のリスクがつきものであることを忘れないようにしましょう。
もし倒産したら、債券も株式も価値がなくなる?
債券であっても、株式であっても、企業に投資をする場合の最大のリスクは「倒産」です。
「投資先が倒産したら、投資したお金はゼロになる」というのが一般的な考えです。
ですが、戻ってくる可能性もあります。
倒産した会社に財産が残っていれば、それが分配されるからです。
この時に優先順位が高いのは、
株式投資をしている人(=株主)ではなく、
債券投資をしている人(=債権者)です。
まずは、債権者へ財産を分配して、それでも残りがあれば株主にも分配されます。
実際にはお金がないから倒産しているので、戻ってこないと考えるのが現実的ですが、債券の方が優先される点でも株式投資よりリスクが低いと言えます。
ただし、債券でも株式でも、個別企業に投資をする際は、「投資したお金がゼロになるリスク」を考えなくてはなりません。
まずは投資信託など複数の銘柄に分散投資できるものから始めるのが安心です。
記事・監修 川井えりか(ファイナンシャルプランナー)
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