「不動産投資」と聞くとごく一部のお金持ちが億単位のお金を動かしてやっているというイメージがありませんか?一方、「不動産投資信託」はいかがでしょうか。

不動産投資信託を購入することで少額から不動産に投資することができます。不動産投資信託にはどのような特徴があるのでしょうか。また、どのような点に注意をすれば良いのでしょうか。詳しく見てみましょう。

 

不動産投資信託とは

 

不動産投資信託とは住宅やオフィス、商業ビル等の不動産に投資をする投資信託の一種です。億を超える金額の不動産を小口証券化することで多数の受益者(証券を保有する人)が少額の投資で不動産を共有で持つような形になります。

 

不動産投資信託はどのような仕組みで運用されているのでしょうか、不動産投資信託の仕組みについて詳しく見てみましょう。

 

参考:https://www.toushin.or.jp/reit/about/what/

 

REITと呼ばれる

不動産投資信託はREIT(Real Estate Investment Trustの略)と呼ばれています。日本のREITを指す場合は頭にJAPANJをつけてJ-REITと呼びます。もともとREITはアメリカで生まれた仕組みで日本以外にもヨーロッパや豪州、新興国でもREITの仕組みが採用され不動産の運用がされており、世界的に利用されている投資手法です。

クローズドエンド型を採用している

REITはクローズドエンド型を採用して運用しています。クローズドエンド型とは受益証券を途中で解約できない仕組みですが、だからと言ってREITが全く換金できないわけではありません。証券取引所に上場することで換金もしやすい仕組みを作っています。

証券取引所に上場している

REITは証券取引所に上場していますので売却をすることができます。クローズドエンド型を採用しているREITですが証券取引所に上場することで流動性(換金のしやすさ)を確保しているのです。

ただし、証券取引所に上場しているからと言っていつでも売却ができるわけではありません。買い手がつかなければ換金することはできませんので、相場によりいつでも好きな時に購入した値段で売却できるわけではない点は注意しておいた方が良いでしょう。

証券取引所に上場することによって不動産の契約のような煩わしい手続きは必要なく、株式や投資信託の売却のように簡単な手続きで売却・購入することができます。

法律上は投資信託に分類される

REITは法律上、投資信託に分類されます。REITは会社型投資信託という仕組みを使って投資法人を作ります。投資家は受益証券を購入し、収益の分配や値上がり益を得ることになります。REITの投資法人は会社の形態をとっていますので、会社と同じくさまざまなルールが決められて運営されています。

役員会が設置されている

REITは「会社」ですので、役員会が設置されます。ただし、法律によりJ-REITの投資法人は運用業務などを行うことを禁止されていますので実質的には意思決定をすることが役員会の目的となっています。

投資主総会が設置されている

REITの投資法人には投資主総会が設置されています。投資主総会とは株式における株主総会にあたります。投資主総会は投資法人における最高決定機関です。

株主総会の場合、株式数で議決権数が決まりますがREITの投資法人の場合は投資主の投資口数に応じて議決権数が決まります。投資主総会では役員の(執行役員、監査役員)の選任解任や会計監査人の選任・解任、規約の変更等が決議されます。

役割が分担されている

REITの投資法人の運営はさまざまな役割分担で運営されています。REITの投資法人はどのような役割で運営されているのでしょうか。

運用会社の役割

運用会社は投資する不動産を選定することや、誰にどのような条件で賃貸するのかなどを決定します。また、不動産価値の向上や維持も運用会社の役割です。不動産の修繕などの計画や資金調達等も担い、REIT運営の総合的な戦略を策定する重要な役割を担っています。

資産保管会社の役割

資産保管会社は保有している不動産の管理を行います。資産保管会社は委託された資産と自己に固有資産を分別して保管することが義務付けられています。信託銀行が資産保管会社となるケースが多いようです。

事務受託会社の役割

会計や納税に関する事務等、事務的なことを全般的な業務の役割を果たします。それぞれの業務ごとに専門の会社が選ばれ専門性の高い業務を行います。

投資対象の具体例

実際にREITで運営され、投資の対象となっている不動産はどのようなものがあるのでしょうか。REITではオフィスビルや居住用住宅、商業施設など、さまざまな投資対象に投資をしています。REITが投資する具体的な物件を見てみましょう。

オフィスビル

オフィス系のREIT大手はジャパンリアルエステイト投資法人(汐留ビルディングや赤坂パークビル、北の丸スクエアを保有)やインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人(西新宿プライムスクエア、恵比寿プライムスクエア、品川シーサイドイーストタワーを保有)等が有名です。

オフィスビル系はREITの中でも中心的な存在と言えます。日本で初めてできた日本ビルファンド投資法人もオフィス系のREITです。オフィス系のREITは、利回りが高いですが、景気変動の影響を受けやすい特徴があります。

参考:https://shisan-up.net/j-reit/office/

居住用住宅

居住用住宅は三井不動産がスポンサーとなっている日本アコモデーションファンド投資法人等が有名です。日本アコモデーションファンド投資法人は東京23区の投資が90%を超える、東京中心の居住用住宅系REITです。これに対し全国の住宅に分散投資しているのが日本賃貸住宅投資法人です。全国のワンルームやファミリータイプの住宅に投資をしています。

人口が急激に変わらない限り、景気が悪化したとしても家に住まないということはあり得ませんので居住用住宅系のREITは景気変動の影響を受けにくく比較的安定した収益を期待できます。

参考:http://www.j-reit.info/realestate/hikaku.html#apart

商業施設

商業施設系REITで有名なのは日本リテール投資法人です。イオンやイトーヨーカドーを保有している三菱商事系のREITです。三井不動産系のショッピングセンターやアウトレットモールなどを保有しているフロンティア不動産投資法人も有名です。

商業施設系REITも景気変動の影響は受けますが、テナントのお店の売り上げと直結しているわけではありません。例え売り上げが減少したとしてもテナント料は一定額支払われるためです。

物流施設

物流施設に特化したREITもあります。三井不動産がスポンサーとなっている三井不動産ロジスティクスパークやラサール不動産投資顧問がスポンサーとなっているラサール路地ポート等が有名です。物流施設の利点は建築コストや管理コストが比較的安価ですませられるため収益をあげやすいことです。

参考:http://reit.tse.or.jp/sp/logistics01.html

価格は投資家の需要と供給によって決まる

REITは証券化して取引所で売買しているため、価格は需要と供給のバランスで決まっています。買いたい人が増えれば価格は高くなり、買いたい人が少なくなると値段は低くなります。

リーマンショックのような大恐慌が起こった場合、需給のバランスが大幅に崩れるため大暴落する可能性もあります。逆に人気が出て需要のほうが増えた場合にはREITの価格は上昇していきます。

決算毎に分配金が支払われる

REITの魅力は決算毎に分配金が支払われる事です。REITの分配金は株式における配当金にあたります。株式の配当金は企業業績によって配当金が支払われますが、REITはテナント料や家賃などを原資として分配金が支払われています。

不動産投資信託の魅力

不動産投資信託はどのような魅力があるのでしょうか。通常の不動産投資とはどのように違うのでしょうか、詳しく見てみましょう。

少額でも投資できる

不動産に少額で投資できるという点が魅力の1つです。相当なお金持ちでないと個人でビルを買うことは困難ですが、投資信託の仕組みを使って小口の証券化することで少額でも不動産投資の恩恵を受けることができます。

有名なアウトレットモールやショッピングモールに投資をすることができますので、自分が投資をしている物件でお買い物ができることも楽しみの1つとなるでしょう。

プロが運用してくれる

不動産のプロが運用してくれることも大きな魅力です。不動産投資には土地調査やマーケティング、会計など、さまざまな知識が必要となります。その知識を身につけた不動産投資のプロが運用してくれるので安心です。

プロが運用すれば必ず成功するわけではありませんが、知識の無い素人が運用するよりは成功する確率はかなり高くなるでしょう。

流動性が高い

証券取引所に上場しているため流動性が高い点も魅力です。通常不動産の売買にはかなりの時間と手間を要しますが、証券化していることで流動性が高まり換金しやすくなっています。流動性が高まることで、損失が出た場合の損切や利益が出た場合の利益確定も容易にすることができます。

簡単に分散投資できる

簡単に複数の不動産に分散投資できる点も魅力です。不動産投資の場合、一棟や一室で持つことが多くなるため、地震等の自然災害や空室リスクが非常に高くなります。REITはさまざまな不動産に投資をしているため、リスクを軽減することができます。

現物の不動産を購入する事は経済的にも労力的にも並大抵のことではありませんが、REITでは簡単に複数の不動産に分散投資することができます。また、REITには住宅や商業施設・物流施設に特化したREITもありますが、商業施設や住宅等に分散して投資しているものもあります。

具体的にはプレミア投資法人やクレッシェンド投資法人はオフィスと居住用住宅を均等に投資するREITです。オフィス系と居住用住宅系は異なる特徴を持っていますので分散して投資をすることでリスクを軽減することができます。

小口で購入することもできるので、別の投資法人であっても、「オフィスビル系」、「居住用住宅系」、「商業施設系」と投資対象を分散することも比較的簡単にすることができます。

ご参考:http://www.j-reit.info/realestate/hikaku.html#compound

分配金の配当率が高い

分配金の配当率 が高い点も魅力です。REITの分配金はテナント料や家賃で賄われるため株式の配当金に比べ安定して高い水準となります。テナント料や家賃は商品の売り上げなどに比べると安定しているため継続して分配金の支払い原資を確保できるため継続して高い分配金を支払うことが可能です。

また、日本は現在日銀がマイナス金利政策を導入しており超金利状態が続いております。国債や定期預金で運用しても利息はほとんどつきませんのでREITの高い利回りは相対的に魅力が高まっていると言えます。

少額投資非課税制度を利用できる

REITは投資信託の仕組みを活用しているため少額投資非課税制度(NISA)を利用することができます。NISAとは株式や投資信託等を購入した場合年間120万円(ジュニアNISAの場合は年間80万円)までの投資であれば非課税になる制度です。NISAを利用することにより分配金や売却益が非課税になります。

参考:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html

不動産の現物を購入して家賃収入を得た場合は事業的規模の場合「不動産所得」、事業的規模でない場合は「雑所得」となります。それぞれ年間の所得額に算入されるため、そのほかの所得と合算して税金が計算されます。

日本は超過累進課税制度で所得が多ければ多いほど税率が上がっていきますので収入が多い方は税金も高くなります。

参考(所得の区分):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1300.htm

参考(所得税率): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

不動産投資信託の注意点

不動産投資信託はリスク商品ですので当然元本保証の定期預金等に比べて利回りが高い分リスクもあります。不動産投資信託はどのような点に注意して投資をしたらよいのでしょうか。

参考:https://www.toushin.or.jp

上場廃止になる可能性がある

不動産投資信託は上場廃止になる可能性があります。投資資産が一定額を下回った場合や不正会計等の不正が見つかった場合は上場廃止となります。上場廃止事由に該当するおそれがある場合には証券取引所の整理ポストに割り当てられ、その後上場廃止となります。

上場廃止となった場合、流動性が極端に低下するため、整理ポストに割り当てられている一定期間の間に売却することを余儀なくされますが、価格は大きく下落しているケースが多く、売却できたとしても大きな損失を被る可能性が高くなります。

倒産する可能性がある

REITは会社の形態をとっているため倒産する可能性があります。倒産した場合は株式投資と同じく、精算後に残った資金があれば投資主に支払われます。債務超過(資産よりも借金の方が多い)場合には投資主には1円も返ってこないということになります。

J-REITで初めて破綻したのは2018年のニューシティ・レジデンス投資法人です。スポンサーは米国の大手不動産会社CBRE(シービーリチャードエリス)のグループ会社でした。ニューシティ・レジデンス法人は新規物件の資金調達に失敗し、契約が履行できなくなったため違約金が発生し、破綻しました。

不動産投資には様々なリスクがありますので、運営がうまくいかなくなると倒産してしまうリスクもあります。

価格・分配金が変動する可能性がある

REITの価格や分配金は変動があり常に一定額を保てるわけではありません。特に分配金は定期預金のようにある程度固定して払われ続けると思われている方も多いようですがREITの分配金はテナント料などで賄っています。

テナントが入らず空室状態が続いてしまうケースや、テナント料を値下げした場合は分配金の原資が減ってしまうので一定の分配金を維持することが困難になります。価格や分配金は常に変動することはREITの魅力でもありますが、リスクにもなり得ます。

金利変動の影響を受ける

REITは金利変動の影響を受けやすい投資商品です。REITは資金を借り入れて投資対象の不動産を購入しているケースが多く、金利上昇=コスト上昇に繋がります。また、REITの魅力の1つは分配金の高さです。

金利が上昇し、安全な国債や定期預金の利息がREITの分配金の水準に近づいた場合REITの魅力が相対的に低下することになります。現在日本は日銀がマイナス金利政策を導入しており、超低金利状態が続いていますが、金利が急騰した場合は注意が必要となります。

物件価値の影響を受ける

REITは不動産価値の影響を受けます。地震等の自然災害などにより不動産の価値が著しく低下した場合はそれに伴い投資法人の価値も値下がりし投資主は損失を受けることになります。物件価値はテナントの売上や周辺都市の開発状況等、様々な要素が複雑に絡み合って影響します。

その物件だけを見て将来の価値を正確に予測することはプロでも非常に困難ですので、物件価値下落の可能性があることは認識しておきましょう。

まとめ

REITの魅力や注意点を見てきましたがいかがだったでしょうか。REITは小口で不動産に投資出来る魅力的な商品です。現在の超低金利環境でREITは比較的高い利回りを得ることができるため魅力は高まっています。一方、上場廃止や倒産、値下がりのリスクもありますので、その点も理解して投資をした方が良いでしょう。

監修者:小川 和哉(ファイナンシャルプランナー)