株式の取引手法には、現物取引信用取引があります。信用取引は、手持ち資金以上の取引ができるシステムです。買いだけでなく売りもできるなど、信用取引ならではのメリットがありますが、注意しなければならないリスクもあります。

今回は、信用取引の仕組みとメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。「現物株だけでなく、取引の幅を広げたい」という投資家の方の参考になるような内容になっています。それでは、信用取引の仕組みから見ていきましょう。

信用取引とは

信用取引とは、投資家が証券会社に現金や株式を担保として預け、証券会社からお金を借りて株を買ったり、株券を借りてそれを売ったりする取引です。詳しい仕組みは以下のようになります。

信用取引の仕組み①:レバレッジ取引

預けた担保の評価額の最大3.3倍まで取引することが可能です。少ない資金で大きな取引をすることを「レバレッジ取引」といいます。

例えば、通常の株式取引(現物取引)は、以下のようになります。

資金30万円の場合、取引金額は30万円までとなります。一方、信用取引は次のようになります。

信用取引では30万円の資金で約3.3倍の100万円まで取引が可能です。少額の資金で大きな取引をすることができます。

信用取引の仕組み②:委託保証金率

委託保証金とは、信用取引を行うために必要な資金のことです。そして委託保証金率とは、新規に取引を行うために必要な委託保証金の約定代金(株価×株数)に対する割合です。それぞれ法令で以下のように定められています。

● 委託保証金 30万円以上

● 委託保証金率 30%以上

委託保証金は現物株を時価評価して差し入れることもできます。これを「代用有価証券」といいます。代用有価証券は、前日終値の80%を保証金とみなして計算するのが一般的です。

信用取引の仕組み③:決済方法

信用取引の決済方法には2種類あります。買いと売りでそれぞれ見ていきましょう。

● 信用買い 

方法1:反対売買による返済

信用買いの建玉(未決済分)を売却する方法で、売却時の株価によって損益が決まります。値上がりしていれば利益になります。

方法2:現引(げんびき)による決済

建玉を売却せずに株式を買付け、株券を受け取る方法です。現引した後は、現物株を保有したのと同じ状態になります。

● 信用売り

方法1:反対売買による返済

信用売りの建玉を買戻しする方法です。株価が下がっていれば利益になります。

方法2:現渡(げんわたし)による決済

建玉と同じ銘柄の現物株を持っている場合に、現物株を差し出すことで返済する方法です。市場で買戻さなくても現物で返済することができます。

信用取引の仕組み⓸:信用取引の種類

信用取引には、制度信用取引一般信用取引の2種類があり、取引時には、どちらかを選択する必要があります。

制度信用取引とは、証券取引所が定めた一定の基準を満たした銘柄を取引することです。信用買いのみ可能な「信用銘柄」と、信用買いと信用売りの両方が可能な「貸借銘柄」があります。制度信用銘柄は返済期限が6ヶ月と決まっているので、その間に決済しなければなりません。

一般信用取引は、証券会社が独自に選定した銘柄です。返済期限は無期限・短期・1日など様々な種類があります。

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信用取引のメリット

それでは、信用取引のメリットを見ていきましょう。

手元資金以上の取引が可能(レバレッジ効果)

信用取引では資金の約3.3倍まで取引することができます。預け入れる資金を「委託保証金」といいます。資金は株券でも代用可能です。委託保証金の最低額は30万円です。30万円の資金で100万円の売買ができるので、資金が少ない投資家でも株価が高い銘柄を購入することが可能になります。

同じ保証金で何度でも取引できる

信用取引では、当日に同じ銘柄を何度でも取引することができます。これを「差金決済取引」といいます。差金決済とは、現物株の受渡しを行わずに、売りと買いの差額のみで売買することです。

現物株では差金決済取引が禁止されています。例えば、30万円の資金で30万円の分の株を購入してその日に決済した場合、同じ銘柄を買えるのは翌日以降か新資金を用意しなければなりません。

しかし、信用取引では差金決済取引ができるため、同一銘柄を同じ日に何度でも売買できます。ですから、デイトレードなど頻繁に取引する投資家の方は、信用取引を使う方が資金効率は良くなります。

売りから入ることができる(空売り)

通常の株式取引(現物取引)と異なり、信用取引では売りから入ることもできます。株価が下がると予想される銘柄を売り、下落したところで買い戻せば利益になります。信用取引の売りのことを「空(カラ)売り」とも呼びます。

買いだけでなく売りからも利益が狙えるのが、信用取引のメリットです。

信用取引のデメリット

それでは、デメリットについても見ていきましょう。

損失が大きくなる

レバレッジ取引で大きな利益が狙えるのが信用取引の魅力ですが、反対に大きな損失がでる可能性もあります。現物取引の損失は資金の範囲内ですが、信用取引では資金以上の損失がでる可能性があります。特に信用の売り(空売り)は損失が無限大なので、レバレッジを掛け過ぎるのは控えましょう。

金利・貸株料がかかる

現物株取引のコストは売買手数料のみですが、信用取引には金利と貸株料という別のコストがかかります。信用買いの場合は、証券会社から現金を借りるので、証券会社に所定の金利を払います。また、信用売りでは、証券会社から株を借りるので、指定された貸株料を払う必要があります。つまり、

● 金利:信用買いのコスト

制度信用取引:2~2.5%

一般信用取引:2.5~3%

証券会社ごとに異なりますが、制度信用より一般信用の方が金利は高くなります。

● 貸株料:信用売りのコスト

制度信用取引:1.10%前後

一般信用取引:2%前後

となります。

逆日歩がかかる場合がある(制度信用の売りのみ)

証券会社は、空売り用の株券を保有していますが、信用取引が活発になると手持ちでは足りなくなるので、証券金融会社から株式を調達します。

さらに証券金融会社で株式が足りなくなった場合は、株式を運用している機関投資家から株を調達します。この時のレンタル料が逆日歩です。

逆日歩は、「制度信用取引の売り」にだけかかる費用です。一般信用取引の売りにはかかりません。

逆日歩は時に数十%にもなることがあります。信用の売りが増えている銘柄は逆日歩にも注意するようにしましょう。

追証がかかる

追証(おいしょう)とは、追加で保証金を入れることをいいます。一定の維持率(委託保証金維持率)を下回ると、追加の証拠金をいれなければなりません。

証券会社によって差はあるものの、委託保証金率が20%を下回ると追証により資金の追加か、ポジションを決済する必要があります。信用取引は委託保証金率30%から取引することができますが、株価が下がった場合に追証がかかる危険性があります。多めに資金を入れて、余裕を持った取引を行うようにしましょう。

信用倍率を取引に活かそう

信用倍率とは、「信用の買い」「信用売り(空売り)」のバランスを表したもので、以下のような計算式になります。

● 信用倍率 = 信用買い残 ÷ 信用売り残

例えば、

信用買い残 5万株
信用売り残 1万株

の場合は、信用倍率5倍となります。

信用買い残とは、信用の買いで未決済のポジションです。信用買い残が増えると、将来の売り要因、つまり株価が下落する可能性が高まります。

信用売り残とは、信用売りの未決済のポジションです。信用売り残が増えると、将来の買い要因、つまり株価が上昇する可能性が高まります。

信用取引は現物株と違い、必ず反対売買をする必要があります、特に制度信用取引は決済期日が6ヶ月と決まっています。ですから、信用倍率によって、将来どちらに動きそうかということを予測することができます。

株式市場では、売りよりも買いから入る人が多いので、信用買いの方が多くなります。ですから、信用倍率は1倍を上回っているのが通常です。したがって、保有している銘柄の信用倍率が1より小さくなっている場合は、買戻しから値上がりすることが期待できます。

ただし、買戻しがいつ入るかというのは正確にわかりませんし、下げているのには理由がある場合もあるので、あくまでの売買を判断する指標の一つとして利用するようにしましょう。

まとめ

今回は信用取引について解説しました。少額の資金で大きな取引ができる(レバレッジ取引)や、売りからも取引することができる(空売り)など利点もありますが、その分リスクもあります。きちんと取引制度を理解することと、きちんと損切りするなどリスク管理が重要になります。信用取引は、現物株に慣れて取引の幅を広げたいと考えた時に利用するようにしましょう。

記事 山下 耕太郎

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