金融庁が推奨する「みたてNISA」ですが、どんな制度なのか詳しく分からない方も多いのではないでしょうか。「つみたてNISA」は資産形成のために金融庁もおすすめしている投資手法です。「つみたてNISA」で受けられる税制上のメリットや投資をする際の注意点についてご説明します。

金融庁お墨付きの「つみたてNISA」とは

「つみたてNISA」は将来の資産形成のために有効な手段として金融庁お墨付きの制度です。「つみたてNISA」とはどのような制度でどれだけメリットがある制度なのでしょうか。

「つみたてNISA」を利用できる人

「つみたてNISA」は日本国内に居住する20歳以上(口座を開設する年の1月1日時点)の方を対象としています。所得制限等はありませんので、誰でも利用できる制度です。年間120万円まで非課税で投資をできる一般のNISAとは併用できませんので、「つみたてNISA」と一般のNISAのどちらかを選択する必要があります。

少額から始められる非課税投資

「つみたてNISA」の特徴は少額から非課税で長期投資をできる点です。年間最大40万円まで非課税(通常は利益に対し20.315%で課税)で積み立て投資をすることができます。毎月千円程度の少額で始められることから、あまり投資経験がない方やこれから資産を形成していく若者が投資を始めるきっかけとするために新設された制度です。

また、積み立て投資は毎月一定額を買い続けることで、購入タイミングの分散をすることができるので、購入価格が平均化され、大きな損失が出にくいという特徴があります。少額での積み立て投資は将来の資産形成のためにとても有効な投資手法です。

参考:金融庁「つみたてNISAの概要」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html

投資可能期間と非課税期間

「つみたてNISA」の投資可能期間は2018年~2037年、最長20年間です。40万円×20年間で最大800万円投資をすることができます。一般のNISAは120万円×5年間で最大600万円までの投資ですので、「つみたてNISA」を利用したほうが総額では多くの金額を非課税で投資をすることができます。

現在の制度では2037年までの制度となっていますが、2037年に購入した投資信託は20年後の2057年まで非課税で保有をすることができます。20年間と長期で非課税のメリットを受けられる点が「つみたてNISA」の魅力です。現役世代が毎月の給料を少しずつ積み立てすることを想定して制度が作られています。

また、必ずしも20年間保有し続けなければいけないわけではありません。積み立てをしている途中で保有している商品が大幅に値上がりして利益が出ている場合は、解約して現金化することを検討しても良いでしょう。

「つみたてNISA」の対象商品

「つみたてNISA」の対象商品は金融庁が積み立て投資にふさわしいと認めたいわゆるお墨付きの投資信託しか対象になりません。金融庁による投資信託の選定基準は主に3つあります。

①手数料が低水準

投資信託の手数料は長期投資においてリターンに大きな影響を及ぼします。「つみたてNISA」の対象となっている投資信託は販売手数料が無料で信託報酬(運用期間中に残高に応じてかかる手数料)も低水準の投資信託のみです。手数料が高くリターンを圧迫するような投資信託は「つみたてNISA」の対象とはなっていません。

②分配金の支払いが低水準

高頻度で高額の分配金を支払うことは運用元本が減ってしまうため、長期運用での複利効果が薄れてしまいます。「つみたてNISA」では複利効果が期待できるように分配金の支払いが低水準の投資信託のみを対象としています。

③長期分散投資に適している

20年間の長期運用となる「つみたてNISA」では、将来のリスクに備えてさまざまな投資対象に分散することが大切です。投資信託の運用においては株や債券等、投資対象を分散すること。また、国内や海外、海外でも先進国や新興国等様々な地域に分散投資をすることが重要です。

「つみたてNISA」では投資対象を分散している投資信託を対象にしています。もともと積み立て投資の利点として購入タイミングを分けることでリスクを軽減する「時間の分散」ができていますので、投資対象や地域も分散することで、さらにリスクを抑えた分散投資をすることができます。

参考:金融庁「「つみたてNISA」の対象商品」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html

金融庁がすすめる「つみたてNISA」の活用事例

金融庁がすすめている「つみたてNISA」の活用事例はどのようなものがあるのでしょうか。「つみたてNISA」のメリットを享受して運用できる具体的な活用方法を考えてみましょう。

結婚資金

結婚にはさまざまな費用がかかります。社会人として働き始めて間もない方は結婚費用のためにも「つみたてNISA」を活用して運用するのも良いでしょう。「つみたてNISA」は必要な時に必要な金額を換金できるので、いつ、いくら必要か分からない資金も「つみたてNISA」を活用して貯めることができます。

結婚する時に「つみたてNISA」で積み立てた投資信託を解約する必要が無ければ、そのまま運用して子どもができた時の教育資金や住宅購入資金に充てるのも良いでしょう。

老後の生活資金

「つみたてNISA」は長期で運用ができるため、老後の生活資金を備えるために有効な投資手法です。人生100年時代と言われ超高齢化社会となっている日本では、現役世代が減り、高齢者が増えますので、年金財政が厳しく年金の減額も予想されます。

そのため、自分の老後のための生活資金は自分である程度貯めておく必要があります。「つみたてNISA」は長期で非課税メリットを享受できるため、老後資金を貯めるには最適な制度です。

教育資金

お子さまがいる方は教育資金を貯めておくためにも「つみたてNISA」が活用できます。「つみたてNISA」の非課税での運用期間は最長20年あるため、お子さまが小さい方やこれから子どもが欲しいと思われている方は、最も学費が必要な大学に通う年齢に向けて「つみたてNISA」を活用してお金を貯めておくのも良いでしょう。

住宅購入資金

将来の住宅購入資金を貯めるためにも「つみたてNISA」を活用できます。毎月数万円を積み立てることにより将来住宅を購入する場合の頭金を貯めることができます。住宅購入するまで「つみたてNISA」をすることで、積み立て分を除いて生活をすることに慣れることができますので、住宅購入後につみたてを中止して住宅ローンの返済資金に充てるのも良いでしょう。

海外旅行資金

海外旅行の資金を貯めるためにも「つみたてNISA」を活用することができます。将来の自分へのご褒美のために、積み立てをすることで楽しく継続してお金を貯めることができます。海外資産に投資をする投資信託に投資をすれば、為替が円安になった場合に資産が増えているので、円安になったとしても実質的な費用を増やさずに海外旅行に行くことができます。

「つみたてNISA」で積み立てている投資信託は一部解約も可能ですので、今回必要な資金のみを解約してまた、積み立てていくということも可能です。

投資学習の資金

「つみたてNISA」は少額でも投資をできることから投資の学習としても利用できます。数千円からできるので、学生でも投資の学習のために投資をすることができます。金融業界への就職を検討している方や、新社会人で資産運用に興味がある方は「つみたてNISA」を使って運用してみると良いでしょう。

自分のお金で運用することで、値動きのチェックや投資対象の勉強にも興味が湧きますので、投資学習をするには、ご自身のお金で運用することが一番です。

参考:金融庁「NISAの活用事例」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/case/index.html

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金融庁が用意する「つみたてNISA」の特徴

金融庁が用意している「つみたてNISA」にはどのような特徴があるのでしょうか。「つみたてNISA」の特徴やどのような方にメリットがあるのかご説明します。

安定的な資産形成をサポートする制度

「つみたてNISA」は国民の安定的な資産形成をサポートする制度です。毎月の積み立て投資を長期で非課税にすることで、老後のための資産形成や、教育資金や住宅購入費用などの資産形成の後押しをしています。

気軽につみたて投資ができるしくみ

少額から積み立て投資ができることで、気軽に運用を始めることができます。また、毎月自動的に積み立てることで、相場をチェックする必要もありません。積み立て投資は基本的に相場の動向を気にせずに一定額をコツコツ積み立てる投資手法ですので、忙しい方でも気軽に投資を始めることができます。

投資商品が初心者向け

「つみたてNISA」は長期分散投資に向いている低コストの金融庁お墨付きの投資信託のみが対象となっています。そのため、初心者でも「つみたてNISA」の対象商品を選ぶことで自動的に金融庁が長期投資に適していると認めた投資信託を購入することができます。どんな投資信託を購入するのが良いか分からない方は「つみたてNISA」を活用して対象の投資信託から選んでみると良いでしょう。

いつでも引き出しが可能

「つみたてNISA」は解約制限がありません。自由に解約できるため、急に必要になった時でも換金することが可能です。また、積み立てをして運用している投資信託の利益確定やつみたての停止、毎月の積み立て金額を増やすことも可能です。引き出しや積み立て金額の増減を自由にできる点も「つみたてNISA」の利用しやすさにつながっています。

ただし、積み立て投資は毎月一定額を積み立てることで、時間の分散を図る投資手法です。基本的には毎月一定額を積み立てたほうが良いでしょう。

月々一定額から始められる

月々一定額から始められるため無理なくお金を貯めていくことができます。引き落とし口座を給与振込口座にすることで、自動的にお金を貯めることができますので、うっかり使ってしまう心配がありません。

月々の給料から確実にお金を貯める時の基本は、余ったお金を貯めるのでは無く、貯めるお金を先に使えないように別の所で移しておくことです。「つみたてNISA」は自動的にお金が普通預金から投資信託に振り替わりますので、「つみたてNISA」の制度はお金を着実に貯めて行くのに役立ちます。

始める前に知っておきたい!「つみたてNISA」のリスクとは

「つみたてNISA」で運用するメリットについてここまでご紹介してきましたが、運用することのリスクはないのでしょうか。「つみたてNISA」で運用する場合のリスクや注意点をご紹介します。

1:購入時の投資信託の価格が取得価格となり、減額もありえる

「つみたてNISA」で購入する投資信託は株や債券で運用していますので、必ず利益が出るわけではありません。毎月定額でつみたてをすることで、時間の分散に繋がるため、ある程度リスクは軽減できますが、運用に「絶対」はありません。運用にはリスクがあり、投資した元本より目減りする可能性があることを理解しておきましょう。

2:金融庁お墨付きでも損することが考えられる

「つみたてNISA」で利用できる投資信託は金融庁のお墨付きですが、金融庁のお墨付きだからといって必ず運用がうまくいくわけではありません。

あくまで、長期分散投資に向いている投資信託を金融庁が公認しているのであって、リーマンショックのような全ての資産が大幅に目減りするような金融危機が起こった場合には、どんなに分散投資をする投資信託であっても値下がりする可能性が高いことを理解しておきましょう。

3:毎月決まった日に投資商品を買わなければならない

「つみたてNISA」を続けている限り、毎月決まった日に投資商品を買わなければいけません。自動的にお金を貯められる一方で、すぐに使えるお金は少なくなってしまいます。「つみたてNISA」のために日々の生活に困るようでは本末転倒です。無理のない範囲で運用しましょう。

4:「つみたてNISA」を始める目的を見失う

結婚資金や住宅購入資金のために「つみたてNISA」をしている場合に、必ずしも資金が必要な時にお金が増えているとは限りません。もともとの目的で使うことができないと「つみたてNISA」を始めた時の目的を見失うこともあります。「つみたてNISA」で運用する際は必ず当初の目的を明確にし、見失わないようにしましょう。

最後に

「つみたてNISA」は非課税で長期分散投資ができる、税制メリットが大きい制度なので、ご自身の資産形成を考える上で有力な選択肢となります。ただし、投資信託にはリスクがあり、必ず利益が出るわけではないことは理解しましょう。長期の資産形成を考えるうえではリスクも理解した上で、税制メリットの大きい「つみたてNISA」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

監修者:矢崎 雅之(ファイナンシャルプランナー)