日経平均株価はドル円相場の影響を受けることが多い指数です。では、実際にドル円相場を決める要因は何でしょうか。また、今後のドル円相場はどうなるのかをファンダメンタル(経済の基礎的条件)から分析していきます。

日経平均株価とは

日経平均株価とは、東京証券取引所第一部に上場する銘柄のうち、日本経済新聞社が選定した225銘柄を対象とした指数です。

トヨタやソニーなど日本を代表する大企業が多く含まれています。

そして、日本の大企業の多くは電気や自動車などの輸出企業です。ですから、円安になると企業業績が好転し、株価が上昇する可能性が高くなります。

例えば、1ドル80円から120円に円安が進んだとします。1万ドルの商品を米国に売ると、「1ドル=80円」なら80万円の売り上げですが、「1ドル=120円」なら120万円の売り上げです。同じ1万ドルの商品でも、日本円で得られる売上は上がるのです。

実際、ドル円で円安が1円進むと、トヨタは400億円、キャノンは53億円の営業利益が増えるとされています。

日経平均株価とドル円(米ドル)の関係

日経平均株価は輸出企業の割合が多いので、ドル円相場の影響を強く受けます。もちろん、輸出は米国だけでなく、欧州や中国などもありますが、最大の輸出相手国は米国です。

ですから、ドル円相場との連動性は高くなっているのです。一般に次のような関係が成り立ちます。

過去2年間のチャートを見てみましょう。

日経平均株価

出典:ヤフーファイナンス

ドル円相場

出典:ヤフーファイナンス

完全に一致しているわけではありませんが、円安傾向の時は日経平均株価も上昇し、円高傾向の時は日経平均株価が下落傾向にあることがわかります。

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

ドル円相場の決定理論

それでは、ドル円相場の変動を決める要因は何でしょうか。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)では、主に次の3つが挙げられます。

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

日米金利差とドル円の関係

現在、ドル円レートで一番注目されているのは日米金利差です。ただし、日本は超低金利政策を継続しているので、あまり値動きはありません。ですから、米国の金利動向が意識されます。

一般に、お金は金利が高い方に流れる傾向があります。そのため、米国が金利を上げると、日本から米国にお金が流れ、円が売られ(円安)、ドルが買われる(ドル高)傾向があります。

一方、米国の金利が低下すると、円高・ドル安になります。

金利の比較には米国10年債利回りと、日本の10年債利回りを比較するのが一般的です。ただし、10年債利回りも日本はほぼ変わらないので、米国10年債の動向が意識されます。

米国10年債利回りの値動きは以下のようになります。

出典:ブルームバーグ

米国10年債利回りが上昇すると円安・ドル高傾向、下落すると円高・ドル安傾向になります。

貿易収支とドル円の関係

貿易が行われると海外とお金のやり取りが発生するので、貿易収支と為替相場には関係性があります。

貿易を行った結果の収支を「貿易収支」といいます。

貿易とは、海外と商品を売買することです。海外に商品を売ることを「輸出」、海外から商品を買うことを「輸入」といいます。

収支とは、収入から支出を引いたもので、収入が大きければ「黒字」、支出が多ければ「赤字」になります。

となります。

そして、貿易黒字は自国通貨高、貿易赤字は自国通貨安となります。例えば、米国への輸出が増えると、米国から受け取るドルが増え、日本ではドルを売って円を買うので、円高・ドル安傾向になります。

為替市場のテーマは変化する

貿易収支は長期的なトレンドを把握するのに適しています。日本は米国に対して貿易黒字が続いているので、長い目で見ると円高トレンドになっています。ただし、短期的には為替の需給や金利差の影響が大きいので、近年はあまり貿易収支に注目は集まっていません。

為替市場もその時代ごとに重要なテーマは変わっています。貿易収支が注目されたのは、1980~90年代です。当時は、米国の貿易赤字と財政赤字、いわゆる「双子の赤字」が問題視されていて、貿易収支の数値にマーケットの注目が集まっていました。1987年の「ブラックマンデー」も双子の赤字が背景にあったとされます。

貿易収支は今も為替市場を動かす要因ではありますが、リーマンショック以降は、金融危機後の景気対策として行われた金融緩和と、その出口となる金融引き締めに注目が集まっているのです。

購買力平価とドル円の関係

貿易相手国(米国)と比較して為替を計算する方法を「購買力平価」といいます。購買力平価も長期的な為替の見方を表すもので、物価が上昇(インフレ)すると、その国の通貨は安くなる傾向にあります。

例えば、コーラ1本が米国で1ドル、日本で150円ならば、150円÷1ドル=150円となり、1ドル=150円の為替レートが妥当となります。

日本がインフレになって、コーラが200円に値上がりし、米国で1ドルのままなら、1ドル=200円が妥当な為替レートになり、円安傾向になります。

ドル円相場の見通し

以上、3つの観点から、今後のドル円相場の見通しを考えてみましょう。

日米金利差

1番注目されているのは日米金利差です。そして、米国金利の動向を決めるのはFRB(米連邦準備制度理事会)によるFOMC(連邦公開市場委員会)です。

FOMCは、約6週間ごとに年8回、2日間にわたって開催されます。2日目には政策金利が発表され、FRB議長による当面の方針が示されます。政策金利の推移は以下のようになります。

出典:時事ドットコム

2008年のリーマンショック以降、金融緩和(金利引き下げ)を行ってきましたが、米国の景気回復から2015年末から金融引き締め(金利引き上げ)を行っています。

米国10年債利回りも政策金利の影響を強く受けます。

米国金利上昇はドル高・円安の圧力となります。しかし、2019年の金融政策は利上げから様子見に転じたと見られています。パウエルFRB議長の声明文で、当面の利上げの可能性は大幅に低下しました。

米国の金利上昇が止まり下落に転じれば、円高・ドル安傾向になります。

貿易収支

貿易収支も米国の動向が注目されます。とはいえ、米国は常に赤字なので、赤字幅が拡大していればドル安要因、縮小していればドル高要因となります。

現在の市場の注目度は以前ほどではありません。しかし、日本に対する米国の赤字が大幅に増えている場合は、円高圧力が強まります。また、中国に対する米国の貿易赤字が拡大している場合も、米中貿易摩擦懸念から円高になる可能性があります。

低金利の円は、投資資金の調達通貨として利用されています。米中貿易摩擦でリスク回避姿勢が発生したときは、円を買い戻す動きが強まるからです。

消費税増税と購買力平価 

10月に予定されている消費税増税。過去3回の増税時はドル高・円安に振れました。増税時の物価上昇や、その後の消費減が原因と見られています。消費税増税による物価上昇は、「購買力平価」から円安圧力となります。

消費税増税時のドル円レートを確認してみましょう。

消費税が導入された1989年4月には、直前の1989年3月末130.55円から1年後の1990年3月末の153.31円まで17%の円安。1997年は5%の円安。2014年は18%の円安が進みました。

また、増税後には駆け込み需要の反動減として個人消費が落ち込み、景気の回復力が弱まることによっても円安が進みました。

以上のことをまとめると、2019年のドル円相場は以下のようになります。

◆金利差からみたドル円相場 円高圧力

米国金利の上昇が止まれば、円高圧力になります。

◆貿易収支からみたドル円相場 円高圧力

特に、米国の対中貿易赤字が拡大していると、米中貿易摩擦懸念からドル安・円高圧力になります。

◆購買力平価から見たドル円相場 円安圧力

10月の消費税増税で物価が上昇すると、円安圧力になります。

まとめ

今回は、日経平均株価に大きな影響を与えるドル円相場の決定理論(ファンダメンタルズ)と、今後の見通しについて解説してきました。

決定理論は主に、次の3つです。

1.日米金利差

2.貿易収支

3.購買力平価

もちろん、ドル円相場は需給やその他の要因が複雑に絡むので、単純にこの3つだけで決まるわけではありません。しかし、この3つの影響力が大きいので注目している投資家が多いのも事実です。今回ご紹介した3つの決定理論を理解して、ドル円相場や日経平均株価の分析に役立てていただければ幸いです。

記事 山下 耕太郎

【過去記事はこちらから】

【株式投資入門】投資のためにチェックしておきたい3つの経済指標

【株式投資入門】投資のためにチェックしておきたい5つの情報サイト

【株式投資入門】投資のために知っておきたいテクニカル分析!2つのチャートの見方

【株式投資入門】NT倍率とは|日経平均株価とTOPIXの仕組みと違いを知ろう!

【株式投資入門】インデックスファンドとアクティブファンド|5つの違いとは?

【株式投資入門】インカムゲインとは?キャピタルゲインとの違いとメリット・デメリット

【投資コラム】積立投資は「つみたてNISA」で始めよう

【投資コラム】分散投資とは?メリット・デメリットと4つの方法を詳しく解説

【投資コラム】信用取引とは?押さえておきたい4つの仕組みとメリット・デメリット

プロが教える株式市場下落時の5つの対処法!フラッシュクラッシュとは?

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓