未来工業株式会社【7931】は「日本一のホワイト企業」として、一躍有名企業になりました。他の企業では考えられない程の待遇を受けながらも、業績を着実に積み上げています。ところで、未来工業が20年以上前から株式を上場していたことをご存知でしょうか。

さらに昨年12月13日には、東京証券取引所第1部にて上場することができました。そうなると同社が投資する企業として、どれくらい魅力があるのか気になるところですよね。そこで同社の業績を調べてみると、決算書も「ホワイト」な表し方をしていることが分かりました。

この記事では同社の決算書が「ホワイト」だと言える理由は何なのかについて、「営業活動によるキャッシュフロー」を基にして解説します。

未来工業は電気・ガス・水道の設備資材メーカー

同社は、岐阜県安八郡輪之内町に本社を置く電気・ガス・水道の設備資材の製造販売を行う企業です。創業は昭和40年で、現在は全国各地に工場と営業拠点を有し、連結子会社も含めた従業員数は1191名(平成30年3月20日時点)です。代表取締役社長は山田雅裕氏で、その他取締役が8名就任しています。

日本一のホワイト企業は成り立ちも一風変わっていた

同社は創業者である故山田明男氏が、自身の主宰していた劇団メンバーと共に起業しました。そして同氏が劇団運営によって培われた理念として、「会社は社員を幸せにする場」と言うものがありました。

それに従って社員を管理しない自由な社風と、効率的に業務を行うための創意工夫を社員に促しました。その結果、年間休日140日、残業・ノルマ無しといった他社では考えられないルールが出来上がったのです。

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東証1部上場により、多くの投資家から注目され買い付けられる

社員全員が創意工夫をして業務に取り組むことは、業界での競争力を育むことにもつながりました。設備資材業界は、価格競争が激しいと言われています。その中で同社は、価格競争に晒されにくい付加価値のあるアイデア製品を次々に発売することで、業績を伸ばしていきました。

そして平成3年に名古屋証券取引所第2部に株式を上場し、さらに昨年12月に東京証券取引所第1部上場を果たすことができたのです。

キャッシュフロー計算書を使えば企業の現状を分析できる

このような経緯をたどってきた同社を、投資先として興味を持たれる方も多いと思います。しかしこういった美談は、表向きの話ではないかという不安が残ります。

また従業員には良い会社でも、株主にはそれほどでもない会社かもしれません。そういった疑問や不安を解決する方法の1つとして「キャッシュフロー計算書」を分析するという方法があります。そこで次の章では、キャッシュフロー計算書について解説します。

キャッシュフロー計算書とは「現金の流れ」を明確に表示できる会計書類

始めにキャッシュフロー計算書の概要を解説します。キャッシュフローとは、日本語で表すと「現金の流れ」です。つまり企業が期間内に使い、得ることができたお金の流れについて表示された会計書類です。

キャッシュフロー計算書は大きく3種類の計算書に分けられて表示されます。「営業活動によるキャッシュフロー」、「投資活動によるキャッシュフロー」そして「財務活動によるキャッシュフロー」です。

3種類のキャッシュフローで企業活動全体におけるお金の流れを把握できる

次にこれら3種類のキャッシュフローについて解説します。まず「営業活動によるキャッシュフロー」とは、主に本業を運営する中で出入りしたお金の流れを表します。次に「投資活動によるキャッシュフロー」は設備投資や新規事業への投資、また資産の運用によるお金の出入りを表します。

そして「財務活動によるキャッシュフロー」では増資や融資による入金や、融資の返済や株主への配当、そして自社株買いによる出金を表します。

損益計算書と貸借対照表だけでは企業の実態をつかみにくい

次にキャッシュフロー計算書が企業の分析に重要な理由について解説します。企業の決算書類には「損益計算書」「貸借対照表」呼ばれるものがあります。損益計算書を見ればその企業が1年間に出した売上や利益を知ることができ、貸借対照表を使えば企業が有している資産とその資金源を理解することができます。

ところが、損益計算書では費用の計算に独特のルールがあり、その期間で売上や費用にできるものとできないものがあります。また企業や業界によっても裁量が認められているものがあり、企業の解釈で売上や利益が変わることがあります。そのため、損益計算書だけでは企業の実態がつかみにくいとされていました。

例えば以前の記事ライザップ赤字転落から株式投資を考える~成長株の利益についてで解説したように、ライザップは他の企業を買収することで資産や利益を実態以上に見せることができました。

【参照】:ライザップ赤字転落から株式投資を考える~成長株の利益について

【投資コラム】ライザップ赤字転落から株式投資を考える~成長株の利益について

キャッシュフロー計算書を見れば企業がその年に使ったお金が分かりやすくなる

このような問題をふまえて、上場企業は「キャッシュフロー計算書」を開示することが定められています。これによって損益計算書や貸借対照表では表しきれない企業の現金の流れを明確にすることができます。損益計算書とキャッシュフロー計算書の違いが出る例として「減価償却費」と呼ばれるものがあります。

減価償却費とは企業が設備投資をした時、多額の現金が費用として使われます。しかし損益計算書では費用をあらかじめ定められた年数に分けて費用として表示することになっています。したがって設備投資をした初年は大きな現金の流出があるにも関わらず、損益計算書では少ない費用で表されるのです。

現金の入っていない売上げや利益はキャッシュフローでは表示されない

さらにキャッシュフロー計算書では、現金の入っていない売上や利益の存在を明確にすることができます。例えば先述のライザップの場合、企業買収をして現金は流出しているにもかかわらず、損益計算書では利益として表示され、貸借対照表では資産が大幅に増加されました。

また企業によっては製品や商品を販売し納品した時点で売上に計上し、入金が確定していないケースもあります。このようなケースでもキャッシュフロー計算書では現金が増えていないことが分かります。

一般的に「営業活動によるキャッシュフロー>利益」が理想的

では、どのようなキャッシュフローであれば健全な経営をしていると言えるのでしょうか。その大きな目安として「営業活動によるキャッシュフローが黒字でかつ純利益より多くなっている」と言うものがあります。

営業活動とは企業の本業を表しています。営業活動による現金収入が安定していることは、企業を続けるうえで最も重要です。また損益計算書で表す純利益よりも多くの現金を営業活動で得ていることは、売上による現金の未回収や、架空売上といった疑いも少ないと言えます。

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未来工業は潤沢な営業活動によるキャッシュフローを得ている「ホワイト企業」である

ここで未来工業の営業活動によるキャッシュフローを見てみましょう。直近5年分の業績を見たところ、純利益に対して営業活動によるキャッシュフローが大きく上回っていることが分かります。

継続的に十分な現金を本業で得られていると言えます。したがって同社の業績には現金の裏付けがある「ホワイト」な決算書であると言えるのです。

投資先を検討する時はまず「営業活動によるキャッシュフロー」を確認しましょう

一般的な家計簿では毎月の現金収入に対して、実際に使った現金を引き算してまとめます。企業が発表するキャッシュフロー計算書は、損益計算書や貸借対照表を家計簿に近い形に表示したものだと言えます。

したがって多くの個人投資家にとってより理解しやすい会計書類だと言えます。もし投資先として考えたい企業が表れた時は、始めに営業活動によるキャッシュフローを調べることをお勧めします。同社の様な安定した現金収入を確認された上で投資をすることで、株式投資による大きな失敗を防ぐことができるのです。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

記事 湯川 国俊

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