【投資コラム】投資信託のコストと税金についてチェックしておく要素とは?

投資信託での利益に対して、マイナスの要素となるのが「コスト(手数料)」と「税金」です。運用実績も大切ですが、コストや税金を抑えれば実質リターンを高めることができます。
この記事では、覚えておきたい投資信託のコストと税金について解説します。
目次
投資信託のコスト(手数料)
投資信託のコスト(手数料)は、主に次の3つです。
● 販売手数料
● 信託報酬
● 信託財産留保額
それぞれ詳しく解説します。
1.購入時手数料(販売手数料)
● 時期:投資信託の購入時
● 支払先:販売会社(銀行や証券会社)
● 支払い方法:直接(手数料率0~4%)
購入時手数料(販売手数料)は、投資信託を購入する際に銀行や証券会社などの販売会社に支払う手数料のことで、購入代金とは別に直接支払います。手数料率は購入代金の0~4%です。ノーロードファンドといって、販売手数料のかからない投資信託もあります。
たとえば、購入代金100万円、手数料3%の場合の販売手数料は以下の通りです(税金等は考慮せず)。
● 100万円 × 3% = 3万円
つまり、100万円分の投資信託を購入するには、手数料を合わせた103万円が必要になるのです。
同じ投資信託でも販売会社によって手数率が異なります。通常、対面型の証券会社(野村證券や大和証券など)に比べて、ネット証券(SBI証券や楽天証券など)の購入時の手数料の方が安くなります。
2.信託報酬(運用管理費用)
● 時期:保有時
● 支払先:販売会社、運用会社、信託銀行
● 支払い方法:間接(年率0.1~2.5%)
信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうためのコストで、保有期間中に毎日支払われる費用です。投資信託の種類によって異なりますが、保有しているファンドに対して年率0.1~2.5%程度かかります。
ただし、顧客が別途支払うのではなく、投資信託が保有している資産(信託財産)の中から支払われます。投資信託の中でも、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)と連動するように作られた「インデックスファンド」は、信託報酬が低くなります。
一方、ファンドマネージャーが銘柄を選定する「アクティブファンド」は、銘柄のリサーチや組み換えなどにコストがかかるので、信託報酬は高くなる傾向があります。
長期投資では、信託報酬がもっとも重要
信託報酬は、投資信託を保有する間ずっとかかる費用なので、長期的に見た場合、運用成績に大きく影響します。信託報酬が低いファンドを選んだ方が、より好パフォーマンスを望めるのです。
3.信託財産留保額
● 時期:換金時
● 支払先:信託財産に留保
● 支払い方法:直接(手数料率0~0.5%)
信託財産留保額は、投資信託を解約するときにかかる費用です。投資信託は株や債券などで運用されているので、投資信託を解約する際は、株や債券を売却して換金する必要があります。
換金するときの費用を、継続して投資信託を保有する投資家に負担させるのは不公平なので、投資信託を解約する投資家に負担してもらう費用が信託財産留保額です。
投資信託によって異なりますが、0~0.5%かかります。
投資やお金の殖やし方を学べる『マネカツセミナー』
↓ 詳しくは画像をクリック ↓
投資信託の税金
投資信託には次の2種類があります。
● 公社債投資信託
● 株式投資信託
それぞれの税金について確認しましょう。
公社債投資信託の税金
公社債投資信託は、約款上で株式の組入れが認められておらず、公社債で運用するファンドです。MMF・MRFなどがあります。
公社債投資信託は、分配金・換金時の収益に対して20.315%の税金がかかります。
株式投資信託の税金
約款上、株式を組み入れることができるファンドが株式投資信託です。債券を中心としたものであっても、株式を組み入れることができれば、株式投資信託となります。
株式投資信託の税金は基本的に上場株式と同じで、売却益や分配金などの利益に対して20.315%の税金がかかります(所得税15.315%、住民税5%)。
株式投資信託の売却益は、原則として確定申告が必要です。ただし、「源泉徴収ありの特定口座」を利用した場合は、確定申告が不要になります。
株式投資信託の分配金は次の2種類です。
1 普通分配金
運用により発生し利益から支払われるので、20.315%の税金がかかります。
分配金が支払われた際に、分配落ち後の基準価額が個別元本(購入時の基準価額)と同額かまたは上回る場合に、その個別元本を上回る部分が「普通分配金」です。
普通分配金は、元本から生じた利益に相当するので、配当所得として課税対象になります。
2 特別分配金
運用の利益がない場合は、純資産総額から取り崩して分配金が支払われます。特別分配金は利益ではないので税金がかかりません。
投資信託の税金を減らすにはiDeCoやNISAを利用しよう
NISAやつみたてNISA、個人型確定拠出年金(iDeCo) を利用することで、投資信託の売却益や分配金に対する税金を非課税にできます。
NISAとは
NISAとは、2014年に始まった個人投資家のための税制優遇制度です。年間120万円以下の投資で得た利益が非課税になります。株式や投資信託などの配当や譲渡益(値上がり益)に対し、最大5年間税金がかかりせん。
出典:NISAとは|金融庁
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/index.html
つみたてNISAとは
つみたてNISAは、投資信託のみの少額投資非課税制度です。長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度で、2018年1月からスタートしました。購入できる金額は年間40万円で、非課税期間は20年間です。購入可能な投資信託は、長期・積立・分散投資に適した投資信託に限られています。
ただし、つみたてNISAとNISAは同時に開設することができません。コストが安い厳選された投資信託の中から選べることや、20年間という長期に渡る非課税期間があるので、初心者の方は投資信託を「つみたてNISA」で始めることをオススメします。
出典:つみたてNISAとは|金融庁
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html
iDeCo(イデコ)とは
NISAだけでなく、iDeCoも利用すれば、投資信託の税金を抑えることができます。iDeCoとは、月々一定額を拠出する「個人型確定拠出年金」です。60歳までの間に毎月一定の金額(掛金)を拠出 し、投資信託や定期預金、保険などの金融商品で運用する制度です。60歳以降に運用した資産を年金または一時金として受け取ることができます。
iDeCoでも、運用益や分配金が非課税になるので、ぜひ利用するようにしましょう。
出典:iDeCoとは|公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/
まとめ
投資信託のコストは、主に次の3つです。
● 販売手数料
● 信託報酬
● 信託財産留保額
運用実績も大事ですが、コストを抑えることも大切です。とくに投資信託は長期保有が前提なので、保有コストである「信託報酬」は必ず確認しましょう。年間でわずか数%の違いでも10年、20年と長期に渡って運用すると大きな差になるからです。
投資信託の税金は、株式と同じ20.315%です。ただし、株式投資信託の分配金については計算方法が異なります。普通分配金と特別分配金の違いを抑えておきましょう。
そして、投資信託を始めるときは、NISA(つみたてNISA)とiDeCoを利用するようにしましょう。値上がり益や分配金に対する税金が非課税になるからです。この記事を読んで投資信託にかかるコストや税金を理解し、運用パフォーマンスが向上すれば幸いです。
記事 山下 耕太郎
【過去記事はこちらから】
【株式投資入門】投資のためにチェックしておきたい3つの経済指標
【株式投資入門】投資のためにチェックしておきたい5つの情報サイト
【株式投資入門】投資のために知っておきたいテクニカル分析!2つのチャートの見方
【株式投資入門】NT倍率とは|日経平均株価とTOPIXの仕組みと違いを知ろう!
【株式投資入門】インデックスファンドとアクティブファンド|5つの違いとは?
【株式投資入門】インカムゲインとは?キャピタルゲインとの違いとメリット・デメリット
【投資コラム】分散投資とは?メリット・デメリットと4つの方法を詳しく解説
【投資コラム】信用取引とは?押さえておきたい4つの仕組みとメリット・デメリット