株式投資のイメージとして「ギャンブル」、「損する可能性が高い」、「難しい」といったものがあります。確かに株式投資をする場合、ある程度勉強したほうが有利です。しかしそれほど難しく考える必要はありません。

株式投資はシンプルにかつ健全に行えば、大きな利益をもたらす可能性があります。そしてその可能性は簡単な数学を用いることで証明できます。

そこで今回の記事では、「期待値」と呼ばれる数学の考え方を用いて株式投資とギャンブルの違いを解説します。株式投資と定期預金を期待値で比較した場合有利であること、さらに株式投資での期待値を高めるための投資先を選ぶポイントについても紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

期待値とは同じ行為を繰り返した結果得られるであろう「相場」

はじめに、期待値について解説します。期待値とは

“確率変数のすべての値に確率の重みをつけた加重平均である”(Wikipediaより引用)。

となっています。

詳しく解説すると、何かを1度行った時に起こりうる様々な結果を、その確率に合わせて調整した平均値を表すものです。例として、サイコロを一回振った時に出る数字を期待値で考えてみましょう。

サイコロに細工が無ければ、1から6の数字の出る確率はそれぞれ6分の1になります。それを用いて期待値を以下の式で算出することが出来ます。

(1×1/6)+(2×1/6)+  (3×1/6)  +  (4×1/6)  +  (5×1/6)  +  (6×1/6)

 = 1/6 + 2/6 + 3/6 + 4/6 + 5/6 + 6/6

    = 21/6 = 3.5(期待値)

このように、サイコロを一回振った時の期待値は3.5になることが分かります。1から6の目が同じ確率で出るので、期待値はその平均値になるということです。

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ギャンブルとはそもそも「期待値」が低くなっている

多くの方はギャンブルに対して、「損をする」とか「遊びの範囲で」と考えています。一方で、ギャンブルすることで得られる金額の大きさに魅力を感じます。ギャンブルで本当に儲けられるかは、ギャンブルの期待値を算出することで「ギャンブルは損をする」ことを明らかにできるのです。

ではなぜギャンブルの期待値が低くなるのかというと、ギャンブルには主催者が存在します。主催者は、ギャンブルというサービスを提供する代わりに利益を出す必要があります。そしてその利益は、ギャンブルに参加する人が出す「賭け金」から捻出します。

したがって参加者は、ギャンブルへの参加費を賭け金と一緒に徴収されているのです。そして支払った参加費分だけ賞金が削られ、結果として期待値が低くなってしまうのです。

300円の宝くじの「期待値」は150円

ここで実際にギャンブルでの期待値例を紹介します。分かりやすいものとして「宝くじ」における期待値を計算してみましょう。以下の表は2018年の年末ジャンボ宝くじにおける期待値です。

※宝くじ公式ホームページが発表している「宝くじ総数」と「当選金額・本数」を基に算出

※宝くじ総数は正式に発売した枚数ではないが、当選本数もその分少なくなる

ご覧のとおり、1枚300円の宝くじに対して期待値は150円に届きません。したがって年末ジャンボ宝くじは何枚買ったとしても、結局のところ150円程度のリターンに収まってしまうと言えるのです。

期待値が十分見込まれるものにお金を使うことが大切

このようにギャンブルに関しては、期待せずに買うことが求められます。一方で資産運用においては、期待値を十分に考慮して行う必要があります。資産運用は原則として長期間にわたって行われます。したがって運用成績はより期待値に近いところに収束される可能性が高いと言えます。

100万円を運用したときの利息を期待値で求める

次に、定期預金と株式投資で運用した時の利息(配当)収入に関して期待値を求めてみましょう。まず、定期預金や株式投資で一般的な利回りを元にして、その間に得られる(1年ごとの)利息(配当)のパターンを想定してその期待値を算出します。なおこの記事では、利息や配当に関する課税を考慮しないとします。

年利0.017%の定期預金では期待値は170円

はじめに、定期預金(固定金利)で10年間運用するときの期待値です。定期預金の利率は0.017%とします。0.017%というのは日本銀行が6月19日付で発表した資料を基にしました。

【期待値の算出】

170(円)×100(%) = 170

= 170円(期待値)

【参考】日本銀行金融機構局:預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について

https://www.boj.or.jp/statistics/dl/depo/tento/te190619.pdf

定期預金は元本保証です、さらに100万円であればペイオフの対象内なので元本も保証されます。しかし利息の期待値は金利が固定されているため170円です。

定期預金に偏った資産運用は世界の経済成長に後れを取る

定期預金は運用先として否定するものではありません。しかし資産運用では、世界経済の成長率に遅れない程度の利率を目標に行うべきものです。経済成長に遅れる利率で運用していると、インフレ(≒貨幣価値の逓減)に遅れることになります。

※IMFが2019年4月に発表した世界の経済成長率は3.3%です。

株式の平均配当利回りは2%ある

では株式投資で運用した場合の期待値はどのようになるのでしょうか。はじめに、分かりやすく配当利回り2%で配当額に変化がなかった場合を想定します。2%としたのは日経新聞が6月20日付で発表した「東証1部全銘柄の平均配当利回り(予想)」が2.08%であったからです。

【引用元:日本経済新聞公式ホームページ(6月20日)】

【期待値の算出】

20,000(円)×100(%) = 20,000

= 20,000 円(期待値)

現在の日本で2%の利息を払える定期預金は存在しません。さらに10年間継続すれば、得られる金額の差は歴然です。また近年は増配に積極的な企業が増えています。そういった企業に投資することができれば、期待値がさらに上回ることは明確です。

数年間不況が続いても株式投資の期待値は高くなる

一方で「株式は不況になると配当を減らすはずだ」という意見があります。筆者もその可能性を十分に想定します。そこで次は現在配当利回り2%で株式投資を始めたものの、途中の数年間は不況で配当が減ってしまった場合を考慮した期待値を算出します。

さらに今後配当を増やすことができない可能性を想定し、以下のような確率で配当金額が変化すると仮定します。

【配当金額の確率】

2万円の確率  :30%

1万5千円の確率 :10%

1万円の確率   :30%

5千円の確率 :10%

0円の確率  :20%

不況などの理由で配当を支払えない年が20%、配当を払うことができても減額される年が50%(3000円が30%、1500円と500円がそれぞれ10%)あると想定しました。そして、この仮定を元に期待値を算出してみましょう。

【期待値の算出】

20,000(円)×30(%)+ 15,000(円)×10(%)+ 10,000(円)×30(%)+ 5,000(円)×10(%)+ 0(円)×20(%)

=6,000 + 1,500 +3,000 + 500 +0

= 11,000 円(期待値)

長期的に見て配当が増えないことは、一般的な株式ではほとんどありません。それでも毎年得られる配当の期待値は定期預金を大きく上回ることになるのです。したがって現代の日本において、「株式投資が定期預金より得する可能性は非常に高い」といえます。

不況と技術革新、そして競争激化を乗り越えられる企業を選び長期間保有する

さらに株式投資では「株価の変動」という問題があります。「いくら配当が良くても株価が下がってしまっては意味がない」という意見に間違いはありません。では株価に対する対策はあるのでしょうか。

資産運用としての株式投資において、最も重要なことは「長期保有」を前提にすることです。なぜなら企業は利益を上げることで「企業価値」が高まり、株価もそれに合わせて高くなるとされているからです。前述の例の通り、不況で配当が減ったとしても長期間保有することで、定期預金を大きく上回る期待値を出すことができます。

株価に関しても不況で株価が低迷しているのに、「現金が必要だから」という理由で売却するのはもったいないことです。

したがって株式投資で使うお金は「余裕資金」、「長期間投資しても問題ないお金」で行うことが重要になります。

参考記事:【株式投資の失敗談】投資先を信じて待つことの重要性

【株式投資の失敗談】投資先を信じて待つことの重要性

一方で長期間保有することで衰退してしまうビジネスの企業への投資も防ぐ必要があります。明らかな成長産業である必要はありませんが、10年程度であれば十分見通しの立つビジネスだと確信できる企業を見つけられれば投資する価値があると言えます。

株式投資はイメージするほど危険なものではない

このように資産運用における株式投資の優位性やギャンブルとの違いは、簡単な数学的思考を用いることではっきりと分かります。そして今回の記事のポイントは、以下のようになります。

〇期待値を計算することで、資産運用で得られる金額を見積もることができる

〇ギャンブルは始めから期待値が低く設定されている

〇日本の定期預金では期待値で世界の経済成長に劣る

〇株式投資では長期保有することで十分な配当が期待値として計算できる

〇長期保有しても問題ない企業を選んで投資することがポイント

多くの方は自分か見聞きした情報でイメージを作る傾向があります。しかし数学的な検証をすることでイメージを払拭し、自らの可能性を広げられれば素晴らしいことです。皆さんもこの記事を基に株式投資に前向きなイメージを持ってもらえれば幸いです。

投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

記事 湯川 国俊

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