【投資コラム】株主優待とは?知って得する裏技と人気優待3選

株を保有しているだけで企業の自社製品やサービスをもらえる「株主優待」の人気が高まっています。株主優待は、企業が株主に株式を保有してもらっている感謝の気持ちを表す制度です。
そのため、企業によってはかなり高額な株主優待がもらえるものもあります。今回は、株主優待を受け取るにはどうしたら良いのか、人気優待銘柄と合わせてご紹介します。
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目次
株主優待とは
株主優待とは、株主還元策の一つで、配当金とは別にサービスや自社商品を企業から株主に送るものです。株主優待は任意の制度なので、すべての企業が実施しているわけではありませんが、上場企業の3分の1(約1500社)が実施しています。
送られてくる優待は、自社商品や自社サービスの利用券・割引券などその企業に関係のある品物のほか、QUOカードやお米・金券などバラエティに富んでいます。
最低売買単位である1単元(100株)以上で株主優待を受け取れる銘柄が多いのですが、複数単元持っていないと受け取れないような銘柄も増えています。また、株式をすぐに売却してしまう株主より、長期保有してくれる株主の方が企業にとってはありがたい存在であることから、長期保有制度を取り入れている企業も増えています。長く保有すれば通常の株主優待に加え、サービスがプラスされるオトクな制度です。
株主優待の会社側のメリット
株主優待は、株主に感謝の気持ちを表すものですが、企業にとっても長期で株を保有してくれる個人投資家の数が増えるというメリットがあります。
株主優待は、安定株主を増やす効果があります。さらに長期保有制度を取り入れると、この傾向は強まります。株主優待を目的で株を保有する投資家は、短期で売るということはしません。長期で自社の株を持ってくれる安定した株主になってくれる傾向があるのです。
また、株主優待を通して自社の商品やサービスを知ってもらい、個人投資家の目を自社に向けてもらう好機と考えているのです。
株主優待を受け取るには
株主優待を受け取るためには、「権利確定日(決算日)」に株主である必要があります。株主優待が年1回実施なら1年に1日、年2回実施なら1年に2回あります。ただし、株を買ってから受け渡しされるまで2営業日かかるので、実際には「権利付最終日」時点で株を買って保有していなければなりません。
権利確定日に株式を保有していれば、株主優待を受け取れます。しかし、権利確定日に保有していなければ、かつて何年間株主であったとしても株主優待は受け取れません。そして、権利付最終日の翌営業日を「権利落ち日」といいます。権利落ち日に株を売却しても優待は受け取れます。
具体的例を見てみましょう。2019年9月の権利付き最終日や権利落ち日は以下のようになります。
30日(月)が権利確定日で、権利付き最終日は2営業日前の26日(木)になります。土日は株の取引ができないので営業日に含めません。2019年9月の株主優待を受け取るには、26日の権利付き最終日に株を保有しておく必要があるのです。
株主優待銘柄のつなぎ売り
権利付き最終売買日に株を買い、翌営業日の権利落ち日に売却すれば、株価の下落リスクを最小限にして株主優待を受け取れると考えるかもしれません。しかし、権利落ち日になると早々に株を売ってしまう方もたくさんいます。
そのため、権利落ち日には株価が大きく下げることが多くなります。そうなると、株主優待の価値以上に株価が下がってしまう恐れがあります。
そんな時に役立つのが「つなぎ売り」です。つなぎ売りとは、現物で保有している銘柄を信用取引で売り建て(空売り)することで、保有銘柄の株価下落リスクを抑える投資手法です。保有する銘柄と同じ銘柄を同株数空売りすることで、保有銘柄の株価下落のリスクを抑えます。つなぎ売りは以下のようなポジションになります。
- 現物株+信用売り建て(空売り)
具体的には以下のような取引を行います。
1.権利付き最終日に成行で、株主優待に必要な現物株を買う
2.権利付き最終日に成行で、現物株と同株数の信用売り注文を出す
3.権利落ち日以降に、両方の反対売買を行う。
注文は、寄り付きの前に現物株と信用取引を同時に成行で出しておけば、同じ価格で約定します。 同じ価格で約定させることで、株価の変動リスクを無くすことができます。
株価が下落すると、現物株は損失がでますが、信用取引の売建は利益が出るため、つなぎ売りを利用すれば株価変動の影響を受けることなく優待を手に入れることができるのです。
つなぎ売りの注意点
株価下落リスクを回避できるつなぎ売りですが、以下のような注意点があります。
1 .信用取引口座の開設が必要
参照:松井証券
つなぎ売り行うためには、現物株の口座だけではなく、信用取引口座の開設が必要です。
2.信用売りができる銘柄は限られる
信用取引で売り建てができる銘柄は、取引所が選定した「貸借銘柄」か証券会社が選定した「一般信用銘柄」のみとなります。自分が欲しい株主優待銘柄でつなぎ売りをしたくても、銘柄によっては信用売りができない場合があります。
3.コストがかかる
つなぎ売りは、現物株と信用売りを同時に行うので、現物株の手数料以外に信用取引のコストがかかります。信用取引のコストは以下の通りです。
1.売買手数料
2.貸株料
信用売りは株を借りて売る取引なので、借りた日数分だけコストがかかります。これを「貸株料」といいます。
3.逆日歩
取引所が選定した貸借銘柄には、逆日歩がかかる場合があります。信用取引している銘柄が株不足になると、追加のレンタル料がかかるのです。ただ、証券会社が選定した「一般信用」では逆日歩がかかりません。
つなぎ売りは一般信用を利用する
信用取引のコストの中で、一番怖いのは「逆日歩」です。常に発生するわけではありませんが、株主優待でもらえる価値以上のコストになる場合があります。つなぎ売りをして価格変動リスクをなくしても、高額な逆日歩がかかっては意味がありません。
しかし、一般信用なら逆日歩は一切かかりません。予測不能な追加コストである逆日歩がかからないので、株主優待の価値以上のコストが生じるリスクを防げるのです。
株主優待は優待利回りだけで銘柄を選ばない
それでは、どのような株主優待銘柄を選べば良いのでしょうか。基本的には自分が欲しい優待を選べば良いのですが、優待利回りが高い銘柄を選ぶのもオススメです。優待利回りの計算式は以下の通りです。
- 優待利回り=年間優待品の金銭換算額 ÷ 投資金額 × 100
ただ、QUOカードやギフトカードなどの金券は計算しやすいのですが、割引券や非売品などは価値の金額を計算できません。優待利回りはあくまでも目安の一つとして考えるようにしましょう。
また、優待利回りが高くても、長期的に株価が下落するようでは意味がありません。企業の内容や業績。株価水準のチェックも大切です。株主優待がなくてもその会社を買いたいか、売上や利益は拡大しているかという点を確認するようにしましょう。
株価水準については、PER(一株あたり利益)やPBR(1株あたり純資産)をチェックします。同業他社に比べて明らかに高い数値の場合は、購入を見送ったほうが無難です。
株主優待人気ランキング3選
それでは、株主優待の人気が高い銘柄を3つご紹介します(株価は2019年7月時点)。
日本マクドナルドホールディングス(2702)
- 権利確定月 :6月・12月
- 株価: 4,895円
毎年6月と12月の保有株数に応じて、優待食事券がもらえます。バーガー類・ サイドメニュー・ドリンクの商品引換券が6枚ずつで一冊です。保有株数に応じて以下のように冊数が変わります。
- 100株以上 1冊
- 300株以上 3冊
- 500株以上 5冊
イオン(8267)
出典:イオン
- 権利確定月 :2月・8月
- 株価: 1,892円
イオンの株主優待カードを利用すると、保有株数に応じて半年ごとに買い物金額の合計から3~7%のキャッシュバックがあります。
出典:イオン
さらに毎月20・30日の「お客様感謝デー」に株主優待カードを提示すると、さらに5%割引になります。
ヤマダ電機(9831)
出典:ヤマダ電機
- 権利確定月 :3月・9月
- 株価: 481円
ヤマダ電機は家電販売業界の最大手で、全国の都道府県に店舗を展開しています。全国のネットワークだけでなく、一般家電からデジタル商品まで幅広い商品が揃っています。ヤマダ電機の優待券も株数に応じて優待内容がアップします。株価水準も低いので、高い優待利回りが魅力です。優待内容は以下の通りです。
3月末
100株 2枚(1,000円分)
500株 4枚(2,000円分)
1,000株 10枚(5,000円分)
10,000株 50枚(25,000円分)
9月末
100株 4枚(2,000円分)
500株 6枚(3,000円分)
1,000株 10枚(5,000円分)
10,000株 50枚(25,000円分)
まとめ
株主優待は株式を保有するだけでもらえるオトクな制度です。自社製品やクオカードなどさまざま商品やサービスを受け取れます。ただし、優待を受け取るには権利付き最終日までに株を買って保有しておく必要があります。
今回は特に人気が高い3銘柄をご紹介しましたが、株主優待を実施している企業は1,500社以上あります。興味のある商品やサービスの優待銘柄を探してみてはいかがでしょうか。
記事 山下 耕太郎
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