【8267】イオンは全国各地にショッピングモールやスーパーマーケットを展開し、日本の小売業では業界トップです。また同社は株式を上場しており、魅力的な株主優待をする企業として、優待目的の投資家に人気があります。その一方で、同社が展開するビジネスの仕組みについて詳細を知らない方が多いのが現状です。

同社のビジネスの中心は、スーパーマーケットを展開する小売業です。しかし利益を生み出すカギは、同社のグループ企業が互いに機能しあうことで成り立っています。その点で同社は、もはや普通のスーパーマーケット企業とは異なる業態だと言えるのです。

そこで今回の記事では、イオンのビジネス展開について決算書類を見ながら解説します。この記事を読むことで、同社についてより詳しくなることができます。ぜひ最後までお読み下さい。

 

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イオンは三重県発祥の日本最大規模の小売業

イオンとは、小売・不動産・金融をはじめとした各種関連サービスを子会社として展開する純粋持株会社です。企業としての設立は1926年(大正15年)、さらに創業は1758年に四日市(現:三重県四日市市)にあると言われています。

その後、1970年代に「ジャスコ」という屋号でスーパーマーケット事業を展開し、同時に三菱商事と「ダイヤモンドシティ(現:イオンモール」というショッピングセンターを開発する企業を設立しました。

 グループ全体の従業員は約58万人に達する企業に成長しました。
関連会社を含めた店舗数も2万店を超え、全国どこへ行ってもイオンがあるという状態になっているのです。

参照:イオンの業績

イオンの株主優待「オーナーズカード」の得点は多くの投資家に人気

イオンは株式上場企業として、個人投資家からも人気があることで知られています。その理由の1つに、同社が提供している株主優待が挙げられるのです。同社の株式に投資し、所定の期間投資を続けると「オーナーズカード」と呼ばれるカードが株主あてに届けられます。

同社のオーナーズカード最大のメリットは、買い物額に応じたキャッシュバック制度です。イオンのスーパーや関連会社のスーパーで買物した金額と保有株式数に応じて、現金が返還されます。仮に最低限の100株の投資をすると、3%のキャッシュバックを半年ごとに受けられるのです。例えば同社で1ヶ月に3万円の買物をする方であれば、半年で18万円×3%=5400円の現金が戻ってきます

さらにオーナーズカードがあれば、イオンの店舗内にある「イオンラウンジ」を無料で利用することができます。イオンラウンジは、空港にあるラウンジの様にお菓子や飲み物が提供され、ソファなどに座ってくつろぐことができるのです。

イオンへの投資で意識すべきことは「普通の小売業ではない」こと

このように長期保有を目指す個人投資家にとって、イオンの株主になることは魅力的だと言えます。ところが、同社への投資を行う上で意識しておくべきポイントがあるのです。そこでここからは同社の企業としての実態を解説し、理解していただきます。

少し話がずれますが、筆者がこれまでの記事で一貫して述べている「自己資本比率」について考察します。同社の自己資本比率とその内訳を知ることで、事業展開の実態が理解しやすくなります。同社の自己資本比率は10.9%(2019年2月期末)です。ライバルであるセブン&アイホールディングスの自己資本比率は43.5%(2019年2月期末)であり、それに比べると大幅に低く見えます。

しかし自己資本比率の低さだけで、同社のビジネスに問題があるとは言いきれません。その理由は、同社の決算書類を見ることで理解することができるのです。

イオンは「銀行業による貸出金・預金」がビジネスの資金源

では、イオンの決算書類はどのようになっているのでしょうか。はじめに同社の貸借対照表を分析します。(以後決算書類は2019年2月期末時点のものです)

同社の総資産は10兆453億8,000万円、そして負債総額は6兆71億5,600万円です。そして負債の内訳にある「銀行業における預金」が3兆4,430億5,300万円となっています。また、資産の内訳には「銀行業における貸出金」というものがあり、こちらは1兆9,653億5,300万円です。これは一体何を表しているのでしょうか。

これは同社の子会社である「イオンフィナンシャルサービス(以下イオンF)」が受け持っている資金です。イオンFはクレジットカードサービスをはじめ、銀行保険業を行っていますしたがって同社は子会社の金融機関が集めた資金をグループ全体のビジネスに活用しているのです

売上のメインは小売業だが利益のメインは金融と不動産

次に、同社の売上(営業収益)と利益をセグメント(事業)ごとに分類してみます。2019年2月期末の同社からの発表によると、営業収益ではGMS事業とSM事業の2つで6兆円を越えているのです。これら2つの事業は、イオンとその系列のスーパーマーケットやコンビニなどを運営しています。
したがって、営業収益の70%以上は小売業から得られているのです。

一方で、利益(営業利益)から見ると大きく変わります。2019年2月期末での同社全体の営業収益は2,122億5,600万円でした。そしてセグメントごとの営業利益では、総合金融事業(イオンFなど)が最も多く708億3,900万円、その次はディベロッパー事業の555億9,000万円だったのです。

ちなみにディベロッパー事業とは、イオンモールなど大型ショッピングセンターの開発や運営を行っています

そしてこれら両事業の営業利益を合わせると1,200億円以上になります。したがって同社のビジネスは、金融業と不動産業(ディベロッパー事業)にて利益を確保していると言えるのです。

専門店が出店したくなるイオンモールを作る

このように分析することで、同社のビジネスの全容が見えてきます。同社は立地条件の見合った場所にディベロッパー事業が大型のショッピングセンター開発し、各種店舗に出店してもらいます。そして多くの地域住民に来店してもらうのです。

同社のショッピングセンターが生み出す集客力は、各種専門店にとって非常に魅力的です。したがって賃貸料を払って出店しようとします。
こうして同社は、ディベロッパー事業で利益を残していくのです。

各種カードやポイントで金融業の収益力(信用創造)を高める

さらに同社は、買い物時に同社グループが発行するクレジットカードやポイントカードを利用することで特典を付け、利用を促します。その結果、同社の金融子会社に多くの資金が集まりやすくなり、集まったお金で次のビジネスへの投資をすることができるのです。このようにして同社は利益を確保しています。

小型スーパーを展開し同社への利用をさらに高める

そして同社は、食品中心のスーパーマーケットを全国各地に展開しています。スーパーマーケットでも、同社のカード類を利用することができるのです。さらに日本の各地方でシェアを取っているスーパーマーケットと提携して、同社のカード利用を可能にしています。またスーパーマーケットの業態も高級品を扱うものからコンビニ、そしてディスカウントストアーまで多種多様に展開しているのです。

このように同社は々の買物から週末のショッピングまで、常にお金を使ってもらうような仕組みを作っています

イオンへ長期投資をするなら自らもイオンを利用するべき

今回の記事ではイオンの株主優待の魅力と、同社が利益を生み出す仕組みについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。
今回の記事のポイントは以下の通りになります。

◯イオンは8兆円以上の売上をあげる日本最大の小売業

◯株主優待でもらえる「オーナーズカード」は類まれな特典

◯同社の自己資本比率は小売業としては低い

◯金融子会社の財務諸表が全体の自己資本比率を下げている

◯金融と不動産子会社が同社の利益を支えている

◯ショッピングセンターで集客し、不動産と金融で利益を出す

◯地域密着型スーパーとも提携して顧客を確保している

このように同社はグループ企業がその特長を活かすことで、大企業に成長することができたのです。そして、この仕組みを海外へと広げようとしています。イオンへの長期的な投資を考える方は、この記事で解説した同社の仕組みを理解してください。そしてオーナーズカードを活用して、自身も同社の売上に貢献していくことをお勧めします。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

記事 湯川 国俊

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