自分が好きな商品を販売している企業に投資することは、株式の長期保有を目指す方におすすめできる方法の1つです。女性の方であれば、好きなファッションブランドの企業に投資される方もいらっしゃいます。その中で「サマンサタバサ」への投資に興味を持った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ところが、サマンサタバサブランドを運営している「サマンサタバサジャパンリミテッド」の業績は低迷しています。2019年2月期末では、3期連続の赤字を計上したのです。さらに創業者である寺田和正氏が、社長を退任する事態にまでなりました。

業績好調な頃は将来を有望視された企業でしたが、なぜこのようになってしまったのでしょうか。これまでの経緯を調べ直すと、同社は株式を長期保有するにはおすすめできないポイントが数多く見られたのです。

 

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そこでこの記事では、サマンサタバサ業績不振を題材にして、成長著しい企業は長期保有の投資には不確実な点が多くあることを解説します。

この記事を読めば株式の長期投資をする時に、チェックすべきポイントを知ることができます。ぜひ最後までご覧ください。

※サマンサタバサは2016年をピークに売上げが減少し続けています。

 

サマンサタバサはバッグやジュエリーを軸にしたアパレル企業

はじめに、サマンサタバサのこれまでの経緯についておさらいします。同社の創業は1994年です。バッグの企画・製造・販売を事業とした「株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド」という社名で設立されました。その後、繁華街や百貨店などのテナントを中心に出店し、事業が拡大していったのです。そして2005年に東証マザーズにて、株式上場を果たしました。

「あこがれ」を引き立てる広告手法で成長する

当時、同社のマーケティング手法は業界から注目を浴びるものでした。若い女性向けの可愛らしいデザインのバッグを大物芸能人やカリスマモデルが使用している広告を全面に出してきたのです。この手法によって、当時の若い女性の「あこがれ」を引き出すことに成功しました。こうして同社は日本だけでなく、海外にも出店していったのです。

事業拡大を目指すが思うように進まず

株式上場後、同社はアパレル事業を買収し、バッグ以外のカテゴリーに進出を図ります。はじめは順調に見えたのですが、2009年に赤字決算を出したのです。そして次の年には黒字に戻し様々な事業を展開しましたが、利益は思うように伸びず、2017年に再び赤字決算となったのです。そしてそれ以降は売上も減少し、3期連続の赤字決算になっています。

創業社長退任と同業他社からの出資を受け再建を図る

そして2019年4月、同社は事業の再編を図るべく大胆な方針転換を行いました。創業者でかつ社長であった寺田和正氏が、その職を退くことになったのです。さらに同氏が保有していた同社の株式の半数を、コナカの湖中謙介氏に売却する事になりました。

これによって、寺田氏は同社の経営から退くことになりました。そして同社は新しい体制の下で、業績の回復に臨むことになったのです。

※サマンサタバサの業績を利益面だけ着目すると、徐々に低下していることが分かります。

成長株を長期保有する場合「ビジネスのタイプと強さ」を分析しよう

このような経緯をたどったサマンサタバサですが、業績が急成長していた時期から株式を長期保有するには向いていない要素が多くありました。それは成長株と呼ばれる企業に投資する上で、注意すべき共通のポイントです。

そこでここからは、サマンサタバサの事例を元に成長株に長期投資をする上での注意すべきポイントについて解説します。

 

【業界全体の成長性】サマンサタバサは「国内では縮小している」業界に属する

はじめに見るべきポイントは、成長株が所属する業界全体の動向になります。成長株への投資がおすすめできるのは、業界全体が成長段階にある時です。サマンサタバサが属するファッション業界は、国内で成長株と言われた当時から縮小傾向にありました。その中で、新興企業が大きなシェアを奪うことは非常に困難です。

カバン・袋物市場は1兆円程度

さらにサマンサタバサがメインとするバッグ市場に注目してみると、市場全体は1兆円程度あるとされています。さらにサマンサタバサの商品は、バッグ市場の中でも限られたカテゴリーです。サマンサタバサが株式上場した後の売上高が約135億円でした。したがって、サマンサタバサがバッグ市場でさらにシェアを高めるのも難しくなってきていたと言えるのです。

 

【業界内の位置づけ】サマンサタバサはファッション業界の「カテゴリーキラー」

では、なぜ同社は急成長を遂げることができたのでしょうか。それは斬新なデザインと独特な広報戦略によって「カテゴリーキラー」になることができたからです。カテゴリーキラーは、メインの市場を席巻することができます。

カテゴリーの「選択と集中」で市場を席巻

サマンサタバサはファッション業界の中でも、バッグとうい特定のカテゴリーに焦点を搾りましたそれによって製造・販売に必要な様々なコストを抑え、印象的な広告にお金をかけることができたのです。これは、小さな企業が大手に立ち向かうときに行う経営戦略の1つとして知られています。

カテゴリー外への進出が困難

一方で、カテゴリーキラー戦略には弱点があります。それは他業種への転換が難しいことと、客単価が上がりにくいことです。

サマンサタバサの場合、バッグとジュエリーでは成功したものの、アパレルでは上手くいきませんでした。また、総合ファッションブランドの様に、バッグを買ったついでに他の商品を買うといった「ついで買い」での売上アップが難しかったのです。

 

【企業統治の状態】創業社長の独裁状態だった

この度社長を退任した寺田氏は、サマンサタバサの株式の60%以上を保有していました。これは経営に関する決定は、寺田氏の意見がほとんど通るという状況です。これもカテゴリーキラーとして成長していた当時は適していたのですが、事業を拡大する上では足かせになったといえます。

実際サマンサタバサは、寺田氏に依存する社風が色濃く残っていました。そのため、事業拡大のために有能な管理職を招聘しても運営が上手くいきませんでした。

 

【成長戦略の適合性】アパレル進出は競争の激しい異業種進出

サマンサタバサは若い女性向けのバッグ市場で成功し、さらなる拡大戦略としてアパレル企業を買収しました。自社の製品に関連した業界への進出は定石どおりです。その結果、売上の拡大には成功しましたが、利益率は低下しました。前述の通り、国内のファッション業界は縮小傾向です。したがってサマンサタバサがアパレル業界へ進出し成功することは、困難だったといえます。

 

【参入障壁】ブランド力を高める「広告手法」は大手なら真似できる

次に、成長株がその利益を維持し続ける事ができるのかを考えましょう。高い参入障壁を有したビジネスでない限り、利益の維持は困難です。

サマンサタバサの場合、ブランド力を高める広報戦略・店舗戦略を行ってきました。しかし同様の手法は、大手ファッションブランドであればすぐに真似することが可能です。さらに大手であれば、サマンサタバサと類似した客層を狙った商品を販売することで、シェアの確保を狙います。結果としてサマンサタバサは、高い利益率を維持することが出来なかったのです。

 

【社会情勢の変化とスピード】サマンサタバサのビジネスは「社会情勢の変化」が早い

サマンサタバサが属するファッション業界は、商品のライフサイクルが早いと言われています。今流行に乗っているファッションでも、数年経てば廃れてしまうこともよくある話です。サマンサタバサが急成長してきたた時期から既に10年以上経ち、ファッションのトレンドは大きく変わっています

購買意欲を高める「インフルエンサー」の変化

例えば、サマンサタバサはカリスマモデルや大物芸能人を全面に出した広告を打ち出すことで、多くの女性に影響を及ぼしました。しかし近年はSNSが発達と共に、多くの若い女性が「高嶺の花」ではなく、身近なインフルエンサーを見つけてファッションの参考にするようになりました。

 

【技術革新の変化とその影響】サマンサタバサは「IT技術の革新」で利幅が削られる

この10年程度で、IT技術は飛躍的に成長しました。その結果、買物の方法まで大きな変化をもたらしたのです。これはサマンサタバサが得意としてきた販売方法では、利益を取りづらくなってきていることを表します。

ネット販売の台頭

スマホの普及で、多くの人がインターネットで衣服を買うようになりました。その結果、実店舗では下見をして、実際の購入は格安のネットショップで行うケースが増えたのです。昨今、百貨店をはじめ小売業界は苦戦を強いられています。サマンサタバサも百貨店やファッションビルへの出店が多いため、利益を削られることは当然の結果でした。

フリマアプリ・シェアビジネスの台頭

通信技術の発達は、個人間の売買を活発にさせました。はじめにフリマアプリの台頭です。この影響で、新品を買わずに中古品で済ませる人が増えました。またシェアビジネスやレンタルビジネスも、サマンサタバサの製品を買わない人を増やすことになったのです。

 

【まとめ】社長交代と事業再編で業績回復に期待

いかがでしたでしょうか。このように成長株に投資するときは、成長や利益を維持するためには様々な要素で問題が無いことを確認する必要があるのです。たとえ自分の好きな商品を販売している会社であっても、時代の移り変わりに対応できるかどうかを考えてから投資されることをおすすめします。

なお、サマンサタバサは3期連続の赤字をふまえて事業の再編を行っているようです。有名ユーチューバーとコラボするなど、時代に合わせた販売戦略も始まっています。新しい経営体制のもと、バージョンアップしたサマンサタバサになることを願うばかりです。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

 

記事 湯川 国俊

 

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