2019年11月時点の預かり資産が1,900億円と、ロボアドバイザーサービスでトップのウェルスナビが、新たな資産運用の形として「資産運用3.0」を打ち出しました。

これまでの資産運用と何が違うのでしょうか。ウェルスナビの新しい資産運用の形について解説します。

ウェルスナビとは

ウェルスナビは、AI(人工知能)を利用して、資産運用を自動的に行なってくれるサービスです。

これまでの資産運用は、自分で投資先や購入のタイミングを決めなければいけませんでした

また「長期・積立・分散」投資が大切だと分かっていても、個人が資産運用を行うには、さまざまな金融・経済・会計の知識が必要で、手間や時間もかかっていたのです。

しかし、ウェルスナビでは従来の資産運用のプロセスをすべて自動化しました。ロボットに任せて運用できるので、資産運用の知識がない方や、忙しくて時間がない方でも簡単に資産運用できるようになったのです。

ノーベル賞受賞者の理論に基づく資産運用

ウェルスナビでは、専門知識がなくても、6つの質問に答えるだけで簡単に資産運用を始めることができます。ウェルスナビの資産運用は、1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏の「現代ポートフォリオ理論」です。

これまで機関投資家や一部の富裕層だけのものだった理論を、テクノロジーの力で誰でも使えるようにしました。また、投資はまとまった資金が必要だと思う方もいるかもしれませんが、ウェルスナビは10万円から始められ、自動積立は1万円から設定可能です。

少額から気軽に資産運用を始められるという点も、ウェルスナビの大きな特徴です。

ウェルスナビが掲げる「資産運用3.0」とは

ウェルスナビは、新たな資産運用として「資産運用3.0」を打ち出しました。従来の資産運用と何が違うのでしょうか。

資産運用1.0と2.0

 まずは、従来の資産運用の形(資産運用1.0と2.0)について確認しましょう。

資産運用1.0 株やFXなどの短期売買

投資というと、短期売買を思い浮かべる方も多いでしょう。株やFX、仮想通貨などの売買で何億円も儲けたという話を聞くこともあると思います。しかし短期売買はゼロサムゲームなので、勝っている方もいれば、負けている方もいます。

しかも、長期的に勝ち続けている方は1割以下とも言われる厳しい世界です。短期メインの売買を、ウェルスナビでは「資産運用1.0」と定義しています。

資産運用2.0 長期・分散・積立投資による老後資金作り

資産運用2.0は、老後に向けた備えです。最近では、つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの非課税制度も充実してきました。背景にあるのは、日本社会の構造変化です。これまでは、定年まで勤めれば退職金と年金だけで老後資金は十分でした。

しかし退職金は減少し、年金給付水準も低下する見通しです。そこで、金融庁が打ち出したのが、「長期・分散・積立」投資です。

長期・積立・分散投資による効果は、投資先を分散すればするほど、積立期間が長期であるほど、収益がバラつきにくくなるのが特徴です。

以下の図をご覧ください。1985年以降の各年に、毎月同じ金額ずつ国内外の株式・債券に積立・分散投資したと仮定し、保有期間が経過した時点での時価をもとにして運用結果を算出したものです。

出典:融審議会 市場ワーキング・グループ報告書

保有期間が5年では、100万円が72万~173万円とマイナスリターンも発生しますが、保有期間が20年になると100万円が185万円~321万円になります。保有期間が20年になる投資収益率2~8%とプラスリターンに収斂し、そのバラつきも小さくなるのです。

もちろん、これは過去の実績に基づくものなので、将来の結果を保証するものではありません。しかし、長期・積立・分散投資がリスクをコントロールし、一定のリターンをもたらしやすい手法であるといえます

ロボアドバイザーは、この「長期・積立・分散投資」を自動で行ってくれるサービスです。ウェルスナビは1,900億円まで資産を増やしました。長期・分散・積立投資を後押しするために、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税制度も充実してきました。

しかし、ロボアドバイザーとつみたてNISAなどの非課税制度をすべて足しても、預かり資産は1兆円未満です。1,800兆円といわれる日本の個人金融資産と比べるとわずかな預かり資産なのです。

資産運用3.0とは

日銀が発表している資金循環統計によると、2018年度末の個人(家計部門)が持つ金融資産の残高は1,835兆円と過去最高を更新しました。しかし、全体の53.3%を占めるのは預貯金です。
出典:
WealthNavi

貯蓄から投資への流れを進めるためには、「一人ひとりに対してカスタマイズされたサポートをしていく」ことが必要だと、ウェルスナビの柴山CEOは語っています。これが、ウェルスナビが考えている「資産運用3.0」です。

具体的には、一人ひとりに合わせたライフプランの作成や、AI(人工知能)による適切なアドバイスをする機能の提供を通じて、個人向け金融サービス全体を最適化することを目指しています。それでは、資産運用3.0の具体的な中身を見ていきましょう。

ライフプラン

ライフプランは、資産形成をサポートします。一人ひとりに必要な老後資産を計算し、必要な毎月の積立額を提供。金融庁の「老後資金2000万円問題」で、資産形成に対する関心が高まっていますが、具体的にどうすれば良いのか迷う方も多いでしょう。

資産運用3.0ではプランの作成だけでなく、積み立てと運用状況から、老後を迎えた時に資金に余裕があるのか足りないのかをチェックできる機能を盛り込んでいるのです。

最近は、FP(ファイナンシャルプランナー)によるカスタムメイドのライフプラン作成などを提供する金融機関も増えています。しかし、実際に相談に行くのは面倒だと感じる方もいるでしょう。

ウェルスナビでは、アプリの一機能として提供するので、気軽に使うことが可能です。

AIによるアドバイス

AI(人工知能)によるアドバイスは、東大の松尾研究室と共同で研究を進めています。相場分析をして、どのような銘柄を購入すれば良いのかを提示するようなAIではなく、「長期・分散・積立」投資を続けていく上で、必要なアドバイスを行います。

当初は、ロボアドバイザーを続けてもらうことにフォーカスし、相場が急落したときに解約を引き止めるために利用します。相場が大きく下落する局面では、損失が膨らむ恐怖心から運用を止めてしまう方もいます。

そういったときに、AIが状況を分析してアドバイスすることで、運用を続けるかどうか冷静に判断できるようになるのです。AIは個人のプロフィールやアクセスログ、相場状況を学習し、不安になっている方などを判別し、相場環境に応じて最適なメッセージを提示します。

今後は、積立金額をいくらにすれば良いのかなどのアドバイスにも応用していく予定です。

ウェルスナビは本格的なPFM事業への参入を目指す

ウェルスナビは資産運用サービスだけでなく、他の金融機関やフィンテックサービスと連携することで、利用者全体の資産を最適化することを目指しています

つまり、預貯金や住宅ローン、保険など個人が保有する金融資産を総合的に管理するPFM(個人財務管理事業)への参入を検討しているのです。

柴山氏は、富裕層が受けているプライベートバンクのような機能を、一般の人にも提供したいと考えていました。どんなに優秀なプライベートバンカーでも、サービスを提供できるのは100人程度。

ウェルスナビのAIがプライベートバンカーと同程度のサービスを提供できれば、資産運用はより身近になります。

まとめ

ウェルスナビが掲げる「資産運用3.0」は、これまで一部の富裕層だけが受けていたプライベートバンキングサービスをAI(人工知能)で行うということです。

資産運用3.0では、一人ひとりに最適なライフプランの作成やアドバイスを行い、金融サービス全体を最適化します。

また、投資だけでなく、保険や預貯金など他の金融資産などの情報を使って、利用者の資産全体を最適化するPFM(個人財務管理事業)への参入も検討しています。

 今後、ウェルスナビの「資産運用3.0」がどの程度実現できるかに注目が集まっています。

 

記事 山下 耕太郎

 

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