人生100年時代を迎え、将来の資産形成に対する関心が高まっています。そんな中、NISA(少額投資非課税制度)の今後についてどうするかという議論が高まっています。

①つみたてNISAをいつ始めても非課税期間が20年

②一般NISAの積立型

という案がでてきているのです。いずれも12月にまとめる2020年度税制改正大綱に盛り込まれる方針です。今回は、今後のNISAの制度がどう変わっていくのか、またこうした議論の背景について解説します。

 

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NISA(少額投資非課税制度)とは

今回、制度の変更が検討されているのは、「一般NISA」と「つみたてNISA」です。一般NISAは、2014年に始まった個人投資家を対象とする少額投資非課税制度です。年120万円を上限に5年間、株式や投資信託の売却益や配当の利益が非課税になります。

一方、つみたてNISAは2018年に始まり、年間40万円、非課税で20年間積み立てられます。主に、若年層らが長期にわたって資産形成するのを支える制度です。

つみたてNISAの非課税期間をいつ始めても20年に

つみたてNISAを利用できるのは、日本国内に住む20歳以上です。非課税の対象となるのは、「長期・積立・分散」投資に適した投資信託だけです。

金融庁の調査では、2019年6月末で約147万口座が開設され、買付総額は1,780億円となっています。つみたてNISAは若年層を中心に広がっています。たとえば、つみたてNISAにおける年代別買付額割合は以下の通りです(平成30年6月末時点)。

出典:内閣府 税制調査会

40歳代以下で68%を占めており、若年層を中心に、将来への不安が高まっていることが明らかになっています。つみたてNISAは少額から積立投資でき、金融庁が選んだ投資信託なので安心感もあります

ただし、現在のつみたてNISAの制度で新規投資できるのは、2037年末までと決まっています。2018年から始めていれば、20年間の非課税制度を使って800万円の積み立てができますが、始めるのが遅れると、1年で最大40万円減ってしまうのです。

現行の制度は以下の通りです。

出典:金融庁

2018年に始めると非課税期間は20年なので、投資可能額は800万円ですが、2019年は760万円、2020年は720万円と毎年40万円ずつ減っていきます。2037年には40万円しか投資できないのです。ただし、2037年に購入した投資信託については20年間(2056年まで)非課税で保有できます。

しかし、2020年の税制改正で、いつから始めても開始時から20年間は非課税の積み立て投資ができるようになります。制度の利用開始の期限は、2037年末までと同じです。

つまり、2037年に投資しても2038年以降に積立投資を継続でき、投資可能額が800万円になるのです。

つみたてNISAの積立期間が延長されることは歓迎されることです。しかし、若年層を中心に広がっているとはいえ、つみたてNISAの口座はまだ147万口座です。

2014年に始まった一般NISA(1161万口座)の10分の1程度にすぎません。

一般NISAにつみたて型

一般NISAの新規投資可能期間は2023年までです。つみたてNISAとの一本化検討されていましたが、2024年に比較的リスクの低い投資信託などに投資対象を限定した「つみたて型」を新設する方向で調整に入りました。

つみたてNISAと同じように、安定的な資産形成を促すのが狙いです。12月にまとめる2020年の税制改正大綱に盛り込む方針です。

「5年間・年120万円」という非課税枠は維持しつつ、「つみたて型」を新設するのです。

一般NISAは株式にも投資できることから、短期売買に使われているとの指摘もあります。

ただ、すでに1,200万口座近くに達するなど人気が高く、延長を求める声も強かったのです。つみたて型へ利用者を誘導する仕組みなどは、これから検討されることでしょう。

一般NISAとつみたてNISAは、将来的に一本化も検討されていました。しかし、次のような課題からすぐに実現するのは困難です。

運用資金の使い道と投資上限枠

一般NISA・つみたてNISAの使用資金は問われません。老後資金や住宅資金、子供の学資資金でも大丈夫です。そして、いつでも引きだせるという利便性もあります

しかし、つみたてNISAは20年間という投資期間が設定されています。投資対象も「長期・積立・分散」投資に適した投資信託のみです。つみたてNISAもいつでも解約できますが、老後の生活を支える資産形成という目的が大きいのです。

また、投資上限枠の問題もあります。一般NISAは年間120万円ですが、つみたてNISAは40万円。金融庁や金融機関は120万円に近づけたいものの、「金持ち優遇」の批判がでる恐れがあります。

また、つみたてNISAの40万円にすると、現在一般NISAで投資している方の非課税枠が減ってしまいます。

投資対象者

金融商品の投資対象もどうするかという問題もあります。一般NISAは、上場株式と投資信託が投資対象のメインです。一方、つみたてNISAは投資信託とETF(上場投資信託)のみです。

一般NISAは株式が取引できるという特徴があり、一般NISAとつみたてNISAを一本化するのであれば、その統一も必要になります。一般NISAでは短期運用に使われている資金もあるので、つみたてNISAに投資対象商品を合わせれば良いとは限りません。

iDeCo(イデコ)も拡充

つみたてNISAの投資期間延長と一緒に、個人型の確定拠出年金であるiDeCoも拡充します。原則60歳までの掛け金の拠出期間について、65歳まで伸ばすのです。期間が伸びれば老後に受け取る年金も増えます。

iDeCoは、企業年金がない会社員なら年間27.6万円まで拠出できます。拠出期間が5年伸びれば138万円を追加で出せます。iDeCoは20歳から60歳になるまで、40年間の非課税拠出枠が与えられています。40年続ければ拠出金額は1104万円になりますが、さらに138万円をプラスできるのです。

また、企業型の確定拠出年金も70歳まで伸びます。企業型の加入者は9月末で約720万人で、138万人のiDeCoの加入者を大きく上回ります。現在は企業型確定拠出年金に加入していると、原則iDeCoへの加入は不可(会社が認める場合は可能)ですが、会社員が両方できるように改めます

確定拠出年金は、 金融機関の取り扱い規制が緩和されました。銀行などの窓口で営業員が商品を説明できるようになったのです。りそな銀行など、積極的に顧客対応している金融機関もあります。

まとめ

つみたてNISAは、今後いつ始めても20年間の積立期間が適用されるようになります。積立期間が長くなることで、貯蓄から投資への流れを後押しすることが狙いです。

また、2023年に投資期限を迎える一般NISAも、つみたて型の新設で継続される方針です。詳細な仕組みはこれからですが、短期売買ではなく、長期での資産形成がメインになりそうです。

政府がiDeCoも含めた資産形成のための制度づくりを急ぐのは、少子高齢化と人口減の問題があるからです。今後、公的年金だけでゆとりある老後生活を送るのは、難しくなると考えられます。公的年金以外にも、個人が資産形成できる制度を見直していく方針なのです。

参照:厚生労働省HP

記事 山下 耕太郎

 

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