個人の外貨預金残高が7兆円超と過去最高水準を更新しており、中長期での円安圧力として注目されています。

今回は、なぜ個人の外貨預金が増えているのか、その理由と背景について解説します。

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外貨預金とは

国内で低金利が続く中、資産運用のひとつとして外貨預金が注目されています。外貨預金とは、日本円ではなく外国の通貨で預金することです。

外貨預金の方法は、基本的に円預金と同じで、普段利用している国内の銀行ですぐに始められます。また、外貨預金にも普通預金や定期預金があり元本保証です。

ただし、円預金では日本円で預け入れて日本円で払い戻しますが、外貨預金では日本円を外国通貨に交換して預け入れ、払い戻しは外国通貨を日本円に交換します。

元本保証はあくまでも外国通貨ベースなので、日本円に交換した場合は、為替レートによって損失がでる可能性があります。つまり、預けたときよりも預金が目減りしてしまう可能性があるのです。

それでも外国の方が日本よりも金利が高い傾向にあり、利息も多くもらえる通貨が多くあります

銀行によって扱っている外貨は異なりますが、米ドル・ユーロ・豪ドルを中心に、英ポンドやスイスフラン・ブラジルレアル・南アフリカランドなど、さまざまな通貨建ての預金が取りそろえられています。

外貨預金のメリット

それでは、外貨預金のメリットについて見てきましょう。

金利が高い

通貨によって異なりますが、一般的に円預金よりも外貨預金の方が金利は高めです。日本円で預金する場合、年間の金利は0.01%以下というのがほとんどです。

一方、米ドル1.8%、豪ドル0.7%、南アフリカランド 5.7%(1年もの年率・税引前)と、日本円に比べて高い金利が得られます(住信SBIネット銀行の場合)。

為替差益が狙える

円預金にないメリットが、為替差益です。為替差益とは、預け入れた時よりも払い戻した時の為替レートが円安になった場合、円で受け取れる金額が大きくなることです。たとえば100万円をドル建てで預けたとします。

預ける時の為替レートが1ドル=100円であれば、預金残高は1万ドル(100万円÷100円)になります。このあと為替レートが変動し、1ドル=110円の円安になったとします。

1万ドルの預金を解約し日本円に払い戻すと110万円(100円✕1万ドル)が手元に残り、この時の為替差益は10万円になります。

外貨預金のデメリット

外貨預金のデメリットについても確認しましょう。

為替差損がでる

外貨預金は円安になった時に為替差益を狙えるのがメリットですが、逆のケースも考えられます

たとえば、100万円を預けた時のレートが1ドル=100円(預金残高1万ドル)だったのに対し、払い戻しの時に1ドル=90円の円高になると、日本円換算で90万円まで目減りしてしまいます。

損失が出ている場合、再び円安に動くのを待って預けたままにしておくか、それ以上損失が膨らまないように早めに解約するしかありません

つまり為替差損を出さないためには「円高の時に預けて、円安の時に引き出す」ことが必要ですが、そう簡単に為替レートの動きを読むことはできません。

そこで、為替差損のリスクを減らすには、積立投資を利用するのがおすすめです。これは毎月一定額を外貨に交換していく投資方法です。円高の時でも円安の時でも同じ金額を継続的に外貨に交換するため、為替レートを平準化できるというメリットがあります。

ただし、為替レートを平均化してリスクを小さくできますが、損する可能性がなくなるわけではありませんので注意しましょう。

手数料がかかる

外貨預金をする時は金利ばかりに目がいってしまいますが、高い為替手数料を取られてはせっかくの金利が台無しです。為替手数料は日本円から外貨へ交換する時と、外貨から日本円に戻す時にかかります

為替手数料は金融機関によっても異なり、大手金融機関に比べてネット銀行の方が安い傾向にあります。場合によっては10倍以上もの開きがあるので、手数料に関してもきちんと下調べをしておくことをおすすめします。

外貨預金が過去最高水準を更新している理由

前述にあるように個人の外貨預金残高は2019年に7兆円を超え、過去最高の水準を更新しています。日銀の資金循環統計によると、個人(家計)の外貨預金残高は2019年6月末時点で7兆2,314億円と、2018年に比べて約5千億円増えました。

背景にあるのは、日本の低金利です。日銀が2016年2月にマイナス金利政策を導入し、市場金利は一段と下がりました。現在の円建て定期預金の金利は、大手銀行で年0.01%程度。100万円を預けても年間の利息は100円にしかなりません。

円建ての定期預金の残高は2018年度末に426兆円となり、現在の統計で遡れる1997年12月以降で最低になりました。

一方、外貨預金は日銀のマイナス金利が導入されてから2割増えました。また、野村資本経済研究所の調べでは、2018年度末の家計の外貨建資産(外国株や外国債券・投資信託を含む)は、43兆6,300億円になりました。金融資産全体に占める比率は前年より1%増えています。

2019年6月に金融庁の「老後資金2,000万円不足」問題で老後に不安をもつ人が増え、利回りが高い外貨での運用に目を向けるようになってきているのです。

外貨預金と円高・円安の関係


ある国の通貨と別の国の通貨を交換することを「外国為替」といい、その交換比率を「為替レート」といいます。

個人の外貨預金が、中長期的な円安圧力となっています。米ドル預金は、円をドルに変えるので、外国為替市場から見れば「ドル買い・円売り」の取引です。

個人の外貨預金は、現預金990兆円の0.7%にすぎませんが、今後の拡大余地は大きく、現預金の1%が外貨預金に動けば、10超円規模の円売り需要になります。

10兆円規模の円売りは5~6円程度の円安になるとの試算もあり、個人の外貨預金が活発になれば、円安への圧力がかかることになるのです。

金利収入に目を向けた外貨預金が手掛けやすくなっている背景


外貨預金が増えている背景は、円相場の値動きの縮小も考えられます
。ドル円相場の年間値幅は、2018年に9.99円とはじめて10円を割り込みましたが、2019年も7.94円と過去最小を更新しました。

過去60日間の値動きの変動率を示す「ヒストリカル・ボラティリティ」も4%強と、約5年ぶりの低水準にあります。年間値幅の変動幅も、7~8%と1980年以降で最小です。

「円相場は動かない」というのが、共通の認識になっているのです。大きく円高に進むリスクが少なければ損失も限定されるので、国内に比べて相対的に高い金利が魅力的に感じます。

たとえば、住信SBIネット銀行の米ドルの定期預金は年1.8%(税引き後1.43%)の金利がつきます。また、メガバンクなども優遇金利で同程度の金利を提示しています。銀行側もドル建て融資や外債投資のために外貨預金を獲得したいという動機があるので、金利優遇のキャンペーンなどを行っているのです。

ただし、これまで円相場が動かない状況が続いているからといって、今後も値動きが小さい状況が続くという保証はありません。2019年1月3日には、わずか1分でドル円が4円も上昇した「フラッシュ・クラッシュ」が起きました。

2020年はイギリスのEU(欧州連合)離脱や米大統領選を控えており、値動きが荒くなる展開も考えられます。

まとめ

国内で低金利が続いていることに加え、円の値動きが小さくなっていることから個人の外貨預金残高は増え続けています

とくにドル円相場は、2年つづけて10円未満の年間値幅となりました。円高に進み、為替差損を被るリスクが少ないという見方が多くなっているのです。

ただ、動かない相場が今後も続くという保証はありません。また、元本が保証されているわけでもありません。あくまでも外貨預金は余裕資金で行うようにしましょう。

記事 山下 耕太郎

 

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