2020年3月24日、【9432】日本電信電話株式会社(以下NTT)は、国内自動車最大手のトヨタ自動車株式会社(以下トヨタ自動車)と業務資本提携を結ぶことで合意しました。

この提携によって、将来の街づくりに向けた両社の協業が今後期待されています。

ところで近年、NTTは個人投資家に向けて積極的な施策をとっていることをご存知でしょうか。これはNTTが株式市場でどのような立ち位置にあったかという経緯をふまえて、自社の強みを生かした株主還元を目指した上での施策なのです。

そこで今回の記事では、NTTの個人投資家への施策について解説します。さらに過去の業績を分析して、投資先としての魅力について解説します。ぜひ最後までご覧ください。

 

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NTTとトヨタ自動車の資本提携は協業で「未来の街」を作るためのもの

はじめに、NTTとトヨタ自動車で行われた業務資本提携について解説します。NTTとトヨタ自動車は、以前からITと自動車の機能を連携した「コネクティッドカー」を共同で開発することを進めていました。

その一方で両社は、独自に「スマートシティ」と呼ばれる新しい街づくりの開発を進めていたのです。スマートシティとは地域の住民、企業、そして自治体がIT技術を共有してより快適な暮らしができる街づくりのことで、世界中で研究が進められています。

このような時代の流れにおいて、日本を代表する両社は協業してスマートシティの開発を進めなければならないことを自覚していました。そしてその方向性が一致したため、この度の業務資本提携となったのです。

さらに発表では東京都と静岡県にて、スマートシティの実装に向けて取り掛かるとしています。

【参照記事】NTTとトヨタ自動車、業務資本提携に合意

https://www.ntt.co.jp/news2020/2003/200324b.html

【関連記事】電気機器メーカーであるソニーはすでに「電気自動車」の開発に取り組んでいます。もはや業界の垣根を超えた研究開発は必須です。

https://manekatsu.com/blog/investment/20200131_30453.html

NTTは日本の通信インフラ最大手

次に、NTTという企業についておさらいしてみましょう。NTTはかつて公営企業だった日本電信電話公社の民営化に基づき、1985年に日本電信電話株式会社として設立されました。※NTTという呼称もこの時に決められました

その後、携帯電話の普及とインターネットの発達にともない事業を拡大していきました。現在でも子会社であるNTTドコモは、国内シェア1位の携帯電話キャリアです。またインターネット通信事業でも、高いシェアを有しています

NTTではその他にも、長距離・国際通信事業とデータ通信事業、そして不動産・金融・電力といった事業を展開しています。

NTTは第4次産業革命でも大きな担い手

現在世界の産業界では「第4次産業革命」に突入したとされています。第4次産業革命ではビッグデータを分析し活用する通信技術と、自己学習できるコンピューター技術の発達が見込まれています。先ほど解説したスマートシティにおいても、その活用が見込まれています

ちなみに、最近注目されている「5G」と呼ばれる通信技術もその一つであり、NTTが持つ情報通信技術の活用が第4次産業革命で期待されているのです。

個人投資家数の減少を解決する必要があった

このように大企業でかつ将来性も十分にあるNTTですが、近年個人投資家の株主数の減少が課題となっていました。個人投資家が減ることで、すぐに経営難に陥ることはありません。

しかし個人投資家の存在は、企業を統治する上で重要な存在なのです。では、なぜNTT株に投資する個人投資家が減ってしまったのでしょうか

NTT株はバブル経済の象徴

NTTは設立から2年後の1987年に株式上場しました。そしてNTTの安定したビジネスが高く評価され、多くの投資家から人気を集めたのです。

さらにバブル経済の波に乗って株価は300万円を突破し、世界一の時価総額に達したのです。また個人投資家の株主数も、最大で160万人に達しました。

バブルの汚名と世代交代で個人投資家が離れてしまった

しかし時代が進む中で、NTTに投資する個人投資家が減っていきました。まずバブルの後、日本経済は停滞しNTTの株価も低迷していったのです。

その中でNTTの株式を手放す個人投資家が徐々に増えていきました。さらに近年は上場〜 バブル期にNTT株へ投資した個人投資家が死去し、相続の際に売却されるケースが増えていると推測されています。

その結果、2019年期末時点での個人投資家数は約63万人にまで減少しました。またNTT株全体における個人投資家の保有比率も16%になったのです。

個人投資家の確保は上場企業の社会的責務

では、なぜ個人投資家の減少がNTTの経営に問題となるのでしょうか。それは個人投資家数の少ない上場企業は、少ない株主だけの片寄った見解で企業統治が行われるとして株式市場での評価が下がるからです。

【参考記事】

不特定多数の株主で構成されていることが、企業統治の理想形です。任天堂も企業統治の理想形を目指した施策を行いました。

https://manekatsu.com/blog/investment/20190312_23481.html

個人投資家増加への切り札「株式分割」と「株主優待」

このような現状に対してNTTは、2020年1月から2つの戦略を実行しました。それは、「株式分割」「株主優待」の導入です。この戦略は、個人投資家の支持を集める切り札としてよく用いられます。

ではこれら戦略が個人投資家にとって、どのようなメリットが生まれたのでしょうか。

【参照記事】株式分割および配当予想の修正ならびに株主の皆様へのdポイント進呈について

https://www.ntt.co.jp/news2019/1911/191105b.html

株式分割:株価は減るけど持ち株数が増えること

はじめに、株式分割について解説します。株式分割とは元来発行していた株式数を一定数に分割することで、株式数を増やす方法です。この度のNTTでは、1株を2株にする株式分割を実施しました。

これによって従来の株主は、持ち株数が2倍に増えることになります。例えば、100株保有の株主であれば200株に増えるのです。その一方で、株価は半額に減額されます。したがって株式の価値は、株式分割の前後で変わることはないのです。

株式を一部売ることで投資資金を回収できる

では株式分割には、どのようなメリットがあるのでしょうか。まず株主は分割された株式の一部を売ることで、投資資金の回収をすることができます

例えば投資した時の株価より2倍以上になっていれば、分割された株式の半分を売却するだけで投資資金を回収できます。さらに残り半分の株式で、株主としての権利を保持できるのです。

株価が下がるので少ない資金でも株主になることができる

一方で、これからNTTに投資する方たちにもメリットがあります。株式分割によって株価が下がるため、少ない投資資金でも株主になることができます。今回のNTTでは、分割前の終値が5,568円でした。

以前であればNTT株を買うには、55万円以上必要でしたが、株式が2分の1に分割されたため、半額の23万円程度で株主になることができるようになったのです。

株主優待の新設:長期保有株主にdポイントを進呈

次に、株主優待の新設について解説します。株主優待は個人投資家の支持を集める手法として、日本では多くの企業が導入しています。この度NTTが開始した株主優待も、自社の強みを生かした内容です。

【関連記事】国内小売大手のイオンは他に類を見ない株主優待を実施していることで知られています。自社の強みを生かした株主優待は個人投資家増加に影響しています。

https://manekatsu.com/blog/investment/20191007_27672.html

子会社が展開しているポイントを付与

NTTが新設した株主優待は以下の通りです。

 ・株式保有期間が2年以上・5年以上に達した株主に付与

 ・保有期間2年以上に達した株主には同社の「dポイント」を1500ポイント付与

 ・保有期間5年以上に達した株主には「dポイント」を3000ポイント付与

 ・2020年3月期末に限り保有期間2年以上5年未満の株主に1500ポイント、保有期

  間5年以上の株主には3000ポイントのdポイントを付与

dポイント提携店舗が急増している

NTTが株主優待で付与するdポイントとは、子会社であるNTTドコモが自社の携帯電話利用者向けに始めたポイントサービスです。

開始当初はドコモポイントという名称で、ポイントを携帯電話料金やプレゼントに交換するサービスが中心でした。

ところが近年、NTTドコモはドコモポイントをdポイントに移行しました。さらにdポイントで国内のコンビニやスーパー、そして飲食店と連携を進めていったのです。

これによって、株主優待でdポイントを得ることのメリットはさらに大きくなっているのです。

【参考】dポイントが使えるお店(dポイントクラブ公式サイト)

https://dpoint.jp/store/index.html

過去10年の業績は堅調

このようにNTTは個人投資家にメリットのある施策をとったのですが、業績が低迷していては投資する価値はありません。そこで最後にNTTの過去10年の業績について解説します。

営業収益・利益はゆったりと上昇している

営業収益(売上高)は、企業が行うビジネスにどれほどの需要があるかを指し示します。また利益は、事業がビジネスとして成立できているかを表します。

※数値の単位は億円

営業収益(売上)と利益は、いずれも順調な成長を残しています。NTTの通信事業は今後も需要が期待できるビジネスなので、着実な成長が期待できます。

営業キャッシュフローが潤沢なビジネスモデル

営業キャッシュフローは、ビジネスで実際に入ってくるキャッシュを表します。通常純利益よりも多い営業キャッシュフローがあれば、安定した資金繰りが実現していると分析できます

※数値の単位は億円

純利益に対して、より多くの営業キャッシュフローを継続的に得られています。これはNTTの資金繰りが安定していることを表しています。携帯電話事業やインターネット通信事業で利用料金が定期的に入ってくる仕組みが、潤沢なキャッシュフローを支えているのです。

増配意欲もある

長期保有の投資家にとって、配当金は投資を続ける意欲を持たせるものとされています。

※配当金の単位は円

NTTは、配当金の増額にも意欲的です。この10年間も継続的な増配が行われており、今後も増配を続ける意欲を表明しています。

ROEは平均的だが近年は上昇傾向

ROEは株主価値の成長性を測る指標として、長期保有の投資家には重要な指標の1つです。

NTTのROEは決して優良なものではありません。しかし直近2期では、10%に近いROEを残しています。これは近年効率的な経営が実現していることを表しています

このようにNTTは通信インフラの最大手として安定した業績を残しており、将来の需要も見込まれます。したがって長期保有の投資先としての資質は十分にあるのです。

NTTは安定かつ長期的な株式投資を求める方にはおすすめできる

今回はトヨタ自動車と業務資本提携したNTTが個人投資家におすすめできる理由について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。今回の記事のポイントは以下の通りです。

 ・NTTはトヨタ自動車と提携してスマートシティの共同開発をすることになった

 ・NTTは国内最大の携帯電話・インターネット回線企業

 ・NTTは第4次産業革命でも重要なビジネスを手掛けている

 ・バブル経済でNTT株が個人投資家に多くの人気を集めた

 ・バブル以降、個人投資家から見放される傾向が続いた

 ・個人投資家の流出を防ぐため株式分割と株主優待の実施をはじめた

 ・NTTの業績は安定しており、配当金も増加傾向にある

NTT株といえば、「親がバブルでNTT株を買ったことが一族の汚点」と笑いの種にする方がいらっしゃいます。しかしそれは当時からビジネスの安定性と収益力が高く評価されていたことを表しているのです。皆さんもこれを機会にNTTについて見直してみられてはいかがでしょうか。

記事 湯川 国俊

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