新型コロナウィルスによる「コロナ禍」は、企業の経営に大きなダメージをもたらしています。突然経済活動を停止され、資金繰りが悪化し経営破綻する企業が出始めているのです。

もちろん倒産した会社の株主は、大きな損失を受けることになります。したがって株式投資をする上では、投資先が倒産するリスクをできるだけ避けたいものです

そこで今回の記事では突然の不況でも倒産しない企業を見つける指標として、「流動比率」「当座比率」を解説します。さらに十分な流動比率と当座比率を有している企業として、【7447】ナガイレーベンを解説します。

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

ナガイレーベンは医療介護業界の制服を製造販売することがメインビジネス

ナガイレーベンは、東京都千代田区に本社がある卸売企業です。事業内容は主に、病院や介護施設向け白衣や靴・靴下の販売と輸出入です。創業以来100年にわたって医療業界に特化したビジネスを続けており、国内白衣市場では60%のシェアを有しています。

医療や介護業界での仕事は立ち座りが多く、患者や利用者との身体的接触が多い仕事です。そのため、動きやすさと安全性を両立させた衣服が求められます。

ナガイレーベンは医療や介護業界のそうした事情を取り入れ、衣服を開発し販売してきたのです。

企業は「お金が無い=倒産」

ナガイレーベンが倒産しにくい企業であることを解説する前に、企業が倒産する原因と倒産リスクを見分ける指標について解説します。

企業が倒産(経営破綻)する最終的な理由はただ一つ「経営に必要な現金がなくなったから」です。例えば借金を返済するお金が無くなった場合、その時点で会社の資産を差し押さえられてしまいます

借金をしないと経営を続けられない状態が続くと危ない

逆に言うと、支払うお金が用意できれば倒産はしません。そのため誰かから資金を借りて、その場の支払いができれば倒産を防ぐことができます。しかし支払いをまかなえるだけの売上に回復しない限り、倒産のリスクは高いままです。

また経営が危ない状態で資金を借入れると利息も高くなります。したがって企業としては、資金が無くなって借金をするのはできるだけ避けるべきです。

現金化できる資産を一定量保有することが突然の倒産を防ぐ

そこで企業は突然の不況への対策として、現金や現金化が容易な資産を保有するようにしています。ビジネスの内容にもよりますが、短くても数か月間持ちこたえられる資産があれば安全です

例えばご家庭では突然の事故や病気で給料が無くなるリスクに備えて、数か月間過ごすことができる現金や預金を持つことが基本です。養うべき家族や長い老後を考えると「宵越しの金を持たない」という考え方は危険です。

現金の保有比率を表す指標:流動比率

では、企業が突然の不況に耐えられる余力を示す指標はあるのでしょうか。はじめにおすすめできる指標は「流動比率」です。

流動比率では比較的現金化しやすい資産(流動資産:現預金・売掛金・債権・商品など)と、比較的短期間で支払うべき負債(流動負債:買掛金・返済期限が近い借金など)とのバランスを調べることができます。

一般的に200%、つまり流動資産が流動負債の2倍以上あれば良いとされています

流動資産の保有比率をさらに厳しく表す指標:当座比率

ところが流動比率だけの分析には、デメリットがあります。それは流動資産の中に「商品在庫・材料など」が含まれることです。商品がすぐに売 れれば現金になるのですが、売れない商品だと現金になりません。

またメーカーなど業種によっては、仕掛品(商品になる前段階の品物)や原材料も流動資産になるのです。仕掛品や原材料をすぐに現金化することは、商品以上に困難です。

このような流動比率のデメリットを補う比率として「当座比率」というものがあります。当座比率では、流動負債に対して比較する資産を「当座資産=現預金・売掛金・債権・有価証券」に限定するのです。そして流動負債と同額以上の当座資産を有していれば、倒産リスクは低いと評価できます

現金の保有比率が高いと経営の効率性が低下しやすい

一方で、流動比率や当座比率が高いことによるデメリットがあります。それは、経営の効率性が低下することです。仮に流動比率や当座比率をよくするため、流動負債に対して現金の保有比率を高めたとします。

しかし現金を保有しているだけでは、大きな利益を得ることができません。突然の不況に備えて現金を保有することと、利益を効率的に得ることは裏表の関係にあるのです。

ナガイレーベンの流動比率は高い水準

ではナガイレーベンの流動比率や当座比率は、どのようになっているのでしょうか。はじめに流動比率について見てみましょう。 

このようにナガイレーベンは、流動負債に対して大量の流動資産を有していることが分かります。しかし、ナガイレーベンの流動資産の内訳には「商品」が含まれています。もし売れない商品が資産として計上されていれば、流動比率が高くても問題が出てきます

ナガイレーベンの当座比率なら突然の不況でも耐えられる

次に、ナガイレーベンの当座比率を確認してみましょう。

ナガイレーベンは、当座比率で分析しても高い比率を表しています。したがってナガイレーベンは突然の不況に襲われたとしても、簡単には倒産しない企業であることが分かります。

ナガイレーベンは自己資本比率も十分

企業の安全性を表す基本的な指標として自己資本比率」というものがあります。自己資本比率と合わせて分析することで、流動比率・当座比率では分析できない財務の全体像を把握できます。

ナガイレーベンは自己資本比率で分析しても、非常に高い比率を維持しています。流動比率・当座比率と合わせて考えると、ナガイレーベンが倒産の危険性を最小限に抑える経営を貫いていることが理解できます。

経営の効率性も損なわないレベルを維持

一方でナガイレーベンの高い流動比率・当座比率が、経営の効率性を落としているのではないかと考えられます。そこで経営の効率性を表す基本的な指標であるROE(自己資本利益率)を使って、ナガイレーベンを分析してみましょう。

このようにナガイレーベンは、8%~10%の範囲のROEを維持しています。この数値は日本の上場企業の中では、平均以上のROEです。したがってナガイレーベンは、安全性と効率性のバランスを維持しながら経営をしていることが理解できます。

ナガイレーベンの事業への需要は堅調

次にナガイレーベンの売上の推移を調べて、商品への需要がどの程度あるのかを分析しましょう。売上が順調であれば、ナガイレーベンの商品には需要があることが確認できます。

参照:ナガイレーベン公式ホームページ

ナガイレーベンは日本の医療介護業界の拡充とともに、売上と利益率を伸ばし続けています。この業績はナガイレーベンが顧客である医療介護現場の声を集めて、高機能で付加価値のある商品を提供し続けているからだと分析できます

ナガイレーベンのキャッシュフローも十分

最後に、ナガイレーベンは業績に見合ったキャッシュフローを得ているのかを確認しましょう。キャッシュフローが十分にあれば、経営に必要な資金が順調に生み出されていることが確認できます

ナガイレーベンでは若干の上下変動はありますが、利益に見合ったキャッシュを安定的に得ていることが分かります。これは売上を過度に計上するようなことはせず、堅実な取引を行っていることを表しています

健全な財務と安定したビジネスをしている企業に投資しよう

今回はコロナショックのような急激な変化でも乗り越えられる企業を分析する方法と、その事例を紹介しました。内容をおさらいすると、以下の通りにまとめられます。

 ・企業は必要なお金を用意できなくなった時点で経営が破綻する

 ・現金を多く保有することが、企業が突然の不況を乗り切るポイントになる

 ・企業が保有する現金の比率を確かめる指標には流動比率と当座比率がおすすめ

 ・流動比率や当座比率が高いと経営の効率性が落ちる可能性がある

 ・ナガイレーベンは医療介護業界に絞ったビジネスで業績を伸ばしている

 ・ナガイレーベンの財務は非常に高い流動比率と当座比率である

長期的な株式投資をする上で重要なことは「良い投資先を選ぶ」です。そして良い投資先とは高いリスクをとって儲ける企業ではなく、安定したビジネスを健全な財務で運営している企業なのです。

皆さんも十分な需要の見込みがあり、過度な借金を抱えていない企業へ投資されることをおすすめします。

記事 湯川 国俊

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

【過去記事はこちらから】

【投資コラム】損しないための株式投資~投資指標を活用してリスクを減らそう!

【投資コラム】ライザップ赤字転落から株式投資を考える~成長株の利益について

【投資コラム】大塚家具倒産の危機から株式投資を考える~資産の内容と業績の推移に注意しよう

【投資コラム】ソフトバンク株を配当金目当てで投資する時の注意点~同業他社と比較しよう

【投資コラム】メルカリは有望な投資先なのか?~投資をする上で分析するポイント

【投資コラム】「村上ファンド」は個人投資家の味方だと言える理由〜新明和工業の資本政策

【投資コラム】任天堂の株式売り出しとガバナンス~株式を買って経営に参加しよう!

日本郵政と資本業務提携したアフラックは個人投資家にも魅力的な理由

【投資コラム】株主優待が魅力のイオンに投資するときに意識してほしい「利益の仕組み」

【投資コラム】株式投資のリスクを軽減する方法

【投資コラム】サマンサタバサの3期連続赤字から成長株投資での注意点を考える

【投資コラム 】 セブン銀行とイオン銀行、似ているようで違う?ビジネスモデルと将来性

【投資コラム】オリックスって何の会社?個人投資家に人気の理由に迫る!

【投資コラム】ソニーはなぜ電気自動車を発表したのか?ソニーの事業について再確認しよう

【投資コラム 】人口が増加している沖縄県は投資の価値あり!「おすすめ沖縄上場企業3社」

【投資コラム】カーブスが株式上場!スピンオフの背景とカーブスの将来性

【投資コラム】「アメリカ株」おすすめの買い方は「配当貴族の長期保有」だという理由 (米国株式投資のメリットとデメリット)

コロナショック(株価暴落)では「ホールド・追加投資・損切り」いずれも正解の理由〜投資コラム〜

トヨタ自動車と資本提携したNTTが個人投資家にもおすすめできる理由【投資コラム】

無印良品ファンは【7453】良品計画に株式投資すべき【投資コラム】