大手証券がポイント投資に力を入れている理由【投資コラム】

大手証券会社がポイント投資に力を入れはじめています。
ポイント投資の導入が大手証券に広がっている理由と、サービス内容にどのような特徴があるのかについて解説します。
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目次
ポイント投資とは
ポイント投資とは、貯めたポイントを使って株の売買などができるサービスです。
現金だと投資しにくいという方も、ポイント投資なら気軽にはじめられるでしょう 。
なぜなら現金での投資がポイントに変わることで、「お試し感覚でできる」「投資のハードルが下がる」と感じる方が多くなるからです。
また普段の買い物でポイントが貯まるので、投資のために貯金をしなくてもよい、というメリットがあります。
ただ、投資するにはある程度まとまったポイントが必要になるので、自分が貯めやすいポイントサービスなのかどうかが大切です。
また、投資するためにムダな買い物をするのは避けるべきです。最近はポイント還元率が高いキャンペーンもおこなわれていますが、それにつられて買いすぎては意味がありません。
もしポイントを貯めるのが難しいときは、現金での投資をした方が良いでしょう。
大手証券でもポイント投資を導入
「ポイント投資」の導入は、大手証券でも広がっています。ポイントを使って気軽に投資できるという特徴から、若年層(20~40代)を呼び込み、顧客層を広げるのが狙いです。
大手証券会社の顧客は高齢の富裕層が中心なので、ポイント投資をきっかけに次世代の顧客の獲得を目指そうとしているのです。
2020年7月に、大和証券グループ本社子会社のCONNECT(コネクト) が、クレディセゾンの共通ポイント「永久不滅ポイント」や三菱商事系の共通ポイント「ポンタ」で運用できるポイントサービスをはじめました。
野村ホールディングスやSMBC日興証券に続くポイント投資サービスがスタートし、これで大手証券が出揃う形となりました。
ポイント投資の先駆けになったのが、野村ホールディングスとLINE証券子会社が共同出資した「LINE証券」です。
2019年11月からは、LINEポイントが使えるポイント投資のサービスを開始しました。
そしてSMBC日興証券では、2020年3月から投資情報メディア「日興フロッギー」を通じ、NTTドコモのdポイントを利用して株を購入できるようになったのです。
ポイント投資で口座開設数が増加
大手証券がポイント投資に取り組んでいるのは、20~40代の若年層に対して投資のハードルを下げるためです。
実際、SMBC日興証券では日興フロッギー経由の口座開設数が、ポイント投資の開始後に約7倍に増えました。
口座開設数の増加は、新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要も含まれますが、ポイント投資をはじめたことも大きな要因だったとみられています。
大手証券では、ポイント投資による若年層の掘り起こしに期待をかけているのです。
LINE証券のポイント投資サービス
LINE証券は、2019年8月にサービスを開始。ポイント投資は11月からはじまりました。
貯まったポイントを証券口座に入金するだけで、株が簡単に購入できます。
そのため現金でいきなり株を買うのが不安な方でも、LINE証券のポイント投資なら気軽にはじめられるのではないでしょうか。
また、LINE証券では単元未満株を購入できます。そして、厳選された日本企業300銘柄とETF(上場投資信託)15銘柄を、数百円から購入できます。
また、東京証券取引所の取引は午後3時までですが、午後9時まで取引が可能です。
普段使っているLINEで口座開設や取引ができるので、株取引がはじめての初心者でもわかりやすく、操作も簡単にできます。
LINE証券の口座開設の申し込みは、最短3分。そして、LINE証券への入金にポイントを利用するだけです。
ポイントは1ポイントから利用でき、1ポイントは1円に換算されます。ポイントが貯まっていない場合でも、入金額の一部に充てられるのです。
LINE証券では株式を1株から購入できるので、200円程度で買える銘柄もあります。ポイントを少し貯めれば、現金が0円でも株式を購入できるのです。
日興フロッギーのポイント投資サービス
日興フロッギーは、2016年11月から投資やお金に関する記事を掲載するメディアとして誕生。
記事からでも簡単な操作で株を購入できます。そして、2020年3月からポイント投資を開始しました。
また日興フロッギーを通じて、NTTドコモのdポイントで株を買えるようになりました。
dポイントはNTTドコモの共通ポイント。ドコモの携帯電話の利用やdカードの支払いなどで、ポイントを貯められます。
日興フロッギーにログインしてdアカウント情報を入力し、連携をとればdポイントで株の購入が可能になります。
株の購入は100ポイントから可能。「dポイント」のマークがついた記事を読めば、一記事あたり3ポイントがもらえる仕組みにもなっています。
ドコモのユーザーでなくてもdポイントの取得は可能なので、日興フロッギーのポイントサービスは誰でもはじめることができます。
CONNECTのポイント投資サービス
2020年7月、大和証券グループ本社の子会社である「CONNECT(コネクト)」は、ポイント投資サービスを開始しました。
CONNECTでは、三菱商事系の共通ポイントである「ポンタ」とクレディセゾンの「永久不滅ポイント」などが使えます。
そして1株から投資ができ、少額投資非課税制度(NISA)口座にも対応しているのです。
実際に株を購入するわけではありませんが、株式投資を疑似的的に体験できます。
ただし、運用しているポイントが1株以上になれば、本物の株に交換もできるのです。
ですから、交換した株を売却すれば、ポイントを現金化できます。
大手証券のポイント投資の課題
大手証券のポイント投資への取り組みは、課題もあります。なぜなら、収益が短期的に見込めないからです。
システムの構築や運用に費用がかかる一方、若年層の投資金額は低いため大きな手数料収入になりません。
それでも大手証券各社がポイント投資に力を入れているのは、10~20年後にポイント投資をしている若年層が、将来の重要な顧客になり得るためです。
現在はネット証券をメインに取引していても、高齢になって資産が増えると対面型に移ると考えているのです。
大手証券においては高齢の富裕層向けサービスに力を入れてきましたが、デジタル化が進む中、次世代の投資家の取り込みが急務になっています。
大手証券各社は短期的な赤字を覚悟しながらも、ポイント投資で長期的なファン獲得を目指しているのです。
ただ、今後もサービスを継続的に改良し、魅力を高める必要があります。短期的な収益が見込めない中、システム投資を続けていけるのかどうかという点で体力勝負の側面もあるのです。
また、ネット証券との競合もあります。SBIネオモバイル証券は「Tポイント」、楽天証券は「楽天ポイント」をそれぞれ運用しています。
ネット証券の顧客層は若年層が主力で、大手証券がポイント投資で呼び込もうとしている層と重なっているのです。
大手証券がポイント投資によって若年層の取り込みに成功すれば、ネット証券にとっても大きな脅威になるでしょう。
まとめ
ポイント投資は、貯めたポイントを利用して株取引ができるサービス。野村證券はLINE 証券、SMBC日興証券は日興フロッギー、大和証券グループはCONNECTを通じてポイント投資サービスをおこなっています。
これまで主力だった高齢の富裕層に代わり、20~40代の若年層を取り込む戦略です。
ただし短期的には収益が見込めないので、どのぐらい継続的にシステムを改良できるかどうかが勝負の分かれ目になるでしょう。
記事 山下 耕太郎
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