皆さんは株式投資をするときに、投資先のIRサイトを見たことがあるでしょうか。

IRサイトは企業に関する様々な情報が掲載されており、投資の重要な判断材料になっているのです。

そして多くの企業ではIRに力を入れることが株価の上昇につながると考え、個人投資家に対しても自社への投資を促す活動をしています。

そこで今回の記事ではIRの意義や歴史を解説し、IRと株価の関連性について解説します。

そしてIRが個人投資家にも真摯な対応をした事例として、筆者の体験を紹介します。

 

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

 

IRとは投資家に対する広報活動をする部門

IRとはInvestor relationsの略称です。直訳すると「投資家との関係(を保つ)」になります。

IRは上場企業を中心に「投資家向け広報」として企業活動の1つとされ、企業の現状を公開することで外部の関係者に周知させる役割があります。

一般社団法人日本IR協議会が2020年に行った調査によると、上場企業のうち98.1%がIR活動を行っています。

さらに42.7%の企業がIRの部署を設けており、33.6%の企業は専任の担当者を配属しているのです。

IRはアメリカで始まり発展していった

IRは、株式市場の進歩とともに形作られた企業活動です。IRの始まりは1953年に遡ります。

アメリカのGE(ジェネラル・エレクトニック)社が広報部から独立した部門として、IR部門を設置しました。

その後、アメリカでは各社がIR部門を設置し、発展していったのです。

アメリカではIRが重視されている

企業におけるIRの存在意義が芽生えてきたアメリカでは、1969年に企業のIR担当者が集まりNIRI(全米IR協会)が発足しました。

そしてIRの権威的存在として、今もなお影響力を持っているのです。さらにNIRIでは、IRを以下のように定義しています。

日本でもIRの重要性が高まってきた

日本企業によるIR活動は、1980年代後半から活発になったとされています。そして1993年に「日本IR協議会」が設立されたのです。

日本IR協議会では各種調査や研修会だけでなく、優れたIR活動をする会員企業に対して「IR優良企業賞」を毎年選定しています。

ITの発達で誰もが手軽に企業とコミュニケーションできる時代に

そして近年は、日本の企業でも個人投資家へのIRを強化しています。例えば個人投資家向けの説明会を開催し、自社のビジネスを知ってもらう機会を設けています。

また自社のIRサイトを利用すれば機関投資家やアナリストが使う資料でも、個人投資家が手軽に見ることができるのです。

IRが株価に影響する理由は「良いIRがリスクを下げる」から

では、なぜ上場企業はIRに力を入れる必要があるのでしょうか。それは投資家と適切なコミュニケーションをとることで、信頼関係を築くことが投資へのリスクを下げ、適切な株価を維持する上で重要な役割を果たすからです。

リスクとは「不確実・分からないもの」

ここで株式投資における「リスク」についておさらいしてみましょう。株式投資においてリスクとは「不確実性」を示す目安です。

そのため株価が下落することや、企業の業績が悪化することだけがリスクでは無いのです。

株価が下がってもリスクが低いことがある

例えば、業績の悪化が見込まれる情報がIRで出されていたとします。このとき投資家は「業績の低迷で株価が下がる」と推測するかも知れません。

そして投資家は株価が下がる前提で、投資判断を下すことができるのです。つまり業績は低迷しても、リスクは低い状態だといえます。

一方で最近は新型コロナウイルスの影響で、IRが業績の見通しを表明していないことが多くあります。

これでは投資家も判断を迷わざるを得ないのです。したがって、このような企業の株式はリスクが高くなります。

ビジネスの中身が分からない企業もリスクが高い

また日本には部品や素材メーカー、そして卸売業など一般にはなじみの薄いビジネスをしている企業が多くあります。

このような業界の株式に個人投資家は、手を出しにくいというデータがあるのですが、なぜでしょうか。

それは企業のビジネスが理解できないため、投資することにリスク(不確実性)を感じているからです。

見ず知らずの人にお金を貸さないことと同じように、よく知らない会社には投資をしたくありません。

株価は安くなると企業経営に影響する

このようにリスクが高いと感じる株式には、買い手が少なくなります。そして買い手が少ない株式は、株価も低くなるのです。

そして株価が安いまま放置していると、安い株価に目をつけた他社が買収を仕掛けてくる可能性があります。

また他社を買収しようとするとき、自社の株価が安いことが問題になることがあるのです。

したがってIRは自社の価値を正しく知ってもらい、健全な経営をするための重要な職務なのです。

個人投資家も「分からないこと」は積極的に質問すべき

このように近年の上場企業はIRの重要性を認識し、個人投資家に対しての窓口を大きく広げています。

したがって個人投資家も遠慮せずに、IRに様々な質問や問い合わせをすることをおすすめします。

今回の記事では、筆者が実際にIR担当者に問い合わせた事例を紹介します。

筆者のIR活用事例①:【6957】芝浦電子が上場前に出した赤字の原因を質問する

はじめに紹介するIRへの問い合わせ事例は、企業が株式上場する前の業績について質問したことです。

問い合わせた企業は、芝浦電子です。同社は、サーミスタと呼ばれる電子部品の大手企業です。

サーミスタとは温度変化に対して反応する特性があり、空調機器から家電はもちろん、スマホやOA機器にも役立っています。

さらに近年は電気自動車でも多く使われることで、世界的な需要の拡大が期待されているのです。

ところがコロナショックの影響で同社の業績見通しが分からなくなり、株価は低迷したのです。

「この企業の業績はいずれ回復し成長できる」と考えた筆者は、同社の過去の業績を調べました。

20年ほど前に赤字を繰り返していることに疑問を感じた

同社の業績は堅調でした。リーマンショックで不況になったとされる2009年3月期末においても、同社は黒字を出していたのです。

しかしさらに過去を追いかけてみると、1999年から2003年にかけて赤字を繰り返していたことが分かりました。

そして筆者は改めて同社のIRサイトを調べたのですが、その当時に関する資料を見つけることができなかったのです。

問い合わせ専用フォームから質問をした

「なぜこんな優良な企業が、立て続けに赤字を出したのだろうか」と考えた筆者は、同社のIRサイトにあった問い合わせ用のページにアクセスし、質問事項を入力しました。

古い話なので分かる社員が少ないかもしれないと思ったのですが、数日後同社のIR担当者から返事のメールが届いたのです。

先行投資が重荷となった業績低迷

返信では、以下の文面が書かれてありました。

 

“弊社では、サーミスタ温度センサの世界的需要の拡大を見込んで、1996年にタイ、1997年に中国2か所に、海外製造拠点3拠点を設立いたしましたが、当初は需要がそこまで無かったため、赤字となりました。

その後、国内外の経済状況も回復したため、海外3拠点の稼働も順調に上昇し、売上・利益とも拡大していきました。”

※芝浦電子IR担当者様から許可を得て掲載しております

 

筆者はこの返信を読んで、以下のように考えたのです。

・この時の先行投資が当時は重荷になった

・しかし今の業績成長に大きな貢献をしている

・また海外での生産体制が確立している

・そして同業他社よりも売上が大きくなっている

 

そして筆者は「好不況の波を受けながらも成長できる企業」と判断し、投資をする決意をしました。

筆者のIR活用事例②:株主総会の開催予定日を知ることができる

他にもIR部門では、個人投資家が気になる質問に答えてくれます。例えば「投資先の株主総会に参加したいけれど、日程が直前にならないと分からない」という悩みがあったとします。

このような疑問に対しても、IRは回答してくれるのです。

企業名は明かせませんが、かつて筆者は株主総会に参加したい企業がありました。

しかし本社が遠方であるため、直前に日程調整することは難しかったのです。そこで筆者は決算期末を過ぎた頃に、この会社のIR担当者宛に株主総会の開催予定日を問い合わせたのです。

問い合わせをするとき、筆者は機密事項として回答を拒否されるのではないかと思っていました。

ところがIR担当者から「あくまでも予定ですが」という前提で、開催予定日を教えてくれたのです。

こうして筆者は、この会社の株主総会に無事出席することができました。

企業にとって株主はお客様と同じくらい大切な人たち

今回は企業のIRについての解説と、筆者のIR活用体験を紹介しました。人はお互いに対話を繰り返し、信頼関係を構築する生き物です。

だからこそ投資先とコミュニケーションをとることで、より深い信頼関係を結ぶことができます。

株式を相場ではなく、ビジネスとして恩恵を受けたい個人投資家は、投資先のIR活動を積極的に利用されることをおすすめします。

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

記事 湯川 国俊

 

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

 

【過去記事はこちらから】

【投資コラム】損しないための株式投資~投資指標を活用してリスクを減らそう!

【投資コラム】ライザップ赤字転落から株式投資を考える~成長株の利益について

【投資コラム】大塚家具倒産の危機から株式投資を考える~資産の内容と業績の推移に注意しよう

【投資コラム】ソフトバンク株を配当金目当てで投資する時の注意点~同業他社と比較しよう

【投資コラム】メルカリは有望な投資先なのか?~投資をする上で分析するポイント

【投資コラム】「村上ファンド」は個人投資家の味方だと言える理由〜新明和工業の資本政策

【投資コラム】任天堂の株式売り出しとガバナンス~株式を買って経営に参加しよう!

日本郵政と資本業務提携したアフラックは個人投資家にも魅力的な理由

【投資コラム】株主優待が魅力のイオンに投資するときに意識してほしい「利益の仕組み」

【投資コラム】株式投資のリスクを軽減する方法

【投資コラム】サマンサタバサの3期連続赤字から成長株投資での注意点を考える

【投資コラム 】 セブン銀行とイオン銀行、似ているようで違う?ビジネスモデルと将来性

【投資コラム】オリックスって何の会社?個人投資家に人気の理由に迫る!

【投資コラム】ソニーはなぜ電気自動車を発表したのか?ソニーの事業について再確認しよう

【投資コラム 】人口が増加している沖縄県は投資の価値あり!「おすすめ沖縄上場企業3社」

【投資コラム】カーブスが株式上場!スピンオフの背景とカーブスの将来性

バフェットが総合商社に投資した~業績を比較して投資価値を考えよう【投資コラム 】

グローバルニッチトップ企業に投資しよう~最先端技術を武器に世界で活躍する企業~【投資コラム】