せっかく個別株に投資するなら、安心して投資でき、かつ成長も期待できる中小型の優良株に投資したいものです。しかし本当の優良中小型株を見つけるのは簡単ではありません。しかし優良株候補をある程度絞ることができる指標があることをご存じでしょうか。

それはJPX日経中小型と呼ばれる指標です。JPX日経中小型は上場企業の多くを占める中小型株の中から、優良な業績を上げている企業を選別しています。そのためJPX日経中小型に選ばれている企業に投資すれば、長期的には大企業へと成長する可能性があるのです。

今回の記事ではJPX日経中小型の概要と、優良株探しにJPX日経中小型選定銘柄に投資するメリットとデメリット(注意点)を解説します。そして筆者が選んだJPX日経中小型選定銘柄5社について解説します。

 

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目次

JPX日経中小型はJPX日経インデックス400では拾えない優良企業が選ばれている

JPX日経中小型は東京証券取引所と日本経済新聞社が開発し、算出している株式指標の1つです。前回の記事で解説した「JPX日経インデックス400」の中小型株版としてその役割が期待されています。

日本には優良な中小型株がたくさんある

ではなぜJPX日経中小型が開発されたのでしょうか。日本の株式市場で活発に取引されている株は大型株です。大型株とは東京証券取引所が東証一部上場銘柄のうち時価総額と流動性が高い100銘柄を指します。

これら大型株も優良企業ですが、次世代をになう成長企業や、グローバルニッチトップに選ばれる製造業が日本には数多くあります。しかし日本の株式市場には優良な中小型株を選出した指標が存在しなかったのです。

そこでJPX日経インデックス400の選出で用いている「効率性」「収益力」そして「グローバル水準の運営」を中小型株に適用しました。そして優良な中小型株を多くの人に知ってもらうことを目指し、JPX日経中小型が開発されたのです。

選定では大型株を除外し効率性と利益を重視

ではJPX日経中小型ではどのような選定基準を設けているのでしょうか。原則はJPX日経インデックス400と同じです。しかしJPX日経中小型では大型株を除外できるようにしています。

はじめに、適格基準として以下に該当する銘柄を除外します。

 

【JPX日経中小型排除基準①】

・上場後3年未満(テクニカル上場を除く)

 

【テクニカル上場】

上場企業が非上場企業の子会社になったときなどに、非上場企業の上場を迅速に認めること。具体的には持株会社化(○○ホールディングスなど)にしたときの持株会社の株式上場がある。

 

・過去3期のいずれかで債務超過になっている

・過去3期すべてが営業赤字

・過去3期すべてが最終赤字

・整理銘柄など

 

【整理銘柄】

上場廃止基準を満たし、上場廃止が決定した銘柄。直近ではライクキッズが完全子会社化によって上場廃止となりJPX日経中小型から除外された。

この基準によってリスクの高い成長株にありがちな「黒字化していない」「上場後間もない」企業が除外されます。そのため比較的事業が安定した企業に絞ることができるのです。

さらにJPX日経中小型では大型株を排除するため以下の排除基準が設けられています。

 

【JPX日経中小型排除基準②】

・選定基準日における時価総額上位20%に入る銘柄(例外あり)

さらに、株式取引がある程度行われている実績を担保するため以下の排除基準を加えているのです。

 

【JPX日経中小型排除基準③】

・選定基準日から直近1年間の株式取引総額が150億円以下

・および選定基準日の時価総額が100億円以下の銘柄

※この排除基準で選定銘柄候補が500銘柄以下の場合、緩和基準を設ける

これら追加基準によって大型株は排除され、かつ取引の少ない小企業も選定されません。

利益と効率性を重視した選定基準

次にJPX日経中小型でも経営の効率性や収益力をスコアリングします。JPX日経インデックス400ではこの項目で「時価総額」が加味されていましたが、JPX日経中小型では除外されているのです。

 

【JPX日経中小型選定スコアリング指標】

・ROE(3年平均):70%の比重

・営業利益(3年総額):30%の比重

 

またJPX日経中小型ではROEに高い比重がかけられています。これによって規模は小さくても効率的な経営で成長している企業が絞り出されるのです。

グローバル水準の基準はJPX日経インデックス400と同じ

さらにJPX日経中小型でも世界的な水準に見合った経営方針に対して評価することになっています。

 

【定性的な加点項目】

・独立した社外取締役の選任(全体の1/3以上など)

・IFRS(国際会計基準)の採用、または採用の決定

・決算情報やコーポレートガバナンスに関する情報を英文でも開示している

(東京証券取引所が運営する適時開示情報サービス「TDnet」経由であること)

 

200銘柄を選定し定期的な入れ替えがある

これら選定基準をクリアし、スコアリングで上位になった200社がJPX日経中小型銘柄として選ばれます。

※前年選定銘柄の継続採用や銘柄数が200社に満たない場合について別途基準が設けられています

さらにJPX日経中小型では毎年6月末(最終営業日)を選定基準日とし、8月第5営業日に入れ替える銘柄を発表します。そして同8月末(最終営業日)に銘柄の入れ替えが施行されるのです。

JPX日経中小型銘柄は大きなリターンを狙える(メリット)

このようにJPX日経中小型は厳選された優良中小型株がそろっています。ではJPX日経中小型選定銘柄に投資することにどのようなメリットがあるのでしょうか。

株主へのリターンが大きくなる

JPX日経中小型選定銘柄はROEが高いことが特徴です。ROEとは株主が出資した金額に対しての利益率を表します。したがって高いROEを続けられる企業は株主へのリターンも大きくなるのです。

将来の主力産業を担う企業になる可能性

JPX日経中小型選定銘柄はすでにビジネスとして軌道に乗っている企業ばかりです。もし成長余地の大きい事業であればJPX日経中小型選定銘柄がそのビジネスの最大手として成長する可能性があります。次の任天堂やユニクロ(ファーストリテイリング)がいるかも知れません。

グローバルニッチトップとして海外展開できる可能性

JPX日経中小型に選ばれている企業の中には、特定の産業や業界でトップシェアを出しています。このような企業であれば自社の製品を海外に展開することで、さらなる成長を遂げる可能性があるのです。

JPX日経中小型銘柄はビジネスの成長余地に注意(デメリット)

一方で株式投資にはリスクやデメリットがつきものです。特にJPX日経中小型は名前が知られていない企業が多いため、経営の安定性について慎重に評価する必要があります。ここではJPX日経中小型選定銘柄に投資するさいに、注意すべきポイントについて解説します。

ビジネス拡大の可能性を検討しよう

JPX日経中小型選定銘柄は特定の分野や産業で優良な業績を残している企業が多数あります。そのためJPX日経中小型選定銘柄が行っているビジネスがすでに飽和状態になっている可能性があるのです。

したがってJPX日経中小型選定銘柄に投資する前に、以下のような成長余地やビジネスの安定性が残されているかをチェックすることをおすすめします。

【優良中小型株投資での将来性のチェックポイント】

・海外進出の可能性

・M&Aで事業拡大できる可能性

・長期的に安定した需要が見込まれる

・ライバルの新規参入が難しい

ハイリスクな財務戦略の可能性

JPX日経中小型の選定基準ではROEが重視されています。ROEは経営の効率性を評価できる指標ですが、財務面に関して注意すべき点があるのです。

それは低い自己資本比率をすることで高いROEを出すことができるという点です。例えば売上や利益の低いビジネスでも借金を多くすることでROEを高くすることができます。しかしそのような経営を続けていると、突然経営破綻するリスクがぬぐえません。

したがってJPX日経中小型選定銘柄から投資される場合、自己資本比率の推移を確かめることをおすすめします。

キャッシュフローで「本当に売れているのか」を確認

さらに注意すべきポイントとして「キャッシュフローの推移」があります。JPX日経中小型選定銘柄は消費者にはなじみの薄い企業があります。そのため製品やサービスが本当に売れているのか体感しづらいのです。

そこでJPX日経中小型選定銘柄の投資ではキャッシュフローの推移をチェックすることをおすすめします。特に「営業活動によるキャッシュフロー」があまりにも少ない場合、その企業の売上や利益が見かけ倒しになっているかも知れません。

JPX日経中小型おすすめ銘柄紹介

ではJPX日経中小型で選定されている銘柄のうち、これまで解説してきた内容に見合った企業はあるのでしょうか。今回は5つの選定銘柄について紹介します。そしてこれら企業についてJPX日経中小型の選定基準である「営業利益」「ROE」の推移を解説します。さらに「自己資本比率」や「営業活動によるキャッシュフロー」の推移と今後の事業展開の可能性も確認してみましょう。

※ここで紹介する銘柄は2020年11月9日に公表されたJPX日経中小型選定銘柄から選出しています

【3433】トーカロは溶射技術のトップ企業

トーカロは兵庫県神戸市に本社を置く溶射技術の総合企業です。溶射とは表面処理技術の1つで、熱を加えて溶かした物質を対象物に対して吹付けてコーティングします。メッキなどと同じく、物質の利用を最小限にして高い性能をもつ製品を作る技術として期待されています。

ROEは10%以上を保っており、効率的な経営が行われています。また営業利益も3年累積で約240億円あり、営業利益率も15%程度を維持しているのです。これは溶射技術に高い需要があり、同社の技術に付加価値があることを表しています。

一方で自己資本比率も比較的高い数値です。これは同社が過剰な借金に頼らなくても事業を継続ができることを表しています。

さらにトーカロは純利益に対して営業活動によるキャッシュフローが多くなっています。これは実際のお金の流れに比べて会計を保守的に計算していることを表しているのです。

溶射技術の幅広い需要に対応する計画

ではトーカロの今後はどのような展開が期待されるのでしょうか。同社の発表では主力である半導体関連の技術開発とともに、医療や環境分野などを新しい顧客と見据えて市場開拓に踏み込むとしています。

【3932】アカツキはスマホゲームで海外展開

アカツキは東京都品川区に本社を置く、モバイルゲーム制作会社です。人気アニメ「ドラゴンボールZ」をモチーフにしたスマホゲームが大ヒットし、現時点で世界中のダウンロードは3億以上です。

営業利益は2020年に少し落ち込みましたが、今期は2019年を上回るペースで伸びています。また営業利益率はおおむね30%~50%と設備投資の少ないIT企業らしい高い水準を保っているのです。またROEも20%を超えており、効率的な経営が行われています。

一方でアカツキの財務戦略は保守的です。つねに50%以上の自己比率を保っているのです。同社は利益率の高いビジネスなので大きく借金をした方が急成長できる可能性があります。しかしゲーム事業は浮き沈みが激しいので保守的な財務の方が長期の投資でも安心です。

アカツキの高い利益率はキャッシュフローでも裏付けされています。スマホゲームの収益源は、広告料とユーザーからの課金です。特にゲームの課金はその場で決済されるため売上に対するキャッシュの流れが速く行われていると推測できます。

日本のキャラクターを活かした海外展開はすでに始めており、今後も期待

アカツキは今後、どのような成長が期待できるでしょうか。同社によるとスマホゲームの海外展開はすでに行われています。また日本の強みであるアニメなどのキャラクターを活かしたゲーム事業でさらなる事業拡大を目指しているのです。

【6670】MCJはマウスコンピューターで業界を席巻

MCJは東京都中央区(本店は埼玉県春日部市)に本社を置くパソコン製造を主力とするIT企業です。格安なセミオーダーメイドパソコンの「マウスコンピューター」でユーザーから支持を得ています。

MCJの業績は好調です。過去3期において増収増益を続けています。また今期もさらに増収増益できそうなペースで進捗しているのです。ROEも18%台という高い水準をキープしています。

MCJの自己資本比率も50%を維持しています。同社が発表している財務戦略の方針では柔軟性とリスクのバランスを重視するとしています。したがってROEを良くするためを主とした借金を増やすような財務戦略はとらないと推測できます。

利益とキャッシュフローのバランスも悪くありません。2019年では営業活動によるキャッシュフローが少なくなっています。しかし2020年に営業活動によるキャッシュフローが多くなっているので問題ないレベルです。

製品ラインナップの強化で顧客の拡大を目指す

MCJはパソコンメーカーとしてスタートしました。そして事業が拡大する中でパソコン周辺機器の販売や海外展開を進めてきたのです。今後もこの方針を継続することで「IT感度」の高い顧客の期待に応える事業を展開する計画を立てています。

【7839】SHOEIはオートバイヘルメットのトップブランド

SHOEIは東京都台東区に本社を置く、ヘルメットメーカーです。同社は大型バイクやレースで用いられるプレミアムヘルメットに特化し、世界に展開しているのです。また防衛省や警察庁向けのヘルメットも製造しています。

SHOEIの業績は増収増益を続けています。営業利益率も20%を超えておりメーカーとしては優良です。ROEも20%台に達しているため株主へのリターンも期待できます。これは同社が高級ヘルメットに特化しているため価格よりも品質を重視した顧客が多いことが業績に表れているのです。

自己資本比率も高い水準です。同社は十分な利益を得ている点と、新たな製品を開発するためのコストが低いため借金をする必要がないと推測できます。

SHOEIの利益とキャッシュフローのバランスも良好です。常に純利益を上回る営業活動によるキャッシュフローを得ています。キャッシュフローの点からも同社のビジネスは過剰な営業をせずとも利益を得られやすいビジネスだと推測できるのです。

新型コロナウィルスの影響も限定的

オートバイは屋外の移動手段です。新型コロナウィルスによる業績悪化の影響は少なく、むしろロックダウン解除後に反動の売上増がありました。そのため同社は今後も堅調に業績は推移するとして今期末も増収増益を予想しているのです。

【9436】沖縄セルラー電話は沖縄県では盤石の地位

沖縄セルラー電話は沖縄県那覇市に本社を置くauブランドの総合通信事業会社です。沖縄県では戦後アメリカの占領下であったため、NTT(旧電電公社)がインフラ整備することができませんでした。そのような経緯があったため、沖縄セルラー電話の携帯電話はNTTドコモを上回るシェアを獲得しているのです。

沖縄セルラー電話も増収増益を続けています。20%前後の営業利益率と、10%を超えるROEは携帯キャリアらしい優良な業績です。またこれまで挙げた企業にも増して収益の安定性が期待できる点も見逃せません。

自己資本比率も高い値になっています。携帯電話キャリアやインターネット通信サービスでは次世代規格に向けた研究開発や設備投資に費用が必要です。しかしそれら費用をまかなえるだけの利益が十分に得られるビジネスだと推測できます。

沖縄セルラー電話の純利益と営業活動によるキャッシュローのバランスも良好です。同社のビジネスは使用料の定期的な収入が見込まれるため、資金繰りが悪化する可能性は低いと推測できます。

沖縄の通信インフラとしてサービス拡充を進める

沖縄セルラー電話は沖縄を代表する通信サービス企業として今後も発展する通信インフラの拡大に取り組んでいます。さらに沖縄県は人口減少する日本の中で、貴重な人口増加県なのです。そのため同社は恵まれた経済環境でその地位を不動のものとすると推測できます。

少額の個別株投資では伸びしろの大きい優良中小型株が面白い

このようにJPX日経中小型では収益力や経営の効率性で優良な業績を出している中小型株が選ばれています。また将来性に関しても十分期待できる企業があるのです。この記事を機会に優良な日本企業への投資に興味を持たれることを願っております。

JPX日経中小型選定銘柄は以下のサイトにあるpdfファイルを開くと見ることができます。

日本取引所グループ:JPX日経中小型株指数・構成銘柄

※投資はあくまでも自己責任となります。利益を保証するものではありませんので、ご注意ください。

 

記事 湯川 国俊

 

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