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M life 記事

お金 2018.8.10

【FP監修】厚生年金保険とは?国民年金との関係や受けられる給付について解説

 

会社員や公務員など多くの方が加入している厚生年金保険。会社に勤務するときに自動的に厚生年金保険に加入しているイメージもあり、そもそもどのような特徴を持った制度なのか、そしてどのような形で年金を受け取れるのか、疑問を持たれている方もいらっしゃるかと思います。

 

そこで今回は、厚生年金保険の仕組みから受けられる給付、受給方法のポイントなどを分かりやすく解説していきます。

 

なお、文中で紹介している年金額については、平成30年度価格となっております。

 

厚生年金保険とは?

 

 

まずは厚生年金保険制度についておさらいしていきましょう。

 

厚生年金保険制度とは?

そもそも厚生年金保険や国民年金保険などの公的年金制度は、老齢、障害、死亡など、生活を送っていくうえでの様々なリスクに備えるために、個人だけでは対応しきれなくなる可能性があることから、社会全体が一丸となって世代を超えて支えていく制度です。

 

そして厚生年金保険などの公的年金制度は、今働いているたちが保険料を負担して、高齢者が年金として給付を受ける、世代間での支え合いを運営の基本としています。近年は、日本では少子高齢化が急激に進んでおり、世代間の負担と給付に差が出る見込みによって不満の声が出ているのも事実です。

 

そして、子供が少なくなることにより、現役世代一人一人の負担も増す見込みです。そのため、政府は給付水準を適切に調整する仕組みを導入し、100年間という長期で給付と負担のバランスが取れるスキームとすることで、公的年金制度を持続可能な安心できるものとするよう努めています。

 

そして公的年金は高齢者が年金として受け取るだけでなく、重度の障害を負ってしまったときや、一家の大黒柱が亡くなってしまったときに遺族が受け取る給付などもあります。これら障害年金や遺族年金は、高齢者だけでなく若い方にとっても関わってくるかもしれないことですので、しっかりと正しい知識を身につけておきましょう。

 

厚生年金保険制度は、主に企業に勤める会社員や公務員の方などを対象とした保険となっています。公務員は従来共済年金として厚生年金とは別個でしたが、2012年8月に成立した法改正(2015年10月施行)により、厚生年金との統一が図られました。そして厚生年金は、国民皆保険のもと、基礎年金となる国民年金に上乗せされる年金となります。

 

なお、厚生年金保険は政府が管掌し、厚生労働大臣が委嘱を受けています。そして厚生年金保険の運営事務を担うのは、日本年金機構が運営する年金事務所となります。

 

厚生年金保険と国民年金の関係

厚生年金保険は国民年金に加算して受け取れる年金です。一般的に、年金制度を建物などの構造物と見なして、基礎年金である国民年金を1階、その上乗せである厚生年金保険を2階部分としてイメージします。

 

なお1階部分に関しては、国民皆保険、世代間での支え合いをもとに、自営業者などの第1号被保険者から、会社員や公務員といった第2号被保険者、第2号被保険者の被扶養配偶者など、現役世代のすべての方が被保険者となります。

 

厚生年金保険の保険料を負担するのは誰?

厚生年金保険の保険料は、会社員や公務員などが毎月受け取る給与と、夏・冬などに受け取る賞与に一定の保険料率をかけて計算され、事業主と被保険者本人が半分ずつ折半して負担します。

 

厚生年金の保険料率は、年金制度改革により平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月で引き上げが完了し、それからは18.3%に固定されています。このことも、100年間という長い年月で給付と負担のバランスを取り、公的年金制度を持続可能なものとする仕組みにもとづきます。

 

なお厚生年金の保険料の具体的な計算方法は、毎年4月から6月の給与をもとに算出された標準報酬月額と標準賞与額に対して保険料率(18.3%)を掛けて算出します。そのため、4月から6月が繁忙期で残業代が多く支給される方は、保険料が高くなってしまいますが、その分年金としてもらえる分も多くなる仕組みになっています。

 

出典:厚生年金保険の保険料|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150515-01.html

 

なお厚生年金の保険料の具体的な計算方法は、毎年4月から6月の給与をもとに算出された標準報酬月額と標準賞与額に対して保険料率(18.3%)を掛けて算出します。そのため、4月から6月が繁忙期で残業代が多く支給される方は、保険料が高くなってしまいますが、その分年金としてもらえる分も多くなる仕組みになっています。

 

厚生年金保険は事業所単位で適用され、株式会社などの法人や、従業員が常時5人以上いる個人の事業所については、強制加入となります(農林漁業、サービス業などを除く)。また、従業員数が4人以下の場合や農林漁業などの一部の業種でも、従業員の半数以上が厚生年金保険に加入することに同意する場合には、事業主が申請をすることにより、任意で加入することができます。

 

厚生年金保険の保険料額の確認方法

「厚生年金保険料をいくら払っているか知りたい」という時は、給料明細を見てみましょう。しっかり記載されているはずです。しかし、今後収入がアップしたらどのくらい払うことになるのか知りたいという場合は、調べる方法があります。

 

会社員や公務員が受け取る給与をもとに算出された標準報酬月額を用いて、厚生年金保険の保険料額を計算することができるのです。平成29年9月分からの厚生年金保険料額表が、日本年金機構のホームページに掲載されていますのでご参照ください。

 

出典:平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.files/1.pdf

 

厚生年金に加入するのはどんな人?

 

 

ここからは厚生年金保険の加入対象者(被保険者と呼ぶ)について解説していきます。

 

被保険者

厚生年金保険に加入している会社で、常時雇用される70歳未満の方は、国籍や性別などは関係なく、厚生年金保険の被保険者となります。

 

パートタイマー・アルバイトなど

またパートタイマー・アルバイトなどでも、1週間の労働時間や1ヶ月の労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上である方は被保険となります。また、労働時間や労働日数が一般社員の4分の3未満であっても、週の労働時間が20時間以上であることや雇用期間が1年以上見込まれること、賃金の月額が8.8万円以上であることなど所定の条件を全て満たせば、被保険者とされます。

 

被保険者とされない人

ただし、日々雇い入れられるや、2か月以内の期間を定めて雇用される、所在地が一定しない事業所に雇用されるなどは、基本的に被保険者とはなりません。

 

厚生年金から受け取れる給付は?国民年金もあわせて見ていこう

 

 

ここからは老後の年金、障害になった場合の年金、亡くなった場合の年金について解説します。

 

老後にもらえる年金

まずは年金制度の1階部分である、国民年金の老齢基礎年金から解説しましょう。こちらは、20歳から60歳までの間に10年以上加入した場合、65歳から受け取れるものです。年金額は加入期間により異なり、40年間保険料を納めた場合、満額の779,300円を受け取ることができます。

 

次に厚生年金から支給される老齢厚生年金です。こちらは、①厚生年金保険に加入していて、②国民年金からの給付である老齢基礎年金を受けるのに必要期間を満たした方、なおかつ③65歳になったときに受け取れる年金です。

 

会社員や公務員は老齢基礎年金に上乗せして厚生年金からも支給される仕組みとなりますが、気になる年金額は、厚生年金に加入していた期間の平均収入と加入期間に基づいて計算されます。

 

老齢厚生年金は原則65歳からの支給ですが、現状では、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができる方もいます。こちらは、

 

①60歳以上で、②老齢基礎年金を受けるのに必要な期間を満たし、

③厚生年金の加入期間が1年以上ある場合、④65歳になるまで受け取ることができる年金です。

 

この「特別支給の老齢厚生年金」の額は、報酬比例部分と定額部分を合わせた額となります。報酬比例部分とは、65歳以降の老齢厚生年金に相応する部分。一方で定額部分は、老齢基礎年金に相応する部分となります。

 

昭和16年(女性は昭和21年)4月2日以前に生まれた方は、特別支給の老齢厚生年金が支給されますが、定額部分の支給開始年齢が徐々に引き上げられ、昭和24年(女性は昭和29年)4月2日以降の生まれの方は、報酬比例部分のみの支給に、そして、昭和36年(女性は昭和41年)4月2日以降に生まれた方から、年金は65歳からの支給となるのです。詳しくはイメージ図をご参照ください。

 

出典:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/yougo/kagyo/kounen-kaishi.files/kaishi.pdf

 

なお無年金者を減らすための社会保障・税一体改革により、平成29年8月1日から、国民年金を受け取るために必要な期間を、従来の25年から10年とすることになりました。ご自身の資格期間を確認しておきましょう。

 

障害になった場合の年金

次に障害になった場合の年金です。こちらは病気やケガにより生活や仕事などが制限される状態になった場合に受け取ることができます。

 

障害関係の給付には、「障害基礎年金」と「障害厚生年金」、及び「障害手当金」があります。国民年金からの障害基礎年金には1級、2級があります。障害基礎年金額は2級の場合は779,300円。1級は2級の場合の25%増しとなります。さらに子がいる場合は「子の加算」がつきます。

 

子の加算に関しては、第2子までがそれぞれ224,300円、第3子からはそれぞれ74,800円となります。なお、子は18歳になった年度の3月31日を経過していない子、もしくは20歳未満の障害等級1級または2級の障害者が該当します。

 

障害厚生年金では、1級もしくは2級に該当する障害の場合、障害基礎年金に上乗せして受給することが可能です。年金額は厚生年金加入期間中の平均収入や加入期間によって異なります。なお、障害基礎年金と同様、1級は2級の25%増し。配偶者がいる場合で条件があえば、「配偶者加給年金額(224,300円)」が加算されます。なお、厚生年金には3級もあり、年金額は最低でも584,500円、配偶者加給年金額はありません。

 

さらに3級より軽い場合(初診日から5年以内に病気やケガが固定し、障害厚生年金の支給対象とならないような軽い障害が残ったとき)には、一時金として障害手当金を受け取ることができます。

 

加入者が亡くなった時にもらえる年金

そして年金制度に加入している人が亡くなった場合にもらえる年金、遺族年金についても見ていきましょう。こちらは国民年金、もしくは厚生年金保険の被保険者が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金です。

 

遺族年金も老齢年金や障害年金と同じように、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなられた方のご家族の状況などによって、いずれかもしくはその両方の年金を受け取ることができます。

 

まず遺族基礎年金は被保険者の受給資格期間が原則25年以上あり、亡くなられた方によって生計を維持されていた子のある配偶者、または子が受け取ることができます。なお、子に関しては、18歳になった年度の3月31日までの間にある子、もしくは20歳未満の障害等級1級または2級に該当する場合となります。

 

遺族基礎年金の受給額は年額779,300円で、子の加算として第2子までが224,300円、第3子以降が74,800円となります。

 

年金の繰上げ、繰下げ受給とは?厚生年金にもその仕組みはあるの?

 

 

ここからは、「年金を早く受け取りたい」「後で受け取ってもいいから増やしたい」という場合の繰上げ受給、繰下げ受給について解説していきます。

 

繰上げ受給

老齢基礎年金は原則65歳から受け取ることができますが、60歳から65歳になるまでに1カ月単位で繰上げして受給することも可能です。ただし、当初よりも早くに受け取るため、繰上げ支給の請求をした時点に応じて、一カ月繰上げるごとに年金額が0.5%減額され、その減額率はその後ずっと変わりません。

 

老齢厚生年金も繰上げ受給は可能です。しかし、老齢基礎年金も同時に繰上げ請求することになります。

 

繰下げ受給

次に老齢基礎年金の繰下げ受給です。こちらは老齢基礎年金の受給資格が発生する65歳よりも後に繰下げて年金を受け取ることです。支給の繰下げを申請した日の年齢に応じてではなく、月単位で受け取れる年金額の増額が行われます。

 

70歳まで受給開始年齢を繰下げることが可能であり、1か月繰下げるごとに年金受給額が0.7%増額されます。仮に70歳以降年金を受け取るよう繰下げを行った場合、増額率は42%にもなります。

 

なお、老齢厚生年金も繰下げ受給ができます。老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ時期をそれぞれ選択することも可能です。ただし、65歳から66歳になる前に障害年金又は遺族年金の受給者になった人は、繰下げ受給をすることはできません。

 

近年は企業の定年延長や再雇用を積極的に行っているところが少しずつ増えてきています。熟練の知識やスキルを活かすべく再雇用を検討されている方は、そちらで一定の収入を得ることができれば、年金の繰下げを行い、増額された年金をしっかり受け取るという選択肢も考えられるでしょう。

 

繰上げ請求の注意点

老齢年金の繰上げ請求を行う場合はいくつか注意点がありますので、そちらを十分把握したうえで繰上げ請求を行うか決めてください。

 

一生減額された年金を受け取ることになる

まず、繰上げ請求をしたことにより、一生減額された年金を受け取ることになります。これは、65歳以降も減額された金額からは戻りません。日本は医療技術の発達などにより、長寿大国となっています。長生きすることにより、受け取れる年金額が少なくなってしまうリスクを負うことになりますので注意しましょう。

 

あとから取り消しができない

一度繰上げ請求をしてしまうと、後になってそれを取り消すことはできません。

 

老齢基礎年金を繰り上げて受給した後で、自営業者の夫が亡くなったら、もらえなくなる年金がある

自営業者など「第1号被保険者」として国民年金の加入期間が10年以上ある人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けずに死亡した場合、遺族基礎年金を受けられない妻に支給される「寡婦年金」というものがあります。

 

条件が合えば、年金額は亡くなった夫の老齢基礎年金額の3/4が60歳以降65歳まで支給されます。妻が老齢基礎年金を繰上げ受給している時に自営業者の夫が亡くなれば、妻は寡婦年金を受けられません。

 

自営業者の夫が老齢基礎年金を繰上げてから間もなく死亡した場合も、妻は寡婦年金を受けられません。夫の体調が悪いときは、繰上げはせずに様子を見る・・というのも一つの方法ですね。

 

65歳前に遺族年金の受給権が発生した場合

そして、65歳前に遺族年金の受給権が発生した場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金のどちらかを選ぶことになります。遺族厚生年金を選択した方が有利なケースが多いため、そちらを受け取ると老齢基礎年金はそこで支給停止。再度65歳から受け取ることができても、減額された年金のまま受け取ることになります。

 

まとめ

 

 

最後となりますが、これまで厚生年金保険の基本的な仕組み、受給方法のポイントなどを国民年金とあわせて詳しく解説してきました。

 

年金制度は、皆さんの老後生活をより安定したものにすることに寄与する制度です。受給のポイントである繰上げ・繰下げ受給などをしっかり把握したうえで、この年金制度をより効果的に活用していきましょう。

 

監修:横井 規子(ファイナンシャルプランナー)

 

 

 

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