住宅ローン控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。普段は確定申告に馴染みのないサラリーマンの方でも、最初の年は自ら申告しなければなりません。本記事では、住宅ローン控除や確定申告の基本、住宅ローン控除の確定申告を行う方法を分かりやすくご説明しています。初めて確定申告する際にもご活用ください。

目次

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの取得や増改築をしたとき、要件を満たすものについて住宅ローンの年末残高を基に計算された金額を各年分の所得税額から控除する、というものです。

※所得税額から控除しきれなかった場合、年136,500円を限度に翌年度の個人住民税から控除できます。

また住宅ローンを利用しなくても、一定の要件を満たす住宅改修(耐震・バリアフリー・省エネなど)や認定住宅の新築等をしたときは、その年分の所得税額から一定の金額を控除する、とされています。

参考:No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1210.htm

控除額の計算は?

住宅ローン控除の控除額は住宅ローン等の年末残高の合計額に、居住の用に供した年により所定の割合を乗じて計算します(控除限度額あり)。なお長期優良住宅等の認定住宅の場合は計算方法が異なります。

※平成29年分以後の確定申告において適用

出典:3 住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額の計算方法|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

対象となる住宅は?

住宅ローン控除の適用を受けることができる住宅の要件には、次のようなものがあります。

1.共通要件

・新築または取得した住宅、または増改築後の住宅の床面積(登記簿上)が50㎡以上、かつ2分の1以上の面積の部分がもっぱら自己の居住用であること。

参考:No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

2.中古住宅を取得した場合

・建築された日から取得の日までの期間が20年以下(耐火建築物の場合は25年以下)であること。または耐震基準に適合する建物であること、または取得の日までに耐震改修を行うことを申請し居住の日までに耐震基準に適合することが証明された建物であること。(いずれかの条件を満たすもの)

・生計を一にする親族や特別な関係のある方などからの取得ではないこと

参考:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm

3. 増改築等の場合

・自らが所有しかつ居住している家屋に行う増改築であること

・家屋の大規模または一部の修繕、バリアフリー改修、省エネ改修などのうち一定のもの(それぞれに要件有)

参考:No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1216.htm

完成後6カ月以内の入居が必須

住宅を新築または取得・増改築した日から6カ月以内に居住を開始し、住宅ローン控除を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいることが必要です。

参考:No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

1年目は確定申告が必要

住宅ローン控除の適用を受ける際、最初の年分については全ての方が確定申告をする必要があります。確定申告書に借入金の年末残高等証明書、家屋や敷地の登記事項証明書、売買契約書の写し、給与所得の源泉徴収票など必要書類を添えて納税地の税務署長に提出します。

参考:5 住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

2年目以降は年末調整で手続きができる

2年目以降の年分は、確定申告書に借入金の年末残高等証明書などの必要書類を添えて同様に提出します。なおサラリーマンの場合は、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。

年末調整の必要書類は?

サラリーマンの方が年末調整で住宅ローン控除を受けるために必要な書類は、以下の通りです。毎年忘れずに勤務先に提出するようにしましょう。

年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書

初年度の確定申告の後、税務署から送付される年末調整用の住宅ローン控証明書です。2年目以降の適用を受けられるすべての年分の証明書がまとめて送付されます。年末調整に必要な書類として給与支払者に提出します。

住宅ローンの年末残高証明書

住宅ローン返済先の金融機関から毎年送付される、その年の年末における住宅ローン残高の証明書です。金融機関にもよりますが、毎年10月中旬~下旬頃発送されます。年末調整のための住宅借入金等控除証明書とともに給与支払者に提出する必要があります。

出典:住宅ローン残高証明書|三井住友銀行
http://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/zandaka/shomei.html

住宅ローン控除の注意点

住宅ローン控除について見落としがちな点をいくつか挙げました。住宅ローンを申し込む前に確認してみてください。

住宅ローン控除の適用は入居の年から10年間

上述の通り、平成30年現在これから入居して住宅ローン控除の適用を受けようとする場合の控除期間は「入居した年から10年間」です。もし入居した翌年に住宅ローン契約をした場合、控除期間が1年少なくなってしまいます。それほど多いケースではないかもしれませんが、年末年始に契約を行う場合などは注意が必要です。

また住宅ローン控除適用の要件として、住宅取得等のために10年以上にわたって返済することになっている借入金があること、というものがあります。つまり、返済期間が10年に満たない住宅ローン等には適用されません。また、返済期間がどれだけ長くても、控除されるのは入居してから10年間のみです。

参考:No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1225.htm

所得が無くなると住宅ローン控除は適用されない

住宅ローン控除額はその年分の所得税額から控除されるので、所得がなくなると適用されなくなります。考えられるケースとして共働き夫婦が住宅を共有とし、それぞれ住宅ローンを組んだ後に妻が専業主婦になった場合などがあります。貯蓄等でローン返済をしていても、納める所得税がなければ控除は適用されません。

参考:夫婦の共有にしたけど、妻が専業主婦になったら住宅ローン控除はどうなるの?|フラット35
https://www.flat35.com/user/helpful/kakutei3.html

共有持分については出資割合次第で贈与税の対象になる可能性がある

夫婦で住宅を共有し「共有持分」を決める場合に、実際の出資割合を考慮する必要があります。出資割合とは、夫婦のどちらが頭金をいくら出したか、住宅ローンをどちらがいくら借り入れて返済するか、ということです。

例えば、3,000万円の住宅を購入し、夫婦がそれぞれ頭金を500万円ずつ出資し夫を債務者とする2,000万円の住宅ローンを組んだ場合です。

この場合の出資割合は、

夫2,500万円(500万円+2,000万円):妻500万円=夫5/6:妻1/6

となるので、もし共有持分を夫婦で1/2ずつにすると、夫から妻へ3分の1(1,000万円分)贈与したとみなされ贈与税の対象となることがあります。疑問点があれば事前に税務署に相談しておくようにしましょう。

出典:共有持分と連帯債務割合は、夫婦の場合、半々にしておけばいいの?|フラット35
https://www.flat35.com/user/helpful/kakutei3.html

確定申告とは

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得と所得税の金額を計算し、源泉徴収などで既に納めた税金との過不足を精算するために行うものです。住宅ローン控除については、1年間に納めた所得税から控除額の還付を受けるために確定申告を行います(還付申告)。

出典:確定申告を行う必要がある方・還付申告を行うことができる方|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/hajimete.htm

申告時期は?

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年216日から315日までの期間に行います。しかし、住宅ローン控除のような「還付申告」の場合は、翌年の11日から5年間提出することができます。初年度の確定申告には用意する書類が多いので、年内にできるだけ用意しておき、翌年になったら早めに申告することをおすすめします。

参考:No.2030 還付申告|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm

申告窓口は?

確定申告書の提出先は、そのときの納税地を所轄する税務署長です。通常は確定申告書の取得等をして居住している住宅の住所地が納税地となります。

参考:No.2029 確定申告書の提出先(納税地)|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2029.htm

確定申告書の作成方法は?

確定申告書の作成方法は3種類あり、どれでも自分に合った方法選択することができます。

確定申告書に直接記入する

確定申告書に手書きで記入して提出する方法です。確定申告書は最寄りの税務署等でもらえますが、国税庁のホームページからダウンロードして印刷して使用しする方法もあります。記入例も同ホームページで確認できます。

出典:確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/02.htm

国税庁のホームページで作成する

国税庁のホームページにある「確定申告書作成コーナー」を利用し、自宅のパソコンなどを使って作成する方法です。画面の案内に従って源泉徴収票等の金額や必要事項などを入力することで、確定申告書を分かりやすく作成することができます。

作成した確定申告書は印刷して郵送等で提出するか、e-Tax(電子申告)で送信することも可能です。確定申告書作成コーナーの詳しい利用方法については後述します。

※郵送する場合は、控返信用の封筒及び切手を同封することもお忘れなく。

税務署の確定申告書作成コーナーで作成する

確定申告の時期になると税務署内外に開設される、確定申告書作成会場を利用する方法です。住宅ローン控除の確定申告に必要な書類等を持参し、確定申告会場のパソコンで作成します。会場は非常に混雑すると予想されますが、申告に関する相談ができるので初めて確定申告する方にとっては安心です。

参考:確定申告会場開設のお知らせ|国税庁
https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/topics/kakutei/index.htm

期間内に申告できなくても5年以内であれば確定申告ができるが

入居した翌年に住宅ローン控除の確定申告をしなかった場合でも、入居した年の5年後の12月31日までは申告が可能です(還付申告の場合)。ただし、住宅ローン控除額の住民税からの控除(所得税から引き切れない場合に一定の計算に基づき控除される)を受けるためには、原則居住開始した翌年の3月15日が申告期限となります。

参考:確定申告書の提出期限|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213_qa.htm#q8

住宅ローン控除申請に必要な書類

住宅ローン控除を受ける最初の年分は、確定申告書に加えて取得した住宅等の区分に応じて多くの書類が必要になります。申告の時期に慌てることのないよう早めに用意しておきましょう。

以降参考:5 住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

確定申告書

確定申告書(申告書AまたはB)に所得金額など必要事項を記入します。

住宅借入金等特別控除額の計算明細書

住宅ローン控除の還付申告に必要な確定申告書です。補助金の交付や住宅取得等資金の贈与の特例を受ける場合、または借入金等が連帯債務になっている場合は、それぞれ該当する付表も必要です。

住民票の写し

居住を開始した日を確認するために必要でしたが、マイナンバーの導入により平成28年分以降の申告では原則不要になりました。ただし平成27年分以前の申告では住民票の写しが必要な場合があります。

登記事項証明書

家屋や敷地の取得年月日、家屋の床面積(50㎡以上)等を確認できる書類として添付します。

不動産売買契約書の写し

登記事項証明書と同様に、取得年月日や取得対価の額等を確認できる書類として必要です。

源泉徴収票

サラリーマンの場合は、所得税額等を証明する給与所得の源泉徴収票の添付が必要です。

住宅ローンの残高証明書

金融機関等から送られた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添付します。2カ所以上から交付されている場合は全ての証明書を添付します。

耐震基準適合証明書or住宅性能評価書の写し(耐震基準を満たす中古住宅の場合)

耐震基準に適合する中古住宅を取得した場合は、次のいずれかの書類が必要です。

・耐震基準適合証明書

・建設住宅性能評価書の写し

・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約(取得の日前2年以内に締結したもの)

出典:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm

認定通知書の写し(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の場合)

「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」を適用する場合は、認定住宅に係る新築等計画の認定通知書の写し、または住宅用家屋証明書もしくは認定長期優良住宅(認定低炭素住宅)建築証明書など、該当する書類が必要です。

出典:5 住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

確定申告書等作成コーナーの利用ガイド

 

国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーを利用する方法です。ここではサラリーマンが住宅ローン控除について申告する場合についてご説明します。

参考:住宅借入金等特別控除の入力編(PDF)|国税庁
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/st/ccw1700/h29#02

給与所得関連の情報を入力する

「給与所得や年金所得のみの方」専用の画面から作成開始します。画面にしたがって、収入・所得金額や所得控除額を源泉徴収票の通りに入力します。

住宅ローン控除関連の情報を入力する

所得金額等の入力が終了したら、「税額控除等の入力」画面に移動します。

住宅の取得形態を選択する

申告に関わる住宅の取得形態(新築・中古住宅購入・住宅の増改築など)と居住開始年月日を入力します。

質問に答える

取得した住宅や土地についての質問に「はい」または「いいえ」で答えます。住宅が区分所有建物であるか、住宅や土地に事業用等で使用している部分があるか、共有名義であるかどうか、などの質問事項があります。

必要書類と適用要件を確認する

入力に必要な書類と、住宅ローン控除の適用要件の一覧が示されるので確認します。ここで示された全ての書類を用意し、また全ての適用要件を満たしている必要があります。

取得価額と床面積を入力する

住宅と土地それぞれの取得金額や床面積・申告者や共有者の持分を、売買契約書や登記事項証明書で確認し入力します。

住宅ローンの年末残高等を入力する

住宅ローン返済先の金融機関から送られてきた借入金年末残高証明書を確認し、金額等の必要事項を入力します。補助金や住宅取得資金の贈与を受けている場合は、この前のページで入力します。

連帯債務を入力する

連帯債務者がいる場合は、共有持分や債務の負担割合などを入力します。

適用する控除の種類を選択する

「住宅借入金等特別控除」、「認定長期優良住宅の場合」、「認定低炭素住宅の場合」の3種類の内、適用を受けることのできる控除が表示されるのでいずれかを選択します。控除の選択は以降の全ての年分において変更できません。

入力内容を確認する

これまで入力した内容が表示されるので確認します。訂正・削除がある場合はページ下部のボタンをクリックして作業を行います。入力に誤りがなければ次に進み「税額控除等の入力」の画面に戻ります。

基本情報を入力する

最後に氏名や住所・マイナンバーなどの基本情報を入力します。印刷等、提出に必要な作業をして終了です。

まとめ

・住宅ローン控除とは住宅ローン等を利用して住宅を取得等した場合に、借入金年末残高を基に計算した金額がその年の所得税額から控除されるものです。

・控除の適用を受けるには、取得する住宅の床面積が50㎡以上などの要件があります。・取得等した後6カ月以内に居住開始することが必要です。

・取得等した後6ヶ月以内に居住開始することが必要

・住宅ローン控除を受ける最初の年は確定申告が必要です。

・サラリーマンの場合2年目以降は年末調整で控除が受けられます。

・控除期間は「入居した年から」10年間です。

・夫婦共有の場合は持分や住宅ローンの組み方に注意が必要です。

・住宅ローン控除の申告は翌年1月1日から可能。納税地の税務署長へ提出します。

・居住開始5年後の年末までは申告可能だが、住民税からも控除されるのは原則翌年の3月15日までです。

・国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーは、案内通りの入力で確定申告書が作成できて便利でオススメです。

監修:上津原 章(ファイナンシャルプランナー)