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M life 記事

お金 2018.8.20

【税理士監修】年金にかかる所得税の計算方法とは?―どんな場合に確定申告が必要なのか

 

公的年金制度では、加齢や病気、ケガなどにより年金を受け取ることができます。ただしその年金に所得税がかかる場合があることをご存知でしょうか。その際は確定申告が必要となるケースもあります。そこで今回は、年金にかかる所得税の計算方法や、確定申告が不要となるケースなどについて分かりやすく解説していきます。

 

年金にも所得税がかかる?かからない?

 

 

そもそも皆さんが受取る年金には、所得税がかかってくるのでしょうか。年金にかかる所得税について詳しく解説します。

 

公的年金は3種類ある

はじめに、国民年金や厚生年金といった公的年金には、受けられる給付として、老齢年金障害年金、そして遺族年金の3種類があります。

 

まず老齢年金は、20歳から60歳までの40年間、すべての期間の国民年金保険料を納めた方は、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。満額の場合、年額779,300円となります。

 

これに加えて厚生年金に加入していた場合、老齢基礎年金を受けるのに必要な受給資格期間を満たした方が65歳になったときに、老齢基礎年金にプラスアルファする形で老齢厚生年金も受給することができます。

 

なお、なるべく多くの方に年金の支払いをできるようにするため、社会保障・税一体改革が行われ、2017年8月1日から、国民年金を受け取るのに必要な資格期間が、これまでの25年から10年になりました(※)。

 

出典:新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年10年)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143356.html

 

公的年金の2種類目は障害年金です。こちらは病気やケガにより生活に支障をきたす状態になった場合に受け取れます。また厚生年金にも加入していることにより受け取れる障害厚生年金は、病気やケガで障害基礎年金の1級もしくは2級に該当する障害の場合、障害基礎年金に加えて受け取ることができます

 

なお、障害等級2級に当てはまらないほどの軽い障害の場合は、3級の障害厚生年金のみ受給することができます。そして、障害基礎金額は障害等級1級の場合、年額779,300円×1.25に子の加算となります。

 

子の加算に関しては、第2子までがそれぞれ224,300円、第3子からはそれぞれ74,800円となります。なお、子は18歳になった年度の3月31日を経過していない子もしくは20歳未満の障害等級1級または2級の障碍者が該当します。

 

出典:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html

 

また、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金の支給対象とならないような軽い障害が残ったときには、障害手当金が受取れます。公的年金の3種類目が遺族年金です。こちらは公的年金の被保険者が亡くなられたときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受給することができる年金です。

 

遺族基礎年金遺族厚生年金があり、亡くなられた方の年金の納付状況などにより、片方もしくはその両方の年金を受け取ることができます。まず遺族基礎年金は被保険者の受給資格期間が25年以上あり、亡くなられた方によって生計を維持されていた子のある配偶者または子が受け取ることができます

 

なお、子に関しては、18歳になった年度の3月31日までの間にある子、もしくは20歳未満の障害等級1級または2級に該当する場合となります。遺族基礎年金の受給額は年額779,300円で、子の加算として第2子までがそれぞれ224,300円、第3子以降がそれぞれ74,800円となります。

 

出典:遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html

 

老齢年金のみが課税対象になる

3種類ある公的年金のうち、所得税の課税対象となるのは老齢年金のみとなります。老齢年金に関しても、年齢に応じて一定額以上の所得がある場合に課税となります。

 

年金の所得税がかからない条件とは

老齢年金への課税に関して、収入が公的年金のみで、65歳未満の方は受取額が108万円以下、そして65歳以上の方は受取額が158万円以下の場合には所得税がかかりません。

 

これは、老齢年金の受取額から、基礎控除の38万円と、公的年金等控除(65歳未満は70万円、65歳以上は120万円まで非課税)を差し引くと、課税対象となる所得がゼロになるからです。そのため、満額の老齢基礎年金だけを受給している場合は、受取額が779,300円となるため所得税はかからないことになります。

 

出典:高齢者と税(年金と税)|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_1.htm

 

年金にかかる所得税はいくらぐらいなのか

 

 

ここからは年金にかかる所得税について解説していきます。なお公的年金などから各種控除を差し引いた所得は、雑所得扱いとなります。

 

年金の雑所得の計算方法

年金の雑所得の計算方法は、年齢に応じて下記の通りになります。なお、年金の雑所得の速算表が厚生労働省のホームページに掲載されていますので、ご自身がどれに該当するか併せて確認してみてください。

 

出典:公的年金等の課税関係|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

 

年金受給者の年齢:65歳未満

年金受給者の年齢が65歳未満の場合、年金の収入が70万円までは雑所得の金額はゼロとなり、所得税は課税されません。収入が70万円以上の方について、雑所得の金額の計算式は下記のとおりです。

 

年金の雑所得の金額=年金の収入金額×一定の割合 – 控除

収入700,001円から1,299,999円までは、割合100%で、控除額が700,000円、

収入が1,300,000円から4,099,999円までは、割合75%、控除額は375,000円、

収入が4,100,000円から7,699,999円までは、割合が85%、控除額は785,000円、

収入が7,700,000円以上の場合、割合は95%、控除額は1,555,000円となります。

 

出典:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

 

年金受給者の年齢:65歳以上

年金を受け取る年齢が65歳以上の場合、公的年金などの収入が120万円までは雑所得金額はゼロとなります。年金などの収入が120万円以上の場合、先ほどの計算式により雑所得金額を計算します。

 

収入が1,200,001円から3,299,999円までは、割合が100%、控除額は1,200,000円、

収入が3,300,000円から4,099,999円までは、割合75%で、控除額は375,000円、

収入が4,100,000円から7,699,999円までは、割合が85%で、控除額は785,000円、

収入が7,700,000円以上の場合、割合が95%で、控除額は1,555,000円となります。

 

ひとつ雑所得を求める計算例を挙げますと、65歳以上で、公的年金などの収入が450万円の場合、雑所得金額は、

 

4,500,000×85%-785,000=3,040,000円

 

このように、年金を受け取る方の年齢や公的年金等の収入金額に応じて、雑所得の金額が計算できます。

 

出典:高齢者と税(年金と税)|国税庁
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/03_1.htm

 

年金の雑所得から控除されるもの

この年金の雑所得からは控除できるものがあります。

 

基礎控除

こちらは他の所得控除のように、控除するために特段条件があるわけではなく、一律38万円が適用されます。

 

公的年金控除

公的年金等控除に関しては、さきほどの項目「年金の雑所得の計算方法」のところでもお伝えしましたが、年金受給者の年齢が65歳未満の場合、年金の収入が70万円までは雑所得の金額はゼロとなり、所得税は課税されません。また、年金を受け取る年齢が65歳以上の場合、公的年金などの収入が120万円までは雑所得金額はゼロとなります。

 

国税庁のホームページ内の雑所得の速算表に記載されている通り、ご自身の公的年金等控除額を知るには、まず、65歳未満か65歳以上かに分けられ、そして公的年金等の収入金額に応じて、公的年金等控除額が決まってきますので、ぜひ一度速算表をチェックしてみてご自身のケースを確認してみましょう。

 

社会保険料控除

こちらは本人または生計を一にする配偶者やその他親族の社会保険料を支払った場合に所得控除できるものです。社会保険料控除の対象となる社会保険料には、健康保険、国民年金、介護保険料、国民年金基金の掛金などが挙げられます。

 

70歳以上の高齢者を扶養している方の特例

70歳以上の高齢者を扶養している場合、控除対象配偶者や控除対象親族の年齢や同居の有無などにより、配偶者控除額や扶養控除額が、通常よりも増額される特例があります。

 

この特例により、老人控除対象配偶者の場合、居住者の所得金額が900万円以下のときは、控除額が48万円(一般の配偶者控除は38万円)、900万円超950万円以下の場合は32万円(一般の控除額は26万円)、950万円超1,000万円以下の場合は16万円(一般の控除額は13万円)となります。

 

扶養控除額に関しても、一般の扶養控除額が38万円であるのに対し、同居の老人扶養親族の場合、控除額は58万円に、同居老親等以外の者の場合48万円となり、控除額が増額されます。

 

出典:No.1182 お年寄りを扶養している人が受けられる所得税の特例|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1182.htm

 

年金の所得税の計算方法

年金の所得税の計算方法は下記の2通りになります。配偶者などの扶養家族がいない場合、雑所得の計算方法の項目でお伝えした通り、65歳未満は108万円まで、65歳以上は158万円まで非課税となります。

 

それらの金額を超えてくると、年金に所得税が課せられ、その計算方法は以下の2つに分かれます。

 

出典:年金にかかる源泉徴収税額|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170901.files/3.pdf

 

扶養親族等申告書を提出した場合

雑所得が上記の金額を超えた方は所得税の課税対象となり、年金運営の実務を担う日本年金機構から「扶養親族等申告書」が送られてきます。申告書に必要事項を記載し、日本年金機構へ提出した場合、年金の所得税の計算式は下記の通りになります。

 

所得税=(年金額 - 社会保険料、基礎控除など各種控除)×5.105%

 

出典:平成30年1月12日から順次「平成29年分公的年金等の源泉徴収票」の発送を行います|日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/2017122801.html

 

扶養親族等申告書を提出していない場合

一方で扶養親族等申告書を提出していない場合、年金の所得税の計算式は下記になります。

 

所得税={年金額 - 社会保険料 - (年金額 – 社会保険料)×25%)×10.21% 

 

年金の所得税課税対象者は、上記の計算式で算出された所得税を確定申告によって納める必要があります。

 

出典:公的年金の税金はどうやって計算される?|公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/20.html

 

年金受給者の確定申告は必ずしなければならないの?

 

 

ただし、必ずしも確定申告をしなければならないわけではありません。年金受給者の確定申告手続きの負担を軽減させるため、確定申告不要制度が設けられています。

 

確定申告不要制度とは?

確定申告不要制度の対象者は、公的年金等の収入が400万円以下であり、その公的年金等の全額が源泉徴収の対象であること、もしくは公的年金等にかかる雑所得以外の所得が20万円以下である方が該当します。

 

なお公的年金等には、老齢基礎年金や老齢厚生年金、老齢共済年金、確定給付企業年金などが挙げられます。そして公的年金等にかかる雑所得以外の所得としては、生命保険などの契約に基づく個人年金や、給与所得、生命保険の満期返戻金などが挙げられます。

 

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm

 

確定申告が必要なのはこんな場合

確定申告が必要なケース、公的年金等の収入が400万円以上の場合や、公的年金等にかかる雑所得以外の所得が20万円以上ある場合です。

 

外国で受け取る公的年金等に関しては、源泉徴収の対象とならないため、このような場合も確定申告を行う必要があります。

 

税金が還付される場合は確定申告した方が良い

確定申告不要制度の対象であっても、確定申告が必要な場合として、所得税の還付を受けられる方が挙げられます。

 
 例えば住宅ローンを活用してマイホームを購入した場合や、一定額以上の医療費を支出した場合、社会保険料控除や生命保険料控除などを受ける場合、災害や盗難にあった場合などです。

 

医療費控除に関しては、一般的には医療費を年間10万円以上負担した場合に医療費控除を受けられますが、所得の少ない年金受給者は、10万円以下でも医療費控除の対象となることが可能です。

 

また、社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除などは、会社勤務の方の場合、年末調整を行うことで控除を受けられます。ただし、年金受給者は年末調整を受けることができませんので、確定申告を行うことによりしっかり税金を還付してもらいましょう。

 

住宅ローン控除に関しても、控除期間は10年間で、会社勤めの方は2年目から年末調整で控除を受けられますが、さきほど同様年金受給者は年末調整を行えませんので、忘れずに確定申告をすることで税が還付されます。

 

このような場合は税金が戻ってくる可能性がありますので、確定申告をした方がよいといえるでしょう。なお年金受給者の税還付の手続きは通常と異なってくることもありますので、詳細な手続きに関しては、最寄りの税務署に問い合わせてください。

 

年齢や受給金額によって、かかる税金も違う

 

 

最後となりますが、年金の所得税に関しては、ご自身の年齢や年金の受給金額など様々な要因が関わってくることにより、納める税金も異なってきます。

 

そして、今回は確定申告不要制度などもご紹介しました。年金にかかる所得税の知識をしっかりと身につけ、そしてその知識を存分に活用することにより、豊かな老後生活を送ることができます。今から実践していきましょう。

 

 

監修者:添田 裕美(税理士)

 

 

 

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