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お金 2018.9.13

【FP監修】少子高齢化が進んでも日本の年金制度は破綻しない?

 

日本は急速に少子高齢化が進んでいます。それに合わせて、日本の年金制度が破綻するのではと危惧するメディアの報道も多く目にするようになってきました。

 

そこで、今回は、日本の年金制度の現状をしっかりと把握したうえで、我々が納める年金積立金の運用を担うGPIFについて、そして、今後の年金制度の見通しについて解説していきます。

 

日本の年金制度の現状

 

 

まずは、日本の年金制度の現状をおさらいしていきます。

 

「財政検証結果」によると破綻リスクは低い

厚生労働省が公表した2014年度の「財政検証結果」によると、日本の年金制度の破綻リスクは低いと言えるでしょう。

 

それは、国民年金・厚生年金保険料を引き上げ、負担の範囲内で年金の給付水準を調節する仕組みである「マクロ経済スライド」を導入、これまでの積立金の活用により、およそ100年間の財政バランスの均衡をとる方式を取り入れたりしているからです。

 

これらの施策を取り入れることにより、厚生年金の財政見通しは、2014年度に収入が42.5兆円であるのに対し、支出が46.6兆円と収支は赤字だったものが、2018年度には黒字に転換する見通しとなっています。

 

マクロ経済スライドについてもう少し説明します。こちらは、少子高齢化が進むなかで、現役世代の負担が過多とならないように、限られた財源の範囲内で年金の支給水準を自動的に調整する仕組みです。つまり、平均余命の伸びや現役世代の減少といった少子高齢化を考慮しつつ、これに加えて物価や賃金の伸びを踏まえ、年金の支給額を決めていく体系となっています。

 

他国と比べても日本の年金制度は万全?

他国と比較しても、日本の年金制度がそれほど危惧される状態ではないと言えます。

 

対外債務が少ない

対外債務が少ないことにより、安定した財務基盤が築かれています。

 

積立金がある

年金財政のバランスをとるため、積立金を活用することもできます。日本は、2016年12月末時点で約153兆円の積立金があります。

 

一生涯もらえることが最大の価値

年金制度の最大のメリットは、受給権を取得してから一生涯年金をもらえることです。国民年金・厚生年金といった公的年金を安定して継続的にもらえることにより、老後の生活も、より安心して豊かな生活を送れることにつながってくると思います。

 

年金は納めておいて損はない

そのため、年金保険料を支払っている今は、何か損をしている気分になってしまうかもしれませんが、長い目で見て、日本の年金制度は老後生活の助けとなる仕組みとなっています。若いうちは、しっかりと保険料を納めるようにして損はないといえるでしょう。

 

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/report/pdf/report2014_all.pdf

 

年金破綻を心配する主な根拠

 

なぜ、日本の年金制度が破綻すると心配する声が上がっているのでしょうか。ここからは、年金制度の破綻を心配する主な根拠を整理していきます。

 

現役世代の減少による財源不足

根拠の1つが、少子化を背景に、保険料を負担する現役世代の減少による財源不足です。こちらに関しては、先ほどご説明した通り、政府の対応策として、国民年金・厚生年金の保険料を引き上げ、約170兆円にも及ぶ積立金の活用、負担の範囲内で年金の給付水準を調節する仕組み作りなどにより、年金財政のバランスをとることを図っています。

 

受給世代の増加による社会保障費の増加

根拠の2つ目が、高齢化が促進した受給世代の増加と、それによる社会保障費の増加です。高齢化が急速に進むにしたがい、社会保障費も増加の一途をたどっています。

 

政府は、2017年に、その対応策として、年金支給額を0.1%引き下げることを発表しました。国民年金と厚生年金ともに受け取れる金額が減少することになります。これらの施策により、将来の若い世代の人たちにも、しっかりと公的年金を支給できるように、持続可能な公的年金制度の確立を目指しています。

 

出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000149802.pdf

 

GPIFの運用リスク

そして根拠の3つ目として、GPIFの運用リスクが挙げられます。GPIFに関しては、次項で詳しく説明しますが、これまでお伝えした年金の積立金の運用を行っている機関GPIFです。運用する商品には元本保証のないリスク性商品も含まれています。

 

そのため、運用次第では年金の積立金元本が目減りしてしまい、強いては、年金財政のバランスをとるための活用を検討していた積立金を期待ほど利用できなくなってしまう可能性を危惧しています。

 

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用は大丈夫?

 

 

それではここから、年金積立金の運用管理を行うGPIFについて解説していきます。

 

GPIFとは

GPIFは、Government Pension Investment Fundの略で、日本語では「年金積立金管理運用独立行政法人」と言います。年金制度を所管する厚生労働省から委託を受け、国民が納めた保険料のうち、年金積立金の運用・管理を行う機関となります。

 

厚生年金と国民年金の運営を安定的なものとすることを目的とし、長期的な観点から安全かつ効率的な運用に努めることとなっています。

 

リスク資産にも投資している

年金積立金の運用については、長期的な観点を持ちつつ、必要なリターンを最低限のリスクで確保することを目指しています。そして主な投資対象は、国内外株式と国内外債券であり、元本が保証されないリスク性商品にも投資をしています。ただし、必要なリターンを得るために、国内資産に投資するだけでなく、外国資産にも投資を行い、分散投資によりリスクを抑えることで安全かつ効率的な運用を心掛けています。

 

なお、GPIFでは長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うため、運用する資産の構成比率を示す「基本ポートフォリオ」を定めています。具体的には、以下の通りになります。

 

比較的安全な資産である国内債券を35%、必要なリターンを取りにいくために国内株式に25%、分散投資の効果を得るために外国債券に15%、海外の高成長をくみ取るために外国株式を25%保有する割合となっています。

 

株価が下がると大きなマイナスが発生する?

仮に基本ポートフォリオ通りの資産を組み入れた場合、年金積立金を170兆円として計算すると、国内株式・海外株式にそれぞれ42.5兆円ずつ投資することになります。年金積立金のちょうど半分をリスクの高い金融商品で運用することを意味します。

 

そうすると、もしGPIFの保有する企業の株価が下落すると、運用も大きな損失が生じるのではないかと心配の声があがってくるかもしれません。そのため、年金破綻を懸念する根拠の一つとして、GPIFの運用リスクが挙げられています。

 

ただし、リスク・リターンは表裏一体で、リスクをとらなければ十分なリターンを得ることは難しいです。そのため、GPIFは国内外の株式にもしっかりと投資を行っていることになります。

 

日銀の金融政策により継続的なマイナスは考えにくい?

現状は、日本の金融システムを司る日本銀行により、経済サポート策の一環として、ETFの大量買い付けによる株価下支えが行われています。これにより、株価は大きく落ち込み、GPIFの運用パフォーマンスが継続的にマイナスになることは考えにくいといえるでしょう。

 

それでは、実際のGPIFの運用成績を確認してみます。GPIFが運用を開始した2001年度以降の累積で、収益率は年率+3.18%、収益額にすると+66.1兆円となっています。このように、現在までのところは順調な運用パフォーマンスを誇っているといえるでしょう。

 

ただし、投資の世界に「絶対」はないため、今後世界の投資環境がどのように変化するか名言はできません。再びリーマンショックのような大不況も起こる可能性があります。投資でリスクをとる以上、ずっとGPIFの運用リスクは付きまとうものといえます。

 

なお、このGPIFの運用成績に関しては、定期的にメディアでも取り上げられていますので、ぜひ皆さんの目でも確かめて、「安全かつ効率的な運用」ができているかチェックしてみてください。

 

出典:「GPIF」
http://www.gpif.go.jp/

 

今後の年金制度の見通し

 

ここからは、今後の年金制度の見通しについて解説していきます。

 

年金破綻の可能性は低い

これまでお伝えした通り、国民年金・厚生年金の保険料の引き上げ、約170兆円にも及ぶ積立金の活用、マクロ経済スライドの導入など政府の様々な対応策や、GPIFの良好な運用成績などを考慮すると、日本の年金制度が破綻するリスクは低いといえるでしょう。

 

厚生労働省は、少なくとも5年ごとに年金財政見通しの作成やマクロ経済スライドの見通しの作成を行うことで、年金財政の健全性を検証することとしています。そして、将来の若い世代の人たちの受け取る年金額が、極端に少なくなるようなことが見込まれる場合には、年金の支払いと受け取りのバランスを踏まえた、さまざまな措置を講ずることになっています。

 

年金給付額の引き下げは避けられない?

そうはいっても、少子高齢化を背景として、年金保険料を負担する担い手となる若い世代が少なくなる一方、年金を受け取る高齢世代は増加を続けています。さらに、日本銀行が超低金利政策を続けていても、日本経済はいまだにデフレから脱却できていません。さまざまな要因が重なり、年金財政のバランスをとるには年金給付額の引き下げは避けられないと政府は判断したのでしょう。

 

政府は2017年(平成29年)度の年金支給額を0.1%引き下げると発表しました。これにより、国民年金と厚生年金ともに受け取れる金額が減額されています。このことから、日本の年金制度が破綻するリスクは低いものの、いぜんとして台所事情は厳しいものがあると判断できます。

 

出典:厚生労働省「平成29年度の年金額改定についてお知らせします」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000149802.pdf

 

年金受給開始年齢の引き上げもあり得る?

財務省は、厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる案を検討しています。少子高齢化による年金財政の悪化に歯止めをかける狙いがあります。「人生100年時代」を迎えるなか、将来世代がもらえる年金額が低下する形で重い負担を強いられる可能性があること、そして2035年以降団塊ジュニア世代が65歳になることなどを踏まえ、それまでに支給開始年齢を引き上げるべきとの考えを持っているようです。

 

出典:時事ドットコムニュース「財務省が年金支給68歳開始案=高齢化対策で審議会に提示-実現には曲折も」
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018041101104&g=eco

 

まとめ

 

 

これまで、日本の年金制度の現状や将来見通し、年金積立金の運用を行うメインプレーヤーであるGPIFの存在などをお伝えしてきました。

 

最後となりますが、年金は国民1人1人の老後生活を安定させるための大切なお金です。支払った保険料がどういった形で運用されているのか、または年金支給額は今後どのように変わってくるのかなど、国民1人1人が厳しい目で、その動向をチェックしていくことが大切でしょう。

 

監修:元木 進一(ファイナンシャルプランナー)

 

 

 

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