クレジットカードを複数持つことのメリットやデメリット

クレジットカードは複数枚を使い分けるのが、もっともお得で付帯サービスを最大限活用するのに有効な手段です。とはいっても適正枚数や具体的なメリットなど、疑問は多いですよね。ここではクレジットカードの複数持ちに対し、いい面と悪い面のどちらにも焦点を当てて考察しています。クレジットカードを見直せば、あなたのライフスタイルがもっと豊かになるかも?
目次
クレジットカード、何枚持っている?
ところで、あなたはクレジットカードを何枚所有していますか?「えーと、何枚だったかな…」とお財布を覗かなければわからないのなら、実は危険信号かもしれません。
クレジットカードの平均所有枚数は3.2枚
統計によると、国内のクレジットカード保有数の平均値は3.2枚という結果が出ています(引用:JCB クレジットカードに関する総合調査2017年度版)。ただ、実際に携帯するクレジットカード枚数は2.1枚となっていることから、日常的に利用するメインのクレジットカードは2枚程度が主流ということがわかりますね。
なお、この調査は毎年実施されていますが、長い期間にわたってほぼ横ばいであることがわかっています。やはり、多くの人にとって2~3枚がもっとも使い勝手がよいということのあらわれでしょう。
多くの人はメインカードとサブカードで使い分け
さて、クレジットカードを保有する人の多くが複数枚を使い分けているという実態が明らかになりましたが、具体的にどのような用途で差別化を図っていると思いますか。
それは、クレジットカードごとの性質によります。最近ではクレジットカードの種類もますます多様化を極めています。その中で、シーンや目的ごとに「ウリ」を前面に押し出した、いわゆる特化型クレジットカードが散見されることは事実です。
そうなると、生活の中の必要なシーンすべてにマッチした、総合的なサービスは1枚では期待できなくなります。目的別にクレジットカードを上手に使い分けることが、クレジットカードのサービスを最大限に活用することのもっとも有効な手段といえるでしょう。
クレジットカード複数持ちのメリット・デメリットを知り、うまく使い分けよう!
クレジットカードを複数保有し、使い分けるには、そのクレジットカードの特性をきちんと把握していなければ逆効果です。よく理解したうえで最大限活用すれば、便利なサービスの恩恵を受けられるだけでなく、ポイントの高還元により節約も叶います。
より豊かな生活の礎にもなりうるクレジットカードの複数持ち。メリットとデメリットを学んで、ライフスタイルに取り入れてみませんか?
クレジットカードの種類と複数使い分けのコツ
ところで、「クレジットカードの種類」について正確に理解しているでしょうか。
クレジットカードは大きく分けて2種類
クレジットカードは、発行会社によって2種類に大別することが可能です。
付帯サービスが充実している「プロパーカード」
一般的にクレジットカードは、VISAやMasterCard、JCBなどに代表される決済システムを搭載したうえ、発行会社から発行されるしくみです。ところが、その決済システム会社でもある一部の国際ブランドは、発行会社を経由せず単体でクレジットカードを発行しています。これが「プロパーカード」です。
代表的なものではアメリカン・エキスプレス・カード(アメックス)やダイナースクラブ、JCBが挙げられます。
プロパーカードの強みは、そのステータスの高さです。後述する「提携カード」に比べ審査が段違いに厳しく、保有しているだけで一種のステータスになります。高額な年会費からも容易に想像がつくように、充実した特典や付帯サービスが特徴です。
ポイント還元率が高い「提携カード」
一方の「提携カード」は、クレジットカード会社が発行するカードです。プロパーカードがステータスというなら、こちらはライフスタイル。日常利用に適したクレジットカードといえるでしょう。
提携カードは特典や、独自の付帯サービスの充実度が最大の魅力。発行会社によりそのサービスも多岐にわたるため、ご自身の目的にピンポイントに合致したカードが見つかるのがメリットです。
プロパーカードと提携カードを1枚ずつ持つのがおすすめ!
クレジットカードを複数持つのであれば、全く目的の異なるプロパーカードと提携カードを各1枚ずつ選択するのが、もっともバランスが取れているといえます。それによりあらゆるシーンに対応でき、ビジネス・ライフのいずれにおいても、マルチにクレジットカードを活用することができるからです。
複数持ちの王道は、還元率が高いカードをメインに、特定シーンで特典を受けられるカードをサブに
では、その2種類のクレジットカードをどのように使い分けたらいいと思いますか。勘のいい方なら、もうおわかりかもしれませんね。
ポイント還元率が高く、お得な提携カードを日常のメインカードとして利用するのが、賢い選択です。クレジットカードを日常で利用すればするほど高い還元を享受することができ、お得度が高まります。
一方で、プロパーカードはそのステータスの高さから、特定のシーンでその効力をいかんなく発揮してくれます。一流の飲食店等で高い割引を受けられ、アメックスにいたっては、海外のホテルやリゾートの宿泊費が最大で85%もの割引を受けることができます。
サブとしてプロパーカードを保有しているだけで、バカンスや海外出張時には提携カードの何倍もお得になる側面があるのです。
クレジットカードを複数持つことのメリット
クレジットカードの種類について理解できたところで、具体的にクレジットカードを複数持つことのメリットについて、紐解いてみましょう。
クレジットカードごとに異なる特典やサービスが受けられる
冒頭にて、クレジットカードにより特典やサービスは異なると解説しました。したがって、複数持っていればそれぞれのクレジットカードの弱点を補うことが可能となります。
あるシーンでは特典が受けられるAカードを、別のシーンではポイント還元が期待できるBカードを…というように、上手に使い分ければただ支払いをする用途だけにとどまらず、私たちの生活をより豊かにする後押しをしてくれるでしょう。
ブランドを使い分けで利用できる店舗数が増える
国際ブランド(決済システム会社)の異なるクレジットカードを保有していれば、どんな店舗でもクレジットカードを利用して支払うことができるのは大きな強みです。店舗によっては、利用できる国際ブランドが限定されていることも珍しくありません。
いざというときに現金を持ち合わせていなくて焦るくらいなら、どんなシーンでも利用できるよう「国際ブランド使い分け」も賢い選択のひとつです。
カードの利用枠が広がる
クレジットカードには、一定の利用限度額が設定されていますね。日常生活の中ではなかなか限度額をオーバーする機会は少ないですが、人生には、時に多額の出費が発生するシーンもないとはいえません。
複数のクレジットカードを保有していれば、クレジットカードごとに利用限度額が設定されていることから、その分利用枠が広がります。
カードの破損や不良の際も代わりのクレジットカードが使える
万が一クレジットカードを落として破損してしまったり、磁気不良で使えなくなった場合にも、複数所有していれば代わりのクレジットカードで代用することができます。クレジットカードを1枚しか所有していなかったとすれば、使えなくなったカードを再発行しない限り、現金で支払うしか方法がなくなってしまうのは厳しいですよね。
ATM等ですぐに現金が手に入る環境であればまだしも、海外などで急に使えなくなっては困ってしまいます。こういったことから、「保険」の意味合いで複数クレジットカードを所有しておくことは理にかなっているといえますね。
海外旅行でカード付帯保険を組み合わせ補償額をアップできる
クレジットカードには、海外旅行保険が付帯されているケースがあります。1枚であれば補償範囲は限定的ですが、2枚持っていれば補償の範囲は2倍以上です。メインカードの補償内容を主とし、サブカードで補償内容をサポート、さらにはグレードアップさせることも可能です。
クレジットカードを複数持つことのデメリット
いいことばかりに思えるクレジットカードの複数持ちですが、当然ながらデメリットも存在します。
暗証番号や利用額、ポイントなどの管理が大変になる
サービスの恩恵を得たいあまりに多数のクレジットカードを所有してしまうと、暗証番号や利用限度額、ポイントなどの管理が複雑化しますね。結果的にすべてのカードの管理がおろそかになり、サービスを活用しきれず、ポイントもムダにするなど、あまり得しないパターンが想定されます。
カードの年会費がかさむ
何枚もクレジットカードを持っていると、コスト面も気になりますね。年会費のかかるクレジットカードを保有していると、たとえ利用していなくても毎年一定金額が引き落とされます。
たとえ1枚では1,000円程度としても、10枚持てば10,000円です。果たして、それに見合う恩恵を受けているでしょうか?
紛失・盗難に気付きにくい
クレジットカードを10枚近くも保有していると、すべてのカードをお財布に保管することは難しくなり、保管場所が点在します。万が一、紛失や盗難があっても気づくのが遅れ、犯罪に巻き込まれるリスクが増大してしまいます。
引越し・名義変更などの手続きが煩わしくなる
引越しにからむ住所変更、結婚などで発生する名義変更など、クレジットカードに紐づく登録情報は常に最新の状態に保つ必要性があります。登録情報の変更はWEBサイトで完結するものもあれば、書面のやり取りを要するケースなど、クレジットカード会社や変更内容によってさまざまです。多くのクレジットカードを保有していればいるほど、その手続きに要する手間は増えていきます。
うまく使い分けないとポイントが貯まりにくい
提携カードの中には、特定のシーンで利用することでポイント還元率が倍以上に増えるサービスを提供しているものがありますね。この恩恵を最大限に享受するのであれば、利用するシーンごとにクレジットカードを分けなければなりません。
しかし、これではカードの枚数が増えれば増えるほど把握が難しくなります。うっかり別のカードで支払ってしまうと、効率よくポイントが貯まらないといった側面があります。
審査に通りにくくなる
クレジットカードの新規申込み時の審査で重視されるポイントは「支払い能力」です。人によっては、支払い能力があまり高くないと診断されている場合に、多くのクレジットカードを保有していると審査へ影響する可能性が出てきてしまいます。
カードの利用限度額が増額できにくくなる
クレジットカード発行時に必ず確認されているのがクレヒス(信用情報)です。そこで支払い能力から算出された一定の「与信枠」が決定されており、その一部が各カードの利用限度枠へ割り振られています。
したがって、当然ながらクレジットカードが増えれば増えるほどその与信枠を圧迫することになります。新規申込のクレジットカードの利用限度額が減ってしまうばかりでなく、今あるクレジットカードの利用限度額を一時的に増額したい、といったシーンでも悪影響がないとはいえません。
これを知っておけばクレジットカードを複数持っても怖くない!複数持ちの対策
それでは、クレジットカードを複数持っていながら効率よく使い分けるための方法と対策についてご紹介しておきます。普段の心がけで効率がアップする方法もありますので、ぜひ目を通しておいてくださいね。
貯めたポイントを別のポイントに交換できる
クレジットカード会社によっては、共通ポイントではなく独自のポイントシステムを導入しているケースがあります。独自ポイントは使い道が限定されることから、時には使う機会のないままポイントを失効させてしまうリスクも。
それなら、クレジットカードの会員専用サイトで別のポイントへ交換できないか、確認してみましょう。中には、マイルや楽天ポイント、nanacoといった電子マネーにも交換対応しているクレジットカードもあります。
永久不滅ポイントを利用すればポイントの失効を防げる
中には、ポイントシステムに有効期限のない「永久不滅ポイント」を謳っているクレジットカードもあります。セゾンカード等がその代表的な例ですが、楽天カードも期間限定ポイントを除いては、有効期限が設けられていません。これなら失効を恐れてムダな買い物に費やすことなく、必要時にポイントを利用できますね。
暗証番号、利用額、ポイントを管理できるアプリがある
クレジットカードの複数持ちで管理が煩雑化してしまうことが悩みなら、管理を一元化してはいかがでしょうか。最近では、クレジットカードの情報を丸ごと保管しておけるアプリもあります。
クレジットカードが手元になくても、そのアプリを確認すればどこでもインターネットでショッピングできるのは便利ですが、スマホの紛失時などは個人情報が漏れる心配もあります。スマホは慎重に管理する必要がありますね。
利用の多いメインカードを有料カードにし、サブカードは年会費無料のものを選ぶ
クレジットカードによっては、たとえ年会費の発生するカードであったとしても、年間に一定金額の利用があれば年会費が無料になるものもあります。そういったカードをメインカードに設定して日常的に利用し、あまり利用頻度の高くないカードは年会費無料のものを選択すれば、年会費をムダに支払う心配がありません。
申込ブラック(短期間の多重申込)に注意する
クレジットカードを短期間に複数枚申し込むと、「申込ブラック」判定されるリスクがあります。この場合、審査に通過しづらくなるため注意が必要です。
たとえ「申込ブラック」でも、破産のような「金融事故情報」と同様にブラックリスト入りされます。申込ブラックは本人の自覚がないケースが多いですが、定期券付きのクレジットカードが発行できないといった、細かい場面で弊害があります。
不要なカードを見直し、適正枚数を持つように心がけよう!
一度、ご自身分が持っているクレジットカードの断捨離をしてみましょう。不要なカードは解約をするなどして、ご自身がもっとも効率よく活用できる適正枚数を見直し、お得にクレジットカードを利用してくださいね。