» 所得税の源泉徴収についてポイントを押さえて理解を深めようのメインビジュアル  » 所得税の源泉徴収についてポイントを押さえて理解を深めようのメインビジュアル

M life 記事

お金 2018.9.25

所得税の源泉徴収についてポイントを押さえて理解を深めよう

 

個人事業主等の方は、所得税の支払いをご自身で行いますので、その重みを十分感じていると思います。しかし、給与所得者等は、毎月の給与から自動的に所得税を差し引かれます。

 

それゆえ、税金を支払っているという実感が、比較的少ないのではないでしょうか。この記事では所得税の内容や源泉徴収制度の仕組みなどについて解説しますので、理解を深めていただきたいと思います。

 

まず、所得税の計算の仕方について理解しよう

 

 

はじめに、年収と所得の違いや所得税の概要についてご説明いたします。

 

年収と課税所得の違いとは

会社から毎月の給料を受け取っている方の中には、年収=所得と思っている方もおられるのではないでしょうか。しかし年収と所得は同じではなく、その関係は次のようになります。

 

 年収…一年間に稼いだ金額

所得…年収から必要経費(給与所得控除)を引いた金額

 

所得税は課税所得を元に計算する

課税所得とは、所得から人的控除やその他の控除などを引いたものをいい、これに対して所得税がかかります。 この関係を数式で表すと次のようになります。 課税所得=所得-人的控除-その他の控除

 

様々な所得控除

課税の公平性の観点から、税負担は個々の能力に応じて行われます。そのため各人の事情を考慮して所得控除を行い、税負担が極力公平になるように考えられています。次にどのような所得控除があるのか見ていきます。

 

1.基礎控除

一律に38万円控除されます。

 

2.配偶者控除

納税者に控除対象配偶者がいる場合に、一定の金額の控除が受けられます。

合計本人の所得金額 一般配偶者控除額 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円以上950万円以下 26万円 32万円
950万円以上1,000万円以下 26万円 16万円

※老人控除対象配偶者とは、年末現在70歳以上の人をいいます。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm

 

3.配偶者特別控除

配偶者が38万円以上の所得があるときは、所得に応じて一定の金額の所得控除が受けられることがあります。

配偶者の所得金額 本人所得額900万円以下 本人所得額900万円~950万円以下 本人所得額950万円~1,000万円以下
38万円~85万円以下 38万円 26万円 13万円
85万円~90万円以下 36万円 24万円 12万円
90万円~95万円以下 31万円 21万円 11万円
95万円~100万円以下 26万円 18万円 9万円
100万円~105万円以下 21万円 14万円 7万円
105万円~110万円以下 16万円 11万円 6万円
110万円~115万円以下 11万円 8万円 4万円
115万円~120万円以下 6万円 4万円 2万
120万円~123万円以下 3万円 2万円 1万円

 

控除対象扶養親族は、年末現在の年齢が16歳以上で所得金額が38万円以下の配偶者以外の親族をいいます。

 

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm

 

4.扶養控除

控除対象扶養親族は、年末現在の年齢が16歳以上で所得金額が38万円以下の配偶者以外の親族をいいます。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
同居老親等以外の老人扶養親族 48万円
同居老親等以外の同居老親等 58万円

 

5.障害者控除

本人および同一生計配偶者・扶養親族が障害者の場合には、一定の金額の所得控除を受けられます。

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者 75万円

 

 6.寡婦控除

本人が寡婦である場合に、要件を満たせば一定の金額の所得控除を受けられます。

区分 控除額
一般の寡婦 27万円
特別の寡婦 35万円

 

7.寡夫控除

本人が寡夫である場合には、要件を満たせば一定の金額の所得控除を受けられます。

区分 控除額
寡夫控除 27万円

 

8.勤労学生控除

本人が勤労学生である場合には、要件を満たせば一定の金額の所得控除を受けられます。

区分 控除額
勤労学生控除 27万円

 

9.社会保険料控除

社会保険料は全ての国民に加入する義務がある保障制度で 、健康保険や年金保険料・雇用保険料・介護保険料などがあります。本人あるいは同一生計の配偶者や親族の社会保険料を支払った場合、その金額を所得から控除できます。

 

10.小規模企業共済等掛金控除

個人事業者本人が小規模企業共済法に基づく掛金などを支払ったときには、その金額を控除できます。

 

11.生命保険料控除

納税者が払った保険料に対して、一定の金額をその年の所得から差し引くことができます。生命保険料控除には、一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の3種類があり、平成24年以降に締結した新契約とそれ以前のものとは取り扱いが異なります。新契約においては支払い保険料に応じて、各最高4万円を限度として12万円まで適用が可能です。

 

12.地震保険料控除

納税者が損害保険契約に基づいた地震保険の保険料や掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。

 

13.雑損控除

納税者あるいは同一生計の配偶者の親族が、自然による災害や人為的な災害・盗難・横領などにより、資産の損失が生じたときには、一定の金額の所得控除を受けられます。その年の所得金額が38万円以下であることが要件になります。

 

14.医療費控除

医療費控除とは、納税者および生計を同一生計の配偶者や親族の医療費を払った場合に、医療費が10万円を越えた場合には一定の金額を所得控除できます。この場合、確定申告をする必要があります。

 

15.寄付金控除

国や地方公共団体などに寄付をした場合に、その金額を所得金額から差し引くことができます。寄付金控除の対象としては、政党や政治資金団体・NPO・学校法人・公益社団法人などがあります。

 

給与所得者が対象の控除

給与所得は、会社が支払う給料やボーナス・住宅手当・家族手当・残業代などの収入から給与所得を控除した金額をいいます。

 

給与所得=給与収入∔現物-給与所得控除額

 

平成29年~平成30年分の給与所得控除額は、下記の表のように収入金額に応じて定まっています。

給与等の収入金額 給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%、65万円未満は65万
180万円~360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円円~660万円以下               収入金額×20%+54万円
660万円円~1,000万円以下

収入金額×10%+120万円

1,000万円超 220万円(上限)

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1410.htm

 

所得税の対象とならない支出とは

15万円までの通勤手当て、旅費・交際費・見舞金・仕事に必要な資格取得費用などは課税対象外となり所得税がかかりません。

 

課税所得が多いほど税率も高い

所得税は、課税所得が多くなればなるほど税率が高くなる超過累進課税です。所得が195万円までは5%の税率となっていますが、累進して高くなり4,000万円超では45%の高率となります。所得税の税率については、下記の速算表を利用すれば便利です。

課税所得金額 税率 老人控除対象配偶者
195万円以下 5% 0円
195万円以上330万円以下 10% 97,500円
330万円以上695万円以下 20% 427,500円
695万円以上900万円以下 23% 636,000円
900万円以上1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800以上4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

大幅な節税効果がある税額控除とは

税額控除とは、所得税額より一定の金額を控除するもので、大きな節税効果を得ることができます。主なものに、寄付金特別控除、配当控除、住宅借入金等特別控除があります。寄付金特別控除は、政党や政治資金団体・NPO法人・公益法人への寄付等について一定の金額を控除できます。

 

配当控除は、法人からの利益配当や投資信託の収益分配などがある場合に、所得の10%または5%を控除できます。住宅を新築したり増改築した場合には、一定の条件を満たすことで、住宅ローンなどの年末残高にたいして一定の期間控除されます。

 

所得税の源泉徴収の仕組みについて

 

 

給与所得者の所得税は、月々の給与から源泉徴収されていますが、その仕組みはどのようになっているのでしょうか。

 

給与や報酬の支払い側が代わりに徴収し納税する

源泉徴収とは、会社が毎月給料などを支払うときに収入金額に応じて所得税を天引きすることを言います。所得税は年収に対してかかりますが、まとめて納税するには負担が大きいので、概算で税金を前払いします。なお12月に年末調整を行い、清算をします。

 

源泉徴収の対象となるのは給与や報酬だけではない

源泉徴収の対象となる項目としては、給料やボーナス・利子・配当・退職手当・公的年金・報酬・現物給与などがあります。

 

源泉徴収額はどのようにして決まるのか

それでは次に、源泉徴収額の決め方について解説をいたします。

 

給与に応じて税額表で決められている

源泉徴収額については、厚生年金や健康保険などの社会保険料等を引いた給与等の金額および扶養親族等の数で決まります。給与所得の源泉徴収税額表にあてはめて源泉徴収額を出します。

 

出典:国税庁|平成30年度給与所得の源泉徴収税額表
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2017/data/01-07.pdf

 

賞与の源泉徴収額はどう決まるのか

賞与の源泉徴収額の算出方法は給与の算出方法とは異なります。賞与の源泉徴収額は、前月の社会保険料等控除後の給与額と扶養親族等の数を、賞与の源泉調整税額の表にあてはめて率を求めます。そして賞与金額に乗じて算出します。

 

【出典】国税庁|賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成30年分)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2017/data/15-16.pdf

 

フリーランス等が受け取る報酬の場合は

フリーランスの場合には、1回の報酬が100万円以下である場合には、10.21%をかけて源泉徴収額を算出します。報酬が1回あたり100万を超える場合は、超える部分については20.42%をかけて源泉徴収税額を算出します。

 

退職金の場合は勤続年数が税額計算に影響する

退職金は、長い間会社に勤めた慰労の意味があり、優遇された課税体系となっています。また分離課税方式を取り、所得税と住民税は源泉徴収されていますので、確定申告をする必要はありません。退職金は、次の表のように勤続年数が税額計算に影響します。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年以上 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※算出した金額が80万円未満の場合には、80万円が控除額となります。

 

期限付きで、復興特別所得税も徴収される

平成25年から平成49年までの期間は、東日本大震災からの復興施策として復興特別所得税の2.1%が付加されます。

 

源泉徴収で税金を払いすぎてしまったら

一般的には払いすぎた所得税は、年末調整により修正をしてくれます。しかし退職金の所得税計算を給与と同様の方法で処理した方や、年間所得が少なく所得控除や税額控除が多い方は、確定申告により還付される可能性があります。

 

払いすぎた税金を戻してくれるのが年末調整

1年間の所得税は概算で毎月源泉徴収され、その過不足を精算するのが年末調整です。納めすぎた所得税は、年末調整により返してくれます。

 

フリーランス等の場合は確定申告をする

フリーランスやパートなどで会社が年末調整をしない場合には、ご自身で確定申告を行う必要があります。

 

給与所得者の源泉徴収票の見方を知っておこう

 

 

毎月会社から源泉徴収票をもらいますが、じっくりと見たことがない方、または何が書いてあるのか理解していない方もおられるのではないでしょうか。源泉徴収票の見方を解説いたします。

 

「支払い金額」とは年収のこと

「支払い金額」欄は、1年間に会社から支払いを受けた給与やボーナスの総額(年収)が記載されています。

 

「給与所得控除後の金額」を確認する

支払金額の右側には「給与所得控除後の金額」が記載されていますが、これは支払金額から給与所得控除の金額を引いた額です。

 

「所得控除の額の合計額」は各種控除の合計額

「所得控除の額の合計額」は、医療費控除や社会保険料控除・生命保険料控除・配偶者控除・基礎控除などの所得控除を合計したものです。

 

控除対象の扶養についての確認

源泉徴収票で、ぜひ確認しておきたいのが扶養欄です。どんな方を何人扶養しているかにより控除金額が変わってきますので、チェックしておく必要があります。

 

配偶者に関する控除について

控除対象配偶者の有無等の欄に、〇印がなく配偶者特別控除の欄に金額が記入されていない場合には控除が行われていない可能性があります。控除されていない場合には、確定申告を行い還付してもらわなければなりません。

 

配偶者以外の扶養について

控除対象扶養親族の数欄については、「特定」・「老人」・「その他」の区分に分けて扶養親族の数が記入されています。「特定」は16歳以上23歳未満の方がいる場合に扶養控除(38万円)に25万円加えて計算されます。「老人」には「内」・「人」・「従人」の区分があり、「人」は70歳以上の老人を扶養している場合に10万円加算、「内」は同居老親で20万円加算されます。

 

「従人」は2カ所以上から給与をもらっている場合、主たる給与から扶養控除を引きますが、引ききれない場合には従たる供与から引くことができます。

 

「源泉徴収税額」が差し引かれる税金になる

「源泉徴収税額」欄には、年間で差し引かれる所得税額が記載されています。「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引くと、課税対象金額となり、これに税率をかけたものが、「源泉徴収税額」となります。

 

自分が納税している所得税についてきちんと理解しておこう

 

 

源泉徴収制度は、会社が代行して国に所得税を納める制度です。所得税は毎月天引きされていますので、税金を納めているという感覚が希薄になりがちです。しかし一度源泉徴収票をじっくり見て、内容をきちんと把握しておきましょう。

 

 

 

 

記事一覧に戻る
記事一覧に戻る

高年収女性のためのスマート投資術セミナー情報 資産運用や投資についてのセミナー初めての方向け 高年収女性のためのスマート投資術セミナー情報 資産運用や投資についてのセミナー初めての方向け

セミナー一覧を見る