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M life 記事

お金 2018.10.31

厚生年金基金とは?加入するべき理由と解散について

 

厚生年金基金と厚生年金、同じような名称ですが、実はまったく違うものだとご存知ですか?名前が似ている分、混同してしまっている方も多いのではないでしょうか。

 

厚生年金に加入している方でも、厚生年金基金に加入するメリットがあります。今回は意外と知られていない厚生年金基金について、その概要や加入すべき理由など詳しくご紹介していきます。

 

厚生年金基金と厚生年金の違いは何?

 

 

厚生年金基金と厚生年金、名称の似ている二つの制度の違いとはどんな点でしょうか?厚生年金基金と厚生年金の違いについてご紹介します。

 

厚生年金の概要

厚生年金とは、会社員など雇用されている立場の方が加入できる年金制度です。保険料は所得によって異なりますが、勤務先と加入者が折半して支払います。国民年金と同じく公的年金に分類されています。

 

常時5人以上の従業員を抱える個人事業所や法人事業所は厚生年金保険に加入しなくてはいけません。

 

厚生年金基金の概要

厚生年金基金とは、企業が働く方の老後の生活を支援するために作られた制度です。企業と働く方が保険料を折半し、働く方が老後に受け取ることができます。国民年金、厚生年金の報酬比例部分に上乗せして年金が支払われるため、「 (プラスアルファ)とも呼ばれます。厚生年金保険のみの方よりも、老後に受け取る年金支給額が高くなりますから、老後の生活の保障に繋がります。

 

加入するのは個人ではなく、企業単位です。そのため加入するには厚生年金基金を設立している企業で働かなくてはなりません。厚生年金基金の設立は厚生年金保険とは違い義務ではないため、設立していない企業も多くあります。

 

厚生年金基金にはいくつかの種類があります。それぞれについてみていきましょう。

 

①単独設立

単独型はひとつの企業だけで設立された厚生年金基金です。設立時点で1,000人以上の加入者がいなくては設立できないため、主に大企業が設立しています。

 

②連合設立

連合型は、企業グループなど資本関係が密接な企業群が設立する厚生年金基金です。親会社と子会社の共同で設立します。こちらも設立時点で1,000人以上の加入者がいなくては設立できません。

 

③総合設立

総合型は資本関係のない企業団体、地域団体などで設立された厚生年金基金です。同じ地域にある、印刷業や水産加工業などそれぞれの同じ業界、などの共通点を持つ複数の中小企業が共同で設立します。連合型との違いは、企業同士の資本関係がないことです。中小企業でも加入できるのがメリットです。

 

厚生年金基金は厚生年金に企業独自に上乗せしている私的年金

厚生年金とは違い、厚生年金基金への設立は義務ではありません。そのため、企業によっては厚生年金基金がない場合もあります。勤め先が厚生年金基金に加入していれば、働く方は自動的に厚生年金基金に加入できます。しかし、勤め先が厚生年金基金に加入していなければ、働く方は加入できません。

 

厚生年金基金に加入と仕組みについて

 

 

厚生年金基金に加入するにはどうすればよいのでしょうか?厚生年金に加入する方法や仕組みについてご紹介します。

 

基本部分の加入者は加入員となる

厚生年金基金に加入するには、勤め先企業が厚生年金基金に加入している必要があります。厚生年金基金に加入している企業で働く方は自動的に加入しますが、加入していない企業で働く方は加入できません。

 

基本部分とは、厚生年金でいう老齢厚生年金のことです。厚生年金基金を設立する規模の企業は、義務として厚生年金保険に加入しています。厚生年金保険として国に納めるべき掛金や、厚生年金保険から年金として支払われる額が基本部分です。厚生年金基金に加入している場合、厚生年金保険として支払う掛け金は基金が国に変わって集めます。これを「代行」といいます。

 

厚生年金基金を設立している企業で厚生年金保険に入っている方は、自動的に厚生年金基金の加入員となります。

 

加算部分の加入者は加算適用加入員となる

加算適用加入員とは、加算部分の加入員のことです。加算部分とは厚生年金に加入していた方が厚生年金保険に加えて受け取ることができる給付金です。加算が適用される加入員は、原則として加入員全員となります。ただし、厚生年金基金の資産状況によって、一部加算されない場合もあります。

 

給付の仕組み

厚生年金基金の給付の仕組みについて紹介していきましょう。

 

基本部分(代行部分)

基本部分とは、国の老齢厚生年金の一部を代行して給付を行うものです。金額は厚生年金保険のみでもらえる額と同じです。

 

基本部分(付加部分)

厚生年金保険でもらえる基本部分に、若干上乗せして支払われる給付金が「付加部分」です。これが貰えるのは厚生年金基金に加入していた加入員のみです。どれくらい付加されるかは基金によって異なります。

 

加算部分

加算部分とは、厚生年金基金で企業独自に設計した年金制度を上乗せする部分です。厚生年金に上乗せして支払われるため、厚生年金よりも額が増えます。加算部分がどれくらいの金額になるかは、基金の運用状況や規定、加入期間によって異なります。

 

厚生年金基金に加入するメリット(事業主側)

厚生年金基金に加入するメリットとはどんなものなのでしょうか?まずは事業主側から見ていきましょう。

 

1 退職金の準備に利用できる

退職金として支払うお金を準備するのに、厚生年金基金は利用できます。

 

従業員に支払う退職金は、大きな額になるだけに経営側としては悩みの種です。厚生年金基金で支払われる企業年金は退職金の一部とすることができます。毎月計画的に積み立てていくことで、退職の際に支払うための資金を準備することにつながるのです。

 

2 法人税の優遇が受けられる

厚生年金基金を導入することは、法人税の優遇につながります。

 

厚生年金基金の掛け金は、雇用されている方と企業とで折半して支払います。企業が支払った掛け金は全額を必要経費として、決算で損金に算入できます。純利益を減額することができるので、支払う税金も少なくなります。それだけ税制面での負担が軽くなるのです。

 

3 優秀な人材の確保が期待できる

厚生年金基金に加入している企業で働けば、自動的に厚生年金基金に加入することができます。厚生返金保険だけの場合よりも年金を多く受け取ることができるため、働く方にとって魅力的です。

 

さらに、厚生年金基金では、結婚祝い金や死亡弔慰金、住宅資金の融資などの福祉事業も提供している場合があります。福利厚生が充実していることは、優秀な人材の確保につながるのです。

 

厚生年金基金に加入するメリット(従業員側)

厚生年金基金に加入するメリットは従業員側にはどんなものがあるのでしょうか?

 

1 厚生年金以上の負担なく年金給付の増額が受けられる

厚生年金基金に加入した場合、従業員側が支払う掛け金は厚生年金保険と同じです。厚生年金基金に支払う掛金のうち、従業員が負担するのは厚生年金保険料の代行部分を会社として折半した額となります。つまり、掛け金は厚生年金保険と変わりません。

 

給付される年金の額が多くなれば、老後の資金に余裕が持てます。負担は少なく、給付が増えるのは大きなメリットです。

 

2 年金の受給要件が公的年金より優遇される

公的年金よりも受給要件が優遇されているのもメリットです。公的年金を受給するには、保険料納付済期間が原則10年以上となっています。これに対して厚生年金基金は、加入員である期間が1カ月以上なら、厚生年金の受給開始年齢から加入員として掛金を収めた期間に相当する年金の支給が受けられます。

 

公的年金よりも受給要件を満たしやすいため、一旦仕事を辞めたあと再就職した方も、年金の受給を受けやすくなります。

 

3 加算部分は終身

基本的に加算部分は終身支給です。給付を開始してから加入者が亡くなるまで、加算された額を受け取ることができます。ただし、基金によって要件が異なるため確認しておきましょう。

 

また、平成13年に行われた、厚生年金基金運営の弾力化措置により、(1)プラスアルファ部分の給付水準の見直しと(2)終身年金部分の厚みの見直しが行われました。

 

さらに加算部分は受給者が受給開始から10年未満で亡くなった場合、残りの年金相当額が一時金として遺族に支払われます。自分の老後だけでなく、家族の生活を守ることにもつながるのです。

 

4 失業給付との相殺がない

国民年金基金は、失業給付との相殺がありません。65歳未満で失業給付金を受け取る場合は年金の給付がストップしますが、厚生年金基金での給付金は全額支払われます。

 

相次ぐ厚生年金基金の解散!返金はどうなる?

 

 

加入者にはメリットが多かった厚生年金基金ですが、実は解散が相次いでいるのです。解散が相次ぐ理由や、返金はされるのかなど気になる点をご紹介します。

 

約290もの基金が解散予定

厚生年金基金は、母体となる企業の倒産や経営悪化によって解散を余儀なくされることがありました。しかし、バブル崩壊後の資産運用状態の悪化により、それぞれの基金が抱える資産が、厚生年金の代行部分を給付するために必要な額を下回ってしまう「代行割れ」が続出してしまいました。

 

さらに2012年に起こったのがAIJ事件です。AIJ事件とは、資産用会社であったAIJ投資顧問が全国の企業年金基金から預かった資産の運用に失敗し、資産のほとんどを消失させてしまったというもの。これにより、多くの企業年金基金が代行割れによって解散に追い込まれました。

 

この結果、2014年4月1日以降に厚生年金基金の新設は禁止され、早期に解散すれば有利になる特例が設けられました。これは、運営状況が悪化している厚生年金基金は解散を促すというものです。

 

運用状況が悪い多くの厚生年金基金が解散を決定し、手続きを進めています。2015年時点で8割にあたる290の厚生年金基金が解散を決定しました。さらに10年後には厚生年金基金そのものを全廃することも検討されています。

 

【出典】厚生労働省年金局
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kousei/dl/kaisei01.pdf

 

厚生年金基金の解散後によって起こり得る悪影響

厚生年金基金が解散すると、どんな悪影響が出るのでしょうか?

 

①企業年金がなくなる

厚生年金基金は企業が雇用者に給付する企業年金です。企業年金を老後の生活資金として組み込んでいる方にとって、想定していた企業年金が貰えなくなるのは大きな悪影響です。

 

②減額につながる

厚生年金基金は、雇用者と企業が折半して掛金を支払い、それを元手にして厚生年金保険に上乗せした額が支払われる仕組みです。解散した場合、国の代わりに厚生年金保険の掛け金部分を集めていた分は国に返し、余ったお金は加入者や受給権者に一時金として支払われます。

 

しかし、加入していた厚生年金基金が「特例解散」を選択していた場合は一時金が支払われることもなく、厚生年金保険に上乗せして給付が行われることもありません。基金に支払っていた積立金は、まるまる失われて減額につながるのです。

 

③失業年金、遺族年金と一緒にもらえない可能性がある

失業年金や遺族年金と一緒に、厚生年金基金の給付金が支払われないこともあります。もし、加入していた基金の資産が国に代行分を返しても残っていれば一時金として貰うことはできます。しかし、まとめて残った資産を分配されるため、失業年金や遺族年金とは一緒に貰うことができないのです。

 

「代行部分」という制度で国から支給される

国民年金基金が解散しても、国民年金保険で支払われる額は厚生年金保険から年金として支給されます。これは、厚生年金保険として支払う分を基金が代行して集めていたため、基金が解散してもその部分の保障は行われるのです。

 

ただし、厚生年金基金として上乗せされる部分は支給されませんので、想定していたよりも支給額は減ります。

 

最後に

 

厚生年金基金は、もらえる年金額が増える上、税制が優遇されるなど、働く人にも企業にもメリットの多い制度です。ただ、多くの厚生年金基金の運用状況が悪化してしまい、解散を決定しました。

 

厚生年金基金は自分で加入を決めることが出来ず、厚生年金基金に加入している企業に入社して働く必要があります。そのため、加入したいと思っても勤務先が厚生年金基金に加入していなければ入れません。法改正により、厚生年金基金の多くが解散を決定しており、今後の加入はより難しくなります。

 

しかし、厚生年金基金に変わる老後資産形成として、確定拠出年金(iDeCo)が導入されました。自分の大切な老後を守るために、こちらを利用するのもおすすめです。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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