超低金利の長期間にわたる継続と不動産価格の持ち直しもあり、住宅ローンを借りて住宅取得される方が増えています。

住宅ローンを使って住宅を購入した場合には、住宅ローン減税を活用して所得税等の税額控除を受けることができます。この住宅ローン控除は、初回は確定申告で控除の申請をする必要があり、いろいろな書類を用意する必要があるのです。

この住宅ローン控除の申請の仕方や書類の書き方についてご説明します。

住宅ローンの控除とは?控除額と対象住宅の条件

現在、住宅を購入した場合には、住宅ローン控除だけでなく、不動産取得税、登録免許税、固定資産税など、広く減税措置が行われています。日本の住宅は、一般的に年収の5~6倍の価格になっており、住宅ローンなしでは購入することができない状況です。

そのため、新たに住宅を購入される方のほとんどの方が住宅ローン減税(控除)を受けています。はじめに住宅ローン控除を受けるための対象住宅の条件と控除額を見てみましょう。

住宅ローンを利用して家を建てた人を対象とした「減税制度」

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して新たに家を建てたり、購入したりした方、または増改築した方が受けられる「減税制度」です。税額から年末の住宅ローン残高の1%を直接控除できますので、その控除額は個人の減税額としては一番大きくなっています。

ただし、住宅ローン控除を受ける場合の住宅には条件が8つほどあり、それにすべて該当している必要があります。すなわち、住宅を購入された方がすべて受けられるわけではないのです。

【参考】国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

1年間あたりの控除限度額は約40万〜400万

住宅ローン控除は、住宅を購入、取得または増改築した場合に、所得税の税額から年末時点の住宅ローン残高の1%を直接控除される形になります。これが10年間受けられるのです。現在の住宅ローンの金利が固定金利でも2~3%ですので、非常に大きな金額になります。

【参考】国土交通省「すまい給付金」
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/requirement.html

例えば、年末の住宅ローン残高が3,000万円の場合には、30万円が控除額になります。

1年当たりの控除限度額は、40万円~400万円と高額になっていますが、実際には所得税額の範囲内になります。そのため、所得税から引ききれない控除部分が出てくる場合が多くなっています。

その場合には、引ききれなかった部分を、翌年の住民税から差し引く制度が設けられています。特に申請などをする必要はなく、自治体が引ききれなかった金額を住民税から差し引いてくれます。(それでも引ききれない場合には切り捨てになります。)

新築住宅の住宅ローン控除が対象となる条件8つ

新築住宅の住宅ローン控除を受けるには、8つの条件があり、すべてに該当した場合に控除を受けられます。

1:床面積が50㎡以上

購入する住宅の床面積は50㎡以上であることが条件になり、上限はありません。共同住宅のパンフレット等の多くは壁芯の面積が記載されていますが住宅ローン控除の対象となる面積は内法で測定された面積ですので注意が必要です。

【参考】国土交通省「すまい給付金」
http://sumai-kyufu.jp/outline/ju_loan/requirement.html

固定資産税の場合には120㎡までとそれを越える場合には軽減率に差がありますが、住宅ローン控除では50㎡以上であれば、すべて同じ控除を受けられます。

2:ローンの借入期間が10年以上

住宅ローン控除では、住宅ローンの借入期間が10年以上の場合に限られます。利息をなるべく払いたくないと、頭金を多く貯めて短期間でのローン設定にした場合には、住宅ローン控除を受けられない場合もありますので注意が必要です。

住宅ローン控除を有効活用するのであれば、借入期間を10年以上にして住宅ローン控除が終了した時点で早期繰り上げ完済を考えるようにしたほうが良いでしょう。

3:申請者の年収が3,000万以下

住宅ローン控除を受けられる方の年収は、3,000万円以下であることも条件になっています。高額所得者は減税の対象としてはそぐわないからです。

【参考】国土交通省:主な要件 
http://www.mlit.go.jp/common/001157469.pdf

4:ご自身の居住用か

住宅ローン控除の条件となっている住宅は、自身が居住するために購入したものかどうかです。不動産収入を得るために購入した住宅は対象にはなりません。そのため、住民票の提出が必要書類になっています。

5:前後5年以内に他に優遇措置を受けていないこと

住宅ローン控除では、5年以内での再申請はできません。5年以内での買い換えや新たな住宅購入の場合は対象になりませんので注意が必要です。

6:借入先はどこか

住宅ローン控除は、借入先が限定されています。基本的には銀行、住宅金融支援機構などの金融機関が対象となり、親からの借入や友人からお金を借りた場合にはその金額は控除の計算からは除外されます。

7:購入から6カ月以内に入居し、12月31日まで居住すること

住宅ローン控除では、住宅の引き渡し、工事が完了してから6ヶ月以内に入居することが条件であり、控除を申請する年度の12月31日までに実際に住んでいることが必要です。住民票の移動がその日までに行われ、物件の引き渡しが終わっていなければなりません。

8:床面積の1/2が居住用か

自分で商売をしていたり、フリーランスで仕事をしている場合には、購入した住宅を仕事場にすることもあります。そのような場合には、床面積の2分の1以上が居住用となっている場合に限られます。仕事場にしている床面積に該当する住宅ローンは、控除の対象にはなりません。

中古住宅の住宅ローン控除が対象となる条件3つ

中古住宅を住宅ローン利用で購入した場合でも、次の条件に該当していなければ、控除を受けることができます。すなわち、新築住宅ローン控除の対象に加えて、さらに3つの条件を満たした場合に控除を受けられるのです。

1:親族から購入していないか

中古住宅の場合には、親族から購入した場合には対象になりません。

新築住宅の場合には、不動産販売業者や建築業者を通して購入しますので、親族から特別に安く購入することはありませんが、中古住宅の場合には格安で譲り受ける可能性が高いため、対象にはならないのです。

2:贈与による取得ではないか

親や兄弟から贈与によって住宅を購入した場合には、控除の対象にはなりません。住宅ローンそのものが税金逃れとして組まれる可能性があるためです。

3:都市計画法の耐震基準による条件外

中古住宅の場合には、現在の都市計画法による耐震基準に合致していない場合があり、その場合には住宅ローンを組んでも控除の対象にはなりません。

そのために、住宅ローン控除の条件として、木造・非耐火建築物の場合には築後経過年数が20年以内、マンション・耐火建築物の場合には25年以内の物件に限定されています。

それを越える築年数の住宅の場合には、建築士事務所などで耐震診断を受けて耐震基準適合証明書を取得することが必要です。耐震基準に達していない場合には、耐震改修工事を受ける必要があり、引き渡しから半年以内に居住することが住宅ローン控除の条件となります。

古い住宅の場合には、耐震基準が緩い時代に建てられている場合があり、それらは都市計画法の耐震基準に沿って改修工事が行われていなければ、対象にはならないのです。

住宅購入の際に、販売業者によく確認しておく必要があります。

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住宅ローンの控除申請の手続きフロー

住宅ローン控除を受けるための申請手続きを見てみます。

基本的には、住宅を購入することが決定した時点で、すでに記載しました条件を満たしていることを確認することから始めます。そして条件に合致する形で入居をしなければなりません。

①住宅決定

住宅の購入を決意し、住宅ローンの審査も通って購入が決まった場合には、住宅ローン控除を受けるための8つの条件に合致しているかの確認をします。中古住宅の場合にはさらに3つの条件に当てはまらないかを確認する必要もあります。

そして、申請条件を満たす形で入居手続きを進める必要があるのです。

②6ヶ月以内に住宅入居

住宅ローン控除の条件として新築または取得の日から6ヶ月以内に入居することが条件になりますので、入居手続きをその間に行ないます。年末が近い場合には、その年内に入居しなければ翌年の確定申告には間に合いません。年末までに入居できない場合には、翌々年の確定申告手続きになってしまいます。

申請期間は家を買った翌年の1月から3月15日まで

確定申告の時期は、通常は2月15日から3月15日までですが、還付金が生じる場合には1月に入れば受け付けてもらえます。住宅を購入した場合には早めに税務署に行き、確定申告書をもらってきて、必要な添付書類を揃えて受付期間よりも早く提出すれば早く還付が受けられます。税務署は1月4日から業務を行なっています。

③添付書類の依頼と入手

確定申告で住宅ローン控除を申告する場合には、いろいろな添付書類が必要になります。その添付書類は、自分で用意できるものと不動産業者や銀行などに依頼しないと用意できないものがあります。自分で用意できないものは早めに依頼をして年末までに用意しておくとよいでしょう。

④入居した翌年の確定申告時に申請

すべての書類が揃った段階で書類に記入をして、入居した翌年の確定申告で、住宅ローン控除の申請をします。確定申告書は税務署からは送られてきませんので、自分で取りに行く必要があります。

住宅ローンの控除申請に必要な書類

住宅ローン控除を受けるためには、確定申告書に必要な添付書類を添えて申請を行なう必要があります。住宅ローン控除は早く確定申告をすればそれだけ早く還付されます。従って、なるべく年末までには必要な添付書類を揃えて申請書に記入して、早めに申告を済ませるようにしましょう。

ただし、源泉徴収票などは1月後半になりませんと会社からもらえないケースも多いため、それをもらってからの提出となります。

住民票の写し

住宅ローン控除の添付書類として必要になる書類で一番必要になるのは、住民票の写しです。これは入居を証明してくれる書類になります。そのために入居した後にはすぐに住民登録をしておくことが必要です。

住宅を取得した日から住民票上で住民登録をした日が半年を経過していた場合には、住宅ローン控除の申請は認められませんので十分注意しておく必要があります。

残高証明書

住宅ローンを借りた金融機関から残高証明書を取得しておく必要があります。銀行や住宅金融支援機構に依頼しなければなりませんが、送られてくるまで期間がかかる場合がありますので、早めに依頼をしておくようにしてください。この残高証明書が控除額を計算する元になります。

登記事項証明書

住宅を購入した場合には不動産登記が行われます。その結果は登記事項証明書として司法書士が法務局の登記所からもらってきます。その登記事項証明書を添付することにより、正式に購入したことを証明できるのです。

売買契約書

住宅を購入した場合には不動産販売業者と売買契約書を交わします。その売買契約書のコピーが添付書類として必要になります。

源泉徴収票

会社に勤めている場合には1月後半頃になると源泉徴収票がもらえます。この源泉徴収票を添付することにより還付できる金額が決まってきます。なお、源泉徴収票で示されている徴収税額以上には還付を受けることができません。

中古住宅の場合…

中古住宅の場合、住宅ローン控除を受けるためには、購入した住宅が中古住宅の条件に合致していることを示す必要があります。すなわち、販売業者との売買契約書で、親族からの購入ではないことと、木造建物の場合には築後20年以上経過していないこと、マンションの場合には築後25年を経過していないことを確認できればそれで済みます。

しかし、築後年数が越えている場合には、以下の証明書を建築事務所や保険法人などから診断を受けて発行してもらう必要があります。その費用はかなりかかりますので、住宅ローン残高が少ない場合には経費が上回ることもありますので、よく見極める必要があります。

耐震基準適合証明書

基本的に経過年数が基準を越えている場合には、建築士事務所などに依頼して、耐震診断を受けた上で証明書を発行してもらいます。診断の結果、合致していない場合には耐震工事を行なって、その証明書を発行してもらいます。耐震診断だけで5~10万円程度がかかり、耐震工事をする場合には150万円程度が必要になります。

既存住宅性能評価書又は既存住宅売買瑕疵保険付保証明書

また、中古住宅の場合には既存住宅性能評価書が必要になりますが、通常はこれに代えて既存住宅売買瑕疵保険付保証明書で良いことになっています。国土交通省の指定保険法人の既存住宅売買瑕疵保険に加入しますと証明書が発行されます。保険料は、5~10万円が必要です。

1回目の住宅ローン控除申請には確定申告が必要?

住宅ローン控除を受けるためには、入居後の最初の確定申告(1回目)で申請を行なう必要がありますが、翌年からは年末調整の時に必要書類を会社へ提出すれば、年末調整で還付を受けることができます。

この確定申告についてどのようなものかを見てみます。

確定申告とは?

確定申告は、自分で事業を行なっている方が前年度の損益を計算して申告を行なうものです。しかし、会社に勤めている方でも年末調整で戻してもらえない場合や副業をして収入がある場合には確定申告をする必要があります。年末調整で手続きが出来ないものとしては、医療費控除や住宅ローン控除の1回目などがそれにあたります。

会社員でも確定申告は必須!

最近では、会社員でも営業などで会社業務に必要なスーツや靴などを購入して、給与所得控除の2分の1を越える経費が発生した場合には、確定申告をすれば、給与所得控除に加えることができるようになりました。そのため、確定申告をする方は増えています。

それによって源泉徴収された税金を取り戻すことができるのです。また、株式、FXなどの資産運用をしている場合には、分離課税の確定申告が必要になります。

住宅ローンの初回控除は「年末調整」で処理できない

住宅ローン控除の初回申請は添付書類が多く、複雑で各会社の年末調整では処理しきれないために、確定申告で行なうことになっています。

確定申告はいつ、どこで?

確定申告はすでに記載しましたように、通常は2月16日から3月15日までになっていますが、還付申告の場合には、1月の業務開始から受付けてくれます。基本的には会社員の場合は自分の住んでいる住所地を管轄する税務署に確定申告をすることになっています。会社の住所地ではありませんので、注意が必要です。

確定申告に必要な書類

会社に勤めている方が確定申告をする場合には、申告内容に応じて添付する書類は違ってきます。基本的にはどの控除の場合でも、確定申告書とマイナンバーの確認できる書類は必要になります。住宅ローン控除の申請の場合はすでに記載した書類の添付が必要です。

例えば、医療費控除であれば領収書やそれをリストにした明細書が必要になります。会社員が営業経費を控除として申請する場合には、領収書と一緒に会社の経費として必要であることを証明する書類が必要になります。

また、自営業の場合には収支明細書が必要です。

【参考】https://www.flat35.com/user/helpful/kakutei2.html

住宅ローンの控除申請が2年目以降or借り換えの場合の手続き

住宅ローン控除の申請が2年目以降の場合や借り換えの場合には、税務署に行かなくても会社の年末調整で還付をしてくれます。

2年目以降の申請は「年末調整」で!

住宅ローン控除申請の初年度は多くの書類が必要になり、税務署に行って認定を受ける必要がありますが、1年目の申請で認められれば次年度からはほとんどの書類は必要ではなくなます。そのため、会社の年末調整で還付の手続きができるようになっているのです。

住宅ローンの「年末残高証明書」と「特別控除申告書」が必要

2年目以降の住宅ローン控除の申請では、税務署のほうから住宅借入金等特別控除申請書が送られてきますのでそれに署名をして、金融機関から住宅ローンの年末残高証明書をもらい、これら2つの書類を添付して会社に提出すれば年末調整で還付手続きをしてくれます。

借り換えも2回目以降の申請と同様

住宅ローン控除は控除期間は基本的に10年間ですが、その間に住宅ローンの借り換えをした場合にも住宅ローン控除を受けることができます。当初に申請した条件に変わりがなければ、確定申告をしなくても通常と同じ書類を提出することで、年末調整において住宅ローン残高の1%は継続して還付を受けることができるのです。

最後に

住宅ローンを利用してマイホームを購入される方は増えており、それと共に住宅ローン控除を受ける方も増えています。この住宅ローン控除の概要や控除を受けるための条件、手続きなどについてご説明しました。

控除の中でもっとも大きくなるため、初回の控除申請は確定申告で多くの添付書類を一緒に提出することが必要になります。しかし、次年度以降は簡単な書類で会社の年末調整で還付してもらうことができます。

控除を受けるためには多くの条件を満たす必要があるためその証明として最初は多くの書類を用意する必要があることを理解しておきましょう。

監修者:大間 武(ファイナンシャルプランナー)