» 【FP監修】金利が上昇したらどうなる?債券、住宅ローン、為替の影響は?のメインビジュアル  » 【FP監修】金利が上昇したらどうなる?債券、住宅ローン、為替の影響は?のメインビジュアル

M life 記事

お金 2018.11.14

【FP監修】金利が上昇したらどうなる?債券、住宅ローン、為替の影響は?

 

最近ニュースで「金利が上昇した」という話しを良く耳にするようになりました。金利は人体で例えると、血液の流れるスピードのようなもので、債券、住宅ローン、為替に影響を与え、最終的に私たちの生活を変化させていきます。

 

では一体、金利が上昇することで、世の中にはどのような影響があるのでしょうか。

 

債券トレーダーでもなければ余り馴染みのない「金利」について、分かりやすく解説します。

 

金利上昇の理由と日本の現状

 

 

金利が上昇しているのには国内景気、国内物価、外国為替、海外金利、金融政策、株価の6つの理由が考えられます。リーマンショック以降、日本の景気は悪く、長期金利は長い間低迷を続けてきましたが、2018年9月に入り上昇するなど若干の変化が見られています。

 

長期金利の動きと金利上昇の理由について見ていきましょう。

 

長期金利とは?

一般的に投資の世界で長期金利とは、「新発10年国債の利回り」の事を指します。国債とは、国の借金のことです。日本政府は税金を徴収していますが、高齢化社会で医療費をはじめとした社会保障費が多い日本では納税額だけでは全く足りないので、国が借金を行って予算を作っています。

 

長期金利は銀行から企業への融資金利や、住宅ローン金利などさまざまな「お金を借りる時の金利」に影響を及ぼす重要な指標なのです。

 

日本の長期金利は0.02~0.12%と世界史上最低水準

日本は長い間デフレに悩まされ続けています。デフレを解消するために2013年3月から就任した黒田日銀総裁は、積極的に長期金利を下げる努力を続ける事になりました。

 

日本銀行の努力(金融政策と呼びます)によって、日本の金利は直近1年間で、0.02%~0.12%、2016年にはマイナス金利になるなど世界史上最低水準まで下がり、その金利を長い間維持し続けています。

 

アメリカの長期金利が昨今3%位(2018年10月現在)で推移していますので、日本はアメリカと比べると異常に低い金利だと感じるのではないでしょうか。

 

※出典:http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html

金利上昇の大きな理由は6つ

世界最低水準の金利で推移してきた長期金利ですが、2018年7月中旬頃から様子が変わってきています。今までは金利上昇をしても0.12%程度を境に元に戻るレンジ相場の様相でしたが、10月4日に0.155%を付ける等、レンジ相場を抜ける動きが見え始めているのです。

 

この金利上昇の大きな理由は6つあります。それぞれの理由について見ていきましょう。

※出典:http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/main_rate.php

①国内景気

金利は国内景気に大きな影響を受けます。景気が良いと、民間企業は設備投資を考え、預金を取り崩す、お金を借りるといった行動をとります。企業が預金を取り崩すと、銀行は長期金利で運用する資金が少なくなる、企業がお金を借りても銀行は資金が不足するため、金利が上昇する事になります。

 

②国内物価

景気が良くなると人手不足や投資拡大から、国内物価が上昇します。物価が上昇、日用品が高くなる、土地の値段が上がりすぎ、家を持てなくなるなど一般の方が暮らしにくくなってしまいます。

 

デフレは困りますが過度な物価上昇も日本銀行は嫌いますので、近いうちに金利引き上げに動くのではないのかといった警戒感から、債券に投資する人が少なくなり、金利が上昇をしています。

③外国為替

日本の金利とアメリカの金利に差がありすぎると、日本の円を売ってアメリカのドルを買う人が増えていきます。円が売られるという事は、円の価値が下がっていくという事です。現在は歴史的にもかなりの円安水準ですので、政策が変わり、今後為替が円高に転じる可能性があるといった警戒感から、金利が上昇しています。

 

④海外金利

日本の金利と海外の金利、全く関係がないようですが実は相関があります。海外の金利、特にアメリカの金利が下がるとアメリカの景気が悪くなるので、日本の金利も合わせて下げていくのです。

 

逆に今はアメリカを含め、先進国の金利が上昇を始めていますので、それぞれの金利に引きずられて日本の金利も上昇の兆しが見え始めています。

⑤金融政策

日本の金利は、日本のお金を発行したり、管理したりする日本銀行が、金融政策でコントロールしています。金融政策を決めるのは黒田日銀総裁ですが、2018年7月末に今までのスタンスを変更する発言をしています。

 

どのように変わったのかと言うと、今までは、「長期金利は0%近辺、+0.10%程度(下は▲0.10%)になったら国債の購入量を増やして金利を下げる」と言っていたものが、7月31日には、「+0.20%程度までは容認する(0.20%以上にならなければ対処しない)」と変化したのです。これを日銀の政策変更と見る市場関係者も多く、長期金利上昇の大きな要因となっています。

 

参考:ロイターニュースhttps://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKBN1KL12A

⑥株価

株価は景気の先行指標とされています。株価が好調であると、先行きの景気は順調で、少し位金利を上げても影響はないだろうと考えるようになります。日経平均株価は2万円を超え、26年ぶりの高値を更新するなど好調な推移になっています。

 

株価が好調、景気も今後拡大される見通しであるため、金融政策を続ける規模を縮小する可能性が出てきたとして、金利が上昇しています。

 

参考:https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/c0his000/

 

金利上昇が債券価格に大きく影響すること

 

 

金利が上昇すると、債券価格はどうなるのでしょうか。「株の価格はなんとなく分かるけど、債券の価格ってピンとこない」と言う方は多くいるでしょう。

 

債券とは何か、金利と債券の関係性、金利が上昇したときの債券価格の動きについて解説します。

 

債券とは?

債券とは、一言で説明すると、借金の借用書です。個人で借金をすると借用書を書き、毎年幾らの金利を払うと記載しますが、債券は国や地方自治体、企業が発行して資金を調達します。

 

国が発行する債券を「国債」、地方自治体が発行する債券を「地方債」、企業が発行する債券を「社債」と呼び、金融市場で、自由に売買されています(※今は国債を始め券面発行は無く、全て電子データでやり取りをしています)。

 

金利と債券価格の関係性

もし、今あなたが「金利が0.11%のとき、10年物新発国債を額面10億円分購入したい」と考えているとしましょう。10年物新発国債の支払にあたって、いくら支払えばいいか分かるでしょうか?10年物新発国債は毎年利息を受け取る事が出来ます(クーポンと呼ばれます)。

 

毎年受け取るクーポンを考慮に入れた計算で、金利0.11%が形成されているのですから、支払う金額は10億円ピッタリではなく、もっと別の金額になります。この受渡の金額の事を債券価格と呼びます。金利が0.11%から0.15%に上昇したら、当然受渡しを行う債券価格も変化するでしょう。金利が動けば債券価格も必ず動きます。

 

金利が上昇すると債券価格は逆に下落する

「金利が上昇したとき、債券価格はどうなっている?」と質問されたとき、なんとなく「債券価格も上昇しているのではないか」と間違える方がいます。金利と債券価格は逆に動くのです。例を出して考えてみると、金利が下がる局面では、

 

①昨日の金利は0.10%で売買されていた

 

②今朝は日本銀行が声明を出して政策が今後変わる見通しから、昨日と違い債券を手放したい(売りたい)人がたくさんいる

 

③昨日まで0.10%で債券を購入した(運用した)人たちが、今日0.105%、0.11%、0.115%・・・で債券を投げ売りしていく(調達していく)

 

④債券を投げ売りしているので、債券価格は下落していく

 

という流れになっていきます。つまり金利が上昇するとき債券価格は必ず値下がりするのです。逆に金利が下落するときは、「昨日の金利は0.10%だったけど、今日は0.09%、0.08%でも運用したい」と考える人が増えているわけですから、債券価格は値上がり、金利は下落していくわけです。

 

 

投資やお金の殖やし方が学べるマネカツセミナー
↓ 詳しくは画像をクリック ↓

 

 

金利上昇が住宅ローンに大きく影響すること

 

 

債券トレーダーでもなければ、債券の金利上昇なんて関係ないと思ってはいけません。債券の金利上昇は住宅ローンに大きく影響してきます。

 

金利と住宅ローンの関係性

住宅ローンの金利は、銀行が優良企業に貸し出す「プライムレート」を基準として設定されます。プライムレートは国債の金利と無関係でなく、

 

①国債の金利が上がると、銀行は企業に対する融資金利を引き上げる

 

②プライムレートが上昇する

 

③銀行で組む住宅ローンの金利が上昇する

 

といった流れで、関係してきます。国債の金利が上昇すると、プライムレートはそれ以上に上昇して、住宅ローン金利も上昇を始める事になるでしょう。2018年9月ごろにメガバンク3行が住宅ローン金利を引き上げており、足元の長期金利上昇が住宅ローンに影響してきたと言えそうです。

 

参考:https://www.asahi.com/articles/ASL805J9QL80ULFA028.html

借り換えや新規住宅ローンの申請が減少する

住宅ローン金利が上がるという事は、

 

◆住宅ローンの借り換えをする人が少なくなる

 

◆金利が高すぎて払えなくなる可能性があるので新規住宅ローンの申請が減少する

 

といった影響が出てきます。この2つが起こると、住宅を買い急ぐ人が減っていくという事になりますので、今後土地や建物価格が下落するといった影響が考えられます。

 

毎月の返済額が増えて支払い困難に

「自分は住宅ローンを組んでいるからもう関係ないや」と思ってはいけません。「変動金利」で住宅ローンを組んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

住宅ローンの変動金利はプライムレートを基準にしていますので、国債金利上昇→プライムレート上昇によって毎月の支払返済額が増える事になります。これから住宅ローンを組む人も有利な条件で組むことが出来ないので同様です。

 

◆借入額3000万円

 

◆変動金利0.50%

 

で住宅ローンを組んでいる人の毎月の支払額は約9万円ですが、金利が上昇して1.0%になると、約9.7万円に増加します。上昇が1.0%で止まると良いですが、1.5%、2%と上昇して行くと、約10.4万円、約11.1万円と毎月の返済負担が増え、最悪の場合破綻して住宅を手放す羽目になってしまう事もあります。

 

金利上昇が為替に大きく影響すること

 

 

為替相場は金利に大きく関係してきます。金利が上昇するという事は、少なからず為替相場にも影響を与えるという事です。金利上昇が為替に与える影響を解説します。

 

金利と為替の関係性

「円キャリートレード」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。円キャリートレードとは、金利が低い通貨を売って、金利が高い通貨にかえて運用する方法を指します。

 

今までは日本の金利はアメリカの金利に比べてかなり低いので、日本円でお金を調達して、ドルに換えアメリカで運用する事により、為替相場で損をしなければ収益を上げることが出来ました。足元の日本円金利が上昇含みになっているという事は、今まで円を売り外貨を買っていた動きが逆転する可能性があります。

 

外貨で運用していた投資家が円を買い戻し、外貨を売ってくるので、今後円高に進む動きが出て来てもおかしくないのです。日本の金利上昇と為替の円高は関係し、金利上昇によって円高が引き起こされる要因になりえます。

 

企業の業績に大きく影響する

金利が上昇すると銀行の貸出金利も上昇するので、企業にとっては資金調達コストが高くなります。更に為替が円高に進み海外での競争力を失い、輸出企業を中心に企業業績が落ちる事も予想されるのです。最近の企業業績は好調ですが、今後は金利上昇を起因とした悪影響が出てきてもおかしくありません。

 

外国人投資家への影響

円高が進む可能性がある、日本の企業の業績が不透明となると、日本に投資している外国人投資家も日本から資金を引き揚げていく可能性があります。外国人投資家は日経平均株価の構成銘柄を中心に購入しますので、株価の先行きに影響を与える可能性はあります。金利上昇によって、景気のピークアウトが始まったと見る事も出来ますので、注意しなければいけません。

 

最後に

 

 

この記事では、下記をご紹介しました。

 

◆昨今、日本の金利情勢は歴史的にも世界的にも低い水準だったが、上昇の予兆が見え始めている

 

◆金利上昇の理由は国内景気、国内物価、外国為替、海外金利、金融政策、株価の6つの要因

 

◆金利が上昇すると債券価格は下落する

 

◆金利上昇によって住宅ローンの支払額に影響が出る可能性がある

 

◆金利上昇によって為替が円高に進み、株価や外国人投資家に影響を与える可能性がある

 

金利上昇の予兆が肩透かしに終わるかもしれませんが、備えあれば憂いなしです。上昇したときご自身がどう動けばいいのかシミュレーションしておくと良いでしょう。

 

監修者;野村 浩治(ファイナンシャルプランナー)

 

 

記事一覧に戻る
記事一覧に戻る

高年収女性のためのスマート投資術セミナー情報 資産運用や投資についてのセミナー初めての方向け 高年収女性のためのスマート投資術セミナー情報 資産運用や投資についてのセミナー初めての方向け

セミナー一覧を見る