金融市場では、すでに20年以上超低金利時代が続いており、住宅ローンの金利もこれ以上は下げられないという水準で推移しています。一方、バブル崩壊により下がり続けた住宅価格も安定期に入り、マイホームを実現するには非常に良い状況と言えます。

この超低金利の金融情勢は、住宅ローンを利用してマイホームを取得する際には、変動金利が有利ですが、リスクも存在しています。住宅ローンを変動金利で借りる場合のリスクや対策についてご説明します。

住宅ローンの金利タイプ3つを押さえよう

住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、金利のタイプには、変動金利、固定金利、期間固定金利の3つのタイプがあります。それぞれに特徴があり、リスクもあるため、金融情勢などを参考に選択する必要があります。

①全期間固定型(フラット35)

住宅取得支援機構が提供している住宅ローンである、全期間固定型の「フラット35」は、借りた時点の金利が35年間変わらず、返済金額も変わらない借入です。通常、金利の上昇リスクはありませんが、金利が下がった場合にはそのメリットは受けられませんが、長期に渡る返済期間では安心できる保険のような商品です。

②変動型

住宅ローンの変動型金利は、金融市場の短期金利に基づく基準金利の変動に伴って変動する借入です。ただ、毎月変動するわけではなく、半年ごとに市場金利の動向に合わせて金利の見直しが入る形です。金利に応じて返済金額も変わるため、返済金額が上がるリスクがあります。

固定金利に比べると当初の金利は低くなりますが、常に金利の動向に左右され、金利上昇のリスクがあります。現在のように、超低金利環境が長期間継続する場合には安い金利で済むため、非常に有利ですが、このような状況は過去になく、本来はハイリスクと言われています。

③固定期間選択型

変動金利の有利さを生かしつつ、そのハイリスクを緩和する形なのが、この固定期間選択型の金利タイプです。一定の期間は固定金利で返済金額が固定されますが、その期間が終了すると、変動金利に移行し、返済金額も金利によって変動するようになります。

期間としては、3年、5年、7年、10年があり、借りる方の判断で選択することになります。期間が短いほど当初金利は変動金利に近くなり、長くなるほど固定金利に近くなります。

金利タイプ選択の割合

金融市場が超低金利時代に入ってから、固定金利や期間固定金利を選択される方よりも変動金利を選択される方が多くなっています。住宅取得支援機構の調査では、2013~2016年度では、50~61%が変動金利を選択しており、一番多くなっています。固定金利は5%程度であり、期間固定金利では10年固定が18~28%と多くなっています。

【参考】https://www.jhf.go.jp/files/400344868.pdf

超低金利環境では、固定金利と変動金利の金利差は小さくなっていますが、結果としては、変動金利を選択された方は1%程度の低い金利で済んでおり、この20数年間は有利だったと言えます。

ただ、固定金利や期間固定金利でも、過去最低レベルの金利であり、失敗とは言いきれません。

住宅ローンにおける「変動金利」の4つの特徴

住宅ローンでも一番選択されている変動金利の特徴について、もう少し詳しく見てみることにしましょう。住宅ローンの変動金利には、4つの特徴があります。

半年に1回の見直し

住宅ローンの変動金利は、半年に一度(主に4月・10月)の見直しが入ります。金融市場においては毎日、銀行間取引が行われており、金利は常に変動しています。企業相手の変動金利での融資の場合には、毎月月初時点の金利で計算しますが、住宅ローンの場合には件数が多く、半年ごとの見直しになっています。

住宅ローンは件数が多いため、短期間での金利変更は銀行システム上難しいのです。システムの負担も少なく、金利変更通知などの事務作業を軽減できるため、半年ごとの金利見直しとなっているのです。

返済額は、5年間は変わらない

基本的に、返済金額は5年間変わらないようになっています。その間に、上昇した金利も落ち着くという考え方になっているのです。ただ、同じ返済金額でも利息部分が増え、元本充当される部分は少なくなるため、借入元金は当初より減らなくなるリスクがあります。

そして、5年後の借入残高・返済期間・優遇後の住宅ローン金利で次の5年間の返済金額を再計算する事になっています。

返済額の増加は1.25倍まで

かつて、不動産バブル末期には、不動産価格の引き下げを狙って日本銀行が金利を上げていたために、住宅ローンの期間固定金利が終わった方や変動金利の方の金利は大きく上昇し、返済額が急に大幅な上昇をしたため、返済できずに自己破産する方が急増しました。

そのため、現在では、業界の自主規制ルールとして、返済金額が急激に上がらないように、5年ごとの見直し返済金額は1.25倍以内に調整するようになっています。ただ、金利上昇が止まらない場合には、5年後には返済金額がさらに1.25倍になるリスクがあります。

変動金利は借りた後は下がらない

住宅ローンを借りた後に、市場金利が下がっても、住宅ローンの変動金利は下がらない状態が20数年続いています。これは、住宅ローンの変動金利は銀行の基準金利によって決められているためです。

銀行の基準金利は、市場金利に基づいて利益幅を上乗せして決められます。超低金利時代になってから、基準金利はすでにこれ以上下げれば銀行の利益は固定費などでマイナスになってしまうため、基準金利を下げることができなくなっているのです。

従って、住宅ローンの変動金利は、市場金利が下がっても、基準金利が下がらないために下げることができないのです。ただし、銀行間の住宅ローンの競争は激しくなっており、住宅ローンをこれから借りる方や借り換えの方に対しては、基準金利よりも低い優遇金利を適用して融資する場合もあります。

住宅ローンの変動金利上昇を見込んだ対策方法は?

住宅ローンの変動金利は、超低金利の影響でこれ以上下がらないという水準で推移してきました。しかし、すでに20数年経過しており、欧米金利は引き締め局面になり上昇していることから、今後金利は上昇していく可能性も出てきています。

その意味で、住宅ローンの返済においても、変動金利の上昇を見込んで対策を考える必要があります。金利が上昇する可能性が高くなった場合には、借り換えや、上昇幅によってはそのまま借り続けるのかなどの対策を考えなければなりません。

今後の金利上昇が起こった場合の住宅ローンの返済への影響を見てみます。

変動金利が1%上昇するとどうなる?

今後、住宅ローンの金利が1%上昇した場合の影響は、返済額に対してどれくらい出てくるのでしょうか。以下のダイヤモンド社の参照記事は10年固定期間終了後の想定であるため変動金利事例としては適当でないと考えられる内容です。

住宅ローンの金利が1%上昇した場合には、借入金額4,000万円、期間35年金利0.6%の場合の返済額は、10.6万円です。しかし、10年後金利が1%上昇して1.6%となった場合には、返済額は11.9万円に上昇するとしています。すなわち、1.3万円の返済額の増加になります。(ボーナス返済額以外の月間負担額)

事前にリスクシナリオのシミュレーションを行おう

実際に金利上昇が起こった場合のリスクシナリオをシミュレーションして、対策を考えておく必要があります。そのシミュレーションはどう考えるかが問題です。

過去32年の変動金利の平均値4%でリスクシナリオを

シミュレーションをする場合には、過去32年間の変動金利の平均値4%を使ってリスクシナリオを考える方法があります。専門家でも金利動向を的中させることは難しい中で、私たち素人が完全な金利予測をできる訳はありませんので、1つの前提として考えれば良いでしょう。

32年間の平均といっても、前半は日本銀行のバブル退治の名目による高金利があり、平均的には押し上げています。バランスを考えても妥当なところです。

借入残高を4,000万円に対して実際の借入金額に換算し直せば、金利影響は計れます。現在の住宅ローンの変動金利(基準金利)水準は2.775%であり、これが4%に上昇する(1.225%上昇)と考えれば良いのです。

10年後の借入残高が3,000万円とすれば、返済額上昇幅は、

1.4万円×(3,000万円/4,000万円)×(1.225%/1%)=1.29万円

となります。この上昇幅を何年後に想定し、その時点で家計において耐えられる程度のものかどうかを考えて、対策を講じれば良いのです。

変動金利を選ぶならここ!おすすめ住宅ローンランキングTOP5

変動金利の低い住宅ローンをご紹介しておきます。流通系などの新興の銀行やネット銀行では、住宅ローン残高による収益基盤が少ないために、優遇金利としての変動金利をかなり低く設定してくれています。そのベスト5のご紹介です。

1:住信SBIネット銀行 住宅ローン

住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIグループの共同出資のネット銀行ですが、優良固定客を増やすため、住宅ローン顧客の増加に力を入れています。2018年11月時点の変動金利は0.447%(借り換え0.418%)と思い切った金利になっています。

【参考】https://www.netbk.co.jp/wpl/NBGate/i900500CT/PD/exp_loan_kinri

2:じぶん銀行 住宅ローン

じぶん銀行は、三菱UFJ銀行とKDDIが共同出資したネット銀行ですが、まだ新しいため、住宅ローンにおいても思い切った変動金利を提供しています。2018年11月時点の住宅ローンの変動金利は、0.457%とかなり低いと言えます。

【参考】https://www.jibunbank.co.jp/products/homeloan/interest/

3:ソニー銀行 住宅ローン変動金利

世界的な家電メーカーのソニーが金融分野への進出のために作った銀行がソニー銀行です。高所得層や高額の資産を所有している方を対象としていますが、同時に住宅ローンにおいても優良顧客確保のため、力を入れています。

2018年12月の住宅ローンの変動金利は、新規で自己資金が10%以上ある場合には0.457%が用意され、優遇されています。(通常は0.757%)

【参考】https://moneykit.net/visitor/hl/

4:イオン銀行 住宅ローン

イオン銀行は流通系のイオングループが設けている銀行ですが、住宅ローンに関してはさまざまなプランを用意しています。2018年11月時点の変動金利は、店頭表示は2.37%ですが、優遇金利は新規で0.52%、借り換え0.47%と低くなっています。

【参考】https://www.aeonbank.co.jp/interest/loan/

5:新生銀行 住宅ローン変動金利

かつてのメガバンクであった日本長期信用銀行が破綻した後に、再生したのが新生銀行です。もともと大企業相手に融資事業をしていたため、個人顧客を増やす必要があり、住宅ローン顧客獲得にも積極的です。

住宅ローンの変動金利の優遇金利は、2018年11月で0.6%ですが、返済が順調な場合にはさらに優遇金利も用意されています。

【参考】https://www.shinseibank.com/powerflex/housing/interest_rate.html

最後に

変動金利を選択する場合は、基準金利と優遇金利(引き下げ幅)そして借入金利の確認、また固定期間選択型を選択する場合は、当初借入金利と固定期間終了後の優遇金利(引き下げ幅)を確認してください。

また、金利見直し時点では定期的に一部繰り上げ返済を併用しながら、期間短縮や期間据え置き返済金額の据え置きを行えるよう準備していきましょう。

監修者:杉浦 順司(ファイナンシャルプランナー)