銀行が破産しても、銀行に預けているお金が全部なくなってしまうわけではありません。日本国内に本店がある金融機関に預けている預金なら、預金保険制度によって一定額まで保護されるのです。あなたの大切な預金を守ってくれる預金保険制度について詳しく解説します。

多くの人が利用する金融機関の預金口座

ほとんどの方は、どこかしらの銀行に資産の一部を預けているのではないでしょうか。自宅にお金を置いておくタンス預金も良いですが、泥棒が絶対に来ないとは言えませんよね。超低金利時代が長引く中、少々の資産を銀行に預けても大きな利息がつくことはありませんが、自宅に保管し盗難や災害などの不安を感じる必要がないのは事実です。

決済、運用、金庫代わり…誰もが持つ便利な預金口座

最近では、ほとんどの支払いを、クレジットカードやデビットカード、ICカードなどのカードで済ませる方も多くいます。カード利用額は口座振替で引き落とされますので、カード社会を生きていく上でも預金口座は必要です。

また、家賃や光熱費、通信費、保険料などは、紙の請求書を使って払うことも不可能ではありませんが、預金口座からの振替が一般的です。口座振替で支払うことで、紙の請求書を発行する費用や送料が不要になるため、月々の支払いが数10円~200円程度安くなることもあります。支払い忘れをなくすためにも、月々の料金を少しでもお得にするためにも、預金口座はマストアイテムと言えるでしょう。

それに加え、銀行にお金を預けておくことで、定期預金などの金融商品を利用して資金を運用することもできます。決済や運用、金庫代わりと、さまざまな用途に便利に使えるのが銀行などの金融機関口座なのです。

1家庭につきおよそ10口座が普通︎!?

あなたはいくつの預金口座を持っていますか?給与振込に利用する口座やクレジットカードの引き落としに利用する口座、また、住宅ローン返済専用の口座など、複数の口座を持っていらっしゃるのではないでしょうか。

一般的に、一世帯当たり10ほどの口座を保有しているといわれています。夫婦3つずつ、子どもの口座を合わせると、大抵のご家庭では10ほどになるのではないでしょうか。

万が一金融機関が破綻したら、預金はどうなる︎?

金融資産の大部分は、家の中ではなく何らかの金融口座に預けているご家庭が多いでしょう。泥棒に盗まれてしまうことがなく、しかも、火事や災害でなくしてしまうこともありませんから、金融機関に預けるのは至極当然のことと言えます。

しかし、万が一、金融機関そのものが破綻したときはどうなるのでしょうか。預けているお金はどうなってしまうのでしょうか。

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預金保険制度(ペイオフ)とは?

金融機関が破綻したときでも、一定額までの預金は守られます。このように預金が守られる制度を「預金保険制度」と呼び、預金保険機構が実施しています。破綻した金融機関ではなく、預金保険機構が代わりに預金者に払い戻すため、「ペイオフ」や「ペイオフ制度」と呼ばれることもあります。

預金保険制度の目的

「金融機関が破綻するかも…」と人々が不安に感じてしまうと、銀行や信用金庫などの金融機関にお金を預けることが難しくなります。金融資産を自宅で保管するようになり、泥棒の増加や治安の悪化といったことにも繋がる可能性があります。

預金保険制度があることで、誰でも安心して金融機関にお金を預けることができ、不安の少ない社会を作ることにも繋がるのです。

預金保険法

1971年に施行された預金保険法では、万が一、金融機関が破綻した場合でも、預金保険機構によって預金者の預金が一定額まで守られることが定められています。また、単に破綻後の預金保護だけでなく、金融機関の破綻自体を回避するための金融資産管財精度などについても定められています

なお、預金保険制度の実行に必要な資金は、各金融機関が支払う預金保険料によって賄われています

預金保険制度の仕組み

金融機関が破綻したときに預金者の預金の一部を保護する預金保険制度は、預金保険機構と預金者、金融機関の3者間で作用する制度です。対象となる金融機関は、預金保険法によって預金保険制度への加入が義務付けられ、保険料を納めなければなりません

預金保険機構は金融機関が破綻しないように働きかけ、万が一、金融機関が破綻したときは、預金保険機構が預金者に預金金額の払い戻しを実施します。

預金保険の申込み手続きを行う必要はない

預金保険制度を利用するために、預金者自身が預金保険機構や金融機関に何らかの申し込み手続きを行う必要はありません。預金保険制度が適用される金融機関に預金者がお金を預けるときは、預金保険制度が適用される種類の預金なら、自動的に預金保険制度が適用され、金融機関破綻時に一定金額までの預金が払い戻しされます。

預金保険制度の対象・対象外について

預金保険制度はすべての預金に対して適用されるわけではありません。特定の金融機関の特定の預金にだけ預金保険制度が適用され、万が一のときに、預金者に払い戻しが実施されるのです。

預金保険制度の対象となる金融機関

預金保険制度が適用されるのは、日本に本店を持つ銀行と信用金庫、信用中央金庫、信用組合、全国信用協同組合連合会、労働金庫、労働金庫連合会の各金融機関です。なお、ゆうちょ銀行や商工組合中央金庫も、預金保険制度が適用されます。

預金保険制度の対象外の金融機関

日本国内に本店がある銀行の海外支店や海外の銀行の日本支店、政府系金融機関の預金は、預金保険制度は適用されません。そのため、万が一、各金融機関が破綻したときは、預金全額が払い戻しされない恐れがあります

なお、農林中央金庫や農業協同組合、漁業協同組合などの金融機関の預金も、各金融機関が破綻したときには一部金額が保護される制度がありますが、預金保険制度ではなく、「農水産業協同組合貯金保険制度」が適用されます。

また、保険会社に預けている資金に関しては「保険契約者保護機構」、証券会社に預けている資金に関しては「投資者保護基金」が適用され、各機関に万が一のことが起こったときに、一部金額が保護されます。

預金保険制度の対象となる範囲

日本に本店を持つ銀行と信用金庫、信用中央金庫、信用組合、全国信用協同組合連合会、労働金庫、労働金庫連合会の各金融機関に預けている預金の中でも、預金保険制度が適用されるのは次の預金だけです。

決済用預金

決済用預金に関しては、預金保険制度が適用されて、預金金額に関わらず全額が保護されます。なお、決済用預金とは、当座預金と利息の付かない普通預金を指します。いずれの預金も、利息が付かず、預金者がいつでも払い戻しを請求することができます

一般預金等

利息がつく一般的な預金に関しては、金融機関が破綻したときに、1金融機関当たり1人1,000万円までの元本と破綻日までの利息が保護されます。一般的な預金とは、利息が付く普通預金や定期預金、通知預金、貯蓄預金、納税準備預金、定期積金などを指します

また、元本補填契約のあるビッグなどの金銭信託や、保護預り専用商品限定にはなりますが、金融債も預金保険制度が適用され、1,000万円までは保護されます。

預金保険制度の対象外となる預金

日本国内に本店がある金融機関の日本国内の支店であっても、外貨預金や無記名預金、ヒットなどの元本補填契約のない金銭信託、保険預り専用商品ではない金融債には、預金保険制度が適用されません。

また、架空名義の預金や他人の名義の預金、譲渡性預金に関しても、預金保険制度は適用されません。

万が一が起きた時の場合

あまり想像したいことではありませんが、万が一、あなたが利用している金融機関が破綻したときはどうなるのでしょうか。預金保険制度が適用される預金商品を利用していた場合についてシミュレーションしてみましょう。

『名寄せ』される

まずは、同一金融機関に預けている預金の「名寄せ」が実施されます。名寄せとは、同一人物が開設している預金を合算する作業のことで、例えば、破綻したA銀行内に普通口座を1つ、定期預金を1つ、元本補填契約のある金融信託を1つ保有している場合なら、この3つの預金をすべて合算した金額のうち、元金1,000万円までに預金保険制度が適用されます。

破綻した後すぐに引き出せない場合、「仮払い」が可能

金融機関破綻後すぐは、業務が混乱し、預金が引き出せないこともあります。払い戻しまでに時間がかかる場合は、上限額を定めて仮払いが実施されます

金融機関が合併すると、1年間は特例措置がある

同一金融機関に預けた預金に関しては、名寄せが実施され、1,000万円を上限として預金保険制度が適用されます。

例えば、B銀行とC銀行が合併してD銀行が設立されたと仮定しましょう。B銀行に1,000万円、C銀行に1,000万円を預けているのなら、D銀行が成立すると預金保険制度は上限1,000万円までの預金に対してのみ適用されることになります。

しかし合併、営業(事業)の全部譲渡を行った場合、1年間に限って「1,000万×合併の金融機関の数」の経過措置が取られます。この場合、D銀行成立後1年間に限っては、B銀行の預金1,000万円までとC銀行の預金1,000万円までの合計2,000万円までに預金保険制度が適用されます。

まとめ

金融機関が破綻しても、預金保険制度が適用される金融機関に、預金保険制度が適用される預金を預けているのなら、1,000万円までは元本と利息が保護されます。ただし、預金保険制度が適用されるときは名寄せが実施されますので、万が一のことを想定して資産を複数の金融機関に分けて預けることが大切です。

監修者:尾山 道郎(フィナンシャルプランナー)

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