【税理士監修】税金申告の注意点|確定申告の流れや注意点について

2019年も確定申告の時期が迫ってきました。直前に慌ててやってミスせずに、十分に準備を重ねて適切に税金申告するほうが良いですよね。今回は、確定申告の流れと注意点などを解説していきます。
税金の申告に欠かせない確定申告とは?
そもそも、確定申告とは私たちの所得にかかる税金額を計算し、税金を支払うための手続きです。個人の所得の計算期間は1月1日から12月31日の1年間です。そして、確定申告に必要な諸々の書類を準備して、翌年の2月16日から3月15日(土日の場合は翌月曜日)までに所管の税務署に申告及び納税します。
確定申告を行うことによって納めすぎた税金が還付金として手元に戻ってくるケースもあります。
それでは、確定申告の仕組みについて解説していきます。
確定申告が必要な人
始めに、確定申告を行って税金を収める義務がある方として、個人事業などから得られる事業所得や、不動産所得、配当所得、譲渡所得、山林所得、一時所得などがある方が挙げられます(※1)。
また、公的年金などの雑所得がある方や退職所得がある方も確定申告が必要です。ただし、公的年金などの収入金額が400万円以下であり、なおかつ、その公的年金などの全部が源泉徴収の対象となる場合において、公的年金などの雑所得以外の所得金額が20万円以下であるときは、確定申告不要制度が適用されます(※2)。
退職所得がある方に関しても、「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合、一般的には、退職所得に関する所得税は源泉徴収による課税で完了することになりますので、退職所得の申告は不要となります。
後ほど詳しく紹介しますが、会社員でも確定申告が必要な場合があるので注意してください。
(※1)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
(※2)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/03/order2/3-2_02.htm#nenkin
年末調整と確定申告の違い
会社員は毎年会社で年末調整を行いますが、確定申告と何が違うのでしょうか。
年末調整とは、会社員が受け取る給与から毎月天引きされている所得税の過不足を計算して調整する手続きです。一般的には、毎年11月から12月にかけて会社で年末調整が行われ、通常12月の給与支払い時に所得税の精算が完了する形です。
そして、毎月の給与から天引きされる所得税はあくまでも概算の金額であり、生命保険料控除や2年目以降のローン控除などが反映されていません。年末調整で正しい所得税額を算出し、足りない方からは追加で納めてもらい、支払い過ぎている方には還付する仕組みとなっています。そのため、会社員に関しては、年末調整を行うことで納税が完了していれば、確定申告が不要ということになります。
会社員でも確定申告が必須の場合(※)
会社員でも確定申告が必須のケースとして、給与収入が2,000万円を超えている場合や、2カ所以上の会社から給与を受け取っている場合(ただし、メインとなる給与以外の給与収入の源泉徴収が乙欄で計算されていて、給与所得と退職所得以外の合計が20万以下である方は確定申告の必要がありません)があります。
また、配当所得や不動産所得などの副業所得が20万円を超えている場合、医療費控除や住宅ローン控除を始めて受ける場合、ワンストップ特例制度を適用しなかったふるさと納税や、ふるさと納税の納付先自治体が6カ所以上の場合などが挙げられます。
また転退職した人も注意が必要で、仮にその年の途中に退職し、再就職していない場合は年末調整を受けていないので確定申告が必要となります。
(※)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
「青色申告」と「白色申告」の違い
確定申告の際によく耳にする、青色申告と白色申告の違いはどういったところにあるのでしょうか。
まず、青色申告とは、特別控除が設けられている確定申告の方法となります。事前に「青色申告承認申請書」を提出していて、日々の取引をすべて正確に帳簿へ記し、正しく申告することで、さまざまなメリットを受けられる仕組みがあります。
例えば、青色申告では、正規の簿記の原則である複式簿記にもとづいて帳簿を作成する場合、所得金額から65万円を控除することができる青色申告特別控除があります。これにより、納税額を抑えることが可能です。
また、青色申告では、事前に「青色事業専従者給与のに関する届出書」をしておくことで、家族への給与である青色事業専従者給与を経費にすることが可能です。加えて、赤字を3年先まで繰り越すことも可能なため、赤字になった次の年に利益が出たとしても、そこから前年の赤字を差し引くことができる純損失の繰り越しも行うことできます。
一方で、白色申告とは、青色申告と比較して簡単に確定申告ができる方法です。複式簿記にもとづき全ての取引ごとに帳簿作成することや貸借対照表の提出が不要であるためです。なお、白色申告には、青色申告にある青色専従者給与や純損失の繰り越しといった仕組みを利用することができませんので、その分節税メリットは少ないと言えます。
確定申告をするまでの流れ
ここからは、確定申告をするまでの流れをご紹介していきます。
1:必要書類の準備
まずは、確定申告をするにあたり、自分自身で源泉徴収票や日々の生活で受け取った領収書などを大切に保管しておきましょう。毎月、家計簿をつけるなどしてお金の流れや取引明細がはっきりと記録されていれば、スムーズな確定申告を行う上で役立つでしょう。
2:確定申告書を入手する
確定申告書を入手しましょう。国税庁のWebサイトから、ファイルをダウンロードすることが可能です。また、税務署や市区町村役場の税務課、確定申告相談会場にて受け取ることもできるほか、10日から2週間ほどかかってしまいますが、税務署から郵送で取り寄せることも可能です。
初めての確定申告で不明な点がある際は、実際に税務署などへ訪れて税務スタッフに質問してみましょう。ただし、確定申告の時期は非常に混雑するので、余裕をもって早めの時期に行ったほうが良いでしょう。
参考:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm
3:確定申告書の記入
実際に確定申告書を記入していきます。確定申告書の記入例は、インターネットで非常に多くの記載の仕方が掲載されていますが、正確性を保つため、ここでは国税庁のサイトの記載例が掲載されたWebページのリンクをつけておきます(※)。
なお、確定申告書の記入に関しても、不明な点は税務署や確定申告相談会場などで分かりやすく説明してくれますので、一度実際に訪問してみることで、より正確な確定申告書を作成できるかと思います。
(※)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei2017/index.htm
4:確定申告書の提出
確定申告書の記入が終わりましたら、確定申告書を提出します。具体的には、税務署の窓口に持参するか、税務署へ郵送することになります。
確定申告書はWEBでの作成が簡単!
なお、現在は確定申告書を紙ベースだけでなく、Webでも簡単に作成することができます。
e-Tax(国税電子申告・納税システム)
現在は自宅に居ながらにして、確定申告が可能です。それがe-Taxと呼ばれる国税電子申告・納税システムです(※)。
出典:国税庁e-Tax
freee
また、確定申告書の作成についても、会計ソフトの「freee」などを利用することで、効率的に作成することが可能です。「freee」以外にも、「弥生」や「MFクラウド」なども確定申告書の作成ツールを提供していますので、ご自身に合った会計ソフトを活用して、効率的に、かつ正確な確定申告書を作成しましょう。
5:納税・還付
そして、確定申告書を作成することで、実際に納めるべき納税金額もしくは還付金額が決まります。
税金の申告期間は2月中旬〜3月中旬
納税の申告期間は基本的に2月中旬から3月中旬となります。2018年分の確定申告は、2月18日(月)から3月15日(金)までとなります(※)。
(※)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm
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申告を忘れたらどうなる?時効はあるの?
それではここからは、万が一、確定申告を忘れてしまった場合の扱いなどについてみていきましょう。
確定申告が遅れた場合は期限後申告扱いとなる
もし、確定申告を定められた期限内にできなかった場合、期限後申告扱いとなります。
延滞税の支払い
そのため納付の場合は申告期限の翌日から、納付するまでの日数に応じた延滞税の支払いが発生します。具体的な延滞税率はその年によって異なってきます。
無申告加算税
また、納めるべき税金を申告し忘れた場合には、無申告加算税が課せられます。こちらは原則として、納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額を支払う必要があります。
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税が5%に減額されます(※)。
(※)出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2024.htm
税金申告の時効は3年、5年、7年
なお、通常の税務調査の場合、3年間分の帳簿や各種書類をチェックします。そこで、ミスがあれば調査期間が5年に延び、不正行為が認められた際には、7年間さかのぼって修正を行うことになります。
確定申告で注意するべきこと
ここからは、確定申告で注意すべきことをご紹介していきます。
申告期間内で提出できるように事前に準備しておくこと
まずは何といっても、確定申告できる期間は毎年定められています。そのため、必要となりそうな書類や領収書などは、事前に日付順などでしっかりと保管しておくことが大切です。
また、家計簿をつけることで、日次や週次、月次のお金の流れを把握することができますので、いざ確定申告する際に慌てて1年間分の取引をまとめることもなくなるかと思います。
税金の申告書で漏れがないように確認すること
そして、確定申告書において漏れがないか、提出する前に再度確認することも大事です。
申告を忘れてしまった場合の手続き
万が一、確定申告を忘れてしまった場合の手続きは以下の通りです。
訂正申告
訂正申告とは、確定申告ができる期限内において修正を行うことです。通常税務署では、同じ申告者から申告書の提出が複数あった場合には、最後に提出されたものを採用するようになっています。
更生の請求
更正の請求とは、税金を多く申告してしまった場合、もしくは還付される税金を少なく申告していた場合となります。
修正申告
そして、修正申告とは所得税を少なく申告していた場合や、還付を多く申告していた場合に行うものとなります。
外国籍の人は「住所の有無」と「居住年数」によって課税が異なる
なお、外国籍の方の場合、住所の有無、つまり居住と非居住か、また居住年数、つまり永住者か非永住者化によって課税される所得の範囲が異なってきます。自分自身の正確な課税対象範囲を確認する上でも、税務署などでしっかりと確認するのが良いでしょう。
最後に
最後となりますが、確定申告の流れや注意点などを解説してきました。確定申告が必要な方は、事前準備をしっかり行い、申告期限内に正確な確定申告書を提出しましょう。
監修者:添田 裕美(税理士)