将来設計についてはみなさんどのようなお考えでしょうか。日本は戦後の高度経済成長期を終え、経済が右肩上がりの時代は終わったと言えるでしょう。終身雇用の時代が終わり、高齢化によって年金財政も不安定な世の中です。

それぞれの人生設計はどのように考えたら良いのでしょうか。

将来設計を考える前に知っておくべきこと

将来設計を考えるには、どのような知識が必要なのでしょうか。さまざまな視野で社会全体の未来を予測して長期的にものごとをとらえなければいけません。今後の社会を予測するには、どのような点を理解しておけば良いのでしょうか。

預金の低金利が長期化する?

日銀のマイナス金利導入以降、超低金利が続いています。金利が上がる兆候はほとんどありません。日銀は強力な金融緩和を継続するために「フォワードガイダンス」を導入しました。

フォワードガイダンスは、将来の金利を中央銀行(日本の場合は日銀)が指し示すものです。つまり、日銀はフォワードガイダンスで長期的に現在の超低金利が継続することを想定しているということです。超低金利が続くということは定期預金でお金を増やすことは難しく、リスクをとった資産運用も視野に入れる必要があります。

参考:https://www.boj.or.jp/announcements/release_2018/k180731a.pdf

AIの影響で仕事が少なくなる?

現在AI市場が急激に成長しています。AIは計算が非常に得意で単純な計算などは人間よりも遥かに早いスピードで計算することができます。違和感なく会話ができるAIも活躍しており、人間の仕事が減ってしまう懸念もあります。

AIの実用化がさらに進めば単純労働でお金をもらうことが難しくなる可能性もあります。現代社会では急激な時代の変革が常に起こっており、現在の収入が必ずしも定年まで続くかどうかは分からないと、理解しておきましょう。

年金制度が崩壊する?

年金制度にも不安が残ります。少子高齢化が続くことで、年金受給者である高齢者を支える現役世代は減って行き、支えられる側の高齢者が増えていきます。現状の年金制度は自分で支払ったお金を自分でもらうのではなく、高齢者が、現役世代が支払った保険料から年金を貰う仕組みになっています。

このまま少子高齢化が進めば年金財政は苦しくなる一方でしょう。現在の高齢者がもらっている年金を、将来の高齢者がもらえる保証はどこにもありません。

医療制度が崩壊する?

現在の日本は国民皆保険制度となっており、全ての国民がなんらかの公的医療保健に加入しています。現在75歳以上の所得の少ない後期高齢者は医療費の自己負担が1割となっていますが、残り9割は税金で賄われています。高齢者は現役世代に比べて医療費が高額になる傾向にあります。

少子高齢化が進めば現役世代が支払う総収入は減少(税収も減少)し、高齢者の医療費が増加(税負担増加)する可能性が高いので、現在の医療制度を続けることは難しいかもしれません。

参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html

賃金がほとんど上昇しない?

かつては年功序列制度の会社がほとんどでしたが、今では同じ会社に勤めていれば給料が上がっていく時代は終わったといえるでしょう。実力主義で給料が決まっていくケースもあるため、同じ会社で長く勤めていても給料が上がらないという人も増えているかもしれません。

災害リスクがある?

地震や津波などで大きな被害を受ける可能性もあります。自然災害は完全に避けることはできません。被害額を想定して損害保険に加入するなど、将来設計を考える上で、ある程度の準備をしておいた方が良いでしょう。

将来設計の手順

将来設計を立てなさい、と言われても何からどうやっていいのか検討もつかないという方も多いと思います。将来設計の手順について見ていきましょう。

自分の好きなこと・嫌いなことを把握する

まずはご自身の好きなこと、嫌いなことを把握しましょう。人生を豊かにするために、好きなことには積極的にお金を使いましょう。ご自身の好きなものがどれくらいの期間でどれくらいのお金がかかるのかを把握しておきましょう。

どんな人生で何をしたいか(夢や希望)を決める

好きなこと・嫌いなことが把握できたら、次はどんな人生にしたいか、夢や希望を考えて見ましょう。夢や希望は人それぞれです。起業をしたい、子どもがたくさん欲しいなど、何でも良いので考えてみましょう。

人生で何を成し遂げたいかを考えることによって、人生でかける時間やお金はかなり違ってきます。将来設計を立てるために、まずはご自身の人生のストーリーを立てましょう。

ライフステージ毎に必要な金額を計算する

何を成し遂げたいかが決まったら、次はご自身のライフステージ毎に必要な金額を算出します。独身か、結婚するか、結婚したら子どもは何人作るか、老後は何をして過ごすか、などを検討してライフステージ毎に必要な金額を計算してみましょう。

参考になるのは総務省の統計です。総務省の統計では世帯別の平均家計支出が発表されています。ご自身の人生に照らし合わせて、どれくらいの金額かを計算する参考になると思います。

参考:https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html 

想定される収入を計算する

人生設計には収入の把握がかかせません。想定される将来の収入を計算し、ご自身が将来、何にいくら使えそうかを把握しておきましょう。

給与は可処分所得で計算する

給与は可処分所得で計算しましょう。可処分所得とは、給料などから、社会保険料などの経費を差し引いた、実際の手取り金額のことです。

さらに、そこから家賃や住宅ローン、食費や通信費などを差し引いた場合、毎月いくら残るのかが大切になります。老後の趣味などにお金がかかる場合は、現役時代の可処分所得から、しっかりと貯めておく必要があります。

退職金(予想)を調べる

退職金も重要な収入です。ご自身の会社に定年まで勤めた場合いくら退職金が入るのか、把握しておきましょう。

退職金の額が把握出来たら、そこから老後のためにどれくらい残せるかを計算しましょう。住宅ローンなどの大きな支払いを退職金で払う方も多いと思います。給与と同じく、実際にいくら残るのかが大切です。

年金(予想)を調べる

老後の収入は年金収入が中心になります。ご自身の年金額の概算を把握しておくことは非常に重要です。

公務員の方は「地共済年金情報ウェブサイト」、サラリーマンの方は「ねんきんネット」で、簡単にご自身の年金額の概算を調べることができます。自営業の方は年金額が少ない傾向があります。国民年金基金やiDeCoなどの制度を使って、ご自身で「自分年金」を作ることも検討してみると良いでしょう。

参考URL

地共済年金情報ウェブサイト:https://www.chikyosai-nenkin-web.jp/FN009001/OP009001001BL.do

ねんきんネット:https://www.nenkin.go.jp/n_net/

国民年金基金:https://www.npfa.or.jp/

iDeCo:https://www.ideco-koushiki.jp/

必要な金額と収入の差額を計算する

収入の全体像を把握できたら、次は人生設計を立てる上で必要な金額を調べましょう。収入と必要な金額の差額を計算することで現在のペースで暮らしていれば大丈夫なのか、もう少しお金を貯める必要があるかが分かります。

収支がマイナスの場合は妥協点や経済的な対策を考える

将来の収入と必要な金額を計算すると収支がマイナスとなってしまうことがあります。収支がマイナスとなってしまった場合は、なんらかの対策を打たなければなりません。どのような対策を講じれば良いのでしょうか。

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具体的な修正点

収支がマイナスの場合は具体的な修正点を見つけて行かなければなりません。現実的にはどのような修正点があるのでしょうか。

働き方について考え直す

収支がマイナスとなってしまう場合は、まずは人生の収入の大部分を占める働き方について考え直しましょう。具体的には夫婦で共働きをする、転職して収入を増やす、副業をすることで収入を増やす、などが考えられます。

現在は高度経済成長期のように長く働き続ければ給料が増えていく時代ではありませんが、一方で働き方は多様化されてもおり、女性が働きやすい社会となっています。収入を増やす為に、ご自身や世帯で、工夫した働き方も考えていかなければなりません。

結婚生活について考え直す

結婚生活をどのように過ごすかで人生設計は大きく違いが出ます。特に支出の面では大きな差が出ますので、収支がマイナスとなってしまう場合は結婚生活について考え直すことも1つの手です。どのような選択肢や方法が考えられるのでしょうか、具体的に見ていきましょう。

独身or結婚の選択

まず、結婚するか否かで人生設計は大きく異なります。独身の場合、現役時代の収入は余裕が出やすいですが、子どもの援助が受けられないため老後の生活費が大きくなる傾向があります。お金のために結婚するわけではありませんが、結婚するか独身で暮らすかによって人生設計は大きく異なりますので、その点は理解しておいた方が良いでしょう。

子供は何人欲しい?

子どもが何人いるかによっても人生設計は大きく異なります。特に教育資金は全て公立の場合でも1,000万円以上、全て私立の場合は2,500万円以上と言われています。当然教育費以外にも子どもの食費などの生活費もかかります。

子どもが多ければ広い家を購入する可能性もあり、子どもがいない家庭よりも住宅費用も高くなります。子どもの数によってかなり家計の支出は変わります。その点も踏まえて子どもを何人作るかを考えましょう。

マイホームor賃貸の選択

自宅について、マイホームを購入するか、賃貸に住み続けるか、悩まれる方が多いと思います。それぞれメリットとデメリットがあるため、一概には言えませんが、転勤や家族構成の変化等で転居の必要性が低い方は、一般的にマイホームを購入した方が家賃を払い続けるよりもトータルの費用は安くなると言われています。

マイホームを購入するか賃貸にするかは転居の有無や家族構成によって検討した方が良いでしょう。

老後生活について考え直す

人生100年時代と言われ、定年後の老後生活が長くなっています。老後生活が人生において占める割合が高くなっていますので、老後にどんな生活をするかが人生設計において重要となります。豊かな老後を過ごしたいものですが、場合によっては老後の楽しみや趣味に使うお金も少し減らさないといけない可能性もあります。

どれくらいの生活水準を維持したいか?

老後の生活水準によって必要な老後資金はかなり差が出ます。豊かな老後生活を過ごすには年金だけでは足りない方がほとんどでしょう。老後生活の水準を落としたくない場合は、現役時代にしっかりとお金を貯めて、老後に取り崩していくという人生設計を立てる必要があります。

逆に言うと老後にどのくらいの生活水準を維持したいかによって、現役時代に貯めておく金額を計算する必要があります。

セカンドライフの夢・やりたいこと

退職後の長い人生で、夢もやりたいこともなくただ暮らしていくのは寂しいものでしょう。夢ややりたいことをみつけて充実した日々を過ごすのが理想ですが、お金がかかる場合もあります。ご自身の人生設計に支障をきたさない範囲で、夢ややりたいことを探すのが良いでしょう。

経済的な対策(節約編)

経済的な対策の1つが節約です。収入を増やせない場合は支出を減らすしかありません。具体的にはどのように支出を減らせば良いのでしょうか。

保険の見直しで節約する

住宅の次に高い買い物と言われているのが保険です。保険は一度入るとなかなか見直しをしないので現在の実情と合っていない保険になっていることがよくあります。また毎月の支払いは多くないのでついほったらかしにしてしまいがちですが、毎月数千円の保険料ででも何十年も続くととても大きな金額になります。無駄な保険に入っていたら見直しをしてみましょう。

住宅ローンの見直しで節約する

日銀のマイナス金利導入以降、日本は超低金利が続いています。少し前に借りた住宅ローンは高い金利のままになっている可能性があります。住宅ローンの借り換えをすることで金利を下げられる可能性があります。毎月の住宅ローンの支払いが楽になれば、老後のためにお金を少しずつ貯めることも可能となります。

格安SIMを利用してスマホ代を節約する

毎月の支払いとして大きいのが通信費、特にスマホ代は毎月大きな出費となっています。格安スマホを利用すれば通常のスマホよりも一人当たり月5,000円程度安くなることもあります。夫婦で利用している場合、年間12万円の節約となるためかなり大きい金額を節約できることになります。

経済的な対策(資産運用編)

経済的な対策は、節約の他に運用して増やすという手法があります。資産運用はどの様な点に気をつけて行えば良いのでしょうか。

ハイリスクハイリターンな株式投資

伝統的な投資手法として株式投資があります。株式投資はハイリスクハイリターンの投資と言われています。株式は企業の業績等に連動して値段が変動します。新商品開発など、会社にとって明るいニュースが流れた場合、急激に値上がりする反面、不祥事などで企業の業績が極端に悪化することが予想されるニュースが流れた場合は、大暴落する可能性もあります。

大きく値上がりする可能性がある反面、大きく下落する可能性も高い投資だということは理解しておきましょう。

ミドルリスクミドルリターンな投資信託

投資信託はミドルリスクミドルリターンの投資といわれています。投資信託とはあくまで、投資をするための器です。投資信託という器を使って株や不動産(REIT)、債券などに分散投資をすることができます。

投資信託は国内外のさまざまな投資対象に分散投資できる点がメリットとなっており、個別に株式を買うよりもリスクを抑えることができます。

投資信託以外では、株式はハイリスクハイリターン、不動産(REIT)はミドルリスミドルリターン、債券はローリスクローリターンの投資となります。

物件選びが重要な不動産投資

マンションなどを購入し、貸し付けることで賃料収入を得ることができます。不動産投資は空室とならずに高い家賃で貸し続けることが大切ですので、どの物件に投資をするかが選重要となります。マンション一棟を買う場合は億単位の金額が必要となりますが、投資用としてワンルームマンションなどを購入する場合は数百万円で購入できる物件もあります。

時代の最先端?ロボアドバイザーの活用

近年話題になっているのが「ロボアドバイザー」です。ロボアドバイザーはプロの運用のノウハウをシステム化して、自動で売買を行って投資家のニーズに合わせて最適な資産配分で運用を行ってくれます。少額から投資をできる金融機関も多く、投資初心者向けの商品として人気があります。ロボアドバイザーでの運用を検討される方は、過去の実績や手数料などを比較して運用してみると良いでしょう。

まとめ

人生設計において重要なことは、収入と支出のバランスを考えることです。収入が足りない場合は、働き方を見直して収入を増やす必要がありますし、支出が多い場合には節約を検討する必要があります。

人生100年時代の人生設計は、老後に必要なお金を試算して「できるだけ若いうちから、お金を貯める準備を始める」ことが重要となります。この機会に、人生設計について考えて、できる準備を今からしておきましょう。

監修者:石川 智(ファイナンシャルプランナー)