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老後 2018.9.14

【FP監修】年金制度とは?年金制度の仕組みと今後の見通し

 

年金制度は、長い老後の生活を支える大切な制度です。

 

また、それだけでなく病気やケガにより障害者になったり、死亡したりした場合に、本人や家族の生活を維持し安心して暮らせる制度でもあります。

 

しかし、そのような好ましい制度も、支えている現役世代の負担は大きく、年金制度に対して危惧を抱いている方もいらっしゃるでしょう。

 

この記事では、年金制度の概要と仕組み・今後の見通しについて解説をいたします。

 

年金制度とは?

 

年金制度は、老齢や病気・けがなどの疾病、死亡などに際し、本人や家族の生活を営むために、毎年決まった金額を支給するものです。

 

年金の種類を大雑把に分けると、国が行う公的年金制度、会社が従業員に対して行う企業年金、個人が契約する個人年金があります。

 

働けなくなった時のための防貧機能

日本の憲法に、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とありますが、それを支えるものの1つとして年金制度があります。

 

年金制度は高齢者になったり、障害者になったり、一家の大黒柱が死亡したときに、貧困になるのを防止する役割を果たしています。

 

年金がもらえるのはいつから?

すべての国民が加入しなければならない老齢基礎年金は、以前は60歳が支給開始年齢でした。

 

しかし現在は1949年4月2日以降に生まれた男性及び1954年4月2日以降に生まれた女性は65歳に引き上げられています。

 

ただし、希望する方は繰り上げて年金をもらう(繰り上げ受給)ことができますが、その場合、受給できる金額は減額されます。

 

また、65歳以上に繰り下げて受給する(繰り下げ受給)ことも可能で、その場合は年金が増額されます。

 

繰り上げ受給及び繰り下げ受給をした場合の減額率・増額率は下記のようになります。

 

・繰り上げ受給(1941年4月2日以後に生まれた方)

請求年齢 減額率
60歳 30%
61歳 24%
62歳 18%
63歳 12%
64歳 6%

・繰り下げ受給(1941年4月2日以後に生まれた方)

請求年齢 増額率
66歳 8.4%
67歳 16.8%
68歳 25.2%
69歳 33.6%
70歳 42.0%

 

出典:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/kuriage-kurisage/20140421-06.html

給与所得者や公務員などが加入する老齢厚生年金は、1年以上加入した方であれば60歳から受給することができます。

 

これを特別支給の老齢厚生年金といい、60歳になる際に裁定請求の手続きをする必要があります。

 

しかし、これも1953年4月2日以降に生まれた男性及び1958年4月2日以降に生まれた女性から段階的に支給年齢が引き上げられます。

 

年金の受給額はいくら?

定年後にもらえる年金の額は、老後の生活設計を立てる上で重要な問題です。

 

しかし、年金の受給額は定額ではなく、国民年金は加入期間で、厚生年金の場合には加入期間の給料の額によって変わってきます。

 

また転職したり、個人で仕事を始めたり、結婚などによっても支払う保険料や年金額も変わってきます。

 

2018年(平成30年)1月に厚生労働省が発表した「平成30年度の年金額改定について」(※1)によると、2018年度の国民年金新規裁定者の1人当たり年金額は、満額で月額64,941円となっています。

 

また、老齢基礎年金を含む厚生年金受給額は夫婦2人で221,277円が標準的な年金額となっています。

 

しかし、実際に受給している年金額は「平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(※2)によりますと国民年金は平均55,464円、厚生年金では147,927円となっています。

 

※1出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12502000-Nenkinkyoku-Nenkinka/0000192296.pdf

※2出典:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/H28.pdf

 

年金制度の仕組み

 

 

日本の年金制度の仕組みは、どのようになっているのか、解説をいたします。

 

現役世代が高齢者を支える賦課方式

日本の年金制度は、自分で自分の年金を積み立てるのではなく、現役世代が納めた保険料で賄う賦課方式を採用しています。

 

現代は少子高齢化の時代であり、年金制度の維持は難しい問題を抱えていると言えます。

 

年金制度は3階建て構造

日本の年金制度は3階建て方式と言われます。

 

すべての国民が加入する1階建て部分、会社員や公務員が加入する2階建て部分、会社が独自に行う企業年金部分(公務員の場合には年金払い退職給付)の3階建てとして成り立っています。

 

1階建部分に加入している方はもらえる年金は1つだけですが、3階建ての方はもらえる年金が3つですので年金を多くもらえます。

 

・1階部分=国民年金

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の方すべてが加入しなければならない年金です。

国民年金には自営業者やフリーター、無職の者が加入する第1号被保険者、会社員など厚生年金被保険者が加入する第2号被保険者、第2号被保険者の配偶者が加入する第3号被保険者の3種類があります。

 

・2階部分=厚生年金・国民年金基金

厚生年金は会社員や公務員が加入する年金で、加入期間に決まりはありません。

厚生年金は加入期間の報酬額によって受給額も変わりますので、人によって差が生じる年金と言うことができます。

自営業者などは、2階建て部分がありませんので、別途国民年金基金に加入し、2階建てにして老後の生活を豊かにすることができます。

 

・3階部分=企業年金・年金払い退職給付

勤務している会社に企業年金制度があれば、強制的に加入することになります。

公務員の場合には、年金払い退職給付に加入します。

会社に企業年金が用意されていない場合には、個人型確定拠出年金や民間の生命保険会社で販売されている個人年金保険に入りご自身で3階部分を作ることも可能です。

 

年金保険料の免除や納付猶予もある

年金保険料を支払えない場合には、免除や猶予の申請をしなければなりません。

 

放置しておくと期間を満たさず、年金が受領できないことになります。

 

・法定免除

生活保護を受けている方や障害年金を受けている方、国立及び国立以外のハンセン病療養所などで療養している方は、国民年金免除事由該当届けを出すことにより全額免除されます。

 

・申請免除

所得が少ない場合や失業をしたなどで経済的に国民保険料を支払えないときには申請により免除されます。

保険料は程度に応じて、全額3/4・半額・1/4を免除されます。

 

・保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満の方で、前年の所得が一定以下である場合には、

申請が認められると保険料の支払が猶予されます。

 

・学生特例納付

年間の所得が118万円+(扶養親族数×38万円)以下の学生は、

申請が認められると保険料の支払いが猶予されます。

 

年金制度の種類

 

 

年金には、国が運営する公的年金とご自身で加入する私的年金があります。

 

公的年金は国民年金及び厚生年金があり、国民年金は国民全員が、厚生年金は一定の条件を満たしている事業所や法人の構成員は全員加入しなければならない義務があります。

 

私的年金は、個人が任意で加入するもので、公的年金を補完する形で用意されています。

 

国民皆加入の国民年金

 

・国民全員が加入する義務がある

国民年金は基礎年金とも言い、20歳から60歳まで40年間保険料を納めなければなりません。

2018年度の保険料は16,340円で、40年間保険料を納めた場合には、定額で年間77万9,300円の年金が支給されます。

 

・保険料支払い期間

国民年金を受給するためには、国民年金の納付期間と免除期間、

厚生年金に加入していた期間等を合計して10年以上支払期間が必要です。

 

・国民年金の種類

国民年金には老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金があります。

老齢基礎年金には、自営業者やフリーター、無職の者が加入する第1号被保険者、

会社員や公務員などの厚生年金被保険者が加入する第2号被保険者、

第2号被保険者の妻が加入する第3号被保険者の3種類があります。

なお2号被保険者の保険料は厚生年金保険料より基礎年金部分が国民年金に回されます。

 

会社員が加入する厚生年金

厚生年金は、民間企業で働く会社員や公務員を対象とした年金制度で、国民年金に上乗せして管理されています。

 

2017年9月以降の保険料率は18.3%に固定され、これを企業体と被保険者が折半して負担します。被保険者の支払う保険料は、月々の給与及び賞与より天引きされることになります。

 

以前は60歳から支給されていましたが、2013年から支給年齢が徐々に引き上げられ、1961年4月2日以降生まれの男性および1966年4月2日以降に生まれた女性は65歳から支給が開始されることとなります。

 

【出典】:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/20170822.html

 

企業独自の企業年金

企業年金は、退職後に年金として少しずつもらう形をとりますが、すべての企業に企業年金があるわけでありません。

 

企業年金制度は、確定給付型•確定拠出型•共済型の3種類に分類することができます。

 

・確定給付型

一定金額の積み立てを毎月行い、年金の形でお金を受けるとることができます。退職後にいくらもらえるか明確になっていますので、老後の生活設計を建てやすいのが特徴です。

 

・確定拠出型

会社が拠出する金額が確定しており、社員が運用して給付額を増やします。運用の成果によって給付額が変わってきますので、老後の生活設計が難しくなります。

 

・共済型

外部の会社に積み立てをし、企業年金の運用を依頼し、退職時に年金をもらいます。

 

2017年の改正内容は?

 

 

2017年に年金制度が改正になりました。改正内容について、解説をいたします。

 

個人型確定拠出年金の範囲拡大

個人型確定拠出年金は、従来は自営業者(第1号被保険者)と企業年金制度がない会社員(第2号被保険者)が入る資格がありました。

 

今回の改正で個人型確定拠出年金の範囲が広がり、第3号被保険者(専業主婦等)や企業年金制度がある会社員および公務員も加入できるようになりました。

 

個人型確定拠出年金のメリット・デメリット

 

・メリット

 

1.保険料が全額所得控除の対象

年金の掛け金と支払っている保険料が全額所得税控除の対象となり、税金が戻ってきます。

2.運用益が非課税

預金の利息や投資信託の分配金などの運用益に対しては、20%程度の税金を支払わなければなりません。

しかし、この制度において運用される投資信託の分配金や預金金利は、非課税となり新たな運用に回すことができます。

 

3.受給時に税制優遇がある

給付金には、老齢給付金・障害給付金・死亡一時金の3種類がありますが、給付金の種類、および受取方法によりそれぞれ税制メリットがあります。

老齢給付金を年金として受け取る場合には、公的年金等控除が、一時金として受け取る場合には退職所得控除が適用になります。

障害給付金を受給した場合には、所得税・住民税が非課税となり、死亡一時金の場合には、相続税の対象となります。

 

・デメリット

 

1.60歳までは受け取ることはできない

毎月の保険料を減額することは可能ですが、年金を60歳前に引き出すことはできません。

お金が必要になるかもしれないという方は、注意が必要です。

 

2.手数料がかかる

国民年金基金連合会へ口座開設手数料として2,777円が必要で、そのほかに、

国民年金基金連合会に毎月103円、

信託銀行などの事務委託先金融機関に毎月約64円、

運営管理機関に毎月月0円~700円程度の手数料を支払わなければなりません。

 

年金の受給資格期間が25年から10年に

2017年9月からは、従来25年であった受給資格期間が10年に変更されました。

 

従いまして70歳未満の納付期間が25年に満たない方でも年金を受給できる可能性が出てきました。

 

しかし納付期間が短くなりますので、受給できる年金は当然少なくなります。

 

クレジットカードでの前納が可能に

個人型確定拠出年金の掛け金をクレジットカードで支払うことはできませんが、積立投資の掛け金をクレジットカードで支払える金融機関はあります。

 

毎月拠出する方法と、年間の拠出額を前納する方法がありますが、これにより手軽に積み立てができることだけでなく、ポイントをもらえるメリットなどがあります。

 

海外の年金制度

 

 

それでは外国の年金制度の事情はどのようになっているのでしょうか。

 

受給開始年齢の引き上げは先進国共通

受給開始年齢の引き上げは、世界共通の流れです。

 

現在の支給年齢は、おおむね65歳となっていますが、ドイツ・イギリス・アメリカ・オーストラリア・オランダなどさらに65~68に引き上げられる予定となっています。

 

安定した年金制度はヨーロッパに多い

年金制度は十分性(十分な年金が支払われている)・健全性(年金制度の見直しがされている)・持続性(持続して支払われている)を三大要素といいます。

 

安定した年金制度が行われている国はヨーロッパに多くなっています。

 

世界人気ランキング、日本は下から2位

世界的な人事・組織コンサルティング会社マーサーの2017年度「グローバル年金指数ランキング」による年金のランキング付けは

 

1位デンマーク・2位オランダ・3位オーストラリア・4位ノルウェイ・5位フィンランド・6位スウェーデンと続きヨーロッパの福祉国家が上位を占めています。

 

日本は韓国や中国・インドより下位であり・アルゼンチンに次ぎ下から2番目となっています。

 

出典:マーサー・メルボルン 「グローバル年金指数ランキング
https://www.mercer.co.jp/newsroom/2016-global-pension-index.html

 

年金制度の今後の予測と課題

 

 

それでは、日本の年金制度はこれからどうなっていくのでしょうか。

 

今後の予測と課題について解説をいたします。

 

年金制度の破綻・崩壊は間違い?

年金制度は若い方を中心にして未納者が多く、破綻するという意見があります。

 

確かに国民年金の第1号被保険者が納付する2016年末の納付率は、67.8%なっています。

 

しかし、会社員や公務員の公的年金は天引きですので未納はありえず、国民年金加入者全体でみると約97%の人が保険料を納付しているとされています。

 

出典:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/saiyo/about/data.html

 

年金制度の世代間格差

厚生労働省の試算によりますと、2005年現在で年齢が70歳の方の保険料負担額は670万円で、年金の給付額が5,500万円でしたので、8.3倍の給付倍率となっています。

 

しかし2005年に生まれた赤ちゃんは4,100万円の保険料負担をする必要があり、年金給付額は9,500万円であり、倍率は2.3倍と予測されています。

 

若い世代の保険料支払いに対する年金給付率は低く、世代間の格差があると言えます。

 

出典:厚生労働省試算
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/pdf/tp0315-2r.pdf

 

受給開始の引き上げ・給付額引き下げで自助努力がより重要

日本の社会は少子高齢化が進展し、各個人が親を扶養した時代から社会全体で支える時代へ移行しつつあります。

 

今後、日本の年金制度を確かなものにするためには、受給年齢の開始を遅らせると同時に給付額を引き下げざるを得ないでしょう。

 

年金だけで豊かな老後の生活を送るのは難しくなってきますので、各個人の自助努力がより必要な社会になるでしょう。

 

まとめ

 

 

現在の年金支給開始年齢は65歳ですが、今後さらに時間をかけて70歳になることが予想されます。

 

また年金の給付額も減額せざるを得ないでしょう。

 

豊かな老後を営むためには、高齢者が長く働き続けられるという社会にするとともに、ご自身の生きる方法は自分自身で探すという時代に入ってきているのです。

 

監修者:元木 進一(ファイナンシャルプランナー)

 

 

 

 

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