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老後 2018.10.26

【FP監修】年金を未納すると?強制徴収や差押えのリスクについて

 

 

国民年金保険料を未納のまま放置していると、最終的には強制徴収や差押が実行されてしまいます。なぜ財産の差押えなどの厳しい措置が取られるのか、また、どのような段階を経てこうした差し押さえが実施されるのかについてもまとめてみました。

 

目次

国民年金とは

 

 

国民年金保険料未納による財産の差押えについて考える前に、そもそも国民年金とはどのような性質の制度なのかを少しは理解しておく必要があります。国民年金制度の位置付けが分かると、年金保険料を支払うことの大切さも把握しやすくなるでしょう。

 

国民年金は法律により納付が義務付けられている国民皆保険制度?

税金の納税が国民の義務だということは、皆さんもご存じのことと思います。この税金を未納のまま放置していると強制徴収や財産の差押えが実施されることもありますので、誰でも容易に納得できるのではないでしょうか。

 

実は、国民年金保険料の支払いも国民の義務なのです。国民年金法(略くして国年法)の第77条では国民すべてが被保険者(保険に加入する人)になることが定められており、第87条では政府が国民年金事業に必要な費用に充当するため国民に対して保険料を徴収できることも定められています。

 

つまり、国民年金保険料を支払わないということは法律に触れる行為をすることであり、強制徴収や財産の差押えなどの措置が実施されたとしても驚くべきことではないです。

 

参考:電子政府の総合窓口イーガブ「国民年金法」

 

国民年金を保険料支払わなければ次の世代が受け取れなくなる?

国民年金制度とは、意外にも各自が積み立てた国民年金保険料を老後に受け取るシステムにはなっていません。国民が納めた国民年金保険料をプールしておいて、実際は現時点の年金受給者や次世代の年金受給者に支払われているのです。

 

つまり、あなたが年金保険料を支払わない月々あることで、あなたが年金受給者となったときに受け取れる年金額がその分減額されるだけでなく、他の年金受給者が受け取れる年金額までも減額してしまうこともあるわけです。

 

実際に、国民年金保険料は毎年変わるだけでなく、年金受給開始年齢を引き上げる(=生涯で受け取れる年金額が減る)という措置も検討されています。将来的に自分を含めて国民皆が満足できる年金を受け取るためにも、各人が毎月しっかりと納付期限内に納めることが大切なわけなのです。

 

それでも未納してしまった場合はどうなるの?

将来も末永く年金制度が続くためには、ひとりひとりが年金保険料を納付期限内に納めることが一番大切です。しかしながら、失職や病気、事故、災害、ケガなどのやむをえない事情で国民年金保険料が思うように支払えないこともあるでしょう。

 

実際に、さまざまな事情で年金保険料を支払っていない方がそこそこいます。あまりにも多くの人が年金保険料を滞納しているため、社会的な問題となっているわけなのです。

 

いわゆる年金未納問題とは!?

 

 

公的年金には大きく分けて“国民年金”と“厚生年金”の2つがあります。国民年金は保険料の額が毎年見直され決められていますが原則誰でも同額です。厚生年金は所得に応じて(報酬比例)保険料が決まります。

 

会社に勤務している場合や公務員の場合は国民年金保険料と厚生年金保険料をまとめた年金保険料が給与天引きされますので、会社側が故意で不正を働いていない限りは未納になることはありません。

 

しかし、会社員でも公務員でもない場合は厚生年金に加入していませんので給与天引きがされず、国民年金保険料のみを自身で納めることになります。国民年金保険料を納める場合には、被保険者が自主的に支払い手続きをしなくてはならないため、会社に勤務している人と比べると滞納しやすくなるのが現状です。

 

国民年金保険料の未納率はおよそ4割にも!

日本の公的年金の被保険者は大きく3つに分けられます。

 

1つ目は、学生や自営業者など国民年金保険料のみを支払っている方(第1号被保険者)。

 

2つ目は、公務員や会社員など厚生年金に加入し、国民年金保険にも同時に加入している方(第2号被保険者)。

 

3つ目は、厚生年金に加入している方の配偶者(第3号被保険者)。

 

ただし、このうち給与天引きが適用されず自主的に国民年金保険料を支払わなくてはならないのは、第1号被保険者だけとなります。

 

2017年3月末時点で第1号被保険者は1,575万人いますが、その中でも国民年金保険料を納付している方は813万人です。つまり、762万人もの方の国民年金保険料が未納であり、実に第1号被保険者の半分近く(約48%)にも及ぶのです。

 

参考:厚生労働省「公的年金制度全体の状況・国民年金保険料収納対策について(概要)」

 

国民年金保険料の未納率が増加した理由とは

未納率が4割強と非常に高いのにはそれ相応の理由があります。特に、次の3つは、近年未納率が増加している大きな原因と考えられています。

 

少子化が原因?

そもそも少子化により、子ども1人当たりにかかる教育費が大きく増えています。大学進学率も増え、満20歳の時点で学生である人もかなり多くなっています。

 

国民年金では学生の代わりに親が保険料の支払いをする方法と学生自身の納付が猶予される“学生納付特例制度”がありますので、申請手続きをすることで、学生の間は国民年金保険料の納付が猶予されています。実際に未納者762万人のうち、学生納付特例制度やその他の猶予制度が適用されて支払っていない方が227万人もいます。

 

若年層の低所得化も影響?

近年、とりわけ若年層に、定職に就かない方(いわゆるニート)が増えてきています。また不定期な仕事をしていたり、在宅でお小遣い程度を稼いでいる人も少なくありません。このように厚生年金に加入していない場合は国民年金保険料を自主的に支払わなくてはならないのですが、生活的に余裕がなく未納のまま放置している人も少なくありません。

 

国民年金には、このケースを想定して収入が一定以下の低所得者には年金保険料の支払いが免除される制度があります。この免除制度が適用されている方も356万人で、実に未納者全体の半分近く(約47%)を占めています。

 

いわゆる年金問題による不信感とは?

もちろん、低収入で国民年金保険料が支払えない方や保険料免除制度・納付猶予制度を受けている方だけが、保険料を支払っていないものではありません。

 

「年金を納めていた記録が消えていたこと、一部だけ漏れていたりしたこと、日本年金機構で管理していた個人情報が流出したこと」などから、年金制度自体に不信感を募らせ、意図的に国民年金保険料を支払わない人もそこそこ増えています。

 

また、「年金受給開始年齢を遅らせることが審議されていること、年金支給額自体を減らそうとする動きがあること」なども、年金制度に対する国民の不信感を募らせる理由と言えます。いずれにしても国民年金は厚生年金とは異なり、

 

被保険者自身で手続きをおこないますので、制度に疑問を持ったり支払いを負担に感じたりすると、「支払わないでおこう、求を無視しよう」という気持ちが生じてしまうのも現実です。

 

未納率の増加により強制徴収数も増加?

もちろん日本年金機構は、国民年金保険料の未納率の増加をそのまま放置しているわけでもありません。

 

保険料免除制度や納付猶予制度の申請をせずに年金保険料を支払わないでいる人に対しては、特定の条件(2018年度より基礎控除後の年間の所得金額が300万円以上で7カ月以上未納のケース)を満たした場合に限り「特別催告状」を送付するなど、強制徴収をそこそこ実施しているのです。

 

実際、2015年度は84,801件に最終催告状が送付され、7,310件の財産の差押えが実施されました。また、2016年度には85,342件に最終催告状が送付され、その1割を超える13,962件の財産の差押えが実施されました。年々強制徴収を実施する条件が厳しくなり、最終的な措置である財産の差し押さえの件数も増えている訳です。

 

【出典】厚生労働省「公的年金制度全体の状況・国民年金保険料収納対策について(概要)」

 

国民年金保険料を未納するとどうなる?

 

 

国民年金保険料を支払わないままで放置すると、最終的には財産の差押えが実施されます。しかし、いきなり財産の差押えが実施されるのではなく、何度も繰り返しての催告状や督促状で勧告されてから徐々に厳しい措置が順次取られて行くのです。

 

納付月の翌月末の締切日までに納付しないと滞納となる?

国民年金保険料の納付期限は、法令で定められていて納付対象月の翌月末です(対象月が2月ですと3月31日)。実は納付期限に1日でも遅れると、滞納扱いになります。

 

国民年金保険料を未納した場合の罰則とは!?

国民年金保険料を未納のままで放置していると、民間の委託業者より催告状が何度か届きます。催告状をそのまま無視続けていると、日本年金機構より最終催告状(国民年金未納保険料納付勧奨通知書=ハガキ)が届き、ついには督促状(未納保険料を督促する法定通知)が送付されます。

 

督促状が届き年利14.6%の延滞金が発生することも

この督促状が送付されると、年利14.6%(日歩4銭)の延滞金が発生するようになります。滞納年数が長ければ長いほど滞納額もかなり大きくなりますので、延滞金も莫大な金額になってしまうという事です。

 

督促状を無視し続けると財産を差し押さえられ強制徴収される!?

引き続き督促状も無視すると、いよいよ財産の差し押さえに向かって秒読み段階に入ります。差押予告通知状が送付され、指定した期限までに完納しないと差押えが実施されます。

 

財産の差押えを実施する前(督促状発送後で差押予告以前)に滞納者の財産はあらかじめ調査されていますので、自身名義の預金を家族の口座に移したり不動産の名義を変えたりすることは残念ながら決して看過されることではありません。

 

2018年1月、強制徴収の基準の厳格化を発表!?

2018年1月、年金未納者の強制徴収基準が厳格化されました。これでは「基礎控除後の総所得が300万円以上かつ未納月数が13カ月以上」、もしくは「基礎控除後の総所得が350万円以上かつ未納月数が7カ月以上」の未納者に強制徴収を実施していましたが、2018年度より「基礎控除後の総所得が300万円以上かつ7カ月以上」の未納者に対して日本年金機構(国税庁に委任)による強制徴収が実施されることにより厳しく変わっています。

 

未納により強制徴収・財産の差し押さえになると?

 

 

強制徴収・財産の差押えが正に実施されると、一定の範囲から未納分が回収されます。しかしながら、滞納分が強制回収される以上のダメージを受けることがあります。

ただし、破産関連の手続きを開始された方はこの限りではありません。

 

督促状がきても未納だと強制徴収・財産の差し押さえになる!?

督促状を無視し続けるのは、決して賢明なことではありません。督促状が届いたなら、直ちに未納分を支払いましょう。無視しているとすぐに財産の差押えの流れへと進んでしましますので注意してください。

 

障害年金や遺族年金を受け取れなくなる?

初診日に一定以上の未納期間があるケースでは障害年金を受け取れないこともあります。また、被保険者の未納期間が年金支払い期間の3分の1を超える場合などは、遺族が遺族年金を受け取れないこともあります。

 

強制徴収・財産の差押えとなる未納扱いの条件

基礎控除後の総所得金額が300万円以上かつ7カ月以上の未納者には、強制徴収が実施されます。また、基礎控除後の総所得金額が1,000万円以上かつ13カ月(2年に渡る)以上の未納者は、とりわけ悪質な未納者として日本年金機構(国税庁に委任)による強制徴収が実施されます。

 

国民年金保険料の免除や納付猶予制度!

 

国民年金保険料の支払いは義務ですが、どうしても支払えないときなどを想定して救済措置が取られています。

 

経済的に困難などで未納の場合、免除や猶予制度を上手く活用しよう!

国民年金保険料の支払いが困難なときは、納付免除制度や納付猶予制度を活用しましょう。これらの免除制度や猶予制度の申請が受理されると、未納扱いにはなりませんので、催告状や督促状が自宅に送付されることもありません。また、申請手続きは市町村役場等で可能です。

 

国民年金保険料の納付免除制度とは

国民年金保険料は、被保険者と世帯主、配偶者の前年度所得が一定以下のときは支払い(納付)が免除されます。免除される額は国民年金保険料の「全額・4分の3・半額・4分の1」の4種類があります。

 

国民保険料の猶予制度とは

被保険者と配偶者の前年基礎控除後の総所得金額が一定以下のときは、納付猶予制度が利用できることもあります。ただし、注意したいのは、この猶予制度は「20歳以上50歳未満の方」しかご利用できないところです。

 

納付免除や納付猶予制度を利用することのメリット・デメリット

これらの免除・猶予制度が適用されると、将来受け取れる年金額が減ってしまうことがあります。納付猶予の場合は期間内に猶予されている保険料を追納(納付する)ことで、将来的に受け取れる年金額を減らさないようにすることもできます。

 

ただし、どうしてもこれらの免除・猶予が必要なときには利用する価値がありますが、毎月きちんと支払う方が納付猶予分を支払うよりは楽かも知れません。

 

今からでも間に合う!年金保険料の納付の仕方

 

 

付加保険料の納付で受給年金額を増やせます(申込・脱退は市町村役場)。2018年度の定額保険料は月額16,340円ですが、これに付加保険料の月額400円をプラスして納付できる制度です。2年で元が取れると言われています。

 

定額(200円×付加保険料納付月数)ですので物価スライドで増減されることもありません(20歳~60歳の40年間納付すると96,000円もプラスとなります)。

 

次に国民年金の追納制度を活用することで、将来受給できる年金額を増やすことができますのでできれば利用しましょう。

 

納付免除・納付猶予・一部未納の場合、老齢基礎年金の受給額が低くなる

これらの免除や猶予制度の利用、あるいは未納期間があると、その分老齢基礎年金の受給額が低くなります。また、老齢基礎年金は480カ月分を支払うことで満額支給になりますので、何カ月支払ったかは「ねんきん定期便」や年金手帳等で必ず確認しましょう。

 

年金保険料を追納すると社会保険料控除により住民税や所得税が軽減できる!

国民年金保険料は社会保険料として所得控除(税額控除ではありません)の対象となります。未納分や猶予分の年金保険料を追納することで、社会保険料が控除されるため、その分住民税や所得税が軽減される訳です。

 

2017年より受給資格期間が10年以上で年金受け取りが可能に!

今までは、年金保険料の受給資格期間が25年以上ないと年金がもらえませんでした。しかし、年金制度が改正され、2017年8月からは受給資格期間が10年(旧25年から短縮)あれば年金がもらえるように変わりました。

 

今からでも追納してできるだけ多くの年金を受け取ろう!

国民年金保険料の後納制度は2018年9月30日を最後に終了しましたが、追納制度を利用すれば受給資格期間が10年に満たない方でも年金受給の資格を持てるようになる場合があります。

 

つまり、国民年金保険料の免除期間・猶予期間・学生納付特例を利用された方で10年以内であれば、これらの期間の保険料を遡って追納(納付)することが可能です。

 

対象の方はできれば少しの期間部分でも追納し、年金受給額を増やしていきましょう。

 

まとめ

 

国民年金保険料の未納を放置していると、財産が差押えになることもあります。また、未納期間の長さによっては障害年金や遺族年金の受給資格も失ってしまいます。

 

安心して暮らすためにも、国民年金保険料は納めるようにしてください。また、できれば付加保険料の制度もご検討ください。明年4月より国民年金保険料の産前産後期間の免除制度始まります。この他、国民年金保険料の免除期間・猶予期間・学生納付特例などもいち早く利用して老後に備えましょう。

 

監修者:木村 正人(ファイナンシャルプランナー)

 

 

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