【FP監修】年金受給者が死亡した時の手続き一覧

年金とは、老後に国から支給されるお金であるということはある程度理解されているかと思いますが、もし、年金受給者が亡くなられた場合に、どのような手続きをすればよいかご存知でしょうか。そこまで、考えたことがない方が少なくないのが現状です。今回は、その手続きについて説明していきます。
目次
年金受給を停止する
年金受給者が亡くなられた場合は、年金の受給を停止する必要があります。必要書類や必要な手続きなどについて整理しました。
必要書類
年金を受けている方が亡くなった場合は、年金を受け取る権利がなくなってしまいます。そのため、「年金受給権者死亡届(報告書)」という書類の提出が必要になります。
ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が登録されている方については、原則として、「年金受給権者死亡届(報告書)」を省略することができます。
年金受給者死亡届
日本年金機構のホームページから書式は、ダウンロードできますので、記入例を見ながら記入してください。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/kyotsu/20140421-15.html
死亡を証明できる書類
亡くなった方の死亡を証明できる書類として、「戸籍謄本」、「市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピー」、または「死亡届の記載事項証明書」が必要になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
年金証書
亡くなった方の年金証書となります。
提出期限
年金受給の停止の手続については、期限があります。もし手続が遅れて、亡くなられた後に年金を受給した場合は、その分を返還する必要が出てきます。
国民年金は死後14日以内
国民年金は、死亡日から14日以内が期限となります。
参考:電子政府の総合窓口
http://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTDETAIL&menSeqNo=0000006297&id=4950000005770
厚生年金は死後10日以内
厚生年金は、国民年金より短く10日以内となっているので気を付けましょう。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/faq/jukyushatodoke/kyotsu/honninshibo/20140421.html
提出先
年金受給の停止の手続ですが、年金によって異なるのでご注意ください。
国民年金だけの人は市町村役場
国民年金だけの人の場合は、市区町村役場となります。ただし、先ほどもご説明しましたが、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が登録されている方については、原則として、手続を省略することができます。
参考:多可町ホームページ
https://www.town.taka.lg.jp/category_guide/detail/id=17925
厚生年金の人は年金事務所
厚生年金の停止の手続につきましては、年金事務所または年金相談センターになります。お近くの年金事務所、年金相談センターについては、日本年金機構のホームページ(http://www.nenkin.go.jp/section/soudan/)からでも探すことができます。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/faq/jukyushatodoke/kyotsu/honninshibo/20140421.html
共済年金の人は共済組合
最後に勤めていた市区町村役場もしくは属していた共済組合となります。
参考:全国市町村職員共済組合連合会
https://ssl.shichousonren.or.jp/pensioner/nenkin_shibou.html
年金の未支給分を受給する
年金を受け取っている方が亡くなられたときに、まだ受け取っていない年金や、亡くなった日の後に振り込まれた年金のうち、亡くなった月分までの年金については、未支給年金として、その方と生計をともにしていた遺族は受け取ることが可能です。
こちらについて、詳しく説明していきます。
未支給分が発生する理由とは
未支給分とは、「まだ支給されていない年金」のことです。公的年金は、2カ月に1度偶数月の15日に前月と前々月が振り込まれます。また、死亡した月の分まで振り込まれるため、いつ亡くなっても未支給分は発生します。
(参考)日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/faq/jukyu/uketori/shiharaiduki/20140421-01.html
必要書類
未支給分の受給手続きについて必要書類を整理してみました。
未支給年金保険給付請求書認印
未支給分を請求する際には「未支給【年金・保険】請求書」というものを記入、提出する必要があります。書類は、日本年金機構のホームページからダウンロードもできますので、記入例を見ながら記入してください。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/kyotsu/20140731-02.html
受取用の預貯金通帳写し
未支給の年金を振り込んでいただく預貯金通帳のコピーとなります。
年金証書
亡くなった方の年金証書となります。
死亡を証明できる書類
亡くなった方の死亡を証明できる書類として、「戸籍抄本」、「市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピー」、または「死亡届の記載事項証明書」が必要になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
関係を証明できる書類
亡くなった方と請求する方との身分関係を証明できる書類(戸籍謄本等)になります。
生計同一を証明できる書類
亡くなった方と請求する方が生計を同じくしていたかを証明する書類(死亡した受給権者の住民票(除票)、請求者の世帯全員の住民票等)になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
代理人が手続きする場合は代理権を証明できる書類
代理人の方が手続する場合については、本人の委任状、および代理人の本人確認ができる書類が必要となります。
参考:日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/international/english/pensioners/pensioners.files/514-515.pdf
提出先
提出先は、基本年金の受給停止と同じですが、年金によって異なりますのでご注意ください。
国民年金だけの人は市町村役場
国民年金だけの人の場合は、市区町村役場となります。
参考:多可町ホームページ
https://www.town.taka.lg.jp/category_guide/detail/id=17925
厚生年金の人は年金事務所
厚生年金の停止の手続につきましては、年金事務所または年金相談センターになります。お近くの年金事務所、年金相談センターについては、日本年金機構のホームページ(http://www.nenkin.go.jp/section/soudan/)からでも探すことができます。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/faq/jukyushatodoke/kyotsu/honninshibo/20140421.html
共済年金の人は共済組合
最後に勤めていた市区町村役場もしくは属していた共済組合となります。
参考:全国市町村職員共済組合連合会
https://ssl.shichousonren.or.jp/pensioner/nenkin_shibou.html
未支給年金を請求できる人とは
未支給年金を受け取ることができる遺族は、亡くなった方と生計を維持していた、(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹、(7)その他(1)~(6)に該当しない3親等内の親族になります。また、受け取れる順位についてもこの順番になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.files/20160721.pdf
遺族年金を受給する
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険を受給していた方が亡くなられたときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金となります。
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族年金を受け取るには、亡くなられた方の年金額や遺族年金を受け取る方の年齢や優先順位などの条件が設けられています。
今回は、この遺族年金を請求する際の手続について整理してみました。
遺族基礎年金を請求するための必要書類
遺族基礎年金については、その方によって生計を維持されていた「18歳到達年度の末日までにある子(障害等級1級、2級の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」もしくは「子」が受け取ることができます。
遺族基礎年金は、子どもが成長するまでもらえる年金ということで、子どもがすでに成長している場合は、支給されません。年金を受給しているということは、年齢が高いので、この遺族基礎年金を受給できる遺族はほとんどいないのが現状です。配偶者だからといって年齢の要件に合った子どもがいなければ、受給できないからです。
請求する際の、必要な書類については、まずは「年金請求書」となります。
日本年金機構のホームページ(http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.html)
からでも書式のダウンロードが可能です。記入例を見ながら記入しましょう。年金請求書以外に必ず必要な書類は下記のとおりです。
・「年金手帳」
・「戸籍謄本(記載事項証明書)」
・「世帯全員の住民票の写し」
・「死亡者の住民票の除票」
・「請求者の収入が確認できる書類」
・「子の収入が確認できる書類」
・「市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーもしくは死亡届の記載事項証明書」
・「受取先金融機関の通帳等(本人名義)」
・「印鑑」
また、亡くなった原因が、第三者行為の場合については、
・「第三者行為事故状況届」
・「交通事故証明または事故が確認できる書類」
・「確認書」
・「被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことが分かる書類」
・「損害賠償金の算定書」
などが必要になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/seikyu/20140617-01.html
遺族厚生年金を請求するための必要書類
遺族厚生年金は、老齢厚生年金を受給している方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金となります。請求する際の必要な書類については、まずは「年金請求書」となります。
日本年金機構のホームページ(http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/izoku/20180305.html)
からでも書式のダウンロードが可能です。記入例を見ながら記入しましょう。年金請求書以外に必ず必要な書類は下記のとおりです。
・「戸籍謄本(記載事項証明書)」
・「世帯全員の住民票の写し」
・「死亡者の住民票の除票」
・「請求者の収入が確認できる書類」
・「子の収入が確認できる書類」
・「市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書」
・「受取先金融機関の通帳等(本人名義)」
・「印鑑」
また、亡くなった原因が、第三者行為の場合については、
・「第三者行為事故状況届」
・「交通事故証明または事故が確認できる書類」
・「確認書」
・「被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことが分かる書類」
・「損害賠償金の算定書」
などが必要になります。
参考:日本年金機構
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/izoku/seikyu/20140617-02.html
まとめ
一通りの手続の説明をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。手続すべてを覚えておくことは、難しいかもしれませんが、手続の必要性や、大まかな手続きの内容を理解しておけば、いざというときに慌てずにすみますので、これを機会に確認しておくようにしましょう。また、自分だけでなく、家族などにも共有しておくと、さらに良いかもしれません。
監修者:菅田 芳恵(ファイナンシャルプランナー)