国民皆年金のもと、基本的に全ての方が公的年金に加入しております。ただし、年金制度が複雑であるため、内容を把握するのも少し敬遠されがちであることも事実でしょう。

そこで今回は、 年金制度の基礎的な知識をお伝えしたうえで、ステータス別に整理して、お得な受け取り方や意外な仕組みなどを解説していきます。

複雑で分かりにくい日本の年金制度

公的年金(基礎年金)は社会保険制度です

自分自身やその家族の加齢に伴い生じる病気や障害、死亡といった生活を送っていく上で直面するさまざまなリスクに備えるためには、個々人だけでは対応しきれなくなる可能性があります。そこで、国民年金保険や厚生年金保険など公的年金制度により、日本社会全体が結束して世代を超えた形で老後の生活を支えていく社会保険制度が構築されています

そのため、公的年金は高齢者が年金として受け取るだけでなく、ご自身が重度の障害を負ってしまった時や、一家の大黒柱が亡くなってしまった際に、その遺族が受取る給付もあります。これらの障害年金や遺族年金は、高齢者だけでなく若い方も関わってくるかもしれないことですので、しっかりと正しい知識を身につけておきましょう

加入義務が有り、ですが受給資格期間は10年に短縮

公的年金には加入義務があり、年金を受け取るには受給資格期間の要件を満たす必要があります。従来、受給資格期間は25年でしたが、法改正を受け10年に短縮され、より多くの方が年金を受け取れるようになりました(※)。

(※)出典:厚生労働省

年金は三階建て

一般的に、年金制度は3階建の構造となっています。高齢者が受け取る基礎年金である国民年金を1階とし、厚生年金や共済年金を2階部分に、厚生年金基金や確定拠出年金などを3階部分とする3階建てのイメージとなっています。

受け取れるタイミングは変えられる

そして、年金は繰り下げ、もしくは繰り上げといって受け取れるタイミングを変えることも可能です。こちらに関しては、後ほど詳しく説明します。

少しでも老後を楽に生きるために

年金に関しては、2017年に厚生労働省が年金支給額を0.1%引き下げると発表しております(※)。これにより、国民年金と厚生年金ともに受け取れる金額が減少しています。

(※)出典:厚生労働省

年金破綻が懸念されてはおりますが、国民年金と厚生年金保険料の引き上げや積立金の活用など政府の様々な対応策により、日本の年金制度が破綻するリスクは低いと考えられます

そして、何よりも年金制度の大きなメリットとして、受給権を取得してから一生涯年金をもらえることが挙げられます。

国民年金や厚生年金といった公的年金を安定して継続的にもらえることは、老後生活をより精神的に安定した豊かなものにすると思われます。仮に、公的年金の受給額が心配な場合には、今からでも確定拠出年金などで私的年金を築いていくことも検討していきましょう

会社員の年金

ここからは、会社員の年金制度について解説していきます。

第2号被保険者(

まず、厚生年金保険適用事業所に勤務する方(いわゆる会社員)は第2号被保険者と呼ばれます。厚生年金保険に加入している会社で、常時使用される70歳未満の方は、国籍や性別などに関係なく厚生年金保険の被保険者となります。

厚生年金保険は、事業所単位で加入する仕組みです。株式会社などの法人や、従業員が常時5人以上いる個人の事業所も強制的に加入しなければなりません(農林漁業、サービス業などを除く)。また、従業員数が4人以下の場合や、従業員の半数以上が厚生年金に加入することに同意するときには、事業主が申請をすることにより、任意で加入することも可能です。

またパートタイマーやアルバイトでも、1週間の労働時間や1カ月の労働日数が一般社員の4分の3以上である方は第2号被保険となります。加えて、労働時間や労働日数が一般社員の4分の3未満であっても、週の労働時間が20時間以上であることや雇用期間が1年以上見込まれること、賃金の月額が8.8万円以上であることなど所定の条件をすべて満足している場合にも被保険者とされます。

一方で、日々雇い入れられる方や、2カ月以内の期間を定めて使用される方、所在地が一定しない事業所に使用される方などは、基本的に被保険者とはならないので注意しましょう。

(※)出典:日本年金機構

厚生年金

そして厚生年金は、主に会社員を対象とした保険であり、基礎年金である国民年金に上乗せされる年金となります。

企業型確定拠出年金(DC401k)

また会社員の場合、企業が制度を導入していれば企業型確定拠出年金へも加入できます。企業型DCは、基本的に毎月の掛け金を会社が拠出してくれるため、従業員が自分自身で保険料を負担することはありません。そして、運用は自己責任のもとで行い、給付を受けることになります

そして会社が拠出する掛け金は、一般的に役職や勤続年数などにより異なってきます。また掛け金の拠出限度額も決められており、企業型DC以外に、他の企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金など)がある場合は月額27,500円、他の企業年金がない場合は月額55,000円となっています(※)。

(※)出典:厚生労働省

なお、企業型DCで運用できる商品は、会社が契約している確定拠出年金の運営サポートを行う金融機関により違ってきますが、一般的に元本確保型の定期預金や保険、国内外の株式・債券投資信託などの幅広い商品ラインナップとなっています。

厚生年金基金

また、企業によっては厚生年金基金を運営されているところもあり、こちらは企業型DCとは異なり、会社側が運用を行うことになります

積み増すなら個人の確定拠出年金(iDeCo

余剰資金があって、更に老後資産を増やしていこうと考えている方は、個人型確定拠出年金への加入を検討されるのはいかがでしょうか。勤務先の企業の確定拠出年金規約に、個人型確定拠出年金への加入が認められる記載がなされている場合には、個人型確定拠出年金へも加入することができます

さらに年金型保険の選択肢も

さらに、年金型保険にも加入することで、じっくり着実に老後資産を形成していける可能性がより高まるでしょう。

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会社員の配偶者の年金

ここからは、会社員の配偶者の年金の仕組みを解説していきます。

3号被保険者

まず、 第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人が、第3号被保険者に分類されております。

iDeCoの積み増し

第3号被保険者の場合、企業年金はないので、個人型確定拠出年金を活用して年金資産の積み増しを検討されてみてはいかがでしょうか。2017年より、個人型確定拠出年金には60歳未満の基本的に全ての方が加入できるようになり、第3号被保険者も個人型確定拠出年金を活用することができるようになりました。

会社員夫の納付・需給バランスを考えて

なお、会社員である夫(妻)の年金保険料の納付や受給バランスを考慮した上で、個人型確定拠出年金への加入を検討していきましょう

自営業者などの非会社員の年金

ここからは、自営業者などの非会社員の年金制度について解説していきます。

1号被保険者

まず、自営業者などの非会社員の方は、第1号被保険者に分類されます。

付加年金に加入可能です

第1号被保険者の場合、年金資産を積み増しすべく、月額400円の保険料で付加年金に加入することができます。

国民年金基金

また、付加年金との併用はできませんが、国民年金基金へも加入することが可能です。

iDeCoの検討を

そして、企業年金がない第1号被保険者にとって、iDeCoを活用することで、国民年金プラスアルファの老後資産を形成していくことができるでしょう。

公務員の年金

ここからは、公務員の年金制度を説明していきます。

共済年金は厚生年金に

まず、公務員は従来共済年金として厚生年金とは別個でしたが、2015年10月の法改正により、厚生年金との統一が図られました(※)。

(※)出典:日本年金機構

年金払い退職金(※)

従来、公務員の場合には「職域加算」と呼ばれるものがありました。これは、公的年金の1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金や共済年金、そして3階部分としてこの職域加算が当たります。

官民の年金受取額の格差是正のため、2015年10月にこの職域加算は廃止されることになりました。また、保険料率(上限18.3%)を厚生年金に統一し、共済年金と厚生年金の制度的な差異の解消を図っています。そのため、今後は共済年金も厚生年金並みの受取額になる可能性があります(※1)。そして、この職域加算の廃止に伴い、設けられたのが年金払い退職給付です(※2)。

(※1)出典:厚生労働省 

(※2)出典:総務省

大きくは会社員と変わらない

※iDeCoに加入できます

先ほどお伝えしました通り、官民の年金受給額の格差是正が図られていることから、公務員と会社員との間で受給額は大差なくなってきます。そのため、公務員も自助努力で老後資産を形成していくべく、iDeCoへの加入を検討されるのも良いことかと思われます

損益分岐は?繰り上げ・繰り下げ受給

ここからは、年金を受け取るタイミングについて解説していきます。

繰り上げ受給のメリット・デメリット

まず、年金は原則65歳から受け取ることができますが、60歳から65歳になるまでに1カ月単位で繰上げして受給することも可能です。ただし、当初予定されていたよりも先に受け取るため、繰上げ支給の請求をした時点に応じて年金額が減額され、その減額率はその後ずっと変わらない点には注意しましょう。

繰り下げ受給のメリット・デメリット

一方で、年金の繰下げ受給も可能です。年金の受給資格が生じる65歳よりも後に繰下げて年金を受け取ることになります。月単位で受け取れる年金額の増額が行われます。ただし、年金の受け取りが始まる前に亡くなってしまったりすると、原則である65歳から受け取るよりも受取額が減少してしまうリスクもありますので注意しましょう。

年金の意外な仕組み

ここからは、知って得する年金制度の意外な仕組みをご紹介していきます。

加給年金(※)

まず、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳になった時点で、その人に生計を維持されている配偶者または子がいる場合に、加算される年金となります。

なお、この加給年金額の加算のためには、届出が必要になりますので、要件に該当する人は忘れずに行いましょう。

 

(※)出典:日本年金機構

 

 

遺族年金

次に、遺族年金です。こちらは国民年金もしくは厚生年金保険の被保険者が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族が受け取れる年金になります。

遺族年金に関しては、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかもしくはその両方の年金を受け取ることができます。

なお、遺族基礎年金は被保険者の受給資格期間が25年以上あり、亡くなられた方によって生計を維持されていた子のある配偶者または子が受け取ることができます

また子に関しては、18歳になった年度の3月31日までの間にある子、もしくは20歳未満の障害等級1級または2級に該当する場合となります。遺族基礎年金の受給額は年額779,300円で、子の加算として第2子までがそれぞれ224,300円、第3子以降がそれぞれ74,800円となります(※)。

(※)出典:日本年金機構

障害年金

そして、障害年金もあります。こちらは病気やケガにより生活や仕事などが制限される状態になった場合に受け取ることができる年金です。

障害基礎金額は障害等級1級の場合、779,300円×1.25に子の加算となります。子の加算に関しては、第2子までがそれぞれ224,300円、第3子からはそれぞれ74,800円となります。なお、子は18歳になった年度の3月31日を経過していない子もしくは20歳未満の障害等級1級または2級の障害者が該当します(※)。

また障害厚生年金では、病気やケガで障害基礎年金の1級もしくは2級に該当する障害の場合、障害基礎年金に上乗せして受給することが可能です。なお、障害の状態が2級に該当しない程度の軽い障害の場合は、3級の障害厚生年金のみ受給することができます。

(※)出典:日本年金機構

国民年金保険料の前納

国民年金保険料の前納制度を活用することで、保険料を割り引くことも可能です。例えば、1年分を前納すると、現金払いの場合年間3,480円の割引、2年分であれば14,420円の割引となります(※)。

(※)出典:日本年金機構

 

若年者納付猶予制度(※)

また、納付猶予制度として、20歳から50歳未満の方が対象の若年者納付猶予制度があります。こちらに関しては、本人と配偶者の前年所得が、以下の計算式で計算した金額の範囲内の方が該当します。

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

(※)出典:日本年金機構

 

学生納付特例制度(※)

更に、学生に関しては、在学中の保険料の納付が猶予される学生納付特例制度が設けられています。こちらに関しては、学生本人の本年度の所得が一定以下(118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)であることが条件で、家族の方の所得は考慮しません。

(※)出典:日本年金機構

 

全額免除

また、経済的に苦しく保険料の支払いが厳しい場合には、納付が困難な人向けの制度である保険料免除制度を活用しましょう。これは本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下のときや失業した場合など、保険料を納めることが経済的に難しいときに、保険料の納付が免除される制度となります。

全額免除の場合には、前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内の人が該当します。

(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

(※)出典:日本年金機構

なお、国民年金保険料の納付免除を求める場合、本人から申請書を提出し、承認されることで、納付免除となります。申請書類の提出に関しては、住民登録をしている市区役所または町村役場の国民年金担当窓口へ提出します。なお郵送することも可能です。

年金は雑所得、公的年金等控除あり

そして年金は、雑所得とみなされます。そして年金を受け取る場合には、公的年金等控除の対象となります。その場合、公的年金等の合計収入が65歳未満だと70万円まで、65歳以上だと120万円までは非課税となります(※)。

(※)出典:国税庁

 

損しないために、今後の年金制度をチェックしましょう

最後となりますが、これまで年金制度の基礎的仕組みや知っておくと得をする年金制度などについてお伝えしてきました。自分自身の豊かな老後生活のために、自身が加入する年金制度のことをしっかり把握した上で、効率的・効果的に活用してください。

監修者:宮里 恵(ファイナンシャルプランナー)

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