人生100年時代と言われ、とても大事と言われている老後資金。その老後資金の中心となるのが年金です。自分はいつからもらえるのか、いくらもらえるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、老後の生活にとても大切な年金制度についてご紹介します。

まずは公的年金の仕組みを知ろう

年金の基本となるのが公的年金です。公的年金とはどのような制度なのでしょうか。公的年金の仕組みをご紹介します。

20歳以上の全国民が加入する「国民年金(基礎年金)」

国民年金は20歳になると全員が加入する制度です。年金制度を建物に例えた場合、いわゆる1階部分の年金と言われており、全ての年金の基礎となる年金です。納付は日本国内に住む20歳~60歳の全員が国民年金法により納付を義務付けられています。

参考:https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/index.html

会社員、公務員などが加入する「厚生年金」

会社員や公務員などが加入するのは「厚生年金」です。厚生年金は2階部分と言われており、国民年金に上乗せして納付している年金制度と考えると良いでしょう。

厚生年金保険料は4~6月に支払われる給与をベースに計算した標準報酬月額とボーナスに料率をかけて算出します。そのため給料が高い方はたくさん保険料を支払うことになり、将来受け取る年金額も大きくなります。

保険料の納付は労使折半となっており、雇用主(会社)と加入者(従業員)が50%ずつ支払う制度になっています。

参考:https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/index.html

公的年金に上乗せする「私的年金」

公的年金に上乗せするのが「私的年金」です。私的年金とは、国民年金基金や確定拠出年金(iDeCo)等

の自分自身で契約して加入する年金のことです。公的年金だけでは少し心細いという方は、私的年金の加入を検討してみると良いでしょう。政府は老後資金の資産形成援助のため、私的年金に対する様々な税制優遇制度を設けています。代表的な私的年金についてご説明します。

①国民年金基金

自営業者等が加入することができる年金制度です。自営業者は会社員や公務員のように上乗せの年金制度が無いため、国民年金だけでは、1階部分の国民年金しか受給できないこととなり、不安が残ります。

そこで、利用されるのが国民年金基金です。国民年金は支払う額により、将来受け取る額がある程度予想できるため、将来の老後資金を準備するには最適の制度です。また、国民年金基金に拠出した金額は所得控除の対象となりますので、節税にも繋がります。国民年金基金は厚生年金と同じく「終身年金」なので、長生きした場合でも安心です。

参考:https://www.npfa.or.jp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=annual

②個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCoは、ご自身で掛け金を決め、老後資金として毎月一定額で積み立てていく制度です。iDeCoの特徴はご自身で運用先を決める事ができる点です。iDeCoは投資信託を通じて株や債券等に投資をすることができますので、将来の受取額が一定ではありませんが、株や債券等に投資をすることでインフレ対策にもなる点が魅力の1つとも言えます。

税制面でのメリットも大きく、小規模企業等掛金控除として、掛金の全額が所得税控除の対象となり、運用益については、運用期間中は非課税となります(普通に投資信託を購入した場合は運用益に対し、20.315%の課税)。

iDeCoは2017年の法改正により、今まで加入することができなかった専業主婦等も加入できる制度となり利用が広がっています。

参考:https://www.ideco-koushiki.jp/guide/

年金の平均受給額はいくら?

年金は働き方や収入等によって年金額が変わります。国民年金や厚生年金は平均でどれくらいもらえるのでしょうか。

国民年金は月額5万5,373円

国民年金の1カ月あたりの平均受給額は5万5,373円です。男性の平均は5万8,806円、女性の平均が5万2,708円です。国民年金の保険料は一律となっており、所得額により受給額に差が出る仕組みではないため、男女差も少なくなっています。女性が少し低いのは専業主婦が任意加入の時期があったからです。

厚生年金は月額14万5,638円

厚生年金は国民年金とは違い、所得額により大きく差が出ます。また、自営業の方には厚生年金の支給はありません。厚生年金の平均受給額は14万5,638円です。ただし、この平均額は全員が平等に平均に近い金額をもらっているのではなく、収入等によりかなり差があります。

厚生年金の平均受給額は男女で異なる

収入などにより差があるため、厚生年金の平均受給額は男女でかなり差があります。

男性は約18万円

男性の厚生年金平均受給額は約18万円です。男性は定年まで勤めることが多く、平均受給額が女性よりも高くなっています。男性の中でも収入により受給額には大きく差があります。

女性は約9万円

女性の厚生年金平均受給額は約9万円です。男性に比べて少なくなっていますが、あくまで現在受給している方の平均受給額です。今の現役世代は女性の社会進出が進んでおり収入も高くなっているので、男女の差は縮まってくるでしょう。

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年金受給額の計算方法(国民年金、厚生年金)

年金受給額はどのように計算すればよいのでしょうか。国民年金、厚生年金の計算方法を確認しておきましょう。

国民年金の計算方法

国民年金は、いわゆる1階建て部分の年金です。まず国民年金を受給するには納付期間が10年以上あることが必要です。未納などにより加入期間が10年に満たない場合は将来年金を受け取ることができません。

国民年金の受給額を満額で受け取れる場合の金額は77万9,300円(2018年時点)です。加入月数に応じて年金受給額が変動します。

加入月数は保険料全額納付月数+(全額免除月数×50%)+(4分の1納付月数×62.5%)+(半額納付月数×75%)+(4分の3納付月数×87.5%)で計算します。

加入月数が算出できたら下記計算式で計算をすることができます。
計算式:77万9,300円×加入期間(月数)(保険料納付期間)/480カ月(40年間)

(2018年4月分より)

国民年金は年金制度の基礎部分なので、人によって受給額に大きな差が出ることはありません。

なお、ご自身の加入期間を確認するには、毎年誕生日月に届く「ねんきん定期便」や日本年金機構が運営している「ねんきんネット」で確認することができます。

ねんきんネット:https://www.nenkin.go.jp/n_net/

厚生年金の計算方法

厚生年金は1カ月でも加入履歴があれば、受給することができます。「厚生年金の計算は定額部分」、「報酬比例部分」、「加給年金額」の3つに分けて計算する必要があります(以下2018年4月分から)

①定額部分

計算式:1,625円×一定乗率(生年月日による)×加入月数(生年月日により上限あり)

で計算をすることができます。

1946年4月2日以降生まれの方は乗率が1.0になりますので、加入月数が200カ月の場合、以下の通り計算をします。

1,625円×1×200=32万5,000円

定額部分の乗率:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/kyotsu/sonota/20150401-01.files/teigaku.pdf

②報酬比例部分

報酬比例部分は、平均給料に一定乗率をかけた金額となる加入期間をかけあわせた金額で計算をします。給料により、受給額に差がでますので、人によって大きく差が出る部分です。

計算式は2013年3月以降と2013年4月以降で乗率が変わっています。計算式は以下の通りです。

2013年3月以前:月給の平均×7.125/1,000×加入月数

2013年4月以降:賞与も含めた年収の平均月額×5.481/1,000×加入月数

以上の計算式から2013年3月以前の受給額と平成15年4月以降の受給額を足し合わせたものが報酬比例部分の受給額となります。

③加給年金額は厚生年金保険の加入期間が20年以上あり、厚生年金受給時に配偶者や子どもがいる場合に加算されます。65歳未満の配偶者がいる場合の加給年金額は22万4,300円、18歳未満の子どもがいる場合は1人につき22万4,300円(3人目以降は7万4,800円)が加算されます。

上記の計算式、①+②+③を合計した金額が厚生年金の受給額となります。

国民年金と厚生年金の受給額早見表

国民年金と厚生年金の計算方法をご説明しました。しかし、計算式が複雑でご自身で計算するのはなかなか難しいですよね。そんな場合には、早見表で概算額を確認することをおすすめします。

将来の受給額は概算で分かれば十分で、正確に把握する必要はありません。

今後、年金受給額が減るって本当?

少子高齢化により、現役世代が減り、年金受給者が増えるため日本の年金制度は維持できないとよく言われています。実際は日本の年金は維持できるのでしょうか。

人口減少により受給額も減少

日本の人口は減少傾向にあります。人口の減少により受給額も減ります。しかし高齢化が進んでいるため、現役世代は受給者よりも早いペースで減ってしまいます。日本の年金制度は人口が減少した場合どのようになるのでしょうか。

賦課方式の年金制度

日本の年金制度は「賦課方式」をとっています。賦課方式とは「今」の現役世代が「今」の高齢者を支える制度です。ご自身が払ったものを将来もらっているわけではありません。そのため、今の高齢者も自分が現役だった時の高齢者を支えていたということになります。現役世代が減り、高齢者が増えるということは、より少ない現役世代で、より多くの高齢者を支えることになります。

少子高齢化

ご存じの通り、日本は急速に少子高齢化が進んでいます。少子高齢化がさらに進んだ場合、「賦課方式」での年金制度は運営が厳しくなる可能性があります。政府はこの問題に対してどのように取り組んでいるのでしょうか。

25年後の年金は約2割程度少なくなる

日本の年金は25年後には約2割少なくなると言われています。これは年金額が減るわけではなく、実質的な価値が2割減るという意味です。

その理由はマクロ経済スライドの導入によると言われています。マクロ経済スライドとは、現役世代の負担が大きくなりすぎないように導入された制度です。マクロ経済スライドではインフレによる賃金上昇分を全て年金支払いにあてるのではなく、将来の積立金として残しておく制度です。そのため、将来インフレになった場合も年金額はあまり上昇しません。

年金を受給している世帯では基本的に収入源がありませんので、収入は年金のみ、年金がインフレによって増えないということは実質的に収入が減っているのと同じことでしょう。

今後の年金はどうなっていくのか

年金受給者にとっては将来のインフレが見込まれる場合、マクロ経済スライドは厳しい制度です。

しかし、少子高齢化により、ますます日本の年金財政が厳しくなることを考えると年金受給額を増やす政策はとれないはずです。政府は年金財政を維持するためにさまざまな方策をとっていますので、即破綻する可能性は低いのですが、将来の年金受給額が減ることは想定しておいた方がよいでしょう。

今から備えておきたい老後資金

年金財政が厳しくなり、政府からの手厚い老後保証は期待できない今、私たちはどのように老後資金について考えれば良いのでしょうか。老後に必要なお金と今からできる老後資金対策について検討してみましょう。

老後の最低必要資金は22万円

夫婦で老後に最低必要な資金は約22万円、ゆとりある老後を過ごすには約35万円が必要と言われています。ご自身の年金の概算を把握してみて、将来必要な資金は足りそうでしょうか。

ゆとりある老後を過ごすための35万円には届かない方も多いと思います。ゆとりある老後を過ごすには現役時代からしっかりと対策をとっておく必要があるということになります。

個人型年金の運用開始

対策の1つは個人型年金です。個人型年金には、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金や保険会社が運用している個人型年金保険があります。個人型年金の特徴はご自身で積み立てた金額を、ご自身が将来受け取ることができる点にあります。

ご自身で積み立てるので、将来受け取りたい金額から逆算して、積立金額を決めることができます。

また、政府は老後資金を自分で確保することを推奨しているため、iDeCoや個人型年金保険には所得税控除のメリットも用意されています。節税にも繋がり、老後資金の確保にも繋がるため、検討してみると良いでしょう。

参考(iDeCo):https://www.ideco-koushiki.jp/

参考(生命保険料控除):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm

投資などの資産運用の検討

現在の日本は超低金利環境下にあり、預貯金での運用では利回りは期待できないため、株や債券、投資信託等での運用を検討してみると良いでしょう。政府は「貯蓄から投資へ」の加速のため、投資に対しても税制メリットを用意しています。

代表的なものが「NISA」、「つみたてNISA」と言われる制度です。NISAは年間120万円まで、5年間非課税で運用ができる制度です。つみたてNISAは毎月一定額を積み立てることで年間40万円まで、最長20年間非課税で投資ができる制度です。投資にはリスクもありますが、預貯金にはない高い利回りを得るために有効な手段です。

参考:https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html

最後に

日本の年金制度についてご説明してきました。少子高齢化など問題も多いですが、必要なことは過度に不安がることではなく、個人個人ができるだけ早く準備を始めることです。先ほどご説明した、iDeCoは「いまからできること」を略してiDeCoという愛称がつけられました。必ずしもiDeCoに加入する必要はないですが、老後資金を考えるときは「いまからできること」を考えて実行することが重要です。

監修者:石川 智(ファイナンシャルプランナー)