人生100年時代と言われ、将来生活をしていく上でお金の心配をする方も増えています。老後の生活の支えとなるのはやはり「年金」です。年金はいったいいくらもらえるのか、受給額はどのように決まるのか、意外と知らない年金の基本的な仕組みや受取れる額について理解を深めましょう。

公的年金制度は2階一部3階建て

公的年金は「2階一部3階建て」と言われています。1階から順番に見ていきます。

1階は「国民年金(基礎年金)」です。

この部分には、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての方が加入します。

2階は「厚生年金」です。

厚生年金には、厚生年金適用事業所(会社など)の社員、役員や公務員などの方が加入します。なお、国民年金は、自営業者、学生や無職など方が「第1号被保険者」として受給の対象になります。また厚生年金は、「第2号被保険者」として受給の対象になります。

毎月の保険料は、国民年金は定額で月々2018年度時点では1万6,340円です。なお、学生や失業中などで、保険料を納めることが難しい人に、保険料の納付を一時的に猶予や納付を免除する制度があります。

一方厚生年金は勤め先と折半で収入額に応じて保険料を支払います。そのため、厚生年金は加入期間や収入額等によって受給できる金額が異なります。この保険料のなかには1階部分の国民年金の保険料も含まれています。

このように、保険料を納付する時点で「第1号被保険者」と「第2号被保険者」とでは、納付額が違いますので、将来受給できる年金の額も変わってくるわけです。

なお「第1号被保険者」にも、2階部分として任意で加入して年金受給額を上乗せできる「個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)」「国民年金基金」や「付加年金」の制度があります。

個人型確定拠出年金(愛称:iDeCo)とは2017年の制度改正により、「第1号被保険者」のほかに、公務員や専業主婦でも利用ができるようになり注目を集める制度です。iDeCoは将来のために毎月一定額を積み立てて定期預金や投資信託で運用をする制度で、ご自身で金額や運用先を決めることができます。

iDeCoで拠出した金額(積み立てていくお金)は、小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象になりますので、節税にも繋がり、運用益も非課税になる点がiDeCoのメリットです。ただし、満60歳になるまでは、原則引き出すことができませんので、制度を利用する場合は、無理の無い範囲で拠出金額を決定するようにしましょう。

                                     「第3号被保険者」とはサラリーマンの配偶者である専業主婦などのことで、年金保険料は納付しませんが、将来国民年金の受給ができます。

参考:iDeCo 公式サイト 国民年金基金 付加年金

第2号被保険者には3階もある

さらに、「第2号被保険者」には、上記の1,2階の公的年金を補う3階の部分に「企業年金」といった制度もあります。

企業年金とは各企業で設けられている「厚生年金基金」「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金」といった制度で、企業から退職時に一括して退職金として支給されたり、年金として一定期間または終身支給されたり、退職金と年金が併用される企業もあります。

また、受け取る時に退職一時金や「確定給付企業年金」から受取る一時金や年金は税の優遇制度の適用もあります。ただし、企業年金は制度を採用していない企業もあるため、全ての方が加入できるわけではありません。

参考:企業年金連合会 企業年金制度

ここまでをまとめると下記の図になります。

図の詳細は、企業年金連合会 企業年金制度をクリックください。 

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年金受給金額の決まり方

①国民年金は、「加入期間」で決まる

国民年金(正式には「老齢基礎年金」)の2018年度の国民年金の受給額は、満額保険料を支払った場合の77万9,300円です。納付をしなかった場合は下記の式で受給額を計算します。また、2009年3月分までは、別の算出式になります。

詳しくは、下記「参考:日本年金機構 国民年金(老齢基礎年金)」をクリックしてご覧ください。

参考:日本年金機構 国民年金(老齢基礎年金)より

②厚生年金は、「加入期間」と「加入期間中の平均の報酬額」で決まる

厚生年金(正式には「老齢厚生年金」)は、毎月の給与や賞与によって保険料が異なり、将来受給できる金額も違ってきます。厚生年金は「定額部分」「報酬比例部分」があり、人によっては「加入年金」を受けることも出来ます。

なお、満60歳以降も、厚生年金適用事業所(会社など)に勤めた場合、給与額によっては「在職年金」の適応を受け厚生年金の受給額がカットされる場合もあります。またこれらの制度は厚生年金の受給年齢が65歳未満と65歳以降では制度の内容が異なりますので注意が必要です。

A.定額部分

定額部分は1,625円×生年月日に応じた乗率×加入期間(月数)で計算します。
計算のしかたの詳細は、日本年金機構 厚生年金(65歳未満)定額部分を参照して下さい。

B.報酬比例部分

2003年4月の総報酬制導入によりに、いままでの月々の給与に加えて、賞与(ボーナス)からも厚生年金保険料を支払うことが義務付けらました。

総報酬制導入以前は月の給与のみ厚生年金保険料を支払っていたため、同じ年収の人でも、月の給与として多くもらっている人と、賞与として多くもらっている人で厚生年金保険料の大きな差があり、公平性の観点から賞与からも厚生年金保険料を支払う「総報酬制」が導入されました。このこともあり計算がより複雑になっています。

計算式としては「平均標準報酬月額」に一定乗率×加入期間で計算をします。平均標準報酬月額は、日本年金機構の平成29年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表を参考にしてください。報酬比例部分は収入金額によって大きく受給金額に差がでます。

なお、日本年金機構の「年金ネット」や「ねんきん定期便」でも受給の見込み額は確認できます。ただし厚生年金基金に加入している方の場合の老齢厚生年金と厚生年金基金の受給見込額は、「年金ネット」や「ねんきん定期便」に反映しない場合、お勤めの先の企業年金の担当部署か、担当地区の社会年金事務所に問い合わせてみてください。

C.条件によっては「加給年金」が上乗せされる

厚生年金に20年以上の加入期間があり、生計を維持している一定の家族がいる場合は定額部分・報酬比例部分に加え、「加給年金」が支給されます。65歳未満の配偶者のいる場合には最大38万9,800円。18歳未満の子どもがいる場合は1人目・2人目は1人につき22万4,300円、3人目以降は1人につき7万4,800円が「加給年金」として、上乗せされます。

その他にも「遺族年金」「障害年金」の制度もあります。これらの制度は老齢年金が受給できる年齢になって受けられる制度ではなく、事案が発生ごとに対象になれば申請して受けられる制度ですので内容を知ってことも大切です。

国民年金にも、「遺族年金」「障害年金」それに「死亡一時金」の制度がありますが、厚生年金とは制度の内容が異なります。

参考:日本年金機構 加給年金(定額部分が支給されている場合に限ります)     

厚生年金:障害年金 遺族年金                             

第1号被保険者の障害基礎年金 遺族基礎年金 死亡一時金

月の年金平均受給額は国民年金で5万円、厚生年金で14万円

現在の国民の平均月額は国民年金で5万円、厚生年金は14万円です。厚生労働省がモデルケースとしている40年間務めた会社員の夫と専業主婦の場合、支給額は22万1,277円(2018年度)となっています。

老後に必要な最低生活費は夫婦で月22万円、ゆとりある生活なら39万円

老後の生活に必要な最低生活費は夫婦で月22万円、ゆとりある生活を送る場合は月39万円必要と言われています。 とは言うものの単なる一般的な数字に過ぎません。つまり、ご自身の家計の実情を把握することが大切なのです。

ここはまず現在の家計収支を計算してみること。そして老後の生活に入ってから、家の修繕費などどのくらいのまとまったお金が必要なのか、生涯の家計支出を計算しておくべきです。

そしてサラリーマンの方であれば、公的年金や人によっては企業年金、さらに保険商品の個人年金などで積立てをしていればその金額も足してみて、定年退職後に、定期的にいくらお金が家計に入ってくるのかも計算します。つまり生涯の家計収支のシミュレーションをしてみることが大切です。

そして、現在の生活をしていて問題ないようであれば、現在の家計収取の生活を続けていけば良いし、厳しいと思えば、今から老後の家計収支に見合う生活に変えていくことです。特に老後の年金生活に入ってから、支出を減らす生活に馴染むのは難しく、歳をとってからこころの病や老後破たんになりかねませんのでご注意下さい。

年金受給金額は男女間で約2倍の差がある

年金受給額は働き方によって差が出るため、男女間で約2倍の差があると言われています。現在では働く女性も増えていますが、現在年金を受け取っている世代は結婚と同時に専業主婦になる方も多く、男女で収入額と加入期間に大きく差があるためです。

男性は平均17万

男性の平均月額受給額は約17万円程度です。 男性の場合は会社員として勤め上げることが多く、女性に比べると年金受給額は多くなる傾向があります。

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000453010.pdf

女性は平均10万

女性の平均月額受給額は約10万円です。 女性は結婚・出産をきっかけに専業主婦となる方も多く、収入や加入期間の面で男性より不利となる場合が多いため、どうしても年金受給額は少なくなってしまいます。

ところで、現在男性と女性の平均寿命の差は約7歳です。同級生が結婚したら統計数字だけおえば、女性が単身で7年生きることになります。その時の準備も必要でしょう。

まとめ

年金の受け取り額についてご説明しました。繰り返しになりますが、まずはご自身の年金がどれくらいもらえるのか把握してみましょう。年金額の概算が把握できて将来生活をして上でお金が足りないなら、将来の年金を増やすためにどのような対策を講じることができるかを検討してみる必要があります。

可能であれば、転職や移住をするなど生活のスタイルを変えてみるのもよいでしょう。iDeCoや生命保険料控除など活用できる税制優遇制度を利用するのもよいでしょう。また必ずしも年金のみに頼らない生活を描いてみるのも良いでしょう。

監修者:牧野寿和(ファイナンシャルプランナー)